コンテンツマーケティングによるブランディングとは? 効果や注意点、メディア別の方法を紹介

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コンテンツマーケティングは、一連の流れにブランディングを含む手法です。企業によっては、自社や製品のブランディング自体を目的として、コンテンツマーケティングに取り組む事例もあります。ブランディングには数多くのメリットがあるため、積極的に施策を打つ企業は今後増えるかもしれません。

この記事では、コンテンツマーケティングによるブランディングの効果を紹介します。注意点やメディア別のブランディング方法についても、詳しい解説をお届けします。

コンテンツマーケティングについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

【関連記事】【2023年版】コンテンツマーケティング完全ガイド

コンテンツマーケティングとは、記事や動画などのコンテンツを通してユーザーに価値ある情報を提供し、認知度や売り上げの向上などを目指す施策です。多くの企業が取り組んでおり、今や定番のマーケティング手法ですが、実践手順やポイントなどがわからない方もいらっしゃるかもしれません。本 記事では、コンテンツマーケティングの基礎知識やポイント、成功事例を解説します。

「マーケティング4.0」の現代におけるブランディングの必要性

ジャンプしている人々のシルエット

現代は「マーケティング4.0」の自己実現の時代とされており、ブランディングの重要性が高まっています。マーケティング4.0とは、消費者は製品の機能や価格だけでなく「理想の自分の姿」に近づくために製品を選ぶという概念です。米国の経営学者フィリップ・コトラー氏が2014年に提唱しました。

かつてのマーケティング1.0から3.0の時代は、機能や企業の社会貢献といった理由から製品が選ばれていたと同氏は指摘しています。しかし、現在のマーケティング4.0の消費者は、「この製品を使っている自分は知的に見える」といった自己実現の欲求をいかに満たせるのかも重視します。ゆえに現代の企業は、消費者の理想となるブランドイメージの構築が重要です。

BtoB企業もマーケティング4.0は重要?

マーケティング4.0は、ユーザーの自己実現にフォーカスする考え方です。「企業が顧客の場合、マーケティング4.0は無関係では?」と疑問に思う方もいるでしょう。

確かに現状のBtoB企業の戦略は、企業の社会貢献を製品選定に加味する「マーケティング3.0」で充分と言えます。ですが、全くの無関係ではありません。企業にも、「理想とする自社のビジョン」はあるからです。

たとえマーケティング4.0を重視せずとも、BtoB企業にもブランディングが必要な点は変わりません。企業の担当者への訴求に、ブランディングによる信頼性や知名度の獲得が重要だからです。「BtoB企業だからブランディングは不要」と誤解しないようにしましょう。

コンテンツマーケティングによるブランディングの効果は?

さまざまな通貨のアイコン

前提として、コンテンツマーケティング自体にブランディングが含まれています。コンテンツマーケティングは、「有益な情報発信によりファンを獲得して購買に導く」手法です。そのため、実践する以上は多少なりともブランディングに着手します。

ただし、ブランディングにどの程度重きを置くかは企業によって異なるでしょう。コンテンツマーケティングでブランディングに注力すると、どのような効果が得られるでしょうか。具体的なメリットを3つ紹介します。

1.リピーター・ロイヤルカスタマーの獲得

ブランディングによって獲得した顧客は、ある程度自社を好意的に見ているためリピーターへと変化しやすい存在です。さらに、企業への信頼感や愛着の指標「顧客ロイヤリティ」を高めることで、リピーターからロイヤルカスタマーへと育成できるでしょう。

リピーターや優良顧客は、自社の商品・サービスを継続的に購入してくれます。しかし、自社に対して特別な愛着を持っておらず、他社商品に優れた点を見つけるとすぐに離れる恐れがあります。

一方のロイヤルカスタマーは継続購入に加え、自社への愛着・信頼が高いため簡単には離れません。コンテンツマーケティングは自社が主体となって情報発信するので、顧客ロイヤリティを高めやすい手法です。

2.指名買いによる利益増大

ブランディングは、自社ブランドに愛着を持つファンによる指名買いが期待できます。指名買いとは、「このブランドのこの商品を買う」と決めてから購入する行動です。指名買いをしてくれるファンが増えれば、価格競争を回避して安定した利益を得られるでしょう。

さらに、自社への信頼度が高いファンは、新規顧客への窓口にもなってくれます。友人や家族に、あるいはSNSで「この製品のこの点が良い」と紹介してくれるため、広告宣伝費も削減可能です。既存顧客にファンになってもらうことで、コストの抑制および利益向上が見込めるわけです。

3.採用ブランディングを行える

コンテンツマーケティングは、採用ブランディングにも適しています。採用ブランディングとは、自社の魅力的なイメージを広め、人材獲得競争において優位に立つ戦略です。採用サイトやイベントで自社の働き方・理念・求める人物像などの情報を発信し、求職者へアプローチします。

採用ブランディングの役割は、認知拡大による応募数の増加だけではありません。あらかじめ自社が求める人材や働く環境を発信しているため、企業と求職者のミスマッチ抑制が可能です。退職リスクが減ることで、採用コストも抑えられます。また、将来的な転職を考えている「転職潜在層」へもアプローチできるため、将来的な人材獲得に対しても効果を発揮するでしょう。

ブランディング向きのメディア・コンテンツは?

クエスチョンマークと電球を浮かしている手

前述の通りコンテンツマーケティングの施策には、ブランディングが含まれます。すべてのコンテンツやメディアがブランディングに繋がるので、ブランディングに不向きな媒体はないと言えます。

とはいえ、さまざまなコンテンツ・メディアの中でも、ブランディングに用いやすい媒体はあります。具体的には、オウンドメディア、書籍、動画の3つです。また、コンテンツの認知拡大手法の中でも、SNSはブランディングと相性が良いでしょう。次の章から各媒体のブランディング方法や特徴を解説しますので、参考にしてみてください。

オウンドメディアでブランディングする方法

Webブラウザのイラスト

オウンドメディアは、コンテンツマーケティングの中心になる媒体です。ブランディングに役立つオウンドメディアには、以下の種類があります。

・会社の顔になる「コーポレートサイト」
・ブランドイメージの訴求に特化した「ブランドサイト」
・商品・サービスの特徴や導入実績を紹介する「サービスサイト」
・記事を制作・公開・蓄積する「ブログ型サイト」

たとえば、サービスサイトは商品・サービスの説明に加え、資料のダウンロードフォームや相談窓口を設ける形が主流です。ブランディングだけでなく、BtoBのリード獲得も可能になります。

オウンドメディア運営のポイント

オウンドメディアの中でも、ブログ型サイトは集客に向いています。単なる集客に終わらず、有益な情報の提供によって読者と信頼関係を構築できる媒体です。読者の悩みを解決する記事やニーズに気づかせる記事を作り、コンバージョンへと誘導しましょう。検索エンジンの上位表示を狙う「SEO対策」を実施すれば、集客力が高まります。

▼オウンドメディアでブランディングを行うコツや注意点は、こちらをご覧ください。

【関連記事】オウンドメディアでブランディングを成功させるには? メリットも併せて解説

今やブランディングに欠かせないオウンドメディア。自社でコンテンツを自由に展開でき、優良顧客の獲得が期待できるオウンドメディアは積極的に使いたいものです。この記事ではオウンドメディアでブランディングを成功させる運営のコツやメリットをご紹介しています。

書籍出版でブランディングする方法

立て掛けられた複数の本

コンテンツマーケティグの一環で書籍を出版する場合、ブランディングに特化した「企業出版」を行います。企業出版とは、出版費用を自社で負担し、出版社の協力を受けながら本を制作する形式です。消費者に向けて本を販売し、自社の認知拡大や信頼性の向上を図ります。

企業出版のジャンルとしてよくあるのが、自社のビジネスやブランドの制作ストーリーを伝える「企業ドキュメンタリー本」です。他にも、経営者の理念やノウハウ、ビジョンを伝える「ビジネス論」など、さまざまな種類があります。

書籍出版のポイント

企業出版は、全国的に書店に並びベストセラーを狙う「商業出版」とは異なります。企業出版も書店に流通させますが、あくまでブランディングが目的です。それゆえ、売上を意識しすぎた内容は避けましょう。

Webサイトや動画といった他の媒体に比べ、本は厚みのある情報提供が可能です。テーマを深く掘り下げられるため情報の専門性が高く、読者に与える信頼感も増します。したがって、ブランディングの中でも「信頼性が高い企業」のイメージ獲得に適した手法です。

一度発行した著書は、セミナーや講演にも活用できます。すでに自社に一定の興味を持っている来場者に配布し、一層自社への興味関心を引き出すことでファンへと育成可能です。

動画でブランディングする方法

撮影中のスマートフォン

ブランディングに特化した「ブランディング動画」は購買を狙うものではなく、認知度拡大やユーザーからの好感度を得るために制作します。ブランディング動画は、主に次の2つに大きく分けられます。

・企業の理念・ビジョンを伝える動画
・商品・サービスのイメージ、利用シーンを紹介する動画

動画は音や映像を使えるため、テキストよりも表現の幅が広がります。無形商材でも、活用シーンや魅力の具体的なイメージを届けられるでしょう。文章に比べ、短時間で多くの情報を伝えられる点も強みです。

動画制作のポイント

簡単な動画制作なら素人でも可能ですが、ブランドイメージの訴求に特化するならプロへの依頼がおすすめです。アニメーションやドローン撮影など、専門技術によるハイクオリティな動画を作ってもらえます。

制作した動画は、自社サイトに加えてYouTubeなどの動画配信サイトやSNSへの投稿も重要です。共感を得られる、あるいはインパクトの強い動画はSNSで拡散されやすく、多くのユーザーへ自社ブランドの認知が広がります。その他、動画広告やセミナーでも利用できるので、さまざまな場面で役立てられます。

SNSでブランディングする方法

繋がる人々のアイコン

SNSによるブランディングは、そのまま「SNSブランディング」と言われます。自社のSNSアカウントを作成して自社の最新情報を発信するほか、コンテンツへの導線としても活用できます。企業とユーザーが直接やり取りできるため、他の手法よりも認知や顧客接点を獲得しやすい手法です。継続的に情報発信することでフォロワーが増え、認知度が拡大していくでしょう。

SNSは、サービスごとに特徴があります。リツイート機能による情報拡散に強いTwitter、画像中心でブランドの世界観を伝えやすいInstagramなど、自社の戦略に見合ったSNSを選びましょう。

SNS運用のポイント

SNSはユーザーとの距離感が近く、ブランディングの中でも「親しみやすさ」の印象を獲得しやすい媒体です。したがって、リピート率の向上やロイヤルカスタマーの育成に適しています。信頼関係を構築する場所として使うため、ECサイトへの誘導はできるものの購買をメインの目的に据えるわけではありません。

他の手法と比べて拡散力が高くユーザーとの距離も近い分、炎上リスクの高さに注意しましょう。企業SNS運用の炎上リスクについては、次の章で詳しく解説します。

コンテンツマーケティングによるブランディングの注意点

割れた卵の殻と飛び出た卵黄

コンテンツマーケティングでブランディングを行う際は、以下4つの注意点に気をつけましょう。

1.全てのユーザーに訴求しようとしない
2.自社の強みに合うブランドイメージを構築する
3.炎上に気をつける
4.施策の効果は総合的に判断する

順番に説明します。

1.全てのユーザーに訴求しようとしない

全ての人にブランドを訴求しようとして、ブランドイメージと乖離したコンテンツを作るのは避けましょう。コンテンツの方向性がぶれると、せっかくブランドに共感したユーザーが離れてしまう恐れがあります。

たとえば、30代以上の働く女性向けの高価格帯ファッションブランドが、「学校でばれないスクールメイク&おすすめプチプラ10選」の記事を公開したらどうでしょうか。本来のユーザーが離れるばかりか、記事の読者も「私が買いたい服じゃない」ためブランドに興味を持ちません。ペルソナを設定してブランドの軸を定め、一貫性のあるコンテンツを作ることが大切です。

2.自社の強みに合うブランドイメージを構築する

ブランディングは、自社の強みを活かしたイメージ構築が基本になります。よくある誤解が、「ブランディング=高級なイメージをアピールする」といった勘違いです。「コスパの良い低価格帯サービス」や「環境に配慮したエコなブランド」など、ブランディングの幅に制限はありません。

まずは自社商品・サービスを分析し、ターゲットに訴求できる強みを理解しましょう。さらに、現時点でユーザーが自社商品・サービスに対して抱いているイメージの把握も必要です。アンケートを使った定量調査とインタビューによる定性調査を実施し、客観的な自社の強みを明らかにしてみてください。

3.炎上に気をつける

炎上回避の重要性は、ブランディングに限らず、コンテンツマーケティングそのものにも共通します。ですが、ブランディングに注力するなら一層気を付けるべきです。一度でも炎上すると、ブランドイメージに深刻なダメージが生じます。Webコンテンツの場合、炎上したコンテンツを削除してもデジタルタトゥーとして残り続け、将来にわたって悪影響を及ぼすでしょう。

中でも炎上しやすいのが、SNSの投稿です。当然ながら、嘘の情報や偏見・差別的な内容の発信、企業SNSの私物化をしてはいけません。また、SNS担当者に悪意がなくても、誤解を生む表現により炎上に至る可能性もあります。社内向けの「ソーシャルメディアガイドライン」を策定し、ルールに沿った内容を投稿しましょう。

4.施策の効果は総合的に判断する

ブランディングの施策を効果検証する際は、さまざまな数値を組み合わせた総合判断が必要です。コンテンツマーケティングの中でも、ブランディングは効果検証が難しい分野と言えます。商品購入を目的とするなら、「カートに商品を入れる」「無料サンプル請求」「購買」といった直接的な数値があります。ブランディングは、こうしたわかりやすい指標がありません。

ブランディングの効果検証は、以下の2つを行いましょう。

・アンケートやインタビューによる「ブランドロイヤリティ(ブランドへの愛着度・信頼感)」の測定
・解析ツールを使った「ブランド認知度」の測定

ブランドロイヤリティは、ユーザーに対し「このブランドは第三者にどの程度おすすめできるか」「このブランドの製品はどの程度ほしいか」などの質問を実施して測定します。ブランド認知度は、オウンドメディアの月間トラフィック数や、SNSのエンゲージメントを分析します。それぞれにKPIを設け、達成度合いから施策の効果を検証しましょう。

コンテンツマーケティングのブランディングで自社ならではの価値を発信しよう

ブランディングを重視したコンテンツマーケティングは、ユーザーのリピーター・ロイヤルカスタマー化に効果的です。自社ブランドを指名買いをしてくれるファンが増えると、利益向上に繋がります。

どのようなメディアでもブランディングは行えますが、中でもオウンドメディア・書籍・動画はブランディング向きの媒体です。これから取り組む際は、自社ならではの価値を発信してブランディングを成功させましょう。

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