オウンドメディア運用に広告は必要? 効果的な配信方法とは

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近年、オウンドメディアの運営は広告費を抑えつつ、集客を見込める有効な方法として各方面から注目されています。しかし、さまざまな広告を運用することにも利点はあるのです。インターネット広告にはあらゆる種類があり、ターゲットもそれぞれ異なります。

この記事ではオウンドメディアへの集客や、メディア自体のマネタイズにも効果的な広告の種類や特徴、メリット、デメリットについて解説します。オウンドメディアを作ったものの、成果が上がらないという課題を持つ方は参考にしてください。

オウンドメディアについて知りたい方は以下の記事もご参照ください。

緑の樹木にかぶさった青空に白文字で描かれたowned mediaの文字

【関連記事】オウンドメディアとは? 定義やメリット・デメリットなど基礎知識を解説!

オウンドメディアは自社が所有するメディアの総称です。Webマーケティングでは、顧客にとって有益な情報を発信するWebサイトやブログに限って呼ぶことがあります。この記事では、オウンドメディアの定義やメリット、デメリットなどの基礎知識を解説しています。

拡大するインターネット広告市場

上昇を示すグラフ

インターネット広告市場は年々、拡大傾向にあります。2022年2月に電通が発表した調査結果「日本の広告費」をもとに、株式会社D2C・株式会社CARTA COMMUNICATIONS・株式会社電通・株式会社電通デジタルがインターネット広告費について分析した「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(※1)を発表しました。

分析によると日本の2021年の総広告費は年間を通して6兆7,998億円で、そのうちインターネット広告費は2兆7,052億円と全体の約4割を占めています。これはマスコミ4媒体(新聞・雑誌・テレビ・ラジオ)広告費の2兆4,538億円を初めて上回る結果です。

また、インターネット広告費からインターネット広告制作費や物販系ECプラットフォーム広告費を除いたインターネット広告媒体費は2兆1,571億円。近年成長率が著しいことから、2022年には前年比115%の2兆4,811億円になると予測されています。

※1 出典:【株式会社CARTA COMMUNICATIONS・株式会社D2C・株式会社電通・株式会社電通デジタル】2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析

2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析

オウンドメディアを上手に活用して広告収入を得る

スマートフォンとSNSのイメージ

前述したように、インターネット広告はマスコミ4媒体を超え、大きな成長を続けています。消費者の興味や行動の対象がテレビや雑誌よりもパソコンやスマートフォンを使ったインターネットにシフトしていることも一因といえます。

しかしユーザー側のネットリテラシーの向上によって、従来型のインターネット広告では集客は難しいのが現状です。一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が2021年3月に発表した「2020年インターネット広告に関するユーザー意識調査」(※2)によると、広告の表示のされ方や表現内容を不快に感じるという意見があります。

一方で「自分と関係のない広告を出されるよりも、興味のある広告を出してほしい」や「良質なメディアの広告は信じる」といった意見もあり、これからのインターネット広告のあり方は企業にとっても課題といえます。

オウンドメディア(owned media)をうまく活用して、ユーザーのニーズに合った広告を出すことが大切です。

※2 出典:【一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会】2020 年インターネット広告に関するユーザー意識調査
https://www.jiaa.org/wp-content/uploads/2021/03/20210309_user_survey_release.pdf

オウンドメディアは広告でマネタイズできる

「MONETIZE」と書かれたグラフ

オウンドメディア自体は広告に頼らずに集客を行うことを主目的としていますが、成約や購買の他にも広告でマネタイズが可能です。オウンドメディアでユーザーに有益なコンテンツを発信することで、ユーザーの興味や関心はおのずとそのメディアに向きます。結果、メディアを訪れる回数が増え、表示される広告の効果が増します。

見込み客だけでなく潜在顧客へのアプローチもでき、収益につながる可能性が高くなるでしょう。

▼オウンドメディアのマネタイズについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

【関連記事】オウンドメディアとマネタイズ! 収益化を成功させる方法とは? ポイントを中心に徹底解説

オウンドメディアとマネタイズ、つまり収益化の関係が注目されています。オウンドメディア自体はマネタイズを目的とはしていないものの、収益化できるオウンドメディアは企業にとって大きな財産です。この記事ではオウンドメディアでマネタイズを成功させるポイントを中心に解説しています。

純広告

広告レイアウトのイメージ

純広告とは特定のメディアの広告枠を買い取って掲載する広告を指します。ユーザーの検索流入の多い大手メディアなどで使われています。例えばYahoo!のトップページなら右上に表示されるのが純広告の枠です。

純広告は自社の商品やサービスに関する興味・認知の少ないユーザーの目にとまる機会が増える効果があります。逆に自社のオウンドメディアの広告枠を他社に買い取ってもらって広告を出すのも純広告です。掲載する広告の種類を選べ、自社のブランドイメージにマッチした広告が表示できます。ブランドイメージを損なうことなく、広告収入が得られるのは大きなメリットといえるでしょう。

しかし、まだユーザーの訪問回数がそれほど多くないオウンドメディアの場合、あまり広告の効果は得られません。掲載したものの、実際には広告を目にするユーザーが少ない、または限られているためです。そのため自社のメディアで純広告を扱うには、良質なコンテンツを制作して内容を充実させ、訪問するユーザーを増やさなくてはなりません。コンテンツの更新頻度を多くするのも一つの手段です。

純広告にはおもに次のような種類があります。

  • ・テキスト広告…テキスト形式で表示される広告
  • ・バナー広告…テキストと画像を組み合わせたバナー形式の広告
  • ・リッチ広告…アニメーションやマウスの動きに合わせた動きのある広告
  • ・動画広告…動画で配信される広告
  • ・メール広告…メルマガを登録しているユーザーに対してメール形式で送る広告
  • ・記事広告…メディア内に記事として掲載する広告

中でも最もユーザーにアピールできるのは、リッチ広告です。凝った演出でユーザーに対してインパクトを与えられます。デメリットとしては、広告を作るのに時間がかかることやデザインやアクションの形態によってはマイナスイメージをユーザーに与えてしまう可能性があることなどが挙げられます。

アドネットワーク

ノートパソコンとネットワークのイメージ

アドネットワークとは、広告主・広告媒体・メディアをつなぐネットワークを指し、複数の媒体にまとめて広告を出す仕組みです。アドネットワークの仲介事業者が広告主の依頼を受け、さまざまなメディアに一括して広告を掲載します。

アドネットワークが誕生するまでは、広告主は広告を掲載するメディアを探したり、掲載されたものの企業イメージに合わないメディアに掲載されたりといったさまざまな悩みがありました。ユーザー側にとっても自分には興味のないジャンルの広告が掲載されても興味はわきませんし、前述したように不快に感じる場合もあります。そのような問題点を解決したのがアドネットワークなのです。

アドネットワークの対象は、WEBサイトやブログ、SNSなど多岐にわたります。自社のオウンドメディアがある場合は、広告を掲載する側になり、依頼を受けた企業からの広告を掲載します。アドネットワークに加盟することで広告掲載の営業の手間がなくなり、広告枠が空いてしまうリスクが軽減されます。社内の担当者の負担も少なくなるでしょう。

また、自社のブランドイメージに合った適切な広告を掲載するためには、アドネットワーク事業者に対して顧客属性を細かに設定してもらうとよいでしょう。

タイアップ記事広告

握手をする手

タイアップ記事広告は、純広告でもご紹介した記事広告とも呼ばれる広告の形態です。文字通り、広告を掲載したい企業が広告の掲載先メディアとタイアップ(協力・連携)を行い、記事としてメディアに掲載する広告を指します。広告主が費用を支払って、掲載先メディアに自社のPR記事を書いてもらう仕組みです。もちろん、どういう内容の記事にするのかは双方で協力して決まります。

自社のWEBサイトで自社商品やサービスについてアピールすれば、宣伝イメージが強くなり、ユーザーによっては「信頼性がない」と判断されてしまう可能性があります。しかし、タイアップ広告の場合、掲載先のメディアが発信しているため、第三者目線で商品やサービスをおすすめしている=信頼できる情報ということになります。

メディアを訪れるユーザーは、いわばそのメディアのファンです。「自分のお気に入りのメディアが取り上げた商品」というだけでも大きな関心がわくでしょう。また、好感度の高いメディアや大手メディアで宣伝されることで、自社のブランディングにも役立ちます。

オウンドメディア内ではタイアップ記事広告は、コラムやお役立ち情報として掲載されるのが一般的です。商品やサービスのよさをアピールしながら、読者にとって有益な情報を提供するのは難しいものですが、コンテンツとしての価値は高まります。SEOワードや関連キーワードを盛り込みながら、良質なコンテンツを作りましょう。

インフィード広告

ノートパソコンとさまざまな画像

インフィード広告とは、WEBサイト内に広告色を全面に出さずにコンテンツの一部として掲載する広告のことです。インフィード広告が掲載されるのはSNSやキュレーションサイト、ポータルサイトなどで、ユーザーが情報を求めてサイトを訪れた際に記事として掲載してオウンドメディアやサービスへの誘導を行います。

タイアップ記事広告と同様に、メディアのコンテンツの一部と認識されるため、ユーザーがクリックするハードルがおのずと低くなり、新規ユーザーの獲得に役立ちます。他の広告に比べて費用が抑えられるのも大きなメリットです。

オウンドメディアにはリマーケティング広告が効果的

スマートフォンでオンラインショッピングをする人

リマーケティング広告とはリターゲティング広告ともいい、オウンドメディアを訪問したユーザーを追跡して効果的に広告を配信するシステムを指します。2種類の呼び名がありますが、リマーケティング広告はGoogle、リターゲティング広告はYahoo!など、掲載先で呼び方が異なるものの仕組みは同じです。

自分がある商品やサービスに興味を惹かれて特定のメディアを訪れたものの、その時は何も行動を起こさなかったとします。しかし、別のメディアを閲覧した時に同じ商品の広告が出てきたことは誰しも経験があるでしょう。元々興味のあった商品ですから、より一層関心が高まり、購買行動に出る可能性が高まり、購買や利用につながります。こういった顧客心理や行動を活用しているのがリマーケティング広告なのです。

オウンドメディアを成功させる施策として効果的なリマーケティング広告について詳しく解説します。

リマーケティング広告の仕組み

リマーケティング広告を賢く活用するためには、まずは仕組みを把握することが非常に重要です。リマーケティングの仕組みは次のとおりです。

  1. 1.リマーケティング広告を仕掛けたい自社のWEBサイトすべてにリマーケティング広告専用のタグをつける
  2. 2.タグがついたWEBサイトを訪問したユーザーにCookieが付与される
    (そのユーザー専用のIDが付与されるイメージ)
  3. 3.付与したCookieをもとにリストが作成され、別のサイトを訪れたユーザーに自社の広告が配信される

リストはオウンドメディアを訪問したユーザーの属性やメディア内の閲覧履歴など細かに分けるとよいでしょう。

リマーケティング広告のメリット

リマーケティング広告の最大のメリットは、潜在ニーズを持った顧客に最適なタイミングで効果的なアプローチができることです。全く自社の商品やサービスに興味がないユーザーに対して広告を出すよりも、高い効果が得られます。

例えば、ECサイトなどでカートに商品を入れたままで購買行動にうつせずにそのままになっているユーザーは非常に多いといわれています。購入までの登録作業などが煩雑だった、他の類似商品も検討してみたいなど、さまざまな理由が考えられます。

しかし、数日後に別のメディアで同じ商品の広告を見かければ、再度購入を検討する機会が得られるのです。リマーケティング広告には、そのようなユーザーの購買行動を後押しする効果があります。

また、ユーザーとの接触回数が増え、オウンドメディアのファン化につながる可能性も高まります。再度、自社サイトを訪問したユーザーが購買行動に出られるよう購買までのステップを簡素化したり、キャンペーンや無料サービスを追加したりといったメディア側のサポートがあれば、より効果的です。

リマーケティング広告で注意したいポイント

費用対効果やコンバージョン率が高く、メリットの多いリマーケティング広告ですが、何度も同じメディアの広告を目にするとユーザーに不快感を与える可能性もゼロではありません。広告を表示する頻度を適度に抑えるようにしましょう。

データ分析などの支援ツールの活用やセミナーなどを受講して、最適なタイミングや広告の出し方などのノウハウを習得しておくとよいでしょう。

さらにリマーケティング広告は、オウンドメディアを訪れたユーザーに対してのアプローチ方法なので、まったく自社のジャンルの商品やサービスに興味がないユーザーには効果はない点にも注意が必要です。新規顧客の獲得にはつながらないため、他の認知施策と合わせて実践しましょう。

オウンドメディアの新規ユーザーを獲得できるネイティブ広告

タブレットを持つ女性の手

オウンドメディアの新規ユーザー獲得に役立つのがネイティブ広告です。ネイティブ広告とは、広告をコンテンツとして自然(ネイティブ)に掲載する手法を指します。先にご紹介した記事広告と似ていますが、記事広告は記事形式でユーザーに読んでもらう広告フォーマットを指します。

これに対してネイティブ広告は、コンテンツになじむように掲載された広告のことで、概念や広告枠です。JIAA ネイティブアド研究会では次のように位置付けられています。

「デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと⼀体化しており、ユーザーの情報利⽤体験を妨げない広告を指す」(※3)

※3 出典:【JIAA ネイティブアド研究会】ネイティブ広告の定義と⽤語解説
https://www.jiaa.org/wp-content/uploads/2019/11/150318_nativead_words.pdf

ネイティブ広告は種類が多く、次のようなものがあります。

  • ・インフィード型
  • ・ペイドサーチ型
  • ・レコメンドウィジェット型
  • ・プロモートリスティング型
  • ・インアド型
  • ・カスタム型

それぞれについて詳しく解説します。

インフィード型

ネイティブ広告の中でも最も一般的なのがインフィード型です。WEBサイトの他にTwitterやFacebookなどSNSにコンテンツや投稿の一部として掲載されます。「広告」や「プロモーション」「PR」などの表示がつけられているものが該当します。通常の広告よりもコンテンツに関連性が高くて興味深い内容のため、ユーザーの興味をひきやすいのが特徴です。

インフィード広告を目にするまで商品やサービスに興味のなかった潜在層向けの広告施策といえるでしょう。

ペイドサーチ型

ペイドサーチ型は、リスティング広告や検索連動型広告とも呼ばれるもので、その名のとおり検索結果に応じて自社のサービスや商品などをアプローチできます。例えば「オウンドメディア 成功」などのキーワードを検索エンジンで入力すると、画面上部にオウンドメディア支援事業を行う企業の広告が出てきます。

ユーザーは自分が知りたい情報や興味がある情報に関連するキーワードを入力するため、広告をクリックする確率は高くなります。インフィード型広告が潜在層をターゲットにしているのに対して、ペイドサーチ型広告はよりそのジャンルに関心のある顕在層にアプローチできます。

ペイドサーチ型広告には検索連動型の他に、ディスプレイ広告もあります。バナー型広告に近く、代表例としてはGoogleの「Googleディスプレイネットワーク」があります。メディアの広告枠に掲載され、検索キーワードとは連動していないため効果が見込めないイメージがありますが、自分でもニーズに気付いていない潜在層や幅広い層と接点を持てるのが強みです。

さらにディスプレイ広告はリマーケティングとリターゲティングが可能なのも大きなメリットです。一度メディアを訪問したユーザーに対して最適なタッチポイントの機会が作れます。オウンドメディアを運営していく上で顧客とのタッチポイントの設計で成果は大きく変わります。

レコメンドウィジェット型

レコメンドウィジェット型は、WEBメディアのレコメンド(おすすめ)欄を使う広告です。レコメンドは英語の「Recommend」=おすすめを元にしたカタカナ英語が名前の由来です。ユーザーが閲覧したページに関連の高い記事をブログのように差し込んで掲載します。

閲覧しているページの下部に「おすすめコンテンツ」や「あわせて読みたい」「あなたにおすすめ」などのメッセージが添えられているコンテンツが該当します。一見、通常のコンテンツに自然に溶け込んでいますし、自分が興味のあるキーワードに対応しているので違和感なくオウンドメディアに関心の高いユーザーの集客が見込めます。

プロモートリスティング型

プロモートリスティング型広告は「Amazon」や「楽天市場」などのECサイトや「ぐるなび」「食べログ」などのグルメサイトを閲覧した際に、ページ上部や下部にプロモーションとして掲載される広告です。

ペイドサーチ型に似ている要素を持つ手法ですが、商品が同じように並んで表示される点が違います。ユーザーの検索キーワードに応じて最適な広告が表示されます。

インアド型

インアド型は日本ではまだ導入事例は少ない形式の広告ですが、通常のコンテンツとは別に広告枠に表示されるものです。厳密にはアメリカのネット広告団体IAB(Interactive Advertising Bureau)のフォーマットにそった広告を指します。

コンテンツの一部とはデザインが異なることと広告枠に表示されることがデメリットといえます。しかし、コンテンツの内容に近いネイティブな広告が表示されるため、通常のバナー広告よりもユーザーが自然にクリックしやすくなっています。

カスタム型

これまでにご紹介した5種類のどれにもあてはまらない形式のネイティブ広告をカスタム型広告といいます。「LINEスポンサードスタンプ」や音楽配信サイト「Spotify」の「Branded Playlist」などが該当します。

メディアによって提供方法やサービス内容が異なるため、分類が難しいところですが、今後も新しい形式のカスタム型広告が増えるといわれています。

オウンドメディアの集客は広告を使って効果的に!

オウンドメディアを始めて順調に運営していくためには人的リソースだけでなく、広告によって収益を上げることも必要です。ご紹介したようにインターネット広告の種類は多様化しており、効果やターゲットも異なります。

まずは、それぞれの広告について正確に理解しましょう。最適な広告を利用することでこれまで以上の集客力アップにつながります。

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