【2023年版】コンテンツマーケティング完全ガイド
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インターネットの発展に伴い、消費者が触れる情報量は劇的に増加しました。しかし、情報が多くなるにつれ、消費者は企業からの直接的な商品アピールなど、営業色の強い情報は嫌がる傾向にあります。このような背景の中、注目を集めるのがコンテンツマーケティングです。
コンテンツマーケティングでは、ユーザーにとって価値ある情報を提供し、認知度向上や集客などを目指す施策です。すでに多くの企業がコンテンツマーケティングを展開し、成果を挙げています。
しかし、これからコンテンツマーケティングに取り組む企業担当者の中には、実戦手順やポイントが分からない方もいるでしょう。本記事では、コンテンツマーケティング導入を検討している方に向けて、基礎知識や実践手順、成功・失敗事例を解説します。
なぜコンテンツマーケティングが必要なのか?
コンテンツマーケティングは、日本のみならず世界中の企業が取り組む定番のマーケティング手法となっています。なぜコンテンツマーケティングが必要となったのでしょうか。それは消費者の情報収集スタイルが変化したからです。以下では、コンテンツマーケティングの概要と必要になった背景について解説します。
そもそもコンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとは、ターゲットが求める価値をコンテンツとして発信し、潜在顧客にアプローチするマーケティング手法です。最終的には、購買意欲の醸成や問い合わせをしてもらうことなどを目的としています。コンテンツマーケティングで活用される主なコンテンツは、以下の通りです。
・ウェブ記事
・動画
・SNS/ソーシャルメディア投稿
・ランディングページ
・ニュースレター
・ホワイトペーパー
・ウェビナー
例えば、ターゲットを最近ワインに強い興味を持ち始めた男性とします。この男性は、ワインについての知識を深めようと思って、Googleでワインに関する検索をします。検索結果に表示されたサイトは、男性が知りたいワインについての知識が書かれており、男性はサイトのファンになるでしょう。
定期的に男性はサイトに訪問し、記事を読んでいると、サイト運営者がワインの販売をしていることに気づきます。男性は「このサイトの運営者が販売しているのだから購入してみよう」と考えるのです。
このようにコンテンツマーケティングでは、コンテンツを通して潜在顧客とコミュニケーションを取り、タッチポイントの構築から購買意欲の醸成までを行います。
▼コンテンツマーケティングの前提知識については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
コンテンツマーケティングが必要になった理由
消費者とのタッチポイントの構築や購買意欲の醸成をするマーケティング手法は多々ある中、なぜコンテンツマーケティングが注目されているのでしょうか。それは消費者の情報収集スタイルが変化したからです。
従来、テレビCMや印刷物の広告、電話勧誘などによって企業は消費者にアプローチしてきました。これは、消費者にとっては企業が発信したい情報を受け取る「受動的な情報収集スタイル」です。企業が発信したい情報を発信するマーケティング施策は、消費者の都合を無視しています。そのため、消費者の広告疲れや広告嫌いを引き起こしているのです。
しかし、スマートフォンの普及により、消費者の情報収集スタイルは変化しました。消費者はスマートフォンを活用し、いつでもどこでも、気になる情報を「能動的」に探すようになったのです。
消費者の能動的な情報収集スタイルと相性が良いのがコンテンツマーケティングです。コンテンツマーケティングと従来の手法の違いは、アプローチ方法にあります。コンテンツマーケティングでは、コンテンツを通して消費者が抱える課題や悩みを解決する情報を伝えます。そのため、消費者に興味を持ってもらえるのです。
スマートフォンやインターネットの発展により、消費者は見る情報を選べるようになりました。コンテンツマーケティングは、消費者に企業を選んでもらうきっかけを作ります。
コンテンツマーケティングのメリット・デメリット
コンテンツマーケティングは、多くのメリットをもたらす一方、知っておくべきデメリットもあります。メリット・デメリットを理解したうえで、実施するのか検討しましょう。以下では、コンテンツマーケティングのメリットとデメリットを解説します。
メリット
コンテンツマーケティングにおける、5つのメリットを見ていきましょう。
多くの潜在顧客にアプローチできる
コンテンツマーケティングでアプローチできるのは、課題の顕在層と潜在層です。Web広告でも顕在層へのアプローチはできますが、自身が抱えている課題が明確になっていない潜在層にまでアプローチするのは困難です。
コンテンツマーケティングは潜在層へのアプローチに有効な施策となります。例えば、「サイバーセキュリティとは」と検索したユーザーの中には、サイバーセキュリティの必要性を感じていない層がいるでしょう。
この層に、コンテンツを通してサイバーセキュリティの知識を伝えると、潜在層との接点を作れます。さらに記事を読むことで、サイバーセキュリティの必要性を実感する可能性もあるのです。
コンテンツマーケティングでは、市場に潜む多くの潜在顧客との接点を作り、ビジネスの機会を拡大できます。
信頼性を高められる
コンテンツマーケティングで、適切な情報の発信を続ければ、企業の信頼性を高められます。AIによる業務の効率化を目指す企業担当者が、Google検索でAI分野に関する情報収集をしているとしましょう。
担当者はあるブログを訪問し、必要な情報を得ます。後日、再び検索して、同じブログにたどり着き、満足のいくコンテンツ体験を得られたとしましょう。すると、担当者は「このブログは信頼できる」と考えて、AI導入の相談の問い合わせをするかもしれません。読者が求める価値や情報の提供を繰り返せば、信頼性が生まれるのです。
顧客ロイヤリティを高められる
顧客ロイヤリティとは、顧客がブランドやサービスに対して感じる愛着や信頼のことです。コンテンツマーケティングで、継続的に優れたコンテンツ体験を提供できれば、潜在顧客は企業に親しみを持つようになります。ロイヤリティの高い顧客の育成が可能となり、リピート率の向上や良い口コミによる集客効果などを見込めます。
広告依存の軽減
広告依存とは、集客の大半を広告に頼っている状態を示します。Web広告は、安価に出稿でき、多くの潜在顧客にアプローチできる魅力的な施策です。
しかし、広告を出稿し続けるためには、広告費を支払い続けなければいけません。結果的に、広告費が予算を圧迫する懸念があります。
また、広告依存に陥ることで、下記デメリットも生じます。
・自社サイトのアクセス数の低下
・アクセス数の低下が招く売り上げや集客効果の減少
自社サイトのアクセス数が低下し、その場しのぎで広告を出稿するという悪循環を防ぐためにも、広告以外の集客施策に取り組む必要があります。
コンテンツマーケティングは、広告依存の脱却に有効な施策の1つです。コンテンツマーケティングは資産性が高く、一度発信したコンテンツは情報価値が継続する限り、集客効果を発揮し続けます。
発信するコンテンツの数と比例して、顧客との接点を増やせるため、費用対効果の高い施策です。効果が出るまでに時間こそかかりますが、費用に左右されない安定した集客経路の構築ができるでしょう。
ブランディングができる
テクノロジーの発展により、製品の模倣が容易になった今、消費者は製品選定の際にブランドを重視します。ブランディングを実施すれば、消費者に選ばれるブランドの構築が可能です。
コンテンツマーケティングは、記事や動画、画像などの様々なフォーマットで発信できるため、ブランディングに最適な施策の1つです。例えば、創業の思いや製品開発秘話を発信すると、消費者の心に訴求できます。
デメリット
コンテンツマーケティングのデメリットを2つ解説します。
すぐに成果は出ない
コンテンツマーケティングで、すぐに成果を出すのは困難です。例えば、SEO対策を始めたばかりのころは、記事が上位に表示されない期間が続くでしょう。SNSマーケティングの場合、自社ブランドの知名度が低ければ、すぐにはフォロワーは集まりません。
このデメリットの対策には、即効性の高い施策を並行して推進することが有効です。例えば、検索結果画面の上部に表示できるリスティング広告は、即効性が高いです。リスティング広告とSEO対策を組み合わせれば、SEOからの流入が少ない期間は、リスティング広告でカバーできます。
効果測定が難しい
コンテンツマーケティングには、効果測定が難しい側面があります。集客について効果測定をする場合、ページビュー数が主な指標となるでしょう。しかし、コンテンツの閲覧数がどれだけのコンバージョンにつながっているのかを測定するのは困難です。
さらに言えば、コンテンツマーケティングでは良質なコンテンツを発信しなければいけませんが、コンテンツの品質は主観的な要素に強く影響されます。数値で測定はできないため、効果的な分析と改善が難しいでしょう。
ただし、コンテンツマーケティングで効果測定はできます。効果測定については、後述する「コンテンツマーケティングにおけるKPI設定」の項で詳しく解説します。
▼コンテンツマーケティングのメリットとデメリットについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。
主なコンテンツマーケティングの種類
コンテンツと一口にいっても、さまざまな種類があります。コンテンツマーケティングで成果を上げるためには、各コンテンツの特徴を理解したうえで、自社に最適なコンテンツを選ばなければいけません。以下では、主なコンテンツマーケティングの種類を5つ解説します。
オウンドメディア/ビジネスブログ
コンテンツマーケティングの代表格が、オウンドメディアの運営です。オウンドメディアの運営では、主にSEO対策をして、コンテンツの上位表示を狙います。課題の顕在層にアプローチできるため、新しい顧客の創出や購買意欲の醸成に有効です。
オウンドメディアは、安価で始められ、コンテンツが資産としてストックされます。オウンドメディアの運営においては、制作した記事をSNSやメールマガジンなどで拡散することがおすすめです。
動画
近年、注目を集めているのが動画コンテンツです。アライドアーキテクツ株式会社の調査(※1)によると、85.2%の会社員および経営者が「普段の業務において動画の重要性は増している」と回答しています。すでに動画コンテンツは、ビジネスにおけるメイン戦略にまで成長しています。
動画コンテンツの主な配信先は以下の通りです。
・公式SNSアカウント
・Webサイト
・オンライン展示会/オンラインイベント
・メールマガジン
動画コンテンツの活用法としては、商品や会社紹介、HowTo動画、プロモーション動画などが考えられます。動画コンテンツのメリットは、映像や言葉で訴求できるため、高いエンゲージメントを見込めることです。また、YouTubeやTikTokなどのプラットフォームに配信すれば、若い世代にもアプローチできます。
以前は、高クオリティの動画を作成するためには、専用機材が必要でした。しかし、テクノロジーの発展により、今ではスマートフォンで鮮やかな映像美の動画を作成できます。手軽に実施できるため、積極的に動画を活用したマーケティングに取り組みましょう。
※1 出典:【アライドアーキテクツ】企業のDX推進における動画活用の実態調査 2021
https://www.aainc.co.jp/news-release/2021/02211.html
ホワイトペーパー/eBook
ホワイトペーパーとは、自社商材や調査結果などをまとめたコンテンツを示します。ホワイトペーパーの目的は、見込み客の獲得や育成です。
ホワイトペーパーは、オウンドメディアで配布されるケースが多いです。オウンドメディアで配布すれば、確度の高い見込み客との接点を作れるだけではなく、顧客の連絡先も獲得できます。また、調査結果や専門家によるコンテンツをホワイトペーパーとして作成すれば、自社の信頼性アップも見込めます。
メールマガジン
SNSやチャットツールが普及した今でも、メールマガジンは有効な施策です。メールマガジンでは、メールを通して、読者に商品情報やブログ記事などのコンテンツを届けます。
メールマガジンを配信するためには、ユーザーの連絡先の取得が必要です。見方を変えると、メールマガジンに登録しているユーザーは、個人情報を渡すほど企業に興味関心を持っています。
そのため、メールマガジンは見込み客との接点の維持や購買意欲の醸成などを見込めるのです。メールマガジンの配信では、開封率とコンバージョン率を高められるかがポイントになります。
導入事例
BtoB企業でよく用いられるのが、導入事例やケーススタディの配布です。導入事例では、自社商材を活用した企業が、どのような課題を抱えていて、どのように自社商材を活用して課題を解決したのかをまとめます。
導入事例をダウンロードするユーザーは、製品の比較検討段階に位置し、自社製品の導入を検討しています。そのため、多くのコンバージョンを生み出す工夫が必要です。
▼コンテンツマーケティングの様々な種類については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
コンテンツマーケティングとSEOの違い
コンテンツマーケティングと混同されるのがSEOです。SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)とは、GoogleやYahoo!といった検索エンジンにおいて、コンテンツを上位表示させるための施策を示します。
SEOの実施にはコンテンツが必要なため、SEOはコンテンツマーケティングの種類の一つです。コンテンツマーケティングという大きなカテゴリーの中に、SEOやSNSマーケティング、メールマーケティングなどのさまざまな施策があると考えれば分かりやすいでしょう。
コンテンツマーケティングとSEOの違いは、適切に理解しておきましょう。2つの定義を混同した場合、顧客創出の機会損失へつながる懸念があるからです。もし「コンテンツマーケティング=SEO」と考えると、検索ユーザー以外にアプローチするのが難しくなります。
市場には、検索しないユーザーや課題の潜在層も多数います。SEOでアプローチできるのは、主に検索エンジンを使用する課題の顕在層です。SEOのみに注力した場合、多数の潜在顧客を失うリスクが生じます。
商品購入までに顧客がとる行動は多様化しています。だからこそ、購買プロセスにおける各ステージで顧客が求める情報を理解したうえで、適切なチャネルでコンテンツを発信しなければいけません。
コンテンツマーケティングの流れ
ここからは、コンテンツマーケティングを実施する手順を解説します。
コンテンツマーケティングにおける購買行動
購買プロセスは、以下6つのステージで構成されます。
・認知:ブランドや製品の存在を知る
・興味関心:ブランドや製品について関心を持つ
・比較検討:製品が欲しいと考え、比較検討を始める
・行動:製品の購入をする
・リピート:製品に満足しリピート購入をする
・応援:ブランドのファンになり、積極的にブランドを広める
コンテンツマーケティングでは、購買プロセスの各ステージにおいて、適切なチャネルを使用しなければいけません。例えば、自社認知が低い段階でメールマーケティングに注力しても、メルマガ登録者数が少ないため効果には期待できません。
購買プロセスの6つのステージごとに、最適なチャネルを活用し、最適なコンテンツを届けるようにしましょう。
STEP1:ペルソナ設定
コンテンツマーケティングでは、ユーザーが持つ課題や悩みを解決できるコンテンツを届けなければいけません。ユーザーの課題把握に役立つのがペルソナです。ペルソナとは、自社の理想の顧客像のことです。
ペルソナ作成時には、名前や年齢などのデモグラフィックデータと習慣や購買行動などのサイコグラフィックデータを設定します。具体的に一人の顧客をイメージできるまで、詳細に設定することがポイントです。
また、ペルソナは実在する顧客をベースに作成されるべきです。ブレインストーミングや思い込みで作成したペルソナは、実在しない顧客像であり、正確な課題や悩みの把握はできません。
ユーザーヒアリングやアンケート調査、自社データなどを活用してペルソナ作成をしましょう。
STEP2:伝えるメッセージを決める
ペルソナを設定したら、伝えるメッセージの軸を決めます。軸を決めることで、発信するコンテンツ内容が定まるのです。例えば、MA(マーケティング・オートメーション)ツールの販売企業なら、マーケティングがメッセージの軸となるでしょう。
その派生コンテンツとして、メールマーケティングやSNSマーケティングなどが考えられます。さらに、SNSマーケティングを深堀りすると、InstagramやYouTubeマーケティングなどに関するコンテンツが出てきます。
このようにメッセージの軸が決まれば、発信するコンテンツ内容が判明します。
STEP3:カスタマージャーニーマップを作成する
購買プロセスのステージごとに、ユーザーが抱える課題やニーズは異なります。ステージに応じて適切なコンテンツを発信するためにも、カスタマージャーニーマップを作成しましょう。
カスタマージャーニーマップとは、製品購入までに至る顧客の行動や心理を一覧化したマップのことです。カスタマージャーニーを作成すれば、各購買プロセスにおけるペルソナの課題とニーズを効率よく把握できます。
下記は、カスタマージャーニーマップの例です。
【ペルソナ:チャットツールを導入したい企業担当者】
フェーズ | 行動 | 思考 | タッチポイント |
認知 | ・Google検索 ・SNS |
・良いチャットツールを導入したい | ・オウンドメディア ・SNS ・口コミ |
興味関心 | ・Google検索 | ・このチャットツールが良さそう ・どのような機能がある? |
・オウンドメディア ・SNS ・口コミ |
比較検討 | ・他社製品との比較 ・口コミチェック |
・自社に最適? ・他にはどのようなチャットツールがある? |
・オウンドメディア ・口コミサイト ・ホワイトペーパー ・事例集 |
行動 | ・オウンドメディアからの問い合わせで購入 | ・自社に最適なチャットツールを導入できた ・でも、上手く運用できないかも |
・オウンドメディア ・メールマガジン ・事例集 |
リピート | ・ワンランク上のプランにアップグレード | ・サポート支援のおかげで上手く導入できた ・製品の範囲を拡大して、さらなる効果を得よう |
・営業 ・カスタマーサポート |
応援 | ・SNSや口コミサイトに書き込み | ・製品に大満足だからレビューを書こう | ・SNS ・口コミサイト |
このようにカスタマージャーニーマップを作成すると、ペルソナの行動や思考を可視化でき、各購買プロセスで注力すべきタッチポイントと伝えるメッセージを効率よく理解できます。
カスタマージャーニーマップについては、以下の記事もご参照ください。
カスタマージャーニーが古いと言われる理由は? ペルソナとマップの作成方法も解説
カスタマージャーニーマップ作成にはツールが便利! おすすめのツールや活用事例をご紹介
STEP4:メディアを決める
コンテンツマーケティングの施策種類は、SEOやSNS、メールマガジン、ホワイトペーパーなどさまざまです。購買プロセスや業種、伝えるメッセージにより、最適なコンテンツは異なります。
例えば、BtoB企業が認知や興味関心段階の潜在顧客にアプローチするためには、SEOとSNSなどが有効なタッチポイントです。しかし、SNSの中でも画像で訴求するInstagramは、BtoBとの相性はよくありません。そこで、SEOとリスティング広告、Twitterなどでの集客施策が現実的となるでしょう。
「この段階におけるペルソナは、どのような情報を求めているのか」や「どのコンテンツを使えば、メッセージを適切に伝えられるか」などを考えて、適切なコンテンツの選択をしましょう。
コンテンツマーケティングにおけるKPI設定
KPI | 概要 |
セッション数 | ユーザーがWebサイトを訪問した回数 |
PV数 | 指定のページの閲覧数 |
検索順位 | 検索結果画面に表示される順位 |
滞在時間 | Webページの滞在時間 |
PVあたりのリード獲得数 | PVあたりにおけるホワイトペーパーや事例集などのダウンロード回数 |
メールマガジンの反応率 | メールマガジンの開封数やクリック数 |
SNSのエンゲージメント率 | SNSにおける「いいね」や「拡散」、「返信」などの割合 |
上図は、コンテンツマーケティングにおける主なKPIをまとめた表です。コンテンツマーケティングの実施においても、効率的な分析と改善を行うため、KPIの設定は欠かせません。
コンテンツマーケティングは成果が出るまでに時間のかかる施策だからこそ、運用フェーズによって適切なKPIを設定する必要があります。以下では、オウンドメディアの運営を例に、KPIの設定例を解説します。
オウンドメディア立ち上げから1年
オウンドメディアの立ち上げから1年までは、検索からの流入数が少ないという状況が殆どでしょう。訪問者の数が少ないため、このフェーズにコンバージョン数や売り上げアップなどをKPI設定しても、期待した成果にはつながりません。
立ち上げ期には、多くのユーザーを集める集客に注力しましょう。そこで、下記のKPIを設定することがおすすめです。
・セッション数
・PV数
・検索順位
コンテンツマーケティングで成果を出すには、時間がかかります。しかし、開始して数か月間成果が出なければ、社内理解を得るのが難しくなる恐れがあります。そこでスモールウィン(小さな成功)に注力しましょう。
具体的には、検索ボリュームが少ないキーワードを中心にコンテンツ制作します。上位表示させる難易度が低いため、スモールウィンに最適です。立ち上げ段階で検索順位の高い記事をいくつか作成できると、社内の理解を得られ、モチベーションの向上にもつながります。
オウンドメディア立ち上げから6ヶ月~2年
高品質の記事作成を続ければ、立ち上げから6か月ほどで成果が出てきます。メディアへの流入が増えてきたら、コンバージョンを意識したKPI設定をしましょう。具体的なKPIは以下の通りです。
・滞在時間
・再訪率
・キラーコンテンツへの遷移数
それぞれのKPIについて見ていきましょう。
滞在時間
滞在時間を見ることで、ユーザーに記事が読まれているかどうか確認できます。滞在時間が短い場合、ユーザーは記事を最後まで読んでいません。つまり、キラーコンテンツへの遷移や問い合わせなどへのコンバージョンにつながらないのです。そのため、滞在時間が長くなるように、リライトに取り組みましょう。
再訪率
再訪率とは、はじめてオウンドメディアに訪問したユーザーのうち、再度訪問してくれたユーザー数の割合です。再訪率は、ユーザーが求める情報を提供することで高まります。
再訪率を高めるのは簡単ではありません。しかし、ユーザーとの信頼関係の構築や購買意欲の醸成をするためにも、再訪率アップに注力することは大切です。
キラーコンテンツへの遷移数
コンテンツマーケティングにおけるキラーコンテンツとは、コンバージョンやサービスページへの遷移を目的にしたコンテンツです。下記は、キラーコンテンツの具体例です。
・自社他社比較ページ
・製品プラン比較ページ
・事例ページ/ユーザーインタビュー
・口コミ評判まとめページ
・見積もりシミュレーション
オウンドメディアの立ち上げからしばらくすると、Googleアナリティクスに情報が蓄積されます。コンバージョンユーザーの多くが閲覧しているページをリストアップし、コンバージョン直前のユーザーの悩みを特定しましょう。
例えば、コンバージョンユーザーの多くが導入事例ページを見ている場合、ユーザーは「事例を見て、具体的な活用イメージをつかみたい」といったニーズを持っていると推測できます。この推測に基づき、具体的な活用方法を解説したキラーページを作成します。
キラーページへの遷移が増えれば、コンバージョンにつながる確率も高まります。滞在時間のアップやCTAの設置位置などを工夫しましょう。
オウンドメディア立ち上げから1年以上
オウンドメディアの立ち上げから1年以上経てば、運用体制は整い、安定した流入も見込めるでしょう。この状態になって、コンバージョンをKPIに設定します。コンテンツマーケティングにおける主なコンバージョンは以下の通りです。
・問い合わせ
・資料請求
・メールマガジン登録
・ホワイトペーパーダウンロード
・資料/事例集ダウンロード
・無料トライアル申し込み
・会員登録
・購入
コンバージョンは自社ビジネスに適したものを設定しなければいけません。
例えば、購買プロセスが長いBtoBや高額商材においては、オウンドメディアから直接購入する顧客は少ないです。徐々に購買意欲を醸成するためにも、問い合わせや資料請求、メールマガジン登録などが最適なKPIとなります。
コンバージョンをKPIに設定しても、ユーザーが求める価値の提供を心がけましょう。営業色が強いコンテンツになると、ユーザーが離れてしまいます。
ユーザーに価値を提供した結果としてコンバージョンが誕生します。そのことを常に意識して、コンテンツマーケティングに取り組みましょう。
▼コンテンツマーケティングにおけるKPIについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
戦略的にコンテンツマーケティングを実施するポイント
コンテンツを発信するだけでは、期待した成果にはつながりません。早く成果を出すためにも、コンテンツマーケティングは戦略的に取り組む必要があります。以下では、戦略的にコンテンツマーケティングに取り組むポイントを解説します。
ユーザー視点を徹底する
コンテンツマーケティング成功のカギは、どれだけユーザー視点を徹底できるかどうかにあります。コンテンツマーケティングの魅力は、自社が発信する情報をユーザーに自発的に選んでもらえることです。
しかし、企業が一方的に発信したい情報を発信すると、ユーザーには選ばれません。コンテンツマーケティングでは、ユーザーにとって価値がある情報発信をすることで、企業に興味を持ってもらえます。
顧客理解が重要だからこそ、事前に一次情報をもとにしたペルソナ作成をしましょう。
月ごとにテーマを設定する
月ごとにコンテンツテーマを設定すれば、コンテンツに統一感が出たり、トピックの深堀ができたりします。例えば、全体のテーマがマーケティングならば、3月は「メールマーケティング」について、4月は「Instagramマーケティング」についてコンテンツ発信をしましょう。
特に、月ごとのテーマ設定はトピッククラスターと相性が良いです。トピッククラスターとは、オウンドメディアのコンテンツを戦略的にまとめ、各記事やコンテンツ群のSEO評価を高める手法です。
トピッククラスターでは、ピラーページ(まとめ記事)にクラスターコンテンツ(個別記事)を内部リンクで設置します。分かりやすく言えば、今読まれている本記事が「コンテンツマーケティング」というトピックのピラーページであり、本ページで内部リンクで設置している記事がクラスターコンテンツです。
コンテンツカレンダーを作成すれば、効率よくトピッククラスターに取り組め、SEO効果の早期創出を見込めます。また、月ごとに発生する作業量の可視化もでき、リソース配分の最適化にもつながります。
PDCAを徹底する
コンテンツ品質の高い・低いという判断は主観によるところが大きいです。しかし、数字で測れば客観的な評価をできるようになり、効率よくコンテンツの改善ができます。
例えば、SEO対策の場合だと、検索順位やページビュー数、キラーページへの遷移数などで品質を判断しましょう。SNSだと、いいねやリツイートなどのエンゲージメントが判断基準となります。
GoogleスプレッドシートやExcelなどに、パフォーマンスの良いコンテンツと悪いコンテンツをまとめ、共通項を見つけます。良い共通点は積極的に取り入れるようにし、悪い共通点は避けるようにしましょう。
数字に基づいたコンテンツ分析と改善を繰り返せば、効率よく成果へとつなげられます。
外部ライターを起用する
コンテンツマーケティングの実施においては、運用体制の構築も必要です。インハウス(内製化)も可能ですが、社員の負担を減らしつつ、効率よく運営するためにも外部の協力を得るのがおすすめです。
多くの企業は、記事執筆を外部ライターに依頼しています。記事執筆は時間のかかる作業であり、SEOやWebライティングスキルなども求められるため、外部のプロに任せたほうが効率的だからです。
外部に依頼する場合は、役割分担を明確にしましょう。例えば、記事品質に大きな影響を与える構成案は自社で作成し、外部ライターには執筆と入稿作業を依頼するなどです。
外部リソースを上手く活用すれば、コンテンツ品質を保ちつつ、効率よく施策を推進できます。
社内資産を有効活用する
コンテンツマーケティング実施の際、まず行っていただきたいのが社内の資料チェックです。一次情報や独自見解を含んだ社内資料は、競合との差異化となる有益なコンテンツになれる可能性を秘めています。
過去のメールマガジンやセミナー資料、調査レポートなどを確認しましょう。見込み客にとって有益で、競合にはない独自性のある情報は社内に眠っています。社内資産は少し手を加えるだけで、SEO記事やホワイトペーパーなどの立派なコンテンツになります。
しかし、社内資産の活用となると、競合の模倣や既存顧客からの反発などが不安になる方もいるはずです。大切なことなので何度も繰り返しますが、コンテンツマーケティングでは自社価値の惜しみない提供が重要です。
顧客に価値を提供することで、信頼関係を構築でき、顧客はコンバージョンを起こして、あなたに価値を渡してくれます。コンテンツマーケティングの実施を考えたら、まずは社内の資料を集め、有益なコンテンツへと変換しましょう。
▼コンテンツマーケティング運用時の様々な戦略については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
コンテンツマーケティングの施策例
コンテンツマーケティングの基礎知識や手順を理解したところで、「認知・興味関心・比較検討・商談・アフターフォロー」の各購買プロセスにおけるコンテンツマーケティングの施策例を見ていきましょう。
認知
認知度向上に有効なコンテンツは、オウンドメディア(SEO)やSNS、リスティング広告です。予算やリソースが限られていると仮定すると、導入ハードルが低く、コンテンツが資産になるオウンドメディア運営をメインの施策とします。
オウンドメディアで記事制作をして、Google検索結果画面の上位表示を狙いましょう。同時にSNSやメールマガジンの運用で、作成した記事を拡散します。これによりオウンドメディア立ち上げからしばらく続く、少ない流入をカバーします。
また、予算に余裕がある場合は、オウンドメディアの立ち上げから数か月はリスティング広告も同時運用するのがおすすめです。オウンドメディアのみに頼った場合、効果が現れ始めるまで、新規顧客の創出がストップしてしまいます。
リスティング広告は、継続的な費用こそ発生しますが、効果の即効性を見込める有効な施策です。安定した流入が見込めるまでは、リスティング広告やSNS広告に頼りましょう。
興味関心
オウンドメディアの運用開始から数か月後、徐々に流入が増加するでしょう。サイト内への流入が増えたら、潜在顧客の興味関心を高める施策を推進します。具体的な施策例は以下の通りです。
・ホワイトペーパー/ebook
・セミナー/ウェビナー
・資料
・メールマガジン
優れたホワイトペーパーや資料を用意したとしても、ダウンロードされなければ意味がありません。そこで記事からコンテンツダウンロードまでの流れをスムーズにします。例えば、コンテンツダウンロードのCTAを記事の上部・中部・下部に設置、CTAの文言やバナーデザインの改善などをしましょう。
コンテンツ体験を最適化すれば、コンバージョン率が高まります。Googleアナリティクスやヒートマップツールなどを活用し、サイト内の分析と改善に注力しましょう。
比較検討
オウンドメディアからコンテンツをダウンロードしてくれた潜在顧客の購買意欲を高めます。比較検討段階における潜在顧客に対しては、一度構築した関係性の維持に注力しましょう。
顧客は毎日、膨大な情報に触れているため、関係性の維持を怠ればすぐに自社を忘れてしまいます。そこでメールマガジンやSNSを活用し、顧客にセミナーやホワイトペーパー、ブログの更新情報などの案内をしましょう。
注意点は、営業色を強く出さないことです。この段階における顧客に対して、企業はついつい多様な知らせを届けてしまう傾向にあります。しかし、興味のない知らせばかり届くと、顧客の興味関心は薄れてしまいます。
あくまでも、顧客にとってメリットがあるコンテンツを届けるようにしましょう。
商談
興味関心が高まったリードは商談の申し込みをします。しかし、熱量の不一致や検討段階により、商談が上手くいかないケースは少なくありません。このリスクを防ぐためには、インサイドセールスの構築が有効です。
インサイドセールスとは、電話やメールなどを活用し、遠隔で営業活動をする手法を示します。訪問の必要がないため、「問い合わせを受けた日の午後からオンラインミーティング」などの顧客の熱量が高いうちに購買意欲の醸成ができます。
また、確度の高い見込み客に優先順位をつけて営業に回すことも可能です。インサイドセールスを導入すれば、業務の効率化とコンバージョンの最大化を実現できます。
無事に見込み客を営業にパスしたら、営業と情報共有を行いましょう。顧客の興味関心が強いトピックや抱えている課題などを共有することで、営業は受注の可能性を高められます。
アフターフォロー
顧客が製品を購入したら関係性は終わりというわけではありません。新規顧客の獲得が困難になった現在においては、顧客と長期的な関係性を構築し、製品のリピートやアップセル/クロスセルをしてもらう必要があります。
顧客と長期的な関係性を構築するためには、顧客の成功を徹底的に支援しましょう。製品を購入したものの、価値を得られなければ、顧客は途中解約をするためです。顧客の成功支援のためにコンテンツマーケティングができることは、成功事例集の配布や活用セミナーの開催などです。
成功を実感した顧客は、製品を継続利用するだけではなく、上位製品へのアップグレードや関連製品の購入、良い口コミの創出などをしてくれます。新規顧客の創出と同じくらい、既存顧客の維持に注力しましょう。
コンテンツマーケティングの成功事例
ここからは、コンテンツマーケティングでオウンドメディアを活用した成功事例2選、YouTubeの活用に成功した事例を1つ解説します。
イケウチな人たち。
IKEUCHI ORGANICは、1953年創業の老舗タオルメーカーです。同社は、従業員や職人の人柄、タオルづくりに込める思いを伝えるために、オウンドメディア「イケウチな人たち。」の運用を開始します。
「イケウチな人たち。」では、従業員や取引先のクライアントなどに焦点を当てています。そのため、PVやコンバージョンはKPIに設定していません。しかし、売り上げ目標や事業への貢献は必要なため、法人の問い合わせ数や波及効果など複数の指標を確認しているそうです。
タオルづくりにかかわる人たちのリアルな声を届けることで、同社の哲学を伝えられ、ブランドの形成に成功しました。
オウンドメディアの運営前は40〜50代の顧客がメイン層でしたが、運営後は20〜30代前半の顧客も増えています。また、認知度や採用、ブランディング面においても良い効果をもたらしています。
▼イケウチな人たち。
https://ikeuchinahito.com/
グロービスキャリアノート
グロービス経営大学院は、2020年4月にオウンドメディア「グロービスキャリアノート」を立ち上げます。ターゲットは20代半ばから30代前半の若手ビジネスパーソンであり、潜在層にアプローチすることが運営の目的です。
グロービスにはビジネスパーソンの能力開発やキャリア支援で得た深い知見があり、ユーザーの課題を解決するSEO対策との相性は良いです。
オウンドメディアの運用に当たり、同社は施策のトライアル回数をKPIに設定します。また、日々の業務の中でコンテンツマーケティングを効率よく実施するために、1年間の行動計画を立てているのも特徴です。
記事の作成手順においても2つの工夫が見られます。1つ目がグロービスの在校生や卒業生にライティングのサポートをしてもらうことです。
2つ目が編集長が作成した構成案をもとに、音声メディアVoicyにおける自社チャンネルでテーマについて話してもらい、その内容を記事化することです。音声メディアの活用により、専門知識がありながらもライティングが苦手な人でも、記事の作成に貢献できました。
また、SEO施策においては、月間検索数が多いテーマでの上位表示狙いに振り切っています。その結果、1コンテンツ当たりの集客力の最大化に成功し、メディアの急成長を実現しているのです。
SEO施策を開始してから1年ほどでPV数を約18倍、サービスサイトへの送客数を約50倍にまで伸ばすという大成功をおさめています。
▼グロービスキャリアノート
https://mba.globis.ac.jp/careernote/
GoPro
YouTubeでのコンテンツマーケティングの代表的な成功企業が「GoPro Inc」です。2022年6月時点で、同社のYouTubeチャンネルには1,060万人の登録者がいます。
同社の人気コンテンツは、日常生活では体験できないスポーツやシーンに焦点を当てた動画です。その一方、日常生活で同社の製品を使用した動画も多数配信しています。日常生活に焦点を当てた動画をアップロードすることで、一般ユーザーに製品の活用イメージを与えています。
また、同社はチャンネルの概要欄にストアも開設しています。動画で製品購入に興味を持ったユーザーは、YouTubeから離脱することなく、スムーズに製品購入ができるのです。そのほかにも、ユーザー参加型のコンテストを開催し、エンゲージメント率を高めるなどの工夫が多々見られます。
▼YouTube GoProチャンネル
https://www.youtube.com/c/GoPro
▼コンテンツマーケティングの成功事例や成功のポイントについては、あわせてこちらの記事もご覧ください。
コンテンツマーケティングの失敗事例
コンテンツマーケティングの運用ポイントは、失敗事例からも学べます。以下では、コンテンツマーケティングの失敗事例4選を解説します。
自社商材と関係のないコンテンツ制作
コンテンツマーケティングの目的は、コンテンツを通して顧客と信頼関係を構築し、最終的には自社商材を購入してもらうことです。そのため、自社に関連のあるコンテンツを発信しなければいけません。
例えば、保険会社が化粧品に関する記事で1位表示に成功したとしましょう。大きな集客効果こそ得られますが、ユーザーの大半は化粧品に興味関心を持っています。結果、コンバージョン率は大きく低下してしまうのです。
コンテンツマーケティングのターゲットを設定する際は、自社商材で解決できる悩みや課題を抱えている層を想定しましょう。そうすれば、自然と自社商材と関連性の高いトピックを選定できます。
また、コンテンツ作成の際は、自社商品が魅力的に見えるような内容を意識すると、コンバージョン率のアップが見込めます。自社商品ならではの強みを伝えたうえで、ユーザーの悩みを解決できると伝えると、スムーズにCTAへの誘導が可能です。
自社が発信したいコンテンツを作成している
自社が伝えたいコンテンツを発信するのは、コンテンツマーケティングの大きな間違いです。コンテンツマーケティングの主役は、企業ではありません。顧客が主役です。
コンテンツマーケティングは顧客に自社情報を選んでもらう施策だからこそ、顧客が求めるコンテンツを提供する必要があります。どれほど優れたコンテンツを制作しても、顧客が価値を実感しなければ、成果にはつながりません。
コンテンツを作成する際は、テーマや内容はもちろん、言い回しなども顧客目線でできているか徹底しましょう。
例えば、「社内のITレベルが低い」という言い回しだと、それが事実だとしても顧客は反感を覚える懸念があります。そのため、「社内にITに精通した人材が少ない」などの顧客目線での言い回しが必要です。
コンテンツ制作者だけでは、徹底した顧客目線は難しいため、複数メンバーにコンテンツの確認をしてもらいましょう。
分析と改善をしていない
売り上げやブランディングなどに貢献をしなければ、社内の理解を得られずに、コンテンツマーケティングは途中で終わってしまいます。KPIを達成するためにも、定期的な分析と改善が重要です。
コンテンツマーケティング開始当初は、分析に必要なデータを集めるためにも、様々な施策に取り組みましょう。データが蓄積されたら、定期的に分析をし、施策への反映やリライトなどをします。
逆に良いコンテンツでも改善をしなければ、コンテンツの品質が落ちる可能性があるのです。例えば、SEOで上位表示できた記事を放置すると、時間の経過とともに記事内の情報鮮度が落ちます。結果、古い情報を取り扱っている記事となり、順位が大幅に下落するでしょう。
分析と改善の繰り返し、および必要に応じて定期的にリライトをして、コンテンツの品質を高めることが重要です。
媒体が適していない
コンテンツを発信する媒体によって、成果は大きく左右されます。例えば、SNSと一口に言っても、TwitterやFacebook、Instagram、TikTokなどさまざまあります。
BtoBや無形商材は、画像で訴求するInstagramとの相性が悪く、期待した成果につながりにくいです。そのため、文字での発信が中心となるTwitter、意思決定者が多数いるLinkedInなどが最適なプラットフォームとなります。
このように、各媒体の特徴を理解したうえで、自社商材と相性のいい媒体を選ぶ必要があります。
コンテンツマーケティングの効率化を支援するツール7選
最後に、コンテンツマーケティングの効率化を支援するツールを7選紹介します。自社に最適なツールを用いて、効率よくコンテンツマーケティングを実施しましょう。
ラッコキーワード
ラッコキーワードは無料で使えるキーワード分析ツールです。GoogleやYouTubeなどのサジェストワード調査、共起語抽出などができます。
使い方は簡単です。調査したいキーワードを入力すると、瞬時に必要な情報が抽出されます。ラッコキーワードは、コンテンツマーケティングにおけるキーワード選定で重宝するでしょう。
サジェストワードとは、キーワードと一緒に検索されやすいキーワードのことであり、ユーザーの知りたい情報を示します。サジェストキーワードを活用すれば、キーワード選定の効率化や網羅的なコンテンツ作成ができます。
ラッコキーワードの基本機能は無料で使えます。有料版に加入すると、より多くのサジェストワードの取得やリアルタイムでの検索ボリュームデータの取得が可能です。まずは無料で試し、必要に応じて有料プランへ申し込みましょう。
▼ラッコキーワード
https://related-keywords.com/
ラッコツールズ
ラッコツールズは、文字数カウントやリンク抽出などのコンテンツマーケティング業務を効率化するさまざまな機能を無料で提供するサイトです。数あるツールの中でも、特におすすめなのが「見出し抽出」です。
見出し抽出では、指定キーワードの検索結果に表示される上位10サイトの見出しを抽出できます。SEO施策においては、競合分析が欠かせません。競合分析をすることで、ユーザーニーズの把握や求められる記事ボリュームなどの推測ができるためです。
しかし、競合サイトを1つずつ訪問してコンテンツを確認するのは、時間がかかります。見出し抽出を使えば、競合の見出しを瞬時に抽出できるため、競合分析の効率化が可能です。
▼ラッコツールズ
https://rakko.tools/
Googleアナリティクス
GoogleアナリティクスはGoogleが公式に提供しているアクセス解析ツールであり、無料で使用できます。Googleアナリティクスを使えば、自社サイトに訪問した人の属性や流入経路、サイト内での行動を追跡できます。
Googleアナリティクスを使うメリットは、サイトに訪問したユーザーの可視化と行動分析により、コンバージョンにつなげる施策を効率的に立案できることです。
例えば、コンバージョンユーザーの多くが特定のページを閲覧していた場合、そのページをキラーコンテンツとして設定できます。また、流入元が多いチャネルに注力すれば、さらに多くのユーザーを得られるでしょう。
Googleアナリティクスの使用には、トラッキングIDの取得とWeb:サイトへの設置が必要です。オウンドメディアを立ち上げたら、まずはGoogleアナリティクスの設定をしましょう。
▼Googleアナリティクス
https://analytics.google.com/analytics/web/provision/#/provision
MIERUCAヒートマップ
ヒートマップとは、Webサイト上のユーザーの動きを色の濃淡で可視化するツールです。人間の目と相関関係のあるマウスの動きを追跡して、ヒートマップは作成されます。よく見られている個所やクリックされている箇所は濃く、見られていない箇所は薄く表示されるのです。
ヒートマップを活用すれば、以下の項目を分析できます。
・熟読エリア
・終了エリア
・クリックエリア
例えば、ヒートマップによってCTAの設置個所が薄く表示されたとしましょう。この場合、CTAの設置位置が原因でコンバージョン率が低いという仮説を立てられ、熟読やクリックされている箇所にCTAを移動する改善策を試せます。
サイトデザインやCTA、コンテンツ構成の最適化に重宝するツールです。
▼MIERUCAヒートマップ
https://mieru-ca.com/heatmap/
ABテストツール
ABテストとは、要素が1つ異なる2パターンのコンテンツを用意し、パフォーマンスの高いコンテンツを特定する分析手法です。ABテストの目的は、成果につながる要因を特定することです。
メールマガジンやリスティング広告などでABテストが用いられます。リスティング広告の場合、広告タイトルや見出しなどを変更するだけでも、クリック率が大きく変わります。ABテストを実施すれば、最適なクリエイティブの作成ができ、高いコンバージョンを見込めるのです。
ABテストツールを使えば、簡単にABテストを実施できます。
▼Googleオプティマイズ(代表的なABテストツール)
https://marketingplatform.google.com/intl/ja/about/optimize/
文賢
文賢は、有料の文章作成アドバイスツールです。推敲や校閲、文章表現、不快語など100を超える視点で文章チェックをします。そして、より良い文章にするための提案がなされます。
ユーザーはクリックで提案の「承認/拒否」をするだけで、分かりやすくて読みやすい文章を作成できるのです。そのほか、カスタム辞書の設定やオリジナルの文章表現の追加など、コンテンツ作成に便利な機能が豊富にそろっています。
▼文賢
https://rider-store.jp/bun-ken/
パスカル
パスカルは、コンテンツマーケティングとSEOの大幅な作業効率化を支援するツールです。SEOの実施には、キーワード選定や競合分析、コンテンツ構造の最適化など対応すべき項目が多々あるため、多くの時間がかかってしまいます。また、Googleアルゴリズムによって、結果が大きく変動する難しさもあります。
パスカルは、順位影響が強い50項目を統計分析し、キーワードごとに検索上位表に必要な条件やコンテンツ内容を提供するのです。キーワード選定や競合分析などの効率化と最適化ができるため、初めてのコンテンツマーケティングでも最短距離で成果につなげられます。
▼パスカル
https://www.pascaljp.com/
▼コンテンツマーケティングで活用できるツールについては、あわせてこちらの記事もご覧ください。
コンテンツマーケティングで重要なのはユーザー目線
コンテンツマーケティングについて網羅的に解説しましたので、ポイントや運用イメージを掴んでいただけたのではないでしょうか。コンテンツマーケティングでは、短期的に成果を出すのが困難だからこそ、適切な運用体制の構築やKPI設定をして、中長期にわたって取り組む必要があります。
コンテンツマーケティングの種類は多々ありますが、まずはオウンドメディアの運用がおすすめです。オウンドメディアを使ったSEO対策は、低コストで実施できるうえ、コンテンツは資産として効果を発揮し続けます。また、自社資料をブログ記事やホワイトペーパーなどに活用できる点も魅力です。
どのコンテンツマーケティングに取り組むとしても、常に顧客目線は意識しましょう。「顧客はどのような課題を抱えているのか」や「顧客が求める価値を提供できているだろうか」など検討しながら、コンテンツの作成と発信をすれば、成果につながります。
まずはコンテンツマーケティング実施の必要性を検討しましょう。コンテンツマーケティングの実施が決まれば、本記事を参考に顧客に価値を与えることに注力してください。