いまさら聞けないオウンドメディアとブログの違い
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近年、新規顧客の創出やブランディング、採用などを目的としてオウンドメディアを運営する企業が増えています。オウンドメディアを運用する前には、ブログとの違いを理解したうえで、目的に合った活用をしなければいけません。本記事では、オウンドメディアとブログの違いを特徴や活用目的から解説したのち、成功事例をご紹介します。
オウンドメディアについて知りたい方は以下の記事もご参照ください。
オウンドメディアの目的
オウンドメディアとは、自社で保有するメディアの一種であり、コーポレートサイトやブログ、SNSなどを指します。特にコンテンツマーケティングにおいて、オウンドメディアは重要な役割を果たします。
以下では、オウンドメディアを保有する3つの目的を解説します。各目的を理解することで、最適な方法でオウンドメディアを運営できるようになります。
広告依存の軽減
オンライン・オフラインを問わず、企業にとって広告は顧客との重要な接点です。広告を出稿することで、自社製品やサービスの認知度向上や見込み客の創出などが可能になります。しかし、広告を出稿するためには、広告費を支払わなければいけません。言い換えれば、広告費の支払いを止めると、広告は出稿されなくなるのです。
例えば、集客をリスティング広告ばかりに頼っている場合、リーチ数の維持はいずれ難しくなるでしょう。一方、コンテンツマーケティングを実施すれば、Google検索からの流入を増加させ、広告費に頼らない集客経路を開拓できます。
自社ブログやSNSなどのオウンドメディアは低コストで運用できるため、広告費の依存を軽減できます。
マーケティング活動
オウンドメディアは潜在顧客のアプローチに有効な方法の1つです。例えば、オウンドメディアでSEO対策をすれば、Googleで悩みや課題の解決方法を探している多くの潜在顧客にアプローチできます。
あるいはSNSを運用すれば、課題や悩みが顕在化していない層と接点を作れます。オウンドメディアでWebマーケティングをする際は、自社が発信したいコンテンツではなく、顧客ニーズに沿ったコンテンツを発信しなければいけません。
ユーザー目線でのコンテンツ発信を続ければ、徐々に信頼関係の構築や購買意欲の醸成が可能となり、新規顧客の創出につながります。
ブランディング
製品やサービスでの差異化が難しくなった現代、多くの消費者は共感したブランドを選ぶ傾向にあります。全てのタッチポイントで、顧客に提示した約束事を守り続けることで、消費者に選ばれるブランドを構築できます。
そして、オウンドメディアはWeb時代における重要なタッチポイントの1つです。ブログやSNSなどの全てのオウンドメディアで、顧客視点に立ったコンテンツ発信やコミュニケーションを継続すれば、企業のブランド力を高められます。
オウンドメディアの集客方法
オウンドメディアの主な集客方法は以下3つです。
- ・コンテンツSEO
- ・リスティング広告
- ・アーンドメディア
ここからは、それぞれの集客方法について解説します。各集客方法の特徴を理解したうえで、自社に適した方法で集客を実施しましょう。
コンテンツSEO
コンテンツSEOとは、オウンドメディアに良質なコンテンツを発信し、GoogleやYahoo!などの検索エンジンからの集客を目指す施策です。コンテンツSEOに取り組むことで、課題や悩みが顕在化している確度の高い潜在顧客にアプローチできます。
コンテンツを上位表示できれば、継続的に大きな集客効果を見込めます。海外の調査企業SISTRIXが2020年に発表したレポート(※)によると、検索結果ページで1位に表示されたサイトの平均クリック率は28.5%です。
例えば、月間平均検索ボリュームが5,000のキーワードで1位表示できた場合、月1,425PVに期待できます。コンテンツを上位表示するためには、良質な記事作成やSEO知識などが必要であり、成果が出るまでに時間がかかります。
しかし、コンテンツSEOは低コストで大きな集客効果を見込めるコストパフォーマンスの高い集客方法です。
※ 出典:【SISTRIX】Why (almost) everything you knew about Google CTR is no longer valid
https://www.sistrix.com/blog/why-almost-everything-you-knew-about-google-ctr-is-no-longer-valid/
リスティング広告
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンやパートナーサイトに、ユーザーの検索ワードと連動して表示する広告を示します。例えば、「プロテイン」と検索すると、検索画面の上部にプロテイン関連の広告が表示されます。
リスティング広告もまた、コンテンツSEOと同様に購買意欲の高い顕在層へのアプローチが可能です。また、コンテンツSEOよりも早く効果が出やすい傾向にあります。一方、広告がクリックされるたびに料金が発生するため、長期間にわたって取り組むのは難しいでしょう。
予算の限られた企業は、コンテンツSEOで成果が出るまでは、リスティング広告で集客をするなどの期間を定めた運用がおすすめです。
アーンドメディア
アーンドメディアとは、第三者である消費者やユーザーが発信するメディアを示します。SNSや個人ブログ、プレスリリースなどがアーンドメディアに該当します。
アーンドメディアのメリットは、情報の拡散性が高い点です。例えば、Twitter上で自社製品に関するツイートが大きく拡散されると、爆発的な知名度の向上や売上アップが見込めます。
情報をコントロールできないデメリットこそありますが、正しく運用すれば自社製品を身近に感じてもらえます。
ブログとは
ブログとは、自身の考えや日記などを自由に発信するWebサイトのことです。ブログが普及したころは、個人ブログが一般的でした。しかし今では、製品やサービス情報を発信する目的でブログを活用する企業も増加しています。
ブログの特徴として、コメント欄が設けられていることが挙げられます。コメント欄を活用すれば、ブログの読者とコミュニケーションを取ることが可能です。
webマーケティングのスキルアップに役立つブログの参考例が以下の記事にまとまっていますので気になる方は参考にしてみてください。
参考:Webマーケティングの基礎を学ぶ!スキルアップに役立つ厳選ブログ
オウンドメディアとブログの違い
ここからは、オウンドメディアとブログの違いを解説しますが、分かりやすくオウンドメディアとブログを下記のように定義します。
- ・オウンドメディア:コーポレートサイトやブランドサイト、SNS
- ・ブログ:コンテンツサイトや企業運営のブログ
以下では、オウンドメディアとブログの違いを「目的・ターゲット・コンテンツ内容」の3つの視点で解説します。下記は、それぞれの違いをまとめた早見表です。
目的 | ターゲット | コンテンツ内容 | |
オウンドメディア | 自社ニュースや製品情報の発信 | 既存顧客、認知顧客、自社社員 | 企業視点で制作 |
ブログ | 集客、購買意欲の醸成、ブランディング | 潜在顧客 | ユーザー視点で制作 |
目的や活用方法
オウンドメディアとブログでは、目的や活用方法が異なります。ブログは、コンテンツSEOによる集客や購買欲の醸成を目的に活用します。一方、オウンドメディアは自社ニュースや商品情報の発信を目的に活用するのが一般的です。
ターゲット
集客や購買意欲の醸成を目的にするブログでは、潜在顧客をターゲットにします。コンテンツSEOの場合は、ブログで自社製品やサービスを認知していない多くの顧客にアプローチできます。
また、将来の従業員をターゲットにして、ブログを運営することも可能です。例えば、ブログで社員紹介や創業者などの想いを発信すれば、自社で働くことに興味を持つ人が増え、求人者の増加を見込めます。
オウンドメディアでは、企業ニュースや製品情報の発信が多いです。そのため、既存顧客や認知顧客、自社社員がターゲットになります。次に紹介するように、発信するコンテンツはターゲットによって変わります。まずはオウンドメディアの運用目的を定め、適切なターゲットを設定しましょう。
コンテンツ内容
発信するコンテンツ内容が重要なのはブログです。ブログでは、潜在顧客の抱える課題や悩みを解決しなければいけません。つまり、ユーザー目線に立ったコンテンツを作成する必要があります。「誰に向けて? 何の情報を求めているのか?」を考えながら、ブログを作成しましょう。
一方、オウンドメディアは企業情報を発信するのが主な目的のため、企業が伝えたいことを発信できます。
ユーザー視点でのコンテンツ発信なのか、企業視点でのコンテンツ発信なのか。これはオウンドメディアとブログの大きな違いです。
オウンドメディアの成功事例
オウンドメディアの成功事例を2選紹介します。2つの成功事例を参考に、オウンドメディアの運用方法のヒントを得てください。
HubSpot
HubSpotはBtoB向けのマーケティングツールの販売企業です。同社は、各顧客に価値あるコンテンツを提供し、顧客の成功を支援する「インバウンドマーケティング」を提唱したことで知られています。
HubSpotは「HubSpotマーケティングブログ」で、コンテンツSEOに取り組んでいます。主なターゲットは企業のマーケティング担当者です。
多くのオウンドメディアがリード創出を目的にする一方、HubSpotはリードの創出数をメイン目的には置いていません。HubSpotは社内に根付く「インバウンドの思想」にもとづいて、顧客の課題を解決できるコンテンツ作成に真摯に取り組みます。その結果として、顧客の方からHubSpotと接点を作ってくれるようになったのです。
また、ブログだけではなく、オンラインイベントや広告などあらゆる施策をインバウンドの思想で行うことで、「HubSpot=インバウンド」というブランディングにも成功しています。
2020年5月には、Googleアルゴリズムのアップデートの影響を受け、ブログの数値は落ちました。しかし、GoogleとHubSpotが目指す「良いコンテンツの提供」を続けた結果、2020年1月から1年間の検索経由のトラフィックは2倍、ブログ経由で醸成したリード数は3倍という数値を達成したのです。
ユーザー視点のコンテンツ提供で成功をおさめたお手本のような事例です。
▼HubSpot マーケティングブログ
https://blog.hubspot.jp/
Baigie
株式会社Baigieはウェブ制作会社です。同社はオウンドメディアで日報を公開しています。しかし、一般的な日報のように業務進捗などの報告ではなく、社員が日々感じたことを自由に書く場となっています。
Baigieの日報を開始した元々の目的は、社員に行動指針を浸透させるためでした。全社員に毎日、行動指針に基づいた出来事を日報にしてまとめてもらっていたのです。日報は社員間のコミュニケーションの活性化やマネジメント層による社員のメンタルヘルスの把握につながっています。
また、日報は採用活動にも役立っています。日報の月間PV数は1万前後ですが、Baigieに興味を持ってくれる人に届いているのです。結果的に、外部メディアやエージェントに頼ることなく、社員数は2倍にまで増えました。
社員数が増えると、組織に与える影響が大きくなりますが、Baigieでは組織上の波乱がありません。また、2022年1月に社員を対象にしたエンゲージメント調査では、過去最高クラスの評価となったそうです。
この理由として、同社の代表枌谷(そぎたに)氏は、メンバーが行動指針にもとづいて行動しているからだと言います。そして、行動指針の浸透に大きな役を買っているのが、同社のオウンドメディア「ベイジの日報」です。
一般的にオウンドメディアと言えば、顧客や潜在顧客などの外部を対象にすることが多いです。しかし、Baigieの事例からは、オウンドメディアで社員教育や採用活動につなげられるとも分かります。
▼Baigie ベイジの日報
https://baigie.me/nippo/
オウンドメディアとブログは効果的に使い分けましょう
オウンドメディアとは、企業が保有するメディアの総称です。コーポレートサイトやECサイト、SNSの他、企業が運営するブログもオウンドメディアに含まれます。
しかし、オウンドメディアとブログでは、目的・ターゲット・コンテンツ内容が異なります。潜在顧客を対象にした集客が目的ならブログ、既存顧客や自社社員を対象にした企業情報の知らせならオウンドメディアと戦略的に使い分けましょう。
また、オウンドメディアと一口に言っても、その種類は多岐にわたります。各メディアの特徴を理解したうえで、自社に最適なメディア運営を始めましょう。
オウンドメディア運営の代表格がコンテンツSEOです。コンテンツSEOでは、キーワード選定や競合分析、構成案作成など多くの工数がかかり、専門的な知識と技術も求められます。