ECサイトのオウンドメディアマーケティングとは? メディア化の成功事例を3社紹介
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自社ECサイトをオウンドメディア化することで集客率の向上を目指せます。今回は自社ECサイトのオウンドメディア化で成功を収めた3社の事例とコンテンツマーケティングで押さえておきたいポイントを解説します。ぜひ参考になさってください。
オウンドメディアについて知りたい方は以下の記事もご参照ください。
ECサイトは年々増加! 差別化が求められている
Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのECモールに加えて、自社ECサイトなど年々ECサイトは増加しています。ターゲットとなるユーザーにたくさんあるECサイトの中から選んでもらうためには、ECサイトの差別化が必要です。自社商品の魅力を発信するだけではなく、ターゲットへのアプローチ方法も変えていかなければなりません。
リスティング広告は難しい
ECサイトの集客方法としてあげられるリスティング広告は出稿数が多く、成果を出すにはよく検索されるビッグキーワードを狙う必要があります。しかし、ビッグキーワードは多くの企業が既に対策しているため、広告費用が高額となるケースも少なくありません。広告にかける予算がない場合はリスティング広告への参入は難しいでしょう。
ECサイトにはさまざまな顧客情報が蓄積されています。情報を活かした新商品の開発やターゲットに合わせた情報発信をすることで、売上や集客につなげることが期待できます。
ECサイトのオウンドメディアマーケティングとは
ECサイトをオウンドメディア化することで、企業や自社商品に強い関心を持っていない潜在的なユーザーにアプローチすることが可能です。ECサイトの顧客情報を活用すれば売上や集客につなげるための施策が打ちだしやすくなります。具体的にどのような施策があるのか、オウンドメディアマーケティングについて解説します。
コンテンツで商品の魅力や役立つ情報を発信
オウンドメディアのコンテンツでECサイトの商品紹介ページでは伝えきれない商品の魅力を伝えます。何気なく、役立つ情報はないかという目的でアクセスしてきたユーザーも、自社商品の活用法などがわかれば購入を検討してくれるかもしれません。ECサイトをオウンドメディア化することで、ECサイトだけでは難しかったプラスアルファの情報提供が可能になります。
SNSで具体的な使用イメージを伝える
オウンドメディアは自社を知ってもらうためのものです。多くの情報が共有・拡散されるSNSを活用することでより多くの人に自社の商品やサービスを知ってもらうことができます。
できるだけユーザーが興味や関心を持てるように、ECサイトで扱う商品が「生活の中でどのように使用できるのか」を写真や動画も交えて紹介するとよいでしょう。購入後のイメージを具体的に伝えることが大切です。
SEO対策をする
SEOは「検索エンジン最適化」の略語で、Googleなど検索エンジンで検索した際に出る検索結果で上位表示を狙うための施策のひとつです。
SEO対策を行うことで、関連する情報の検索をしている潜在顧客の目に留まりやすくなります。SEO対策は内部対策・外部対策・コンテンツ対策など対応すべき業務が多く、対策後も効果が確認できるまでには数カ月以上かかることもあります。また、検証や改善などが必要です。
デザインはサイト導線を意識する
ECサイトをオウンドメディア化する場合、アクセスしてきたユーザーが自然に購入ページへと移れるように、サイト導線を意識することが大切です。ユーザーが購入ページにたどり着くのが困難だったり、購入ボタンがわかりにくかったりすると購買につながらないため、ユーザーの心理や行動の分析が必要です。
サイト導線はユーザーの満足度にもつながります。導線がわかりやすいサイトでは「またここで購入したい」という意識が生まれやすく、売上向上のためにも大切となるリピーターの育成が可能です。
自社ECサイトをオウンドメディア化するメリット
ECサイト一体型のオウンドメディアにすることで、得られるメリットを紹介します。
コストを抑えて集客できる
ECサイト一体型のオウンドメディアなら、広告や運用にかかるコストを抑えて集客できるメリットがあります。競合が多いリスティング広告は出稿コストもかかります。また、サポートが充実しているモール型ECサイトは集客力が期待できるものの、出店費用や手数料などがかかるため予算がかさみます。
ECサイトのオウンドメディア化でサイト運用を内製化することで、広告費用や手数料などのコストを抑えて集客することが可能です。
潜在顧客へアプローチできる
ECサイトへアクセスする購買意欲の高いユーザーよりも、「情報収集」を目的にリサーチをしている潜在顧客に向けたコンテンツを作ることでアクセスを集めることが可能です。
潜在顧客に商品のニーズを気づかせるため、コンテンツで商品の魅力やお役立ち情報を発信することで興味をひくことができます。生活で使うイメージがしやすい商品(生活家電、AV機器、PC・周辺機器、家具・雑貨など)に関するコンテンツが高い効果を期待できます。
他オウンドメディアと連携できる
ECサイト以外にブログやSNSなどを運用している場合、それぞれを連携することで各メディアの顧客が他メディアを知るきっかけを与えられるメリットがあります。ユーザーの興味や関心に寄り添ったコンテンツを作成することで信頼も得ることが可能です。
SNSの自社アカウントで写真や動画を使用した具体的なイメージを発信することで、潜在顧客へのアプローチが可能です。自社ECサイトへ誘導もできるためアクセス流入も期待できます。
魅力的なコンテンツで優良顧客を育成
ECサイトをオウンドメディアとすることで、リピーターとなる優良顧客を育成できるメリットがあります。「読んで楽しめる」「また読んでみたい」と思ってもらえるコンテンツを発信し続ければ、定期的なアクセスを見込めます。アクセス回数が多ければ、商品を目にする機会を増やすため次の購買へつなげられるメリットがあります。
顧客データや優良コンテンツが資産になる
ECサイトの顧客情報が企業の資産となるように、オウンドメディアで発信したコンテンツも企業の資産になります。Web広告は契約期間が切れると表示されなくなりますが、コンテンツは削除しない限り残ります。
ユーザーにとって役立つ情報を提供し続けることで、安定したアクセス数を集めることが可能です。ユーザーに定期的にアクセスしてもらえるようなコンテンツづくりが大切です。
ECサイトのオウンドメディアに適したコンテンツとは
ECサイトの集客や売上につなげるためのコンテンツは、ユーザーに役立つ情報であるかがポイントです。どのようなコンテンツを制作すればよいのか、ポイントを紹介します。
商品の選び方・使い方
ECサイトでは商品を直接見ることができないため、文字だけで商品の仕様や魅力を伝えなければなりません。ユーザーがスムーズに商品を選べるように、サイズや素材など商品の特徴を詳しく伝えるとよいでしょう。商品について専門知識を持っていなくても理解できるように、わかりやすい言葉や表現で伝えることも重要なポイントです。
専門用語についてもわかりやすい表現に変えるか、用語解説を載せておくとよいでしょう。家電や家具など生活の中で使用するアイテムの場合、実際に生活で使用するシーンを想定して解説すると、読者もイメージがしやすくなります。
商品の活用方法や関連アイテムの紹介
商品をどのように使うことができるのか、使い方や活用方法についても詳しく解説しておくと購買意欲を刺激することができます。食品関係の場合、商品を使用したアレンジレシピを掲載しておくと調理のイメージがしやすくなります。購入したことでどういうベネフィットが得られるのかを伝えられることで、ユーザーの満足度につなげることが可能です。
また、関連する商品を紹介することで、一緒に購入してくれる可能性も期待できます。押し売りのようにならないように、自然に紹介できるとよいでしょう。
ユーザーの悩みを解決するためのコンテンツ
ユーザーの悩みを解決できるようなコンテンツであるかも重要なポイントです。悩みが解決することでユーザーの購買行動を後押しできる可能性もありますし、満足を得たことからSNSなどで拡散してもらえる期待も持てます。
こうした解決したい具体的な悩みを持ってアクセスするユーザーもいれば、「こうあったらいいのにな」程度の潜在的な悩みを持つユーザーもいます。会社や商品の魅力を伝えるコンテンツは、潜在的な悩みを解決できる可能性があります。ユーザーに寄り添ったコンテンツづくりを意識することで、最終的には集客や売上につなげることもできるでしょう。
商品の生産工程など「企業そのもの」が見えるコンテンツ
ユーザーからの信頼を得るには、商品への思いや生産工程など企業そのものが見えるコンテンツが大事です。どんなところが作っているのか、どのような工程を経て作られたものなのかを伝えることでユーザーの信頼を得ることができます。
単純に商品ができあがるまでの工程を載せるのではなく、こだわりや思いなどユーザーの心に届くようなコンテンツを意識するとよいでしょう。人の手がかけられた商品なら、実際に作っている人の写真も載せるのもポイントです。オウンドメディアだからこそ、テキストや写真で詳しく商品への思いを届けることができます。
ECサイト一体型オウンドメディアの成功事例を3社紹介
オウンドメディアとして自社情報を発信しつつ、商品の販売もおこなっているECサイト一体型オウンドメディアの成功事例を3社紹介します。どのようなコンテンツが発信されているのかチェックしてみてください。
オリーブオイル キヨエ
株式会社バロックスが運営するオリーブオイル専門店「オリーブオイル キヨエ」。南オーストラリア産のオリーブジュース100%オイル<キヨエ>を販売しています。キヨエ・オリーブオイルがメイン商品です。食品や化粧品、石けんなどを展開しており、原材料のオリーブオイルの魅力をコンテンツで伝えています。
どこでどうやって作られているのかといった製造方法や商品の特徴、シーン別のおすすめギフト商品、商品を使用しているミシュランシェフの声など、ユーザーの持つ不安を一つひとつ解消できる情報を提供。オリーブオイル購入後に役立つレシピも紹介されており、購入後の使い方をイメージできるのも検討中のユーザーの背中を後押ししてくれます。
購入ボタンは控えめなので、焦らずじっくり検討することが可能です。一方ですぐに購入したいユーザーは商品一覧ページからスムーズに購入できます。新規・リピーターどちらのことも考えられているECサイト一体型オウンドメディアです。
oh my glasses オーマイグラスオンラインストア
オーマイグラス株式会社が運営するメガネに特化したECサイト「オーマイグラスオンラインストア」。国内外の有名メガネブランドを含む約8,000種類もの商品を取り扱っています。ECサイトからスタートして2014年には実店舗も展開。オリジナルブランドの展開や有名アスリートとのコラボレーションなど、大きな注目を浴びています。
ECサイトには「メガネ選びガイド」として、スムーズなメガネ選びをサポートする記事を掲載。メガネは実際にかけてみないと、どういったものが似合うのかイメージができない方も少なくありません。ユーザーがスムーズにメガネを選べるようにメガネの形状やフレームサイズ、レンズなど選び方のポイントが紹介されています。
ECサイトは購買意欲が強い層に向けたコンテンツを発信。ブログ形式の「メガネスタイルマガジンOMG PRESS」ではおすすめのメガネ店やメガネの知識、目の健康、メガネの修理・調整など情報収集をする層に向けたコンテンツを発信しています。他にもSNSでも情報が発信されており、複数のオウンドメディアを活用しています。
パンと日用品の店 わざわざ
長野県東卸市(とうみし)にある「パンと日用品の店わざわざ」は、手間のかかる薪窯にこだわったパンや焼菓子、国内外の暮らしの道具を販売しているお店です。
店主やスタッフ、地域の人々など人のぬくもりが感じられるコンテンツと確かな商品で人気店となり、2021年には年商3億円を達成。店舗・ECサイトの運営以外に、オリジナル商品の企画販売、古本・古物販売などつながりを感じられる事業を展開しています。
取り扱う商品の一つひとつを丁寧に紹介しており、ひとつの商品に対する写真の掲載量は多めです。素材感や着用イメージ、室内と屋外での色の変化などシチュエーションを変えた写真のおかげで手に取らずとも魅力が伝わってきます。商品づくりのこだわりやおすすめシーン、カラーバリエーションと合わせてコーディネートのおすすめなど、店員さんからリアルに接客を受けているような詳細な説明文が魅力です。
「わざわざの読み物」のカテゴリでは読み物として楽しめるコンテンツも豊富です。想いやこだわりがしっかり丁寧に伝わるオウンドメディアです。
ECサイトのオウンドメディア化で成功するためのポイント
ECサイト一体型オウンドメディアの成功事例をふまえて、成功するために気を付けてほしいポイントやコツをまとめました。コンテンツ制作やサイト導線を考える上で参考にしてください。
ターゲットを明確にする
コンテンツを制作するときは、ターゲットを明確に決めておくことが大切です。「どんな人に商品を知ってほしいか」「どんな人に買ってもらいたいか」「どんな人が購入を検討しているか」など決めてから、ECサイトの顧客情報とすり合わせます。想定したターゲットがどのような商品を購入しているのかがわかれば、ターゲットを絞ることが可能です。
取り扱いブランドが複数ある場合、ブランドごとにターゲットを決めておきましょう。年齢や性別、居住地などより詳しく設定できれば、アプローチする人物像を具体的にイメージしやすくなります。
情報は継続的に発信する
オウンドメディアを訪れたユーザーにファンになってもらうため、コンテンツは継続的に発信することが成功のコツです。しかし、制作を続けていると商品やサービスに関連する情報が尽きてしまうケースもあります。コンテンツが同じような内容にならないように、視点や方向性を変えたり、古い情報の記事をアップデートしたりすることも方法のひとつです。
基本的な情報や、企業がイチオシで伝えたい同種の情報を継続的に発信することも大事ですが、人は新しい情報を求めるものです。商品のリニューアルなど新しい情報を提供できるように心がけましょう。
関連記事など内部リンクを貼る
各コンテンツの下部に関連記事やおすすめの記事など内部リンクを設置しましょう。ユーザーがメディア内を巡回して滞在時間が長くなれば、商品やサービスに関する情報に触れる時間が長くなることから購買につながる可能性が高まります。
また、コンテンツが増えてきたら新しい記事と、過去にアップした埋もれがちな関連記事とで内部リンクをしあうことでアクセス数の偏りを防ぐことが可能です。関連記事をリンクしてユーザーに役立つ、より良い総合的なコンテンツを届けましょう。
SNSアカウントで更新情報を発信
新商品やコンテンツの更新情報をSNSで発信することで、オウンドメディアを認知していないユーザーにも知ってもらうきっかけを作ることが可能です。Facebookでは更新情報、Twitterではキャンペーン情報、Instagramでは商品の着用イメージなど各SNSの特性を生かした情報を発信します。
ECサイト一体型のオウンドメディアで成功をおさめている企業の中には、SNSの活用に尽力しているところもあります。チェックしてみてください。
行き過ぎた表現に注意する
SNSの拡散を狙った大げさな表現など、誇大広告によるネガティブなアクセス数の増加は、多くのユーザーに悪い印象を与えてしまいます。また、商品やサービスの押し売りをするようなコンテンツも再訪されることはないでしょう。
SNSの拡散やアクセス数を集めるには、良質なコンテンツを心掛けることです。ただし、商品やサービスを知る社員がコンテンツを作成した場合、より良く伝えたくて行き過ぎた表現になる可能性があります。掲載前に表現のチェックを行うなど注意してください。
SEOツールでアクセスデータを解析して改善に努める
コンテンツは公開したら終わりではありません。ユーザーがどのコンテンツにアクセスしているのか、どこからアクセスしてきたのか、アクセス数や自然検索からの流入キーワードなどを分析することが大事です。
SEOツールを導入してオウンドメディアのデータ解析を行いましょう。SEOツールにはGoogleアナリティクスなど無料ツールもありますが、機能性を重視するなら有料のSEOツールが便利です。オウンドメディア以外に競合サイトの分析などができます。ツールを使用して洗い出した問題点の改善に努めましょう。
オウンドメディアになる自社ECサイトを立ち上げよう
たくさんあるECサイトの中からユーザーに選ばれるには、検索意図をくみ取った情報の提供が大切です。ユーザー視点のメディアづくりを心掛けることで、「また来たい」「ここで買いたい」とファンを増やすことができます。
ECサイト一体型のオウンドメディアの分析には、Googleアナリティクスの「拡張eコマース機能」が便利です。ユーザーがアクセスしてから購入まで、メディア内をどのように動いたのかがわかります。
SEOツールのパスカルは検索順位やアクセス数、競合サイトの調査などが可能です。分析データはレポートとして複数人と共有できるため、外部ライターに発注する際もスムーズな情報共有ができます。社内業務の負担軽減につながるだけではなく、オウンドメディア運用のノウハウの蓄積によりコンテンツ制作の内製化を目指すことが可能です。