カスタマージャーニーマップに欠かせないペルソナの作成方法

コンテンツマーケティングに欠かせないカスタマージャーニーマップですが、カスタマージャーニーマップを作る上で欠かせないのが「ペルソナ」です。

ここでは、ペルソナで設定する項目や設定におけるポイント、注意点などをご紹介します。

カスタマージャーニーマップにおけるペルソナとは

カスタマージャーニーマップをこれからはじめて作るという方は、作り方を含め、何から始めたら良いかわからないことでしょう。

カスタマージャーニーマップを作るときに第一にするべきことがペルソナの設定です。

ペルソナの設定は、ターゲットをある一人の顧客に絞り込み、ペルソナが選択すると思われる行動や、抱く感情などを想定し、それらをマーケティング戦略のヒントにしていくことで、より生産性の高いマーケティング活動を行うためのものです。

特に、コンテンツマーケティングにおいては、ターゲットとなる顧客に対して、どのようなコンテンツを届けるべきかを考えるとき、このペルソナ設定が無ければ仮説を立てることすらできません。

マーケティングに戦略に欠かせないカスタマージャーニーマップを作る上でもペルソナ設定は必須となります。

カスタマージャーニーマップについての詳しい情報は、以下の記事でもご紹介していますので、参考にしてください。

カスタマージャーニーマップでのペルソナの重要性

カスタマージャーニーマップでは、ペルソナの設定が必須です。

その理由は、カスタマージャーニーマップは「顧客が購入するまでの旅をマップ化」することが必要であり、それには旅の主人公である「ペルソナ」が欠かせないからです。

ペルソナを設定することで、カスタマージャーニーマップにおける「接点ポイント」や「顧客の感情」「顧客の行動」の仮説を立てやすくなり、マーケティング戦略を成功に導きやすくなります。

ターゲットとペルソナの違い

ターゲットとペルソナの大きな違いは、「想定する顧客の人数」です。

ターゲットは地域や年齢など属性をひとまとめにしたものにしているため、例えば、「東京港区の住人」「20代前半の若者」「40代のOL」など属性×属性のように属性を組み合わせた複数人を指すことが多いですが、ペルソナはたった一人の顧客を想定し、属性もターゲットよりも多く設定します。

20代の若者というターゲットは、全国で1,271万人(令和211月調べ)※1となっており、その数は膨大ですが、ペルソナで設定するターゲット像はたった一人となるため、具体的な人物像に仕立てることができます。

ターゲットの数は多い方が良いという考えを持つ方もいると思いますが、昨今の消費者行動は、一人一人のニーズが多様化しており、属性だけでひとまとめにしたターゲットから作られた施策では、多くの顧客のニーズを満たせない可能性があり、問い合わせにもつながりにくい可能性があります。

一方、ペルソナ設定した場合には、一人の顧客に焦点を絞ったマーケティング戦略が打ち立てられるため、軸がブレることが少ないのが特長です。

1 参考資料:総務省統計局 人口推計より(https://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/202011.pdf

ペルソナを設定するメリット・デメリット

ここで、ペルソナ設定をするメリット・デメリットについて見ていきましょう。

ペルソナのメリット

ペルソナ設定をする代表的なメリットを見ていきましょう。

1.ユーザー像を共有できる

一つ目のメリットは、ユーザー像を共有できるという点です。

ペルソナ設定の作業をチームで行う場合、現場のスタッフや企画室、本部スタッフなど、さまざまなスタッフの意見を聞くため、ターゲットを「20代の若者」という属性だけで想定すると、あるスタッフは23歳の女性を想像し、あるスタッフは29歳の男性を想像することがあります。このような場合、マーケティング戦略に一貫性がなく成果を得ることが難しくなります。

ペルソナ設定は、ある特定の一人に絞り込みをすることで、どのようなスタッフでも同じ目線で意見交換や現場での対応ができるため、ペルソナに対して一貫性のあるメッセージを発信することができます。

2.ユーザー目線で考えられる

ペルソナのように、ある特定の一人に絞り込みをすることでユーザー像がハッキリするため、ユーザーの気持ちや目線になって戦略を打ち立てることができます。

特に、カスタマージャーニーマップでは、ユーザーの行動によってアプローチ方法や接点ポイントが変わるため、ユーザー視点で考えることが必須となります。

3.考え方の軸になる

「こんな時はどのように行動するだろう」といった、考え方の壁にぶつかった時、ペルソナ設定をしておくことで、「このユーザーなら、きっとこういう行動をする」という判断ができます。

ペルソナ設定をしていない場合、「この人はこうかもしれないが、あの人はこうかもしれない」と、判断がブレることがあります。

ペルソナのデメリット

ペルソナ設定をすることのデメリットも見ていきましょう。

1.間違ったペルソナを作る可能性がある

ペルソナ設定は先述の通り、ある特定の一人に絞り込みをして設定します。そのため、自社の商品やサービスを提供する顧客像自体が全く違うものになってしまうと、戦略そのものが全て違う方向を向いてしまうため成果は上がりません。

ペルソナ設定は慎重に行う必要がありますが、全く新しいジャンルの業界でない限り、このような間違いをしてしまうことは考えにくいので、あまり心配する必要はありません。

2.設定に時間がかかる

ペルソナ設定には時間がかかります。パッと決めてしまうことも出来ますが、カスタマージャーニーマップを作る上で、はじめの設定が間違ってしまうと、その後想定していくことや決めていくことも全て間違った方向に進むため、ペルソナ設定には時間をかけて取り組む必要があります。

関連記事「なぜカスタマージャーニーマップが必要なの? その目的や作成方法を徹底解説!

ペルソナで設定する項目は?

ここからは、実際にペルソナ設定をする上で必要な項目にはどのようなものがあるのか、具体的に確認していきましょう。

名前や年齢、居住地域

ペルソナ設定では、名前や年齢なども仮説で作ると良いでしょう。

名前や写真などのイメージを作ることで、ペルソナがより具体化し、特定の一人をイメージしやすくなります。年齢や居住地域はもちろんのこと、細かなプロフィールの設定をすることが理想です。

性格や価値観

性格や価値観もペルソナ設定には重要です。

カスタマージャーニーマップを作っていくとき、顧客がどのような行動をとるのかは性格や価値観によって変わってきます。ある特定の一人に絞り込むことによって、「この人だったらこうするだろう」というものが見えてくることが望ましく、それには性格や価値観の設定が必要です。

興味関心事

興味関心事を決めることも重要です。

ペルソナがどのようなところから情報収集するか、どのような場所に行きやすいか、どのような情報に興味を持ちやすいかは、興味関心ごとによって変わるため、ペルソナの興味関心事を設定し共有することで、接点ポイントや情報発信の内容もペルソナに寄り添ったものになります。

仕事や収入、ライフスタイル

仕事の内容や収入、金銭感覚やライフスタイルについても設定すると良いでしょう。

自社のサービスや商品を購入してくれる人の年収がどれくらいあるのかを想定することや、休日はどのように過ごしているのか、通勤は電車なのか車なのか、仕事でよく利用しているツールは何か、住んでいる家は持ち家なのか借家なのか、よく見るwebサイトや広告はなにか、など、ペルソナの生活に焦点を当てることも必要です。

悩んでいる課題

そして、ペルソナが普段抱えている課題についても検討すると良いでしょう。

例えば、「BtoB向けのWebサイト制作」を販売している企業が顧客のペルソナ設定をしたとき、経営者が抱える悩みが売上や利益だけではなく、従業員不足つまり人手不足を課題にしていると考えたとき、そのペルソナに対してのアプローチは「売上アップのためのWebサイト制作」ではなく、「優秀な人材確保のためのWebサイト制作」に変わります。

関連記事「カスタマージャーニーが古いと言われる理由は? ペルソナとマップの作成方法も解説

ペルソナ設定をするときのポイント

次に、ペルソナ設定をするときのポイントを3つご紹介していきます。

ポイント1:ペルソナに近い人にインタビューする

一つ目のポイントは、ペルソナ設定する際にペルソナに近い方に実際にインタビューして意見をもらうことです。

ペルソナは、あくまでも仮説の人物像ですが、その人物の考え方や意見、行動など、ペルソナに近い方に協力をいただいてインタビューすることでより具体化できます。他部署にいる方にも協力・支援してもらえるようにしましょう。

ポイント2:既存の顧客も分析してみる

ペルソナを作成する上で実際の既存顧客にも注目してみると良いでしょう。既に顧客として商品やサービスを利用してくれている既存顧客の情報を分析してみることで、自分たちが意識していなかったポイントが見つかることもあります。

どのような戦略においても、「現状分析」は欠かせません。顧客の分析を行い、既存の顧客がどのような反応、行動をするのかをヒントにしてみるのもポイントの一つです。実際に既存顧客をペルソナにしてみるという手もあるでしょう。

ポイント3:共通点を探すこと

ペルソナ設定の特徴として、ある一人に特定してターゲットを設定するというところにありますが、その特定の一人が周りのターゲットにはない「ニッチ」な考え方を持っていては、その人にしかメッセージは刺さりません。

ペルソナ設定で特定の一人を決めるにしても、多くのターゲットが共通で持つ「考え方」「行動」「価値観」を探すことも必要です。

ペルソナだけが持つ特徴ではなく、購入者のある共通点が見いだせると、カスタマージャーニーマップにもリアルな行動、リアルな接点ポイントを記載することができます。

ペルソナ設定をするときの注意点

次に、ペルソナ設定をするときにやってしまいがちなNG行為をしないように、注意点を確認していきましょう。

注意点1:勝手な理想像にしないこと

ペルソナ設定でやってしまいがちなNG行動として、自分勝手に理想像を作り出すというものがあります。

ペルソナは仮説の人物像を作り上げますが、売り手の理想的な人物像になるとは限りません。

例えば、「この年齢なら〇〇に興味があるだろう」といった、思い込みや決めつけをしてしまうと、ペルソナ設定自体を間違えてしまい、カスタマージャーニーマップやコンテンツマーケティングなどのマーケティング戦略が失敗してしまいます。

大切なのは、ペルソナの立場で考え、ペルソナの気持ちになってみることです。

注意点2:思い込みや先入観を捨てる

思い込みや先入観を持ったままペルソナ設定をすると、ペルソナが偏った考えを持つ人物像になってしまい、現実の顧客像と乖離が生じてしまうことがあります。

例えば、現場スタッフの意見から、「こういうお客様が多い」といった情報があったとしても、現場スタッフの感覚として印象に強く残ったお客様の情報だけ提供している可能性があります。

そのため、そのようなことを防ぎ、適切なペルソナ設定をするには、統計情報や、アンケート調査、顧客の声を収集するなど、情報の収集が必要な場合もあります。

注意点3:偏った意見に集中させない

プロジェクトなど、複数人でペルソナ設定をすると、声の大きい(影響力がある・発信力がある)人の意見が取り込まれやすく、情報が偏ってしまうことがあります。

複数人でペルソナを設定する場合には、それぞれで意見が出せるよう、ブレーンストーミング形式など、情報の集め方や意見の出し合いには工夫が必要な時もあります。

現場の声を利用することはとても重要なことですが、現場だからこそ見えない部分もあるということを念頭において、他部署の意見なども参考にすると良いでしょう。

ペルソナ設定の流れ

ペルソナ設定を実際に行う流れについてご紹介していきます。

手順1:ペルソナのざっくりとした想定をする

まずは、ざっくりとペルソナのイメージを想定します。

例えば、エステの場合には、メンズエステやレディースエステなど、男女に分かれている場合があり、この場合、メンズエステのターゲットを女性にすることはないでしょう。(彼女から彼氏に勧めるといった戦略の場合は別ですが…)

メンズエステを例にとると、まずは男性がターゲットであり、自社の顧客分析から年代や学生なのか社会人なのかなど割り出せて行けるでしょう。

手順2:想定したペルソナの属性情報を記載

想定したペルソナに対して、属性情報を記載していきます。

属性情報とは、年齢や住所、仕事、最終学歴など、このペルソナに対してのプロフィールのようなものです。

手順3:情報の整理

次に、ペルソナに対しての情報を洗い出し、整理していきます。

多くの意見や情報が出てくると思いますが、誰もが「この一人だ」となるように情報を整理してペルソナの設定を固めていきます。

この時、自社の顧客情報やインタビュー、関連する統計情報なども利用すると良いでしょう。

手順4:ペルソナ情報の記入、完成

ペルソナが決まったら紙やデータでペルソナ像をシートなどにまとめて完成させます。

このとき、ペルソナはいつでも見れるように保存しておくか、紙などで貼り付けておくと良いでしょう。カスタマージャーニーマップを作っていく上で、ペルソナを振り返る機会は沢山あります。

関連記事「カスタマージャーニーとは? ペルソナとの違いやマップ作成方法を解説

BtoBBtoCでのペルソナの違い

カスタマージャーニーマップを作っていくとき、BtoBBtoCによって作るカスタマージャーニーマップが変わるようにペルソナにも注意が必要です。

BtoCのペルソナ

BtoCの場合のペルソナは、一般的なペルソナの想定で問題ありません。

一人の消費者としての目線でペルソナを作ることが望ましく、一人の消費者が何に影響を受け、どのような行動をするのかを想定すると良いでしょう。

BtoBのペルソナ

一方、BtoBの場合には、誰が決裁者なのか、誰に対してのアプローチが必要なのか、一人の消費者ではなく、会社に所属する役割としてペルソナを考える必要があります。

例えば、大企業であれば部長クラスでも決裁権がありますが、中小企業ではワンマン社長が全ての稟議に目を通すこともありますので、想定する企業の規模や会社の体制、風土など法人格という法人としての人格も想定することが必要です。

また、BtoBのペルソナの場合には、役職の想定が不可欠となりますので注意しましょう。

関連記事「カスタマージャーニーマップを作成する6つの手順と活用事例を解説

まとめ

ここまで、カスタマージャーニーマップを作る上で欠かせない「ペルソナ設定」についてご紹介してきました。

コンテンツマーケティングを導入する企業が多くなった中、カスタマージャーニーマップへの注目も一昔前よりも強くなりました。

カスタマージャーニーマップを利用したマーケティング戦略の成功には、ペルソナ設定が欠かせません。マーケティング活動で成果を上げるためにも、カスタマージャーニーマップやペルソナ設定の理解を深めていきましょう。

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