コンテンツマーケティングにおけるライターに必要なスキルとは? 基本と応用スキルを紹介
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記事制作は、コンテンツマーケティングにおける主流な施策です。自社社員や外部ライターが記事を執筆しますが、どのようなスキルが必要になるのでしょうか。ライターに求められるスキルを把握すると、自社ライターの育成や外部ライターの選定に活かせます。
この記事では、コンテンツマーケティングにおけるライターに必要なスキルを紹介します。コンテンツライティングを進める際の注意点も解説しますので、記事制作をマーケティング施策に取り入れたい方は参考にしてみてください。
コンテンツマーケティングについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
コンテンツマーケティングにおけるライターの種類
コンテンツマーケティングにおけるライターは、記事の掲載媒体によって次の2つに分かれます。
- 1.Webライター
- 2.紙媒体ライター(雑誌ライター)
ライターに必要なスキルを理解しやすくするため、まずは両者の違いを整理しましょう。
1.Webライター
Webライターは、インターネット上のオウンドメディアや第三者サイトに掲載する記事を制作します。Webライティングの特徴は、結論から伝える構成や簡潔な文章が求められる点です。
理由の1つが、Web記事のブラウザバックで途中離脱できる仕様にあります。読者は何か知りたい情報があって記事を読みますが、いつまでも結論がわからない構成だと他のWebサイトへ答えを求めに行くでしょう。また、Web記事の読者はじっくりと文章を読みたいわけではありません。情報収集が目的なので、わかりやすい文章で簡潔に情報を伝える必要があります。
2.紙媒体ライター(雑誌ライター)
紙媒体ライター(雑誌ライター)は、雑誌や書籍に掲載する記事を執筆します。紙の記事を読む読者は、単なる情報収集だけではなく文章を読むこと自体も目的です。冗長な文章表現が良いわけではないものの、Web記事ほどの簡潔さは求められません。
雑誌や書籍を読む際は、興味関心を持って購入するのが基本です。興味が強い分、最後まで読んでもらいやすいため、続きが気になるようなストーリー性のある構成が大切になります。さらに、Web記事は比較的自由に文字量を決められますが、雑誌はページ数および文字量があらかじめ設定されています。厳密な制限の中で、内容を構成する力量が必須です。
コンテンツマーケティングを担うライターに必要な基本スキル
ここからは、コンテンツマーケティングにおけるライター(コンテンツライター)=Webライターの前提で解説します。コンテンツライターが仕事をする上で、必要な基本スキルは以下の4つです。
- 1.論理的で読みやすい文章構成
- 2.SEO知識
- 3.メディアの目的・ペルソナへの理解
- 4.専門分野の知識または情報収集力
順番に説明します。
1.論理的で読みやすい文章構成
ライティングにおいて、論理的な文章構成は重要です。非論理的な文章は主張の根拠説明が欠けており、読者に論理の矛盾や飛躍を感じさせます。情報収集のために読んでいるはずの読者に、「結局どういうこと?」とさらなる疑問を抱かせてしまうでしょう。結果的に読者は途中で離脱し、競合メディアに流れる恐れがあります。
加えて、文章自体も読みやすい表現でなければいけません。難しい言葉を多用したり専門知識の説明をしなかったりすると、読者の理解を妨げます。せっかく読者のニーズを満たす内容を書いても、伝わらなければ意味がありません。論理的で読みやすい文章構成を意識して、スムーズに読み進められる記事作りが重要です。
2.SEO知識
Web用の記事を作る際は、SEO(検索エンジン最適化)の知識が欠かせません。SEOとは、検索エンジンに記事を上位表示させる施策を指します。メディアを運営する上で大事な要素の1つが、アクセス数の増加です。上位表示される記事が多いほど検索エンジンからの自然流入が増えるため、SEO対策を行えるスキルが求められます。
基本的なSEO対策は、質の高い記事の制作です。検索キーワードの関連単語を適度に使いつつ、オリジナリティある内容をわかりやすい文章で構成します。検索結果にヒットしそうな単語をやみくもに羅列してもコンテンツの質は評価されず、SEO対策効果は期待できません。記事をメインコンテンツとするのであれば、SEOによるアクセス数増加は必須と言えます。
3.メディアの目的・ペルソナへの理解
コンテンツマーケティングの一環である以上、メディアの目的とペルソナへの理解が必要です。理解していないと、施策とずれた内容の記事を作ってしまうかもしれません。一例として、企業のリード獲得を目的とするメディアが、「宿泊施設 予約」のキーワードで記事作成する場合を考えてみましょう。
このケースでは、「宿泊施設の予約システム導入方法」「おすすめの予約管理システム」といった企業担当者向けの構成にするべきです。しかし、目的やペルソナを理解していないと「宿泊施設の予約方法」「おすすめの旅館」と一般消費者向けに内容を展開してしまう恐れがあります。正しい方向性の記事を作るために、メディアの目的やペルソナへの理解が大切です。
4.専門分野の知識または情報収集力
法律や医療、ITなどの分野を深掘りする記事では、ライターに専門知識があるとスムーズに執筆を進められるでしょう。仮に専門分野の知識がなくとも、自分で正しい情報を収集・精査するスキルが求められます。
専門記事を書く際は、事前に知識がある場合でも根拠となるデータを明記すると効果的です。たとえば、「IT人材不足は今後も続く」と書くよりも、経済産業省のレポート(※1)を引用して「予測では2030年に最大約79万人不足する」と示したほうが読者に信用してもらえます。専門知識を必要とする分野であるほど、ライターの情報収集力が重要になるでしょう。
※1 出典:経済産業省「IT人材育成の状況等について」
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/daiyoji_sangyo_skill/pdf/001_s03_00.pdf
コンテンツマーケティングを担うライターの応用スキル
経験豊富なライターの中には、以下3つの応用スキルを持つ人もいるでしょう。
- 1.画像編集
- 2.取材・インタビュー
- 3.編集・校正
応用スキルを持つライターがいると、記事の表現力アップや作業の手間削減といった効果が期待できます。上記3つのスキルについて、詳細に紹介します。
1.画像編集
記事に使用する画像を編集できるライターがいれば、記事制作から画像の用意まで一括して任せられます。テキストがメインの記事に使う画像は、フォトグラファーやデザイナーほどの編集技術は必要ありません。一般的には、イメージ画像のリサイズや文字入れ、説明画像の作成といった簡易的な技術で問題ないでしょう。
もちろん、高度な編集を行いたい場合は、プロへの依頼がおすすめです。シンプルな画像で充分であれば、簡単な画像編集ができるライターに任せると、スムーズにコンテンツ制作を進められます。
2.取材・インタビュー
取材やインタビューに対応できるライターを確保すると、制作可能な記事の幅が広がります。例として、以下のような記事を作れるでしょう。
- ・企業や専門家への取材にもとづいた知識解説
- ・ユーザーによる自社製品の感想
- ・特定テーマの体験談
- ・観光地やグルメの実際の写真を使った紹介
インターネットや書籍から多くの知識を得られるとはいえ、取材・インタビューで得た情報も加われば記事の独自性が高まります。自社メディアならではの記事を作る際は、取材・インタビューを行えるライターの起用も検討してみてはいかがでしょうか。
3.編集・校正
通常は編集者やディレクターが編集・校正、企画といったディレクション業務を行いますが、ライターが兼任するパターンもあります。社内のみでコンテンツライティングを行う場合、なおのこと兼任する可能性が高まるでしょう。
また、WordPressなどのCMSを使っている場合、ライターに入稿を任せるケースも考えられます。HTMLやCSSの基礎知識があるライターだと、コーディング作業も可能です。執筆だけでなく入稿やコーディングといった編集もライターに任せると、コンテンツ公開までのスピード向上が期待できます。
コンテンツマーケティングで制作する記事の種類
ここまで紹介したスキルによって、コンテンツライターはどのような記事を作るのでしょうか。主な記事の種類は、以下の通りです。
- ・コラム:問題提起、共感
- ・疑問解決:商品・サービスの活用方法、日常の悩み解決
- ・専門知識・研究:知識提供、専門家の監修
- ・導入事例:商品・サービスの紹介、ユーザーの感想・インタビュー
- ・比較・ランキング:商品・サービスのレビューや評価
記事を効果的に運用するためには、内部リンクによる導線設計が大事です。たとえば「疑問解決」記事で集客したユーザーに解決策を紹介し、解決に繋がる商品・サービスの「導入事例」や「比較・ランキング」記事に誘導すると良いでしょう。
コンテンツライティングを進める際の注意点
コンテンツライティングを進める際は、次の4つの注意点があります。
- 1.第三者の著作権を侵害しない
- 2.被写体の肖像権を守る
- 3.虚偽・不確かな情報を掲載しない
- 4.著作権の所在や機密保持を決める
具体的なポイントを説明します。
1.第三者の著作権を侵害しない
第三者の著作権を侵害しないように気をつけましょう。書籍の文章やWeb上の記事・画像は、著作権法で保護される「著作物」です。したがって、第三者の文章や画像を転載すると、著作権侵害となる恐れがあります。
ただし、著作権法第32条の「引用」と認められた場合、転載しても侵害にはあたりません。文化庁は、「引用する必要があり、オリジナル部分がメインコンテンツになっている」「出典を明記する」「引用部分とオリジナル部分の判別がつく」といった引用時の注意事項を示しています。これらの条件を満たしていないと著作権侵害になる可能性があるため、注意が必要です。
2.被写体の肖像権を守る
写真を使う際に気をつけたいのが、肖像権の保護です。肖像権とは、自分の姿の無断撮影および勝手に写真・映像を公表されない権利を指します。肖像権を直接定める法律はないものの、侵害時には憲法13条を根拠に民事責任が生じます。
自分で撮影した写真でも、被写体の肖像権は消えません。使用する際は必ず本人の許可を得ましょう。複数人写っている場合は、当然ながら全員の許可が必要です。
3.虚偽・不確かな情報を掲載しない
虚偽情報の掲載は読者からの信頼を損ねるため、決して発信してはいけません。そもそもコンテンツマーケティングは読者に価値のある情報を届ける手法ですので、虚偽の情報を扱うリスクの高さはお分かりいただけるかと思います。モラルやSEOの観点からも、企業が自ら信用性を下げるメリットは一切ありません。
気をつけてほしいのが、不確かな情報を扱うケースです。かつて、医療系Webメディアの記事の信憑性が問題になり、閉鎖した事例があります。「不確かな情報を扱って結果的に虚偽の発信をしてしまった」といった事態にならないよう、情報の事実確認は必ず行いましょう。
4.著作権の所在や機密保持を決める
外部ライターに記事の制作を依頼する場合、著作権の所在について注意が必要です。記事の著作権は、執筆したライターに生じます。ライターがWeb記事の著作権を主張するのはあまり考えられませんが、万一に備えて「著作権の譲渡」「著作人格権を主張しない」といった契約を交わすと安心です。
また、匿名記事として執筆依頼した事実を公表されたくない場合は、機密保持についても取り決めると良いでしょう。ライターは自分の執筆実績としてポートフォリオを作成しますが、「記事を公表しない」と決めておくと自社記事の公開を防げます。
コンンテツライターを探すならテストライティングをしよう
クラウドソーシングなどで外部ライターに委託する場合は、テストライティングを行いましょう。テストライティングの「必要性」と「チェック項目」に分けて解説します。
テストライティングの必要性
テストライティングを行うと、自社メディアに合うライターを効率良く選定できます。反対にテストせずに公開用の記事を執筆依頼すると、ライターのスキルによっては膨大な修正作業が発生するリスクがあります。文章力が低ければ表現の改善に追われ、ペルソナと内容が乖離していれば構成自体を変更しなければいけません。
修正作業の多発は、記事の公開スピード低下に繋がります。更新頻度が低いメディアに読者は定着しづらいため、コンスタントな記事制作が必要です。テストライティングを行うことで、自社が求めるスキルを持つライターを見極められます。優れたライターを確保すれば定期的に記事を公開できるので、コンテンツマーケティングの成果を挙げやすくなるでしょう。
テストライティングのチェック項目
テストライティングを実施したら、主に以下の項目をチェックします。
- ・誤字脱字が少ない
- ・日本語が正しい
- ・論理的な文章で結論の根拠を示している
- ・トーン&マナーや禁止事項を守っている
- ・メディアの方向性やペルソナに沿った構成
- ・納期を守っている
- ・レスポンスが早い
一緒に仕事する以上、納品された記事に加えてライターの人柄も確認しましょう。きちんとコミュニケーションを取れる人でないと、記事制作が滞るかもしれません。スキルと人柄の両面から、ライターを選定してみてください。
▼主に「オウンドメディア」のライター募集を検討している方は、以下の記事もぜひご覧ください。
コンテンツマーケティングに必要なスキルを持つライターを育成・確保しよう
ライターの育成や外部への執筆依頼をするのであれば、ライターに求められる基本的なスキルの確認が大切です。ライターの育成方針や依頼先の見極めに役立つので、紹介した内容をぜひ参考にしてみてください。
ライターの中には、簡単な画像編集や取材・インタビューが可能な人もいます。自社が求めるスキルを考え、ライターを育成・確保しましょう。