コンテンツマーケティングの意味とは? コンテンツの種類など基礎知識と注意点を徹底解説!
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コンテンツマーケティングの意味は価値あるコンテンツ、顧客にとって役に立つコンテンツによってリード、見込み客を育てたり、ブランディングを行ったりすることです。
一つのコンテンツマーケティング内で活用可能なコンテンツは、テキスト主体のモノや動画など多岐にわたります。この記事では、コンテンツマーケティングの意味について、基礎知識や注意点など全般的に解説します。
コンテンツマーケティングについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
価値あるコンテンツをマーケティングに活かす
価値あるコンテンツは役に立つコンテンツ
コンテンツマーケティングは受け手にとって役に立つコンテンツを使う点が特徴となっているマーケティング手法を指す言葉です。英語で表記すると「Content Marketing」となります。カタカナでコンテンツと書くと、Contentsという複数形をイメージするかもしれません。しかし、Contents Marketingではなく単数形を用いたContent Marketingが正しい表記です。
コンテンツマーケティングにおけるコンテンツとは、価値ある情報を意味するものであり、いくつ存在するかを数える性質のものではない点が特徴だと言えるでしょう。使用するコンテンツがいくつあるかを数えることが可能だとしても、複数形で表記することはありません。日本にいる限りにおいては、コンテンツマーケティングを英語で表記する機会は少ないかもしれませんが、注意しておきたいものです。
さて、価値ある情報と言っても公的な定義があるわけではないため、価値の解釈は人によって異なるケースもあるでしょう。たとえば、広告を使ったマーケティングにも価値があり、広告という情報そのものにもさまざまな価値があります。しかし、だからといって広告を打つことをコンテンツマーケティングとは呼びません。広告は商品やサービスを売るために必要となる直接的な情報を伝達する手法であり、そもそもコンテンツマーケティングとは目的が異なります。
長期的な視点で成果を狙う
営利企業が行うコンテンツマーケティングも広告展開も、大きな意味では利益の追求や事業の拡大の手段であり活動です。しかし、顧客に対して商品やサービスを直接的に訴求することで売上アップを図る広告とは異なり、コンテンツマーケティングは原則として目先の利益を求めてはいません。
コンテンツマーケティングは顕在層のみならず潜在層の見込み客との接点となり、中期的・長期的な視点で見込み客の育成を行い販売へとつなげたり、自社ブランドを浸透させたりすることを目的としています。適切なコンテンツマーケティングによって企業や商品・サービスのファンが増えれば、リピーターによる繰り返しの利用を期待でき、業績アップが可能です。
コンテンツマーケティングを実施する中で、商品やサービスの販売ページへのリンクやコンテンツマーケティングに使用するオウンドメディア自体をマネタイズに利用するケースがあります。しかし、それは一部分であってコンテンツマーケティングがじっくりと時間をかけて成果を狙うマーケティング手法であることは変わりません。そのために、広告で用いる商品説明や価格といった定型的情報とは異なる種類の関連情報などを主に提供することになります。
▼コンテンツマーケティング関連の「用語」については、こちらの記事で解説しています。
多様化時代のマーケティング手法
旧時代のアウトバウンドマーケティング
コンテンツマーケティングの意味を考えるとき、古くからあるマーケティング手法のアウトバウンドマーケティングについても確認しておく必要があるでしょう。アウトバウンドとは「outbound」のことで、「外向きの」といった意味があります。マーケティングでアウトバウンドといえば、企業から外部である顧客へ向けたアプローチのことです。
つまり、アウトバウンドマーケティングとは、企業が見込み客や見込み客となり得る層に対して伝えたいことを一方的に発信するさまざまなマーケティング手法を総称する言葉だといえます。
紙媒体しかなかった時代から行われており、新聞の折り込み広告やチラシ、ラジオやテレビのコマーシャル、ダイレクトメールなどは誰もが日常的に目にし、受け取った体験があると言えるアウトバウンドマーケティングの代表例です。また、インターネットの普及とマーケティングへの活用により、閲覧中のサイトに表示されるバナー広告といった種類のアウトバウンドマーケティングも一般的になっています。
アウトバウンドマーケティングとコンテンツマーケティングのどちらがより古くから存在しているかを正確に知ることは難しいでしょう。コンテンツマーケティングの始まりにしても、いくつかの説があるようです。しかし、進化を続けるコンテンツマーケティングと比較したとき、商品やサービスの販売に主眼を置いているアウトバウンドマーケティングは、旧時代のマーケティング手法だと言えるかもしれません。
アウトバウンドマーケティングの限界
2022年現在では商品やサービスを販売するためのアウトバウンドマーケティングと、長期的な販売促進やブランディングを狙うコンテンツマーケティングはどちらも積極的に活用されています。その中でも、コンテンツマーケティングへの注目度が上がり、より重視される流れがあるのは事実です。その大きな原因として時代の流れがあります。
たとえば、日本では戦後の物資不足から復興、高度経済成長期と続く中で、三種の神器の普及などに代表される大量生産と大量消費時代が続きました。最低限生活に必要な家電をはじめとする同じ物品が各家庭に行きわたるまでは、量を供給する必要が大きかったと言えます。
必要な物品が行きわたった後は、自分らしさに着目する視点が広がりを見せますが、バブル期の終焉まで好景気が続いたことから、大量消費時代が続いていたと言えるかもしれません。大量生産と大量消費、大量廃棄型からの脱却を目指し、循環型社会形成推進基本法が制定されたのが2000年のことです(※1)。作れば売れるとまでいわれた時代にはアウトバウンドマーケティングの効果が大きかったと言えるでしょう。
しかし、さまざまなアイテムが各家庭や個人に行きわたると、需要は画一的ではなく個性的なモノへと変化を見せます。多様化の時代へと突入することで、同じ商品やサービスのターゲットとなる層が狭くなり、商品やサービスごとにピンポイントでの訴求が必要となりました。
景気の低迷も加わって、1つの商品やサービスがバンバン売れる時代ではなくなったため、一方的に売りたい情報を流すアウトバウンドマーケティングだけでは限界が見えたと言える状態の出現です。それに伴い、顕在層だけにとどまらず潜在層の見込み客をリピーターにまで育てることが可能なコンテンツマーケティングの重要性が高まっています。
※1 出典:消費者庁「令和2年版消費者白書 第1部 第2章 第1節 (2)消費と資源についての動き」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/2020/white_paper_127.html
コンテンツマーケティングの歴史
コンテンツマーケティングの歴史といえば、1895年に発行された雑誌「The Furrow」から始まったとする説がよく知られています。「John Deere」というアメリカの農機具ブランドが発行した雑誌で、従来の広告にはなかった役立つ農業の関連情報が掲載されていることから、顧客である農家との関係性構築に大きく寄与しました。
農機具の宣伝文句ばかりが並んでいるだけであれば、新規購入や買い替え需要が迫っている顕在的な見込み客への訴求にはなっても、購入がまだ先になる潜在層へのアピールにはなりにくいものです。しかし、農業全般について顧客が知りたい情報の提供を行うことで、購入予定がない農家であっても、自社ブランドとの接点が強化された好例だと言えるでしょう。
紙媒体がメインの時代にコンテンツマーケティングを実施するには、紙面の作成や印刷、配布といった手間やコストの問題が大きかったといえます。しかし、インターネットが登場し、検索文化やオウンドメディアの活用が定着してくると状況が大きく変化しました。極論すれば、企業はいくらでも情報を好きなときに発信できる時代になっています。
コンテンツマーケティングをWebマーケティングと混同することがあるようですが、Webマーケティングは文字どおりWebを利用したマーケティング全般を指す言葉であり、コンテンツマーケティングとは明確に異なるモノです。それはともかく、インターネットの普及はコンテンツマーケティングの歴史の転換点と言えるのではないでしょうか。
ITの進化が生んだオンラインでの需要
コンテンツマーケティングの浸透とITの進化は無関係とはいえないでしょう。コンテンツマーケティングでは、一般的に広告などのアウトバウンドマーケティングよりも多くの情報を送れる手段、環境が必要となりますが、オンラインなら専門的かつ膨大な量の情報を無理することなく送り、容易に受けることが可能です。オウンドメディアに何ページもの詳細な情報を掲載することも簡単にできます。
ITの進化によって、オンライン上でのコンテンツマーケティングは紙媒体や電波媒体を使ったコンテンツマーケティングとは比較にならないほど自由度が高くなりました。今後もITの進化が見込まれることから、オンライン上におけるコンテンツマーケティングの需要は増え続けるでしょう。
▼コンテンツマーケティングのさまざまな手法については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
インバウンドマーケティングと何が違うのか
インバウンドマーケティングはアウトバウンドマーケティングの対極にある
アウトバウンドマーケティングの対極にインバウンドマーケティングがあります。「Inbound」は「内向きの」といった意味をもつ英単語であり、そのまま訳せばインバウンドマーケティングは内に向けたマーケティングです。
ただし、情報の発信者である企業が自分に向けてコンテンツマーケティングを行ったのでは意味がありません。広告に代表されるアウトバウンドマーケティングが顧客に対する一方的な情報発信であり、顧客が受け身であったのに対し、インバウンドマーケティングでは企業に対して能動的なアクションを顧客に行ってもらう点が特徴です。つまり、内向きとは顧客が企業に向くことだと表現することができます。
具体的にどのようなアクションを起こしてもらうのかといえば、インターネットでの検索や動画チャンネルの登録、メールマガジン(メルマガ)の配信登録などが一例です。
コンテンツマーケティングとインバウンドマーケティングは似たもの同士
インバウンドマーケティングに見られるオウンドメディアをインターネット検索で探し出してもらったり、動画を見てもらったり、メールマガジンの読者になってもらったりといったアクションは、コンテンツマーケティングでも行われます。
また、インバウンドマーケティングを成功させるためには、顧客がアクションを起こそうという気になるだけのコンテンツの提供が必要です。そうなると、インバウンドマーケティングはコンテンツマーケティングと同じものだと思うかもしれません。
しかし、インバウンドマーケティングとコンテンツマーケティングは別の概念です。ただし、違ってはいるものの、ほぼ同種のものとして考えられていることも事実です。インバウンドマーケティングはコンテンツマーケティングの一部だとする意見や、その逆の意見もあるようですが、どの位置から見るかによってインバウンドマーケティングだったりコンテンツマーケティングだったりすると言えるかもしれません。
つまり、企業が発信する情報に積極的で能動的な目を向けてもらう観点から見れば、それはインバウンドマーケティングです。顧客にとって役立つ価値ある情報の提供により顧客を育て、ブランディングを行うという意味でいえばコンテンツマーケティングとなります。
▼インバウンドマーケティングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
コンテンツSEOとの違い
目的が異なる
コンテンツマーケティングと混同されやすい手法にコンテンツSEOがあります。コンテンツを充実させることによって顧客のアクセスを集めるという点において、コンテンツマーケティングとコンテンツSEOが似ているためです。しかし、コンテンツマーケティングとコンテンツSEOが明確に異なる概念であり手法であることは間違いありません。
コンテンツSEOはその名のとおりSEOを目的としています。Googleの検索エンジンのアルゴリズムに合わせて上位表示を狙い、検索からのアクセスを増やすために行われているのがコンテンツSEOです。コンテンツSEOが行われる背景には、検索エンジン側、つまりGoogleがサイトやドメインの古さや量といったモノサシではなく、コンテンツの中身を重視している点があります。
コンテンツマーケティングの目的は、アクセスの先にある顧客の育成やブランディングであり、その成果としての業績向上です。
良質なコンテンツを要する点は同じ
検索エンジンのアルゴリズムに向けたものか、情報の受け手である顧客に向けたものかの違いはあるものの、コンテンツマーケティングとコンテンツSEOはどちらも価値あるコンテンツを充実させる点において同じです。インターネットで発信する情報の質が良くなければ、検索エンジンにも顧客にも見向きされない時代になっていると言えるでしょう。
コンテンツ自体は両方を兼ね得る
目的と対象が異なるため、コンテンツSEOに用いるコンテンツとコンテンツマーケティングに用いるコンテンツは必ずしも一致しないと考えることができます。検索エンジンのアルゴリズムが判断する良質の定義や基準と、人間である顧客が感じる良質がいつも同じとは限らないためです。
とはいえ、検索エンジンが良質さを求める大きな理由に顧客の役に立つコンテンツを上位表示させる意図が含まれることは疑う余地がありません。必然的にコンテンツマーケティングで考える価値の高いコンテンツと、コンテンツSEOで考える価値あるコンテンツが重複してきます。つまり、両者は兼用可能です。
さらにいえば、検索エンジンにも顧客にも評価されるコンテンツを作ることで、コンテンツマーケティングとコンテンツSEOの両方をカバーすることができます。実際に、コンテンツマーケティングの実施ではSEO対策が行われるため、作られるコンテンツはコンテンツSEOの目的にも合致するのが通例と言える状況です。総合的に考えれば、コンテンツマーケティングとの関係で見た場合のコンテンツSEOは、コンテンツマーケティングの一部を構成しています。
コンテンツマーケティングとトリプルメディア
オウンドメディア
コンテンツマーケティングの意味を考えるにあたり、同時に知っておきたいのがトリプルメディアです。トリプルメディアはオウンドメディアとアーンドメディア、ペイドメディアの3つを指しています。
まず、コンテンツマーケティングで最重要となるのがオウンドメディアです。自社が所有し運営するメディアを意味しており、コンテンツマーケティングにおいてはコンテンツを提供し、顧客との接点となるメディアとして大きな意味をもっています。オウンドメディアにはさまざまな種類がありますが、コンテンツマーケティングで活用される場合は、ブログやWebサイトがメインです。自社の権限で自由に管理運用できます。
アーンドメディア
口コミに代表されるような、顧客が情報発信を行うメディアがアーンドメディアです。情報をシェアする文化があり拡散力があるSNSや口コミサイトだけでなく、顧客が個人的に運営するブログなどもアーンドメディアに含まれます。アーンドメディアの情報がオウンドメディアへのアクセスにつながる流れができれば、コンテンツマーケティングの効果も期待大です。
また、顧客が発信する情報を精査することで、商品やサービスの改善につなげたり、コンテンツマーケティングの精度を高めたりできるほか、顧客とのコミュニケーションを活発化させることもできます。
ペイドメディア
ペイドメディアとは、料金を支払って活用するメディアを指しており、通常は広告媒体を意味します。つまり、支払うのは広告を出稿するための料金です。新聞広告やテレビコマーシャル、ディスプレイ広告などさまざまなペイドメディアがあります。
個別のペイドメディアの特性を考慮して選択すれば効果的な広告を打てますが、あくまでも他社メディアであり、思いどおりの活用ができるとは限りません。アウトバウンドマーケティングである広告をコンテンツマーケティングに組み合わせることで、相乗効果が狙えます。
▼トリプリメディアについては、以下の記事でもそれぞれ詳しく解説しています。
マーケティングに使えるさまざまなコンテンツ
テキスト主体のコンテンツ
コンテンツマーケティングで活用されているコンテンツは多数あり、その種類は細かく分ければ10以上もあります。中でも古くから使われているのがテキスト主体のコンテンツです。近年では短文で発信するTwitterや写真がメインのInstagramを利用する顧客が増えていることもあり、テキスト主体のコンテンツは需要が低迷しているとの見方があります。しかし、説明主体のコンテンツや読み物としてのコンテンツを中心に欠かせない存在です。
テキスト主体のコンテンツといえばブログ記事をはじめ、ダウンロードして利用するホワイトペーパーと呼ばれる資料やメールマガジン、SNS投稿などがあります。その他にもニュースリリースや会報など読んで役に立つ多くの種類が活用されているところです。
たとえばメールマガジンでは最新のイベント情報や新製品開発に関する告知、商品に関連した連載読み物、さらには質疑応答などさまざまな情報を発信し、リアクションを促すことができます。メールマガジン会員限定のコンテンツを配信するなど、顧客の育成やブランディングを促進する仕掛けを使える点も大きな特徴です。メールマガジンには無料のモノもあれば有料のモノもありますが、どちらにするかはケースバイケースです。
また、解説文やブログ記事を含む読み物としてのコンテンツは、検索エンジンを意識したコンテンツSEOの主な実施対象となっています。これらのテキスト主体コンテンツをオウンドメディアに掲載したり連携したりすることで、より多くの顧客の目に触れる機会を増やせるでしょう。
写真・画像コンテンツ
ビジュアルが重視される時代となってから写真や画像の重要度が増し、コンテンツマーケティングにおいても写真や画像が当たり前に使われています。美しい写真や興味深い画像がメインとなることで、企業が顧客に持ってもらいたいイメージを強調したブランディングが可能です。また、これまではテキストばかりだったコンテンツに写真や画像を適度に配置することで、質を高く見せたり、説得力を加えたりすることもできます。
写真や画像を手軽に使えるようになった背景には、カメラなどの撮影機材が高機能かつコンパクトでリーズナブルな価格になった点があります。また、画像の作成や処理を行うソフトウェアも一般化しました。つまり、技術革新によって以前に比べれば格段に無理なく写真や画像を扱えるようになり、必ずしもプロに頼らなくてもよくなったのが現在の状況です。
写真や画像を効果的に扱うプラットフォームとしては、InstagramやTwitter、FacebookといったSNSが有力です。SNSを活用した手法であることから、ソーシャルメディアマーケティングとも呼ばれています。写真や画像コンテンツにオウンドメディアへのリンクを設置しておけば、幅広いアプローチが可能となります。もちろん、オウンドメディア自体のコンテンツとして写真や画像を活用する手もアリです。
動画コンテンツ
近年その勢力を拡大しているのが動画コンテンツです。YouTubeには多くの企業が公式アカウント、公式チャンネルを開設するなど、その勢いはとどまる所を知りません。商品紹介や開発現場の紹介、企業紹介や顧客からの質問に回答する動画など、コンテンツの中身は多岐にわたります。SNSでもショート動画が活用されており、これからの社会において、動画と無縁でいることは難しい状況です。それもこれも、動画制作のハードルが下がっている点が大きいと言えるでしょう。
ビデオカメラやマイク、ミキサー、編集装置などハードウェアは高機能化しながらも低価格化しており、感覚的に扱いやすい各種のソフトウェアが普及しています。いまでは子どもが持っているスマートフォンでさえ、高画質・高音質の動画撮影が可能なくらいです。
動画が一般的な存在となったことで、本格的な映像コンテンツだけでなく、簡易的な動画コンテンツも問題なく受け入れられる状況が出来上がっています。動画の出演者も経営陣から担当社員、タレント、合成音声などさまざまで、素材や演出についても自由度の高いコンテンツ制作が自社で可能です。一方で、プロに依頼してテレビ番組レベルの動画を作るケースもあり、ニーズに合わせた動画展開が可能となっています。
動画コンテンツは、写真や画像といった静止画では伝えられない臨場感や躍動感を表現できるだけでなく、よりビジュアルでわかりやすい点が大きな特徴です。
たとえば、商品の活用シーンを紹介する場合、テキストだけではイメージが浮かびにくいといえます。そこに写真や画像が添付されると理解が進みますが、一連の流れとして理解するためには不十分です。実際の動きを頭の中で想像しなければならないケースもあり、想像が違っている可能性もあります。
しかし、動画があれば一目瞭然で見たまま、そこに映し出されている動きが実際の動きです。あれこれ考える必要はありません。
また、動画コンテンツの活用シーンにウェブセミナーがあります。インターネットで配信する形式のセミナーです。短縮してウェビナーとも呼ばれており、遠隔地にいても参加できるセミナー、テレワーク時代に便利なセミナーとして注目度は大です。
オフラインのコンテンツ
コンテンツマーケティングはオンライン上で行われるマーケティング手法だと理解されている部分があるようです。たしかに、インターネットを使ったメディアの活用がメインと言える状況であり、間違いではありません。
しかし、オフラインも含めて実施されているのがコンテンツマーケティングです。紙媒体しかなかった頃から行われているからというわけではなく、現在でもオフラインのコンテンツが活用されています。
たとえば、ウェビナーが広がりを見せているとはいえ、セミナーはまだまだ現地集合型が健在です。また、実物を間近で見られるオフラインの展示会や各種イベントにも根強い人気があります。こうしたオフラインコンテンツを組み込むことで、コンテンツマーケティングの効果を高めることが可能です。ただし、セミナー情報のやりとりや参加申し込み手続きなどはインターネットの活用が主となっています。
コンテンツマーケティングの実践に向けて
コンテンツマーケティングの実践に必要なモノ
コンテンツマーケティングを実践するにあたり、必要なモノは数多くあります。オウンドメディアを構築するには、サーバーを用意しなければなりません。現在では無理して自社サーバーを設置するよりも、レンタルサーバーを利用したほうが費用面でも管理面でも楽だといえます。
次に、オウンドメディアで使用するドメインが必要です。当然ですが、自社でしか使用していない独自ドメインを用意します。他社サービスが提供しているドメインのサブドメインはあくまでも他社にぶら下がる形です。いろいろな制限があったり、安定した運用ができない可能性があったりなど、独自に行うコンテンツマーケティングの意味を失ってしまいます。
ドメイン取得サービスを提供している会社は複数あるため、希望するドメインがあるかどうかを見て回ると良いでしょう。ドメインの取得にあたっては、自社のブランドや扱う商品をイメージしやすい文字列を意識したいものです。ドメインは最初の「.」を挟んで前と後ろに分かれています。前部分は自社で好きな文字列を付けることが可能です。後部分は決まった中から選びます。
近年では実に多くのドメインが使われており、利用料金もさまざまです。日本の企業を表す「co.jp」のように信頼度の高いイメージを与えるモノもあれば、軽く感じられるモノもあり、前部分の文字列の決定だけでなく後部分の選択も慎重に行う必要があります。
コンテンツが必要なことはいうまでもありませんが、活用するコンテンツによって、当該コンテンツを制作するためのソフトウェアや機材だけでなく、技術やノウハウが必要です。
大規模にやるか小規模にやるか
企業規模が大きく、コンテンツマーケティングを実施したい商品やサービスが複数ある場合は必然的に大規模な展開になりやすいといえます。10商品を個別に扱うならコンテンツマーケティングも10個のプロジェクトが必要です。
一方、中小企業で商品を絞った展開を行う場合や、大企業でも大きな予算がとれない場合などは小規模なコンテンツマーケティングから取り組むことになるでしょう。
もちろん、大企業で扱う商品やサービスが多岐にわたるからといって、必ず複数のコンテンツマーケティングを実践しなければならないわけではありません。この辺りの選択は自社の状況次第と言えるため、単純に企業規模や商品、サービスの数で決められるわけではない点に注意が必要です。また、全体としての規模は大きくても、1個のコンテンツマーケティングの規模の大小とは無関係といえます。
ただし、商品やサービスが多く、予算もたっぷりあるため一気にコンテンツマーケティングを進めたい場合には注意が必要です。慣れないことをいくつも同時進行で実践すると、思わぬ落とし穴が待っているかもしれません。個別のコンテンツマーケティングはそれぞれ別の担当者が行っているとしても、企業全体で考える必要があるためです。
コンテンツマーケティングは長期的な効果を前提としたものであり、軌道に乗るまではさまざまな失敗もあるでしょうし、紆余曲折を経て成功へと向かう面があります。そのため、慣れないうちに大規模にやると、効果が出ない日々に挫折する恐れがある点を考慮すべきです。
大規模なコンテンツマーケティング群を途中で放棄するようなことになれば、損失は計り知れません。また、一部に順調なコンテンツマーケティングがあったとしても、他の多数の失敗の巻き添えで取り止めになる可能性も考えられます。
内製するか外注するか
たとえばオウンドメディアを立ち上げてコンテンツをアップする場合、サイトの構築やSEO対策などのノウハウを持った人材が自社にいる場合は内製の選択肢があります。この場合、コンテンツマーケティングの実践に必要なモノも先に述べたカタチで自社が用意することになるでしょう。
社内に人材がいない場合は、新規に即戦力を採用するか、既存の社員を担当者として育成することにより内製の選択が可能です。とはいえ、新規採用にしても今すぐ入社するとは限りません。育成となればそれなりの時間が必要です。スピードやコストを考えれば、外注が現実的な選択肢となります。
完全内製と完全外注の他に一部内製、一部外注といった選択も可能です。できるところは自社でやるといった選択をする企業は少なくないと言えるでしょう。たとえば運用を開始できるレベルまでは専門業者に任せておき、運用は自社で行うといった方法があります。
また、日々の更新が必要なコンテンツの制作だけを外注するといった使い方も一般的です。とくに、専門的な記事や動画制作は意外と時間がかかることも少なくありません。そのため、自社のリソースでは間に合わないことから外注の需要は多く、記事作成だけを別メニューで扱っている業者も多いようです。
▼コンテンツマーケティングの始め方については、以下の記事もあわせてご覧ください。
ピンポイントに意味があるコンテンツマーケティング
目的別の戦略を立てる
コンテンツマーケティングは始めるにあたって目的を明確にし、戦略を立てて行うものです。コンテンツマーケティングを実践する主目的は、顕在化している見込み客に加え商品の認知度を上げることによる潜在的見込み客の育成、それによる販売促進や自社のブランディングです。
見込み客の育成とブランディングを一緒にやってしまおうと考えることがあるかもしれません。しかし、両者は具体的な施策が異なることもあり、それぞれでコンテンツマーケティングを実施する必要があります。
見込み客育成については、ここでの見込み客が何に対しての見込み客なのかをハッキリさせる必要があります。たとえば自社で扱っている全商品の売上増加のために、1個のコンテンツマーケティングであらゆる商品やサービスの見込み客を対象にしてしまうようでは、成功は見込めないでしょう。
範囲が広すぎて効果的な戦略が立てにくくなることに加え、見込み客によって必要なコンテンツと不要なコンテンツが混在することになりかねず、利便性やお役立ち度が下がり、施策がぼやけてしまいます。
コンテンツマーケティングのターゲットは、商品Aなら商品Aの見込み客です。商品Aに絞り切れない場合でも性質の似ている商品Bを加える程度に抑えるべきでしょう。間違っても購買層が異なる商品Cのコンテンツマーケティングを一緒に組み込んではいけません。やるなら別のコンテンツマーケティングを立ち上げます。
この場合、商品A(または商品AとB)の見込み客育成を目的としたコンテンツマーケティングと、商品Bの見込み客育成を目的とするコンテンツマーケティングが併存するカタチです。コンテンツマーケティングはピンポイントで実践するからこそ、高い効果を期待できます。
コンテンツマーケティングは目的達成に向けて長期にわたって運用することから、最終目標だけでなく、各フェーズにおける目標の設定が必要です。そこで活用されるのがKey Goal Indicator(KGI)とKey Performance Indicator(KPI)です。KGIは最終的な目標を表す指標で、重要目標達成指標と呼ばれています。KPIは重要業績評価指標と呼ばれ、中間目標の指標です。KPIの設定は、KGIを達成するためには各フェーズでどれだけの結果を残す必要があるかを逆算して行います。
現状の調査
コンテンツマーケティングを実践するうえで、自社の商品やサービスと競合他社の商品やサービス、市場動向などの把握が重要です。現状の認識がズレていると、どのような施策を打ったとしても、それもズレているため効果を期待できません。
現状調査の手段としては、顧客へのアンケート調査や既存データの分析、外部の調査会社の活用などがあります。
ターゲット設定からペルソナ設定へ
ターゲット層となる見込み客やユーザーが決まったら、ターゲット設定よりもさらに詳細なペルソナの設定を行う点がコンテンツマーケティングの基本戦略です。ターゲット設定では年齢が30代とか40代以下といったように幅があります。しかし、ペルソナ設定では34歳とか42歳といったように特定する点が大きな特徴です。以下にペルソナ設定で行われる詳細な設定例を参考として箇条書きの一覧で示します。
- ・具体的な年齢と性別…38歳、女性
- ・学歴…都内4年制大学文学部卒業
- ・出身地と居住エリア、最寄り駅…宮城県仙台市出身、東京都武蔵野市、各線吉祥寺駅
- ・家族構成…独身
- ・勤務する企業…新宿区内の大手不動産会社、各線新宿駅
- ・職務内容と役職…営業事務、係長
- ・年収…500万円
- ・趣味…音楽鑑賞
- ・休日の過ごし方…部屋で音楽を聴きながらくつろぐ
- ・主な情報収集の手段…SNS、女性誌、業界紙(誌)
- ・ITとの親和性…スマートフォンを活用
- ・将来の夢や目標…郊外に自分の家を持つ
- ・現在の課題や悩み…仕事のストレス、肌荒れが気になる
このように、実在する特定の人物に見立てた条件を用いる点がペルソナ設定の特徴です。目的が商品の認知度アップであれば、当該商品の購買層をペルソナ設定しなければ意味がありません。中高年向け女性化粧品の認知度アップを目的とするコンテンツマーケティングで、20歳女性や40歳男性をペルソナ設定することはあり得ないことです。
どのような項目を設けてどういった条件を当てはめるかについては、実際の顧客をベースに考えます。そのためにも、現状の調査が重要です。また、ペルソナ設定はピンポイントで行うものの、ある程度の幅を持たせた2人~3人分を設定することで、施策の厚みを出すことができます。
ペルソナ設定で陥りやすい間違いは、自分にとって都合の良い人物像をイメージしてしまうことです。現実とかけ離れた理想的なペルソナを設定してしまうと、戦略自体が甘いものとなってしまいます。
カスタマージャーニーの設定
ペルソナ設定の次は、ペルソナの行動をカスタマージャーニーに落とし込みます。カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスなどの目的物に出会ってから、購入して使用し、評価をするまでの一連の流れを旅に見立てたものです。カスタマージャーニーには、主に以下のフェーズがあります。
- ・認知…商品やサービスの存在を知る
- ・興味と関心…その商品やサービスに興味を持つ
- ・情報収集…具体的な情報を収集する
- ・比較検討…他社製品などを含めた比較検討を行う
- ・購入…購入する
- ・使用と共有…使用した実感をSNSで発信するなどの共有を行う
コンテンツマーケティングの目的やBtoCかBtoBかによってフェーズの具体的な中身が決まりますが、商品を認知するところからSNSなどでの共有まで、いくつかのフェーズ分けをする点は同じです。各フェーズでは、ペルソナと商品やサービスとの接点となるメディアその他のタッチポイントをしっかりと設定しておく必要があります。タッチポイントはフェーズを進めて目的を達成するためのチャンスを開くものです。
カスタマージャーニーは、パッと見て内容がよくわかるようにカスタマージャーニーマップを作っておくと良いでしょう。縦軸に顧客の行動や心理、タッチポイント、対応策などを、横軸に各フェーズを置きます。
各フェーズでコンテンツを投入
コンテンツマーケティングの肝となるコンテンツは、各フェーズでそのフェーズに適したモノを投入します。コンテンツが満たすべき最低限の要件は顧客の役に立つ、価値があることですが、各フェーズにマッチしていることも重要な要件です。最終フェーズを除いては、各フェーズの内容を満たしながら、次のフェーズへと円滑に進行させる内容とします。
たとえば、認知段階では自社の商品やサービスの存在を知ってもらう点に特化したコンテンツが妥当です。比較検討段階では比較検討に必要な情報を提供することは当然として、自社商品やサービスが優れている点をしっかりと明示するコンテンツになっているかを確認しましょう。それができていれば、顧客は次の購入フェーズへと進みます。実際にどのフェーズでどういったコンテンツを投入するかについては、全体の戦略の中で予め計画しておくことが求められます。
コンテンツの投入でもう一点重要となるのが前述のタッチポイントです。同じコンテンツでも発信するメディアによって効果が変わり得ます。
コンテンツマーケティングに大きな意味があるケース
衝動買いされにくい商品・サービスの販売
コンテンツマーケティングがどのような場面でも高い効果を発揮すれば良いですが、必ずしもそうはなりません。コンテンツマーケティングに大きな意味があるケースとそうではないケースがあります。
コンテンツマーケティングに大きな意味があるケースの1つが、衝動買いされにくい商品やサービスを販売するケースです。一般に高価な商品やサービスは衝動買いされにくいと言えるでしょう。高額であればあるほど、購入には慎重になるものです。また、購入するにはいろいろと調べる必要があるタイプの商品やサービスも衝動買いとは縁遠いといえます。
残り僅かとなっており、次に市場に出てくる可能性が低い場合は別にして、衝動買いされにくい商品やサービスが購入に至るまでには、じっくりと検討したり、競合商品が存在する場合は比較をしたりといった時間が必要です。したがって、商品やサービスとの出会いから購入するまでに長い時間がかかることが少なくないといえます。
このことから、衝動買いされにくい商品やサービスは認知から購入、共有へと至るフェーズを進む商品やサービスだと考えることが可能です。したがって、見込み客に情報を発信し、フェーズに沿って育成することで販売につなげる手段として、コンテンツマーケティングが優れており、大きな意味があります。
数多くの商品・サービスを販売するケース
広告を打って販売につなげたいものの、販売したい商品やサービスが多数あるケースでは、広告を打てないことがあります。たとえば、広告を含めた販売促進にかけられる予算をオーバーしてしまうケースです。テレビコマーシャルや新聞・雑誌広告、リスティング広告などの広告を打てば売れると予測していても、予算の制約はどうにもできません。
マスメディアを使った広告は、個々に見ればそこまで大きな金額ではなかったとしても、全部まとめればかなりの金額になってしまいます。一部の商品やサービスのみ広告を打つにしても、全部の広告をやめるにしても、他のマーケティング手法を検討しなければなりません。そこでコンテンツマーケティングが大きな意味をもってきます。
コンテンツマーケティングは、低コストで見込み客を育てて販売につなげることが可能です。しかも、一般的な広告とは異なり、商品やサービスを直接的に訴求するのではなく、関連情報を中心に役立つコンテンツを提供することで、顧客が持つイメージを向上させることも期待でき、より一層の販売促進効果を望めます。
付加価値で販売したいケース
同業他社が展開している商品やサービスと、自社の商品やサービスに大きな違いがないというケースは珍しくありません。良いモノが出れば、各社が同様の商品やサービスを売り出すためです。
完全に同じではなかったとしても、基本的で重要となる部分が同じであれば、他の部分で差別化を図ろうとするものの、余計な機能などがプラスされても邪魔になるだけといったケースもあるでしょう。用途にもよりますが、デザインも機能性を考えれば大きく変わったものにはなりにくいといえます。価格は競争面から各社とも精いっぱいの努力を行うため、目立った差がつきにくいものです。そうなれば本体での差別化は難しいかもしれません。
そこで大きな意味をもってくるのがコンテンツマーケティングです。他社と大差ない情報を広告などで発信するアウトバウンドマーケティングと異なり、顧客にとって役に立つ価値あるコンテンツを投入できます。自社商品やサービスへの興味を引き出し、商品スペックとは別の疑問点を解決したり、一風変わった役に立つ使用法を示したりするなど、コンテンツが付加価値を生むことで、他社商品との差別化が可能となるケースです。
自社の軸となるプラットフォームを作りたいケース
自社の軸となる情報発信のためのプラットフォームを作りたいケースでも、コンテンツマーケティングが大きな意味をもちます。コンテンツマーケティングでは、自社が情報を発信するためのオウンドメディアの構築やSNSの公式アカウントの開設が必要です。そして、オウンドメディアやSNSを通じて発信するコンテンツは、時間やフェーズの進展とともに増え続けます。
価値あるコンテンツ群を抱えることと、役立つ情報に触れることができると顧客に認識されることで、オウンドメディアやSNSの公式アカウントが自社の軸となるプラットフォームへと成長する期待は大です。複数のオウンドメディアを運営している場合には、公式サイトとそれらのオウンドメディアを連携させるなど、より良いカタチを模索・追求できます。
コンテンツマーケティングに即効性は期待できない
アクセスアップが必要
コンテンツマーケティングの大前提として、即効性が期待できない点があります。数個あるフェーズを一歩一歩、目次に沿って進めるかのようなカタチで時間を要する手法で、中長期的に目的を達成するために実践されるのがコンテンツマーケティングであることから、即効性に対する期待はほとんどないと言えるでしょう。
しかし、やり方次第では即効性を出せるのではないかと思うかもしれません。ケースによっては早い段階で結果が出る事例があるかも知れませんが、それは偶然の結果、レアケースだと考えた方が良いでしょう。
まず、コンテンツマーケティングに即効性が期待できない理由を考えます。目的を明確化して、その目的達成のためにスタートするのがコンテンツマーケティングである以上、導入時、実践前には何も無い状態です。つまり、ゼロからスタートしてオウンドメディアを構築するなど、コンテンツの発信さえすぐにはできません。
立ち上げたばかりのオウンドメディアは世間に認知されておらず、検索結果の上位に表示されるためのSEO対策を開始します。キーワードの選定やツールの利用といった専門的なノウハウも必要です。
さまざまな仕掛けを施すことで、ようやく検索エンジンに認められればアクセスアップが可能となります。当然ながら、アップするコンテンツが優良なモノと認められなければ上位表示の見込みは少なく、仮にアクセスが増えたとしても、その先に進む可能性が高いとはいえません。アクセスを増やし始めた時点では効果が期待できる段階には遠く、コンテンツマーケティングとしては入口から少し入っただけだと言えるでしょう。
コンテンツの積み上げが必要
コンテンツはフェーズごとに公開し、着実に積み上げていく必要があります。最初だけ優良なコンテンツをアップしたとしても、そこで終わってしまえば訪問者にとってはリピーターになる理由がありません。僅かなコンテンツしかなく、目新しい情報がないメディアのままなら、アクセスも集まらなくなるでしょう。優良なコンテンツが着実に積み上げられることで、訪問者が再訪問する動機づけになりやすく、流入するアクセスのさらなる増加が見込めます。
コンテンツマーケティングの目的を達成するためには、見込み客の育成であれブランディングであれ、大量のアクセス獲得が必要であることは間違いないでしょう。どんなに優良なコンテンツを揃えていたとしても、訪問者がすべて良い方向へと進むわけではありません。寧ろ、訪問者全体から見れば極一部の顧客だけが、フェーズを進んでいくと考えた方が良いくらいです。
だからこそ、1人でも多くのアクセスを呼び込むために、優良なコンテンツの積み上げが必要といえます。そのためには時間が必要で、即効性とは相反する仕組みです。
コンテンツをアップする間隔と、コンテンツの出来具合のバランスには注意しましょう。少しくらい間隔が長くなっても、より良いコンテンツを作りたい考えと、完全な仕上がりとはいえないものの、短めの間隔でコンテンツを積み上げたい考えがあります。
結局は考え方によったり程度問題となったりしますが、コンテンツについて前提としてあるのは初手から完璧を望まないし望めないとする考えです。だからこそ、検証と改善が行われます。したがって、コンテンツの仕上がりに満足できない部分が若干あったとしても、そこは検証と改善に委ねるとして、積み上げを選択する手もアリでしょう。
コストから見たコンテンツマーケティングとその意味
低コストで実施できる
先に触れたように、コンテンツマーケティングはアウトバウンドマーケティングの広告などと比較した場合、かなりの低予算で実践できるマーケティング手法です。マーケティングに使える予算が少ないときでも、予算なりに進められる点が大きなメリットであり、おすすめポイントとなります。
ただし、コンテンツマーケティングを低予算で行うためには一定の制約があると考えるべきです。まず、ほとんどの作業で内製が前提となります。外注する場合は内容にもよりますが、6桁や7桁の金額がかかってしまうことが珍しくありません。初期の構築だけでなく、毎月の運用まで外注するとなれば、かなりの予算が必要です。必然的に低予算のコンテンツマーケティングでは内製が主流となります。
もっとも、どこまでを低予算と呼ぶかの線引きは企業によって、目的によって異なるでしょう。したがって、必ず同じ作業が内製となるわけではありません。あくまでも当該コンテンツマーケティングに対する予算内で実践するためには、内製しなければならない部分が多いという話です。
また、テキスト主体のコンテンツである記事をメインとするコンテンツマーケティングの場合は、記事の制作だけを外注することで全体のコストを抑えることもできます。内製であっても株式会社など営利企業の社員が動けば人件費がかかっているため、外注費が人件費と比べてそこまで大きくなければ外注の選択もアリです。
記事の料金設定は1文字あたり何円とするものと、1記事あたり何文字で何円とするものがあります。文字単価は業者や記事の専門性などによってマチマチですが、1文字数円程度で発注可能なサービスが少なくありません。仮に1文字3円で3,000文字の記事を外注した場合、9,000円の費用が発生します。単純比較で、同じ記事を時間あたり人件費が3,000円の社員が3時間かけて書いた場合にかかる費用と同じです。
次に、制作できるコンテンツにも限界があります。社員が書いたテキスト主体のコンテンツと、CGや現地撮影映像を駆使した動画コンテンツでは、機材やソフトウェア、その他の経費がかかる分、動画コンテンツの費用負担の方が大きくなることは言うまでもありません。ただし、同じ社員が同じだけ時間をかけたとすれば、テキストも動画も人件費の部分は同じです。
ちなみに、コンテンツマーケティングの実践で使用するコンテンツは、必ずしも新作である必要はありません。過去の資産と呼べるコンテンツを活用すれば、より低予算での実践につながります。
規模と内容次第では高額になる
コンテンツマーケティングは低コストでの実践が可能であると同時に、予算をかけようと思ったらかなりの高額予算を計上することができるマーケティング手法です。先に少し述べたように、外注を選択すれば数百万円という金額がかかるケースもあります。また、同時期に複数のコンテンツマーケティングを実践すれば、それぞれに予算が必要です。全社で実践するコンテンツマーケティングの規模が大きく、すべてが外注だとすれば、合計ではかなりの高額になるでしょう。
さらに、高画質の動画で編集を駆使した作品と呼べるレベルのコンテンツを外注し、各フェーズで作り続けるとすれば、金額が跳ね上がるでしょう。内容にもよりますが、分単位の尺で制作される動画コンテンツの外注費は安くても1本で6桁以上かかると考えられます。
企画から撮影、編集といった工程があり、内容や現場によっては大勢のスタッフが必要となるのが動画撮影です。社員がスマートフォンを片手に映える短時間動画を撮影するようなケースとは異なります。頻繁に動画コンテンツをアップし、運用もすべて任せるとすれば、いったいどのくらいの予算が必要になるか見当がつかない状況になるかもしれません。
予算さえ折り合えば、プロのスタッフが何人も関わって本格的に制作した動画コンテンツを使ったコンテンツマーケティングの実践でライバルに差をつけようと考えることも可能です。
コンテンツ制作の差が大きい
コンテンツマーケティングでは、先に述べた記事と動画コンテンツのように、コンテンツの種類によりコストに大きな差があります。また、スマホで撮影した動画とプロ集団によって制作された本格的動画コンテンツの差の例でわかるように、同じ種類のコンテンツでも内容によってコストが大きく変わる点も頭に置いておきましょう。
外注先の選択によってコストが変わる
コンテンツマーケティングを外注する場合、どの部分を外注するかだけでなく、外注先をどこにするかによってもコストが変わります。なぜ、外注先によってコストが変わるのかと言えば、コンテンツマーケティングの支援を行っている業者は、自由競争下でそれぞれの判断により価格設定をしているためです。同じような内容の依頼を行ったとしても、料金に大きな差が生まれることは珍しくありません。
また、作業やコンテンツに相場と呼ばれる料金の幅はあるものの、その範囲から外れた料金設定をしている業者がいても不思議ではありません。相場はあくまでも目安となる参考値であり、実際の費用は個別に確認する必要があります。
ここで注意したいのは、単純に料金の金額だけで外注先を選んではいけない点です。その料金と仕事内容が釣り合っているかが重要で、見積もりの際には疑問点や関連する実績などを確認しましょう。
資産としてのコンテンツ
オウンドメディアなどに積み上げたコンテンツは、削除しない限り蓄積された自社の資産となります。自社で制作したコンテンツを広告として流すといったケースは別にして、一般的な広告であれば料金を支払ってもコンテンツとして残るわけではなく、掲載終了とともに価値も消えてしまうところです。
しかし、コンテンツマーケティングではコンテンツ群という資産を長く使うことができます。優良なコンテンツは時間が経過しても継続的に集客力をもっており、制作に多少の費用がかかったとしても、長い目では低コストになるといえる点が魅力の1つです。
タイムリーなコストのかけ方ができる
コンテンツマーケティングではフェーズに応じたタイミングでコンテンツを制作しアップすることが可能です。つまり、前のフェーズが終わるまでにコンテンツを作れば良いことになります。次のフェーズに入るまでの時間が長ければ、制作コストをかけない時間を長くすることが可能です。つまり、タイムリーなコストのかけ方が可能である点が、コンテンツマーケティングの特徴の1つだといえます。
コンテンツマーケティングは自社なりの意味を見出すことから始まる
コンテンツマーケティングには一般的に考えられている意味があります。見込み客を育てて販売につなげたり、ブランディングしたりといった目的の達成を目指して実践されるのがコンテンツマーケティングの意味です。とはいえ、その具体的な中身は企業によってさまざまあります。
成功事例を参考にしつつ、自社にとってのメリットの程度や費用対効果的な側面も含めて、自社なりの意味を見つけることから始めましょう。