【完全版】コンテンツマーケティングの手順を徹底解説

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顧客が能動的に情報の取捨選択をする現代において、コンテンツマーケティングは重要な施策となっています。コンテンツマーケティングを上手く実施すれば、複数の経営課題を解決することも可能です。

しかし、コンテンツマーケティングの実施を検討しているものの、始める手順が分からないと悩む企業担当者は少なくありません。適切な手順で実施しなければ、期待した成果にはつながらないのです。

本記事では、コンテンツマーケティングで成果を出せるように、その手順を解説します。

コンテンツマーケティングについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

【関連記事】【2023年版】コンテンツマーケティング完全ガイド

コンテンツマーケティングとは、記事や動画などのコンテンツを通してユーザーに価値ある情報を提供し、認知度や売り上げの向上などを目指す施策です。多くの企業が取り組んでおり、今や定番のマーケティング手法ですが、実践手順やポイントなどがわからない方もいらっしゃるかもしれません。本 記事では、コンテンツマーケティングの基礎知識やポイント、成功事例を解説します。

コンテンツマーケティング=オウンドメディアではない

コンテンツの種類

コンテンツマーケティング=オウンドメディアやSEO対策をイメージする方は多いのではないでしょうか。実はコンテンツマーケティングの種類は多々あります。

そもそもコンテンツとは、直訳すれば「中身」や「内容」を表し、コンテンツマーケティングにおいては「情報の中身・内容」を意味します。つまり、顧客に有益であり、自社の成長につながる情報は全てコンテンツなのです。例えば、オンラインのブログ記事やSNS、メルマガ、ウェビナ-、店舗に設置するパンフレットもコンテンツに該当します。

コンテンツマーケティングにおけるコンテンツの種類は多々ありますが、大きく以下の3つに分類できます。

  • ・ペイドメディア
  • ・オウンドメディア
  • ・アーンドメディア

ここからは、3つのメディアの種類について解説します。

ペイドメディア

ペイドメディアとは、リスティング/ディスプレイ広告やSNS広告のように、費用を支払って自社製品の広告をするメディアのことです。ペイドメディア=広告/CMと考えると分かりやすいでしょう。

ペイドメディアの中でも、Web広告は大きな注目を集めています。2021年のWeb広告費用は2兆7,052億円(※1)であり、マスコミ四媒体広告費の2兆4,538億円を上回っているのです。Web広告が注目を集めている理由は、取り組みやすさと効果の即効性にあります。

多くのWeb広告は、クリックやアプリのダウンロードなどが発生した時に費用がかかる成果報酬型です。さらに、少額出稿できるため、企業規模を問わず人気のメディアになっています。

Web広告がアプローチできるのは、課題や悩みの解決法を探している顕在層です。顕在層はコンバージョンにつながりやすいため、早い段階での成果に期待できます。一方で、広告を出稿する限り費用が生じるため、長期的に見れば大きな費用となるかもしれません。

また、デジタルプライバシー保護の観点から、サードパーティクッキー廃止の流れが加速化しており、十分なファーストパーティデータを蓄積していなければ、成果を出すのは難しい懸念があります。

※1 出典:【dentsu】2021年 日本の広告費
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2022/0224-010496.html#:~:text=%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E5%BA%83%E5%91%8A%E8%B2%BB%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E3%81%AF,%25%EF%BC%89%E3%82%92%E5%88%9D%E3%82%81%E3%81%A6%E4%B8%8A%E5%9B%9E%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82

オウンドメディア

オウンドメディアとは、企業が保有するメディアのことであり、WebサイトやSNSの自社アカウント、ニュースレターなどが該当します。オウンドメディアの役割は、見込み客との接点構築や信頼関係と購買意欲の醸成など様々です。

例えば、自社サイトでSEO対策をすれば、自社と関連する潜在顧客との接点の構築や購買意欲の醸成ができるでしょう。ニュースレターは、顧客との関係性の維持やアップセル/クロスセルに貢献できます。

どのチャネルを選ぶとしても、顧客の声に耳を傾け、顧客が求める情報を提供しなければいけません。オウンドメディアは顧客とのコミュニケーションの場、このことを意識しなければ成功は困難です。

オウンドメディアは、情報の資産性が高く、発信する情報のコントロールがしやすい一方、成果が出るまでには時間がかかるデメリットがあります。株式会社ベーシックがBtoB企業のマーケティング担当者142名を対象に実施したオウンドメディアに関する調査(※2)では、半数近くが成果を実感するまでに1年以上かかったと回答しています。

また、過去にオウンドメディアの運営をしていた企業の46.2%が1年以内にオウンドメディア運営を停止していることから、成果が出ないことが運営停止の要因になると考えられます。オウンドメディア運営の際は、長期的に取り組める体制を構築する必要があるでしょう。

※2 出典:【株式会社ベーシック】BtoBマーケティング担当者の6割がオウンドメディアに対して前向き、3割が開始から1年で成果を実感したと回答〜BtoBマーケティング担当者を対象にオウンドメディアについてアンケートを実施〜
https://basicinc.jp/pr/20191212

アーンドメディア

アーンドメディアとは、SNSや評価サイトなどにおける口コミのことです。現在のマーケティング活用においては、UGC(User Generated Content:一般ユーザーによって作られたコンテンツ)が重要と言われています。

その背景として、現代人が触れる情報量が爆発的に増加したことで、消費者が企業発信の情報を信頼しなくなったことが挙げられます。家族や友人、リアルなユーザーが発信する口コミなどのUGCは、信頼性が高く、消費者の購買行動を後押ししているのです。

実際に、Amazonや楽天で製品購入をする前は、製品に関する口コミを見る方は多いのではないでしょうか。このように、アーンドメディアは購買意欲の醸成や高い拡散性に期待できる一方、ネガティブな口コミが広まる懸念もあります。

STEP1:まずはコンテンツマーケティングの役割を知る

コンテンツマーケティングのイメージ

コンテンツマーケティングにおけるコンテンツの種類を理解したところで、最適な目標設定や効果的な施策推進ができるように、まずはコンテンツマーケティングの役割をチェックしましょう。

コンテンツマーケティングの役割を一言で述べるならば、有益なコンテンツを作成・配信することで、具体的なターゲットとの接点を構築し、購買や問い合わせなどの企業成長につながる行動をしてもらう、さらにはブランドのファンになってもらうことです。

それではコンテンツマーケティングの役割を具体化してみましょう。

  • ・認知/集客
  • ・購買意欲の醸成/信頼関係の構築
  • ・リピート/口コミ

以下では、それぞれの役割の詳細と3つの顧客ニーズについて解説します。

認知/集客

コンテンツマーケティングは、新規顧客や潜在顧客との接点構築に貢献します。例えば、SEO対策をすれば、自社製品で解決できる課題や悩みを抱えている多くの潜在顧客にアプローチできます。その他にも、Web広告やSNS、ウェビナーなど様々なチャネルが認知/集客に貢献します。

コンテンツマーケティングが認知/集客に貢献する理由としては、コンテンツマーケティングは顧客が求める情報を提供する性質があるためです。従来のマーケティング手法は、「アウトバウンド」と呼ばれる企業が発信したい情報を顧客に見せるという、顧客の都合を考えていない少し強引なやり方でした。

しかし、企業による広告宣伝の増加およびスマートフォンの普及で顧客が情報の取捨選択ができるようになったことで、アウトバウンドマーケティングに限界が生じます。

このような背景で広がりを見せたのが、顧客に有益な情報を提供して、顧客に見つけてもらい、選んでもらう「インバウンドマーケティング」であり、コンテンツマーケティングはインバウンドマーケティングの代表的な手法です。

株式会社グリーゼによるBtoB製品購入プロセスの実態調査(※3)によると、製品やサービスの購入検討者の66%が情報収集に「企業サイト」を活用していると判明しています。この調査からも、Webサイトが集客における大きな役割を果たしていると分かるでしょう。

※3 出典:【株式会社グリーゼ】82%の顧客が、商談時には、製品やサービスの絞り込みを終えている- BtoB製品購入プロセスの実態調査 -
https://www.value-press.com/pressrelease/273102

購買意欲の醸成/信頼関係の構築

テクノロジーや技術が発展した現代、商品の機能で競合と差異をつけるのは困難になっています。例えば、かつては画期的な製品だったスマートフォンも、今では多くの企業が販売する当たり前の製品となっています。機能で差異化されにくい時代において、顧客が購入要因としているものは何でしょうか。それがブランドに対する信頼です。

エデルマン・ジャパン株式会社が世界8か国、16,000人を対象に実施した消費者意識調査(※4)によると、国内消費者の70%が「ブランドが正しい行いをしていると信じられること」と回答しており、消費者は信頼するブランドを選んでいると分かります。

また同調査では、製品体験と顧客体験が信頼の醸成に重要な役割を果たしているとも判明しています。コンテンツマーケティングは、顧客体験を通じた信頼の醸成に貢献します。例えば、オウンドメディアで顧客の課題や悩みを解決し続ければ、いずれ顧客は「この企業は信頼できそうだ」と考え、製品購入や問い合わせなどをしてくれるでしょう。

コンテンツマーケティングとは「顧客とのコミュニケーション」だからこそ、信頼関係の構築ならびに購買意欲の醸成に期待できます。

※4 出典:【@Press】消費者はブランドに対する信頼に基づいて購買を決定している  その反面で、ブランドを信頼しているのは3人にひとり~「ブランドは信頼に値するのか」エデルマン、日本の調査結果発表~
https://www.atpress.ne.jp/news/195227

リピート/口コミ

新顧客の創出が困難になり、SaaSビジネスやワン・トゥ・ワンマーケティングが普及した現代では、顧客が取引開始から終了までに企業にもたらす利益を示す指標LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)の重要性が増しています。

LTVを高める方法は、アップセル/クロスセルや購買頻度を増やす、長期にわたって製品を利用してもらうなどが挙げられます。例えば、定期的に顧客に製品に関するお得な情報や関連製品の提案などをニュースレターで伝えれば、クロスセルや関係性の維持などにつながるでしょう。

また、コンテンツマーケティングで顧客にファンになってもらうと、ファンによる口コミやレビューUGCの創出に期待できます。

潜在ニーズ/顕在ニーズとは

コンテンツマーケティングの実施前に、顧客ニーズの種類を抑えておく必要があります。よく知られているニーズが、顧客自身が欲しいものや課題を自覚している状態の顕在ニーズでしょう。顕在層はコンバージョンにつながりやすいため、成果に直結しやすいです。

顕在層とセットで語られるのが、顧客は自覚していないながらも、ぼんやりと欲求や課題を抱えている状態の潜在層です。潜在層はコンバージョンに直結する確立こそ低いですが、多くの集客効果に期待できます。

潜在層と顕在層の違いは、リスティング広告とディスプレイ広告を見れば分かりやすいです。リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索画面にユーザーの検索ワードに応じて配信される広告です。

Google検索をするユーザーは、欲求や解決したい課題を自覚しているため、リスティング広告では顕在層にアプローチできます。また、顕在層にアプローチできるため、リスティング広告はコンバージョン率が比較的高く、多くの企業に利用されているのです。

一方、ディスプレイ広告とは、YouTubeやYahoo!ニュースなどの提携サイトの広告枠に配信する広告を示します。ディスプレイ広告では、検索ワードではなく、ユーザー属性や行動などをもとに広告配信されるため、自社に興味がありそうながらも未認知の潜在顧客にアプローチが可能です。

コンテンツマーケティングは様々なチャネルで実施できるからこそ、潜在層と顕在層のどちらにアプローチしたいのかを明確にし、最適なチャネルで施策を推進しなければいけません。

STEP2:目標設定

Googleアナリティクスの画面

コンテンツマーケティングを実施する目標は何でしょうか。多くの企業が実施しているトレンドの施策だから、という理由でコンテンツマーケティングを実施しても、成果にはつながりません。

まずは経営課題や経営戦略を理解し、コンテンツマーケティングがどのように経営課題の解決に貢献できるか明確にしましょう。以下では、コンテンツマーケティングの目標とKPI設定ができるように、オウンドメディアの目的とKPI設定ポイントを解説します。

コンテンツマーケティングの目的

コンテンツマーケティングの目的を細かく分類すると以下の通りです。

  • ・認知
  • ・コンバージョン
  • ・商談化
  • ・受注
  • ・継続

上(認知)に行くほど受注から離れ、下(継続)に行くほど受注に近くなります。コンテンツマーケティング実施の目的を決める際は、経営課題や経営戦略から逆算し、コンテンツマーケティングの貢献部分を明確にし、どの部分からコンテンツを作るのか決めましょう。

例えば、コロナ渦をきっかけにデジタルマーケティングに注力したものの、大手競合の参入により見込み客の獲得が困難になっているのが課題と仮定します。この場合、「業界1位・2位になる」ことを目的に、コンテンツマーケティングで認知度向上に注力し、自社ブランドの想起を目指す施策が考えられます。具体的には、オウンドメディアやSNS、セミナーなどで良質な情報発信をするといいかもしれません。

コンテンツマーケティングで注力すべき箇所が分からない場合は、比較的早めに成果が出て、社内の理解も得やすい受注に近い個所から取り組むのがおすすめです。また、目的を設定した段階で経営陣のコミットメントを得るようにしましょう。

最適なKPIはフェーズによって異なる</3>

コンテンツマーケティングの目標が決まれば、目的達成の度合いを測るKPIを設定します。コンテンツマーケティングでは、フェーズによってKPIを変えましょう。

例えば、オウンドメディア立ち上げから半年ほどは、安定した流入は見込めません。この運用初期段階で、コンバージョン数をKPIに設定しても、成果にはつながらないでしょう。その理由は、コンバージョンに変換する十分な数の流入を得られないからです。オウンドメディアの運用初期段階では、ページセッション数や作成コンテンツ数などをKPIにするのが賢明です。

全体目標を因数分解し、各フェーズ別におけるKPIを設定しましょう。メンバーにKPIを意識してもらい、効果的な施策を推進するためには、KPIは3〜5個程度にとどめるようにしましょう。また、コンテンツマーケティングの運営が計画通りに進む可能性は低いため、KPIを柔軟に変更するマインドも必要です。

STEP3:メンバー編成

チームワークのイメージ

目標とKPI設定をしたら、コンテンツマーケティングのチーム編成をします。どのチャネルでコンテンツマーケティングを推進するかにもよりますが、コンテンツマーケティングは数年、短くとも1年以上続く長期施策となるのが一般的です。適切なメンバー編成をすることで、モチベーションを下げることなく、長期的に施策に取り組めるようになります。

メンバー編成のポイントは2つです。まずは意思決定者をチームに入れることです。意思決定者を入れることで、社内からの理解や協力を得られやすくなるだけではなく、迅速な意思決定も可能になります。

コンテンツマーケティングでは、迅速にPDCAを回すことが重要です。しかし、チーム内に意思決定者がいない場合、許可・確認作業が入るため、スピーディーな施策の展開は難しくなります。

2つめのポイントが部門横断型のチーム編成を目指すことです。コンテンツマーケティングのチームは、マーケティング部の人間だけで構成されるのが一般的でしょう。しかし、コンテンツマーケティング成功のカギは深い顧客理解にあり、マーケティングは顧客と直接コミュニケーションを取る機会が少ないです。チーム全体の顧客理解が浅ければ、顧客の悩みの特定およびそれを解決できるコンテンツの企画が難しくなります。

そこでおすすめしたいのが、営業やインサイドセールス、カスタマーサクセスなどの顧客と直接コミュニケーションをとる部門に協力してもらうことです。例えば、他部門には定例会議に参加してもらい、実際の施策はマーケティング部が推進するなどの形式なら協力を得られやすいのではないでしょうか。

顧客理解が深い人材が入ることで、チーム全体の顧客理解が深まり、良質なコンテンツ作成の基礎が整います。

STEP4:ペルソナとカスタマージャーニーの作成

オフィスでのミーティング

スティーブ・ジョブズ氏は天才的なマーケターとして知られています。ジョブズ氏は、かつてこう言いました。

「顧客はあなたの会社や製品について気にしない。顧客が気にするのは、彼ら自身のこと、彼らの夢、彼らのゴールについてだ」

この言葉は、Webマーケティングに携わる者なら、常に意識しておくべき言葉でしょう。コンテンツマーケティングでは、自社が発信したい情報を発信しても、顧客は気にかけてくれません。

顧客の課題や悩みを解決できる情報、顧客の目標達成を手助けする情報をコンテンツを通して提供する必要があるのです。

そのためには、まずは顧客の課題や目標、潜在的なニーズを把握しなければいけません。顧客理解を深めるのに役立つのが、ペルソナとカスタマージャーニーです。以下では、ペルソナとカスタマージャーニーの重要性と作成方法について解説します。

ペルソナ作成手順

ペルソナとは、自社製品を利用する理想的な顧客像のことです。ペルソナは主に以下の情報で構成されます。

【デモグラフィック】
・年齢
・性別
・収入
・家族構成
・職業

【サイコグラフィック】
・行動
・価値観
・情報収集方法
・課題や悩み

デモグラフィックとサイコグラフィックを設定し、一人の顧客を想起できるまで具体的なペルソナを設定しましょう。

ペルソナ作成で重要なのは、ペルソナの抱える課題や悩みであり、課題を把握するためにはユーザーインタビューやアンケート調査などを実施し、一次情報の収集と分析が欠かせません。

担当者のイメージやブレインストーミングのみで作成したペルソナは、実在しない顧客であり、施策の混乱の原因となります。しかし、個人情報保護の観点が高まっていることもあり、十分な一次情報を保有している企業は少ないでしょう。

一次情報の収集が難しければ、導入事例やSNS/レビューサイトの口コミ、問い合わせ内容の確認、商談への同席などがおすすめです。

また、顧客と直接コミュニケーションをとる営業やカスタマーサクセスなどに所属するメンバーにヒアリングをするのも、良質な情報を得るのに有効でしょう。徹底的なリサーチで十分な量の顧客情報を集めたら、ペルソナに当てはめていきます。

ペルソナを作成したら、チームや施策と関連する部署と共有をしましょう。ペルソナ作成の目的は、顧客理解を深めるだけではなく、関連メンバー全員の顧客像に対する認識をそろえることです。なお、時間とともに市場や顧客情報は変化するため、定期的にペルソナはアップデートするようにしましょう。

カスタマージャーニー作成手順

カスタマージャーニーとは、顧客の製品認知から購買・契約までのプロセスをまとめたものです。ペルソナとのタッチポイントを洗い出し、各タッチポイントにおけるペルソナの行動や感情を可視化することで、最適な場所とタイミングでコンテンツを提供できるようになります。

現代の顧客は、様々なタッチポイントを横断し、情報収集と製品購入の意思決定をしていることに加えて、アドテクノロジーやMA(マーケティングオートメーション)ツールなどの発展によりパーソナライズ化した顧客体験が提供できるようになったため、カスタマージャーニーの重要性は増しています。

先のステップでペルソナは作成したので、まずは問い合わせや購入などのカスタマージャーニーのゴールを設定しましょう。

ゴールを設定したら、フレームワークに必要な情報を書き込んでいきます。一般的には、下記表のような横軸に購買プロセス、縦軸に行動やタッチポイントなどをまとめたフレームワークが利用されます。

  認知 興味関心 比較検討 購買
課題
タッチポイント
行動
思考・感情
施策

あとはフレームワークに沿って、ペルソナ作成段階で集めた情報をマッピングするだけです。まずはワークショップ形式でラフに情報をマッピングしましょう。また、営業やカスタマーサクセス、経営層などの他部門のメンバーに参加してもらうことで、より生産的なワークショップとなります。

ラフなマッピングを終えたら、情報の整理をします。不要な情報は削除し、情報の質を高めましょう。最後に顧客行動が一連のストーリーとなるように整えたら、カスタマージャーニーマップの完成です。

カスタマージャーニーマップもまた、関連部署と共有をし、定期的にアップデートするようにしましょう。

STEP5:市場における自社と競合の状況を把握

チャートを見る男性

競合と自社のポジションを把握すれば、自社の弱みやチャンスのあるチャネル・施策が判明します。例えば、Web広告へ参入している競合数が多い場合、自社が新たに入り込むチャンスは少ないかもしれません。

コンテンツマーケティングを推進する最適なチャネルを特定するためにも、自社状況の把握と競合分析はしておきましょう。以下では、競合分析に使えるフレームワークを紹介します。

3C分析

3C分析の3Cとは、「Customer(顧客・市場)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」のことです。3C分析では、市場・競合・自社の3つの視点で分析することで、自社の強みや弱みを可視化し、注力するべき事業領域の発見を目指します。

3C分析を実施するうえで重要なポイントは、市場・顧客を軸にすることです。自社を軸にしてしまうと、3C分析の強みである客観的な分析が困難になります。客観性の高い分析結果を得るためにも、市場・顧客、競合、自社の順に分析をしましょう。

具体的な分析手順をご紹介します。市場・顧客分析では、市場の状態や顧客のデモグラフィック情報、顧客の価値観やニーズを分析します。競合分析では、競合の市場規模や施策、アプローチしているターゲット、弱みや強みなどを把握します。丁寧に競合分析を行って、自社の強みや差異化となるポイントを発見しましょう。

最後に行うのが自社分析です。自社分析では、経営理念や実施している施策、リソース、強みと弱みなどを明確にします。コンテンツマーケティングでは、ターゲットに自社の価値を届ける必要があるため、自社理解は欠かせません。自社の製品や提供価値を言語化できる人は意外と少ないため、丁寧に自社分析をし、理解を深めましょう。

3C分析で考えるべき内容を下記表にまとめたので、ぜひ参考にしてください。

市場・顧客 競合 自社

  • ・市場規模
  • ・顧客属性
  • ・顧客の価値観
  • ・顧客ニーズやインサイト ・競合企業名
  • ・製品とサービス
  • ・企業規模
  • ・シェア
  • ・強みと弱み
  • ・施策 ・経営理念
  • ・客観的な自社評価
  • ・施策
  • ・強みと弱み
  • ・競合との差異化ポイント

SWOT分析

3C分析と共に定番のフレームワークがSWOT分析です。SWOT分析とは、自社の「Strengths(強み)」「Weaknesses(弱み)」「Opportunities(機会)」「Threats(脅威)」を分析し、戦略の構築と評価をすることを目標にしています。

外部環境と内部環境を客観的に分析できるため、戦略の立案やビジネスチャンスがある分野の特定、課題の把握などが可能です。

SWOT分析では、強み・弱み・機会・脅威をもれなく洗い出さなければいけません。そのため、様々な部門や経営陣にもワークショップに参加してもらうのが望ましいです。SWOT分析は項目を埋めて終わりではありません。各項目を埋めたら、現状の把握と分析をし、各項目を掛け合わせて(例:強み×機会)戦略立案に活かします。

サイト分析

マーケティングのフレームワークではないのですが、競合のWebサイト分析はコンテンツマーケティングの施策立案に役立ちます。Webサイトでは、メインメッセージや製品・サービスの特徴、主なコンテンツ、CTAなどを確認し、エクセルやスプレッドシートなどにまとめましょう。

また、競合のWebサイトやSNSなどを確認することで、セミナーや無料トライアル、Web広告など競合が取り組んでいる施策の確認ができます。競合の施策は、下記表のように顕在層や潜在層などのオーディエンス別にまとめるのがおすすめです。

 

市場・顧客 競合 自社
・市場規模

・顧客属性

・顧客の価値観

・顧客ニーズやインサイト

・競合企業名

・製品とサービス

・企業規模

・シェア

・強みと弱み

・施策

・経営理念

・客観的な自社評価

・施策

・強みと弱み

・競合との差異化ポイント

表にまとめて競合の施策を可視化することによって、コンテンツマーケティングで注力すべき分野が判明します。例えば、競合が顕在層向けの施策に注力している一方、明確層に対する競争が少ない場合は、自社は明確層の施策に集中するといいでしょう。

また、オウンドメディアの競争が激しくとも、アクセス分析をしてみればSEOで上位表示できる余地が十分にある可能性も考えられます。競合のWebサイトやSNSを丁寧に分析し、自社が注力すべき施策を特定しましょう。

▼コンテンツマーケティングにおけるフレームワークについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。

脳の回路

【関連記事】コンテンツマーケティングのフレームワーク17選! 戦略設計や分析・改善の方法を解説

コンテンツマーケティングで効率的に成果を得るためには、フレームワークの活用が大事です。本記事では、コンテンツマーケティングに活用できるフレームワーク17選を、分析・思考整理・顧客行動改善・運用改善の各分野別に解説します。

STEP6:最適なチャネルの選定

オンラインマーケティングについて記されたタブレット

コンテンツマーケティングと一口に言っても、コンテンツの種類はブログ記事やSNS、ニュースレター、オフラインのイベントなど多岐にわたります。各コンテンツによって、アプローチできるターゲット層は異なるため、しっかりと特徴を理解して最適なチャネルを選定しなければいけません。

以下では、主なコンテンツ種類の特徴を解説します。

ブログ記事

コンテンツマーケティングにおけるブログ記事とは、顧客に有益な情報を記事形式で提供し、ビジネスに利益をもたらすものです。「ビジネスに利益をもたらす」という点が重要であり、これが一般的なブログ記事と異なります。

ビジネスに利益をもたらすためには、自社製品と関連性のあるトピックで記事制作をしなければいけません。例えば、SNSマーケティング支援企業が肌トラブルに関する記事執筆をしても、リードの獲得にはつながらないでしょう。

SNSマーケティング支援企業なら、Facebook広告やInstagramマーケティング、TikTokマーケティングなどをトピックにブログ記事を制作するべきです。

一般的に、企業によるブログ記事運営はSEO対策目的で実施されます。SEO対策とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果画面に記事を上位表示させることを目的にした施策です。

SEO対策で記事の上位表示に成功すれば、課題や悩みの解決方法を探す多くの顕在層にアプローチでき、問い合わせや売り上げの増加などを見込めます。また、ブログ記事の発信は、比較的安価で行えるのも魅力です。

SEO対策のほかにも、採用やブランディング目的にブログ記事の制作をしている企業は多くあります。

SNS

株式会社Faber Company実施の「マーケ担当のSNS活用実態調査」(※5)によれば、回答企業の7割以上がSNSをマーケティングに活用していると分かっています。今やSNSは消費者の生活には欠かせない重要なプラットフォームであり、企業にとっては多くの潜在顧客にアプローチできる重要なタッチポイントなのです。

また同調査では、マーケティング活用で利用されているSNS一覧も判明しました。

  • ・YouTube:26.7%
  • ・Twitter:25.6%
  • ・LINE:23.4%
  • ・Instagram:23.4%
  • ・Facebook:21.7%

YouTubeは2020年9月の時点で、国内の月間利用者数6,500万人(※6)を超えており、企業にとっては無視できない動画プラットフォームです。自社チャンネルを開設するのはもちろん、YouTubeに広告を出稿することもできます。

コンテンツマーケティングでSNSを活用する際は、各SNSの特徴を理解したうえで、自社に適したプラットフォームを選ぶことです。BtoBや無形商材を扱う企業が、ビジュアル重視のInstagramで成果を出すのは難しいでしょう。

人気のあるSNSではなく、自社と相性の良いSNSを選ぶことがポイントです。

※5 出典:【PR Times】7割以上の企業がSNSをマーケに活用、最も活用されているのは「Youtube」~ミエルカコネクト、企業のSNS活用実態を調査【マーケ担当者465名調査】~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000075.000031263.html
※6 出典:【Think with Google】月間6,500万ユーザーを超えたYouTube、2020年の国内利用実態──テレビでの利用も2倍に
https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/marketing-strategies/video/youtube-recap2020-2/

ニュースレター

SNSやチャットツールが普及した現代でも、Eメールは重要なタッチポイントです。株式会社ITコミュニケーションズとB2Bマーケティング株式会社の共同調査「BtoB企業におけるeメールマーケティングに関する実態調査」(※7)では、77.7%の企業がEメール施策が重要であると回答しています。

ニュースレター/メールマガジンの主な目的は、顧客や見込み客との関係性の維持・強化です。ニュースレターに登録している顧客は、企業に対して大きな興味関心を抱いていると言えるでしょう。

確度の高い顧客でも、適切なコミュニケーションを取らなければ、競合に流れてしまいます。顧客にとって最適なタイミングで、最適なコンテンツをニュースレターで届けられれば、リードナーチャリング(顧客の購買意欲を高めること)やアップセル/クロスセル、LTVの向上などに期待できます。

※7 出典:【株式会社ITコミュニケーションズ】共同調査「BtoB企業におけるeメールマーケティングに関する実態調査レポート2020」
https://www.it-comm.co.jp/media/202002041235.html

ホワイトペーパー

ホワイトペーパーとは、特定のトピックに関する調査やノウハウなどをコンテンツ形式でまとめた資料です。ホワイトペーパーの主な役割は、見込み客のリスト作りです。顧客がホワイトペーパーをダウンロードするまでの流れは、下記の通りになります。

  1. 1.SEO記事やWeb広告で集客
  2. 2.コンテンツを読んだ顧客が自社に興味を持つ
  3. 3.フォームに入力して、ホワイトペーパーをダウンロード

顧客は無料でホワイトペーパーをダウンロードでき、企業は顧客の名前や連絡先などを獲得できるのです。あくまでもリスト作りが目的のため、ホワイトペーパーから直接商談につながる可能性は低いでしょう。

ホワイトペーパー単体に注力するのではなく、メールマーケティングやインサイドセールスなどのリードナーチャリングに有効な施策と組み合わせて、商談化を目指すのがおすすめです。

ホワイトペーパー制作のポイントは、妥協することなく質の高いコンテンツ作りにあります。ブログ記事よりも内容が充実しているのは当然で、業界のオピニオンリーダーの地位を築くつもりでホワイトペーパーを作成しましょう。

事例集

事例集とは、自社製品を活用した顧客の成功体験をコンテンツ化したものです。一般的には、インタビュー形式のコンテンツで、顧客がどのような課題を抱えていたのか、どのように製品やサービスを活用して課題を解決したのかを掘り下げます。

事例集の目的は、認知拡大や購買意欲の醸成です。特に、知名度の高い企業の事例集を作成できれば、認知度の大きな拡大や社内検討の促進へとつながります。

事例集では、顧客が自分ごと化できるように、課題や解決までのプロセスを具体的に分かりやすく作成するようにしましょう。自分ごと化してもらえる事例集を作れば、顧客は具体的な利用イメージを持てるようになり、商談化率を高められます。

ウェビナー

ウェビナーとは、Zoomなどのツールを用い、オンライン上で実施するセミナーのことです。動画配信ツールの普及により、ウェビナーを開催する企業が増加しています。

株式会社シャノンが情報収集の選定に携わる企業担当者を対象に実施した調査によれば、2021年の自発的なウェビナー参加者は5割以上にもなります。つまり、企業担当者は会社に正式に製品選定の依頼をされる前の段階で、ウェビナーを通して自発的に情報収集をしているのです。

ウェビナーの魅力は、時間的・地理的制約を取り除けることです。従来のオフラインのセミナーでは、参加者は会場に訪問する必要があるため、時間や地理的制約の関係で参加したくともできない層が一定数いました。

オンラインで実施するウェビナーなら、インターネット環境さえあれば、どこにいても参加できます。また、ウェビナーの模様を録画しアーカイブ配信することで、時間的制約も取り除けるのです。

ウェビナーは顧客の行動喚起に強みを持っており、最適なコンテンツを届けられれば、社内展開まで引き上げられるでしょう。ウェビナーの参加者を募るためには、ウェブサイトやメールマガジン、SNSなどの複数チャネルでのプロモーションが必要です。

特に、自社に興味関心を抱いているユーザーが多いニュースレターは、ウェビナーの集客に大きな貢献を果たすチャネルとなるでしょう。

STEP7:コンテンツを制作

タイピングする人

単純に優れたコンテンツ制作をするだけでは、目標達成は困難です。例えば、SEO対策で多くの記事を上位表示できたとしても、コンバージョンに近い部分のコンテンツが不足していれば、売り上げや問い合わせアップなどの最終目標は達成できないでしょう。

他の施策と同様に、コンテンツマーケティングも目標達成を目指す必要があり、そのためには戦略的にコンテンツを作成しなければいけません。コンテンツマーケティングにおいては、円滑にコンバージョンにつなげるために、目的に応じてコンテンツを使い分けましょう。

以下では、継続率や受注率、商談化率などを高めるコンテンツを紹介します。

受注率を高めるコンテンツ

初めてコンテンツマーケティングに取り組む場合、まずは受注率を高めるコンテンツ作成から行うのがおすすめです。コンテンツマーケティングの目標の多くは、受注という最終地点にたどり着きます。

受注率を高めるコンテンツが不足していれば、認知度の拡大や問い合わせ数の増加などに成功しても、受注にはつながらないでしょう。まずは受注率拡大の基盤を築いてから、認知度やコンバージョンに関連するコンテンツ作成に取り組みましょう。

受注率を高める主なコンテンツは以下の通りです。

  • ・成功事例集
  • ・競合他社との比較ページ
  • ・第三者評価の紹介
  • ・実績紹介ページ
  • ・経営メンバーやプロジェクトメンバーの紹介

主なコンテンツを見ると、受注率を高めるコンテンツとは、顧客の不安を取り除き、信頼を伝えるものだと分かるのではないでしょうか。受注を高めるコンテンツは、すでに営業資料として存在するケースが多いです。

まずは受注率を高めるコンテンツを制作し、Webサイトやメールで発信するようにしましょう。

商談化率を高めるコンテンツ

受注率の次に取り組むべきなのが、商談化率を高めるコンテンツです。商談化率を高めるコンテンツは、他の施策やコンテンツチャネルで獲得したリードに、もっと商品について知りたいと考えさせる働きがあります。

すでに顧客の興味関心はある程度高まっているため、専門性や信頼性を訴求するコンテンツが有効でしょう。主なコンテンツは下記の通りです。

  • ・導入事例
  • ・ホワイトペーパー
  • ・ノウハウ記事
  • ・他メディアへの寄稿やインタビュー登壇
  • ・セミナー/ウェビナー

コンバージョン率を高めるコンテンツ

商談化率を高めるコンテンツの次に用意するのが、問い合わせや資料請求などのコンバージョン率を高めるコンテンツです。まずは自社商品の特徴や機能、料金表、導入までの流れなどを紹介したページを用意しましょう。その他、事例集や料金表、ノウハウ資料、ホワイトペーパー、ニュースレターへの導線などが有効です。

コンバージョンにつなげるコンテンツがなければ、どれだけ多くの集客をしても、ビジネスの成果にはつながりません。また、コンバージョンコンテンツの導線は、顧客のニーズに応じて変えるようにしましょう。

例えば、SNS経由で獲得した潜在層の見込み客が、すぐに料金表や製品カタログを請求する可能性は低いです。潜在層の場合は、セミナーへの申し込みやニュースレターの登録などが有効となります。

この例のように、顧客ニーズに応じて最適なCTAを設置することで、コンバージョン率を高められます。

認知率を高めるコンテンツ

認知率を高めるコンテンツは、成果が出るまでに時間がかかり、社内理解を得るのが困難なため、最後に取り組むのがおすすめです。ここまで解説したように、まずは短期間での成果につながりやすい受注に近い部分のコンテンツ作成から取り組むと、戦略的なコンテンツマーケティングを実施できます。認知率を高める主なコンテンツは以下の通りです。

  • ・オウンドメディア
  • ・ブログ記事
  • ・SNS
  • ・セミナー/ウェビナー
  • ・プレスリリース
  • ・他サイトへの記事掲載

注力すべきコンテンツが分からない場合は、顧客に自社を知ったきっかけを尋ねるのが有効です。考えに行き詰った場合は、数名の顧客を対象にユーザーインタビューを実施しましょう。

また、認知率を高めるコンテンツは長期的な施策のため、並行してWeb広告の出稿をするのがおすすめです。

STEP8:運用体制を整える

オフィスで談笑するメンバー

コンテンツマーケティングで注力すべきチャネルが分かれば、コンテンツ作成と運用する体制を整えます。

コンテンツマーケティングでは、定期的にコンテンツを投稿する必要があります。また、SEOとSNS、ホワイトペーパーと複数チャネルのコンテンツを並行して作成することは珍しくありません。そのため、コンテンツを量産する体制を整えるのは難しいかもしれません。

実際にBtoB企業におけるリード(見込客)獲得に関する実態調査(※8)では、リード獲得施策における課題として「人的リソース不足」が26.0%、「コンテンツ不足」が18.9%と高い数字を記録しています。

それでは、自社リソースが不足している場合は、どのような運用体制が有効なのでしょうか。リソースが少ない場合は、外部に依頼するのがおすすめです。

しかし、外部に丸投げしては期待した成果につながらないどころか、ブランド毀損リスクも生じます。そのため、自社で行う範囲と外部に依頼する範囲の線引きが必要です。以下では、インバウンドで継続する方法と社外に依頼する際の注意点を解説します。

※8 出典:【@Press】課題は「人的リソース不足」が26.0%「コンテンツ不足」が18.9%「BtoB企業におけるリード(見込客)獲得に関する実態調査」
https://www.atpress.ne.jp/news/298288

インバウンドで継続するポイント

先に結論から申し上げると、BtoB企業は可能な限りインバウンドでコンテンツマーケティングに取り組むべきです。BtoB企業が取り扱うコンテンツは専門性が高く、外部のライターや編集者では十分な質のコンテンツを作成できない懸念があります。

また、BtoB企業の場合は、権威や信頼性が売り上げに直結するケースが多いため、質の高いコンテンツで信頼を獲得しなければいけません。

どうしてもリソースが不足している場合は、実績が十分なライターや編集者を雇ったり、社員が書いたコンテンツをプロの編集者に整えてもらったりしましょう。また、チームメンバーを対象に、外部のプロによるコンテンツ作成のレクチャーを実施するのも有効です。

初めのうちは、外部の協力を得ながらコンテンツマーケティングを実施、並行して週に1回は編集会議を実施してコンテンツ企画を生み出す体制を整えるといいでしょう。

社外に依頼する際の注意点

トピックの専門性が低いBtoC企業の場合、クラウドソーシングや編集プロダクションを活用して、コンテンツを量産できる体制を整えるといいでしょう。

外部に依頼する際は、キーワード選定や構成案作成などのコンテンツの軸を担う部分は自社が担当し、ディレクションや執筆、入稿作業などは外部に任せるのがおすすめです。また、外部パートナーとの円滑な連携を進めるためには、コンテンツ作成のマニュアル化は欠かせません。

コンテンツマーケティング推進の初期段階では、大まかなマニュアルを作成し、運用しながら細かな部分を追加するといいでしょう。

コンテンツ不足を解消する方法

先にも紹介した通り、コンテンツ不足に悩まされるマーケティング担当者は少なくありません。コンテンツマーケティング運用初期は、様々なコンテンツを発信できますが、1年以上経過するとコンテンツ案に悩まされるでしょう。

コンテンツ案で悩んだら、まずは社内資産を見直してください。過去に開催したセミナー資料や営業資料などは、顧客にとって有益な情報が含まれている可能性が高いです。社内資料を見直し、少し整えるだけで、良質なコンテンツ作成ができるでしょう。

また、社員からコンテンツを引き出すのも有効な方法です。経営層やマネージャー層との会話、カスタマーサービスや営業などに届いた顧客のメールなどからコンテンツの種を発見できるかもしれません。

コンテンツマーケティングの目的は、顧客の悩みや課題に耳を傾け、最適な情報を提供することだからこそ、部門を横断してコンテンツのアイデアを探しましょう。

STEP9:コンテンツ発信を継続

タブレットとチャート

コンテンツマーケティングで重要なのは、とにかく継続することです。長期間にわたってコンテンツ発信を継続できれば、目標達成できます。

しかし、コンテンツマーケティングは成果が出るまでに時間がかかるため、継続できる会社は少ないです。見方を変えれば、コンテンツマーケティングは継続さえすれば、競合と差をつけられる施策ともいえます。

コンテンツマーケティングを継続するポイントは、アーリー・スモール・ウィン(初期段階における小さな成功)を重ねることです。

半年間にわたって地道にコンテンツマーケティングに取り組んだものの、いっこうに成果が出ない状況をイメージしてみてください。おそらく、メンバーのモチベーションの低下や社内からの反発などが生じるでしょう。だからこそ、運用初期段階での小さいながらも確実な成果を出す必要があります。

アーリー・スモール・ウィンを実現するためには、受注に近い部分のコンテンツの注力およびペイドメディアの活用がおすすめです。特に、リスティング広告やSNS広告は顕在層にアプローチできる性質上、早い段階で成果を上げられます。

コンテンツマーケティング初期段階では、オウンドメディアで地道なコンテンツ発信を継続しつつ、ペイドメディアでスモール・ウィンを実現するようにしましょう。

また、コンテンツマーケティングは高速でPDCAを回すことが、成果への近道です。特に初期段階では、多くの知見とデータを蓄積することが重要なため、失敗を恐れずに様々な施策や改善に取り組むようにしましょう。

マーケティングの施策においては、初めから成功することは稀であり、失敗するのが通常です。成功確率を高めるためにも、失敗を恐れずに打ち手の数を増やさなければいけません。

経験とスキルさえ積めば、誰でも優れたコンテンツを作成できるようになります。継続してコンテンツを発信し、成功や失敗からデータと知識を増やし、成果につながるコンテンツを作成できるようになりましょう。

STEP10:効果測定と分析・改善

PCでGoogleアナリティクスを見る女性

コンテンツは公開して終わり、ではありません。コンテンツを作ったら、流入経路やPV数、コンバージョン率などのデータを分析しましょう。データ分析から仮説を立て、仮説の立証を繰り返すことで、コンテンツの精度は高まります。以下では、コンテンツの分析改善におすすめのツールを紹介します。

Googleアナリティクス

Googleアナリティクスとは、Googleが無料で提供する解析ツールです。無料で本格的な機能が利用できることもあり、上場企業の約84%(※9)が利用するほど、定番の解析ツールとなっています。

現在は2012年にリリースされたUAが広く普及していますが、2023年7月1日にUAでのデータ蓄積が終了する予定です。UAの代わりとなるのが、2020年リリースのGA4となります。

GA4では、Webサイトとアプリの統合計測が可能になりました。これにより、各チャネルを横断して情報収集する顧客行動を効率よく理解できるようになったのです。

また、「7日以内に購入する可能性が高いユーザー」などの機械学習による予測やクッキーレスに対応したユーザーの識別などの新機能が搭載されています。UAとGA4は性質が大きく異なるツールのため、早めのに移行して、GA4に慣れることをおすすめします。

※9 出典:【株式会社DataSign】DataSign Report 上場企業 CMS調査 2021年8月版
https://datasign.jp/blog/datasign-report-cms_202108/

ABテストツール

ABテストとは、特定の要素が異なる2つのWebページやメールなどを作成し、コンバージョン率を最適化するための手法です。ABテストは、Web広告の見出しやメールの件名、CTAなどの最適化に使われます。

ニュースレターを例に、ABテストの具体的な活用法を見ていきましょう。ニュースレターにおいては、件名が開封率に大きな影響を与える要素です。最適な件名を特定するために、件名のみを変えて(本文や配信時間などは同じ)ABテストを実施します。ABテストの結果より、良い点と悪い点を分析し、今後の施策に反映していくのです。

ABテストツールを使えば、効率よくABテストの実施ができます。コンテンツマーケティングにおいては、ABテストは重要な施策のため、積極的に使ってみましょう。

ヒートマップ

ヒートマップとは、Webページ内におけるユーザー行動を色の濃淡で可視化するツールです。ヒートマップツールを使えば、熟読個所・終了個所・クリック個所を把握できます。

例えば、ヒートマップで分析したところ、ページ上部よりも下部の熟読率が高かったと判明しました。この場合、ページ下部の内容を上部に持ってくることで、熟読率の改善に期待できるでしょう。

ここまで3つの分析ツールを紹介しました。解析・分析ツールは、ユーザー行動を数字やデータとして可視化できる一方、行動の裏にあるユーザー感情やニーズまでは明かせません。効果的な分析と改善を実践するためには、データの中に実在するユーザーを想起する思考が求められます。

「なぜ、多くのユーザーはここで離脱したのか?」「なぜ、ユーザーはこの見出しをクリックしたのか」「なぜ、ユーザーは問い合わせ前にこのコンテンツを見ているのか」のように、ユーザー視点でデータを分析してみましょう。

STEP11:施策の数を増やす

「計画」→「成功」を書く男性

1つの成功体験を得られると、社内の理解を得られ、少しずつ予算やリソースが増えるでしょう。成果が表れ始めたら、リード数などの売り上げに近いKPIを設定し、様々な施策にトライしてみましょう。

例えば、WebサイトとSEO、リスティング広告でオウンドメディアの運用を開始したら、次の段階ではウェビナーやホワイトペーパーの強化などに取り組むといいかもしれません。最適な施策は、自社状況や所属する業界などによって異なります。成果につながる施策を特定するためにも、失敗を恐れずに様々なコンテンツチャネルに取り組んでみましょう。

コンテンツマーケティングは正しい手順で戦略的に行おう

コンテンツマーケティングで成果を出すためには、半年以上の時間がかかることが多いため、十分な予算やリソースを確保するのは難しいでしょう。限られたリソースで成果を出すためには、正しい実施手順を理解したうえで、戦略的な推進が欠かせません。

これからコンテンツマーケティングに取り組む場合は、まずは受注に近いコンテンツの強化に取り組みましょう。それから、長期的な施策のSEOやSNSとペイドメディアを組み合わせ、アーリー・スモール・ウィンの実現を目指してください。

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