【SEOキーワード選定の考え方】コンテンツと向き合い続ける方法

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SEO対策には戦略と、それに沿ったキーワードの選び方、そして最適な手順や方法があります。理解したつもりでも、取り組んでいるうちに「なんでこの工程が必要なのかな?」と疑問に思うことも出てきますよね。

ただでさえ作業量の多いキーワード選定ですから、売りたい商品・サービスにとって、さほど重要でないのなら少しでも工程を省略したいという気持ちにもなります。

事前準備をしっかり行い、手順通りにキーワード選定を進めるべきだということは、【SEOキーワード選定のやり方】【SEOキーワード選定のコツ】で詳しくご説明しました。

結論から言うと、手順で示した6ステップと事前準備には省略できるところはないのですが、作業の目的を理解し、ポイントを押さえていれば行き詰まらずに済みます。

方向性を見失うのは大抵、自己流のやり方でラクをしようとしたとき。地道で泥臭い作業も、キーワード選定の奥深さを楽しんで向き合えば、キーワード候補のアイデアが湧いてきていつの間にか没頭しているはずです。

今回は、キーワード選定に取り組む皆さんの心が途中で折れないようにサポートしつつ、2023年現在のキーワード選定における基本的な考え方について、一通りまとめでお話ししたいと思います。
メインのキーワードを探す・ターゲット像の理解を深めるという部分では、想定事例を使って、考え方の例をお見せします。選定作業中の人は今すぐ、参考にしていただける内容ですよ。

なお、キーワード選定を「もっと知りたい!」方は、以下もご覧ください。
2023-2024キーワード選定総合ガイド SEO対策の基本を徹底解説
キーワード選定の方向性を見失う【SEOキーワード選定の考え方】コンテンツと向き合い続ける方法

SEO対策で重要なのは初期設計!怠ると取り返しのつかない事態に

戦略的にSEO対策に注力している企業のサイトには、数十〜数百本、多いサイトになれば千本以上のコラムやブログ記事が公開されています。それだけの量のコンテンツを用意するには、おそらく数年はかかっているでしょう。

企業のSEO対策を始めるにあたって競合調査をしているうちに、「一刻も早くコンテンツを量産しなくては」と焦燥感に駆られます。
でも、上位表示されるSEOに強い競合他社のコンテンツと自社のサイトを比較して、何もしない段階で焦っているようでは勝ち目はありません。最短ルートで成功したいのなら、コンテンツの初期設計にこそ十分な時間をかけるべきです。
“急がば回れ”の言葉通り、SEOで結果を出している多くの企業は「初期のコンテンツ設計をきちんと行っている」点で共通しています。

ここでいう初期設計とは、
・目的や目標の設定
・企業理解・ビジネスの理解と現状分析
・キーワード選定
などが含まれます。
要するに、コンテンツ制作に入る前の準備を含め、ゴールまでのロードマップを引くことです。

【SEOキーワード選定のやり方】誰でもできる手順を6ステップで解説
【SEOキーワード選定のコツ】失敗しない方法を解説します

SEO対策の目的は集客です。お客様となりうる人の目に触れるようにWebサイト上で対策を行います。そして、少しずつお客様の心をつかみ、最終的に企業の商品サービスを購入してもらえたら、これ以上うれしいことはないですよね!

全体設計がなされていないとユーザーがサイト内で迷子に…

時折、下記のようなサイトを見かけます。

・サイト全体のマップも気にせずページの追加を繰り返したため、サイト内部には古いコンテンツと新しいコンテンツが混在。現在行っていないサービスや取り扱っていない商品の情報まで掲載されている。
・企業のコラムを読んでいたはずが、気づいたら外部サイトのブログやショッピングサイトに遷移していてホームに戻れない。
同じイベントや似たようなテーマの記事が複数、アップされている。
・数千字ある商品の詳細を書いたコラム記事と、「ビルの玄関脇の桜が咲きました」というような数百字のスタッフ日記が混在している。全体設計がなされていないサイトー【SEOキーワード選定の考え方】コンテンツと向き合い続ける方法

このようなサイトは、そもそも担当者が、何を目的としてブログ執筆を任されているのか理解しておらず、集客ではなく「コンテンツを増やすこと」が目的になってしまっているのかもしれません。「毎日投稿するように」と課されているケースでありがちです。

これではせっかくコンテンツ制作に時間とお金を費やしているのに、向かうべき場所の地図を持たずに、大海へ漕ぎ出すようなもの。集客のための施策のはずが、かえってユーザーを混乱させ、商品購入やサービス利用の邪魔をしているケースさえあるんです。

増改築を繰り返した老舗ホテルに例えてみましょう。
フロントはなぜか、玄関から遠い中二階。客室へは途中階にある渡り廊下でしか行けません。レストランは本館の2階。大浴場は別館の最上階。目的の場所がどこにあるのかわからず、迷ったお客さんが常にホテル内をうろうろしている状態です。やっとたどり着いたと思ったら、「現在は使われておりません」の張り紙を発見し、ぐったり…。なんてイメージでしょうか。

宿泊施設での話なら「こんなホテル、泊まりたくない!」と帰ってしまうお客様はほとんどいないと思いますが、Webサイトが同様の状態だったら…。ユーザーは強い不信感を覚え、その場でサイトから離脱するのは明らかです。

では、どうしたらいいか?その答えがコンテンツの全体設計なのです。

既存コンテンツの見直しにかかる工数は膨大。最悪、全削除の可能性も

コンテンツの整理をしないままに記事を大量生産すると、取り返しのつかない事態に陥ります。無秩序にあふれるコンテンツが信頼感を損ない、お客様を遠ざけてしまうばかりではありません。

問題点を見つけてやり直そうとしても、既存コンテンツの整理には、膨大な労力と時間がかかります。多くのケースで、既存コンテンツを活かした再設計にはメリットがないうえ、新規で再出発するよりずっと厄介です。
既存コンテンツを洗い出して一覧にし、使えるものとそうでないものに仕分けし、必要に応じてリライトや削除を行うには膨大な工数がかかるからです。

サイトの手直しを依頼されても大抵、「残念ですが、これまでのコンテンツはまとめて全て削除して、再構築しましょう」と提案することになります。

万が一、SEO対策を任されたWebサイトがこの状況であるならば、コンテンツを増やす前に、必ずサイト全体の設計の見直しから行ってください。管理・整理されていないコンテンツが大量にある状態では、何をしても効果がない可能性大です。

過去に別ブログから移植・設置されていた記事を500本以上削除したら、少しずつ成果が出てきたことがありました。半年かけて、良質な記事を数十本公開してもSEO効果が見られなかったため、サイトのデータを分析。クライアントにはご納得いただいたうえで大幅な削除を実行しました。
削除対象となったブログは、ほとんどがスタッフの雑記に分類される記事ばかり。プライベートや内輪の話題が中心で、スタッフと知り合いでなければピンとこない内容でした。また、どれも500字程度で改行や絵文字が多いうえ、全体のまとめや要約なども書かれておらず、読みづらかったこともマイナス要素だったのでしょう。

SEO対策は企業として戦略的に行うべき

以前、「サイト制作とコラム更新を担当していた社員が突然退職。引継ぎが不十分で、後任がコンテンツの全容を把握できていない」ケースに遭遇しました。
こうなってしまうと、ひとつひとつのコンテンツの改善にかかる工数は倍以上に跳ね上がります。

SEO対策は企業の重要な取り組みのひとつ。担当者だけに任せきりにせず、コンテンツの初期設計を行う際は、簡単で構わないので誰が見てもわかるように、作業の過程を記した資料を残しておくといいですね。

コンテンツの初期設計で重要なキーワード選定は、はじめに数値目標の設定を

ここでは初期に行うべき、費用面の目標設定について考えていきます。
キーワード選定するのに、なんで数字を扱わなければならないの?とつい思ってしまいます。コンテンツを作る担当者に選ばれることが多いのは一般的に、文章を書くのが得意な人ではないでしょうか。もしかしたら、数字を突き付けられると途端に苦手意識がむくむくと湧き上がってくるかもしれませんね。

しかし、コストや売り上げ目標などの数値設定は、プロがキーワード選定をするうえでは絶対に、最初に気にする重要項目です。コストや売上目標は予算にかかわる部分。「どのくらい費用をかけていいのか」は、キーワードの取捨選択や執筆の優先順位を決めるために欠かせません。
これを決めずに開始しては、いつまで経ってもSEOで成果は出せませんし、外注しようにも、依頼すらできません。

苦手なら得意な人に助けてもらえばいいだけのこと。数値目標の設定は必須であると肝に銘じ、必ず確認してから次のステップに進みましょう。

初期設計の手順コンテンツマーケティングの初期設計ー【SEOキーワード選定の考え方】コンテンツと向き合い続ける方法

初期設計の手順を簡単にご紹介します。
目標売上のうち、何割を広告費に割けるかは、業種や規模により異なります。社内で設定されている目安を確認してください。

①ゴールを売り上げベースで決める
②LTV・契約数・CVRを使い、必要なリード数を計算する
③検索順位とCTRから必要な検索ユーザー数を計算する
④検索ユーザー数(月間検索数)から月に作成する記事数とゴールまでの期間を計算する

企業が行う取り組みによって、「売り上げ目標」「契約数」は変わってきますから、個々の値はそれぞれ社内で確認してください。

「LTV」「CVR」「CTR」とは?

初期設計に必要な「LTV」「CVR」「CTR」。マーケティングに携わる人なら身近な言葉ですが、なじみがない人のために簡単にご説明します。LTV,CVR,CTRの説明ー【SEOキーワード選定の考え方】コンテンツと向き合い続ける方法

LTV(ライフタイムバリュー・顧客生涯価値)

LTV(Life Time Value)は顧客一人あたり・一社あたりの生涯での総利益を示す指標です。簡単に言うと、「顧客が契約してから契約終了するまでに、その企業にいくら払うか」ですね。

LTVの計算式

LTV=顧客一人当たりの平均収益×顧客の平均維持期間

基本的にはこのように計算しますが、正確な数値を出すには詳細なデータが必要です。営業活動や企業運営に必要になってくる指標ですから、自力で導き出そうとするよりは、担当部署に最新のデータを確認をしたほうが早いかもしれません。

CVR(コンバージョン率・獲得率)

CVR(Conversion Rate)は、購入や資料ダウンロード、問い合わせなど、特定のアクションを起こしたユーザーの割合を示す指標です。

CVRの計算式

CVR(%)=アクションを起こした人の数÷サイト訪問者数×100

CVRは実際には、計算しなくとも、購入やダウンロード、問い合わせなど、コンバージョン先とするもの(CTA)をGoogleアナリティクスで設定をすれば自動で計測できます。その数値を参考に計算してみましょう。

CTR(クリックスルー率・クリック率)

CTR (Click Through Rate)とは、ユーザーの検索画面に表示された回数(インプレッション数)のうち、ユーザーがクリックした回数の割合を計算したものです。

CTRの計算式

CTR(%)=クリック数÷表示回数(インプレッション数)×100

実際のデータをもとにするのが一番ですが、まだデータが蓄積されていない初期段階だと目標値を設定するのは難易度が高いもの。

その場合は、調査会社やWebマーケティング会社が公開しているデータを参考にします。
私たちは、CTRの一般平均値として、Internet Marketing Ninjas(インターネット・マーケティング・ニンジャズ)の数値を参考にしています。

これで、キーワード選定の材料の一つである数値が揃いました。続いて、初期設計でもう一つ重要な「ターゲットの理解」について実際の方法を見ていきましょう。

【具体例で学ぶ】ターゲットを明確にし、深く理解する方法

“ターゲットの理解”と言うのは簡単ですが、具体的にどうすればいいのか?いざやってみると、難しいことに気づきます。

ここでは具体的な商品を想定し、どのように“ターゲットを理解”して、キーワード選定に活かすべきかという軸で考えてみましょう。マンション見学ーコンテンツマーケティングの初期設計ー【SEOキーワード選定の考え方】コンテンツと向き合い続ける方法

想定事例ー狙っていくターゲットは誰?「購入者」と「調べる人」が別のケース


データ

業種:不動産
商品:シニア向け分譲マンション
コンセプト:バリアフリーでシンプルな設計。食事・生活サポートサービス付き。
間取り:1R・1LDK・2LDKの3タイプ
立地:東京都
価格帯:数千万円~数億円
概要:都内に8棟の高齢者向け分譲マンションを保有する不動産会社。アクティブシニアが健康に楽しく生活するための生活環境整備に力を入れている。地方へ事業の拡大を計画中。


マンション購入にかかわる人は誰か?購入までのプロセスを想像する

では、この商品のターゲットとなるのはどのような方々か、考えてみましょう。
ここで重要なのは、検索エンジンで情報を収集する「SEO対策上のターゲット」と「購入・利用する当事者であるターゲット」の二種類があることです。

SEO対策上のターゲットと、購入・利用するターゲットー【SEOキーワード選定の考え方】コンテンツと向き合い続ける方法

まずターゲットとしてわかりやすいのは「購入・利用する当事者であるターゲット」、つまり入居される高齢者の方々ですね。では、年齢は何歳くらいで想定すればいいのか、考えてみます。

商品は、介護サービスのない高齢者向けのマンションです。介護までは必要とせず、食事提供や御用聞きなど最低限のサポートがあれば基本的にはシニアのみで生活ができる方々が対象となります。
となると、入居するのは70〜80代くらいの方々がメインではないか、と想像します。
しかし、“分譲”マンションであると考えると、入居時期よりも少し早めに準備すると想定し、広告のターゲットには60代も含めてもいいのではないでしょうか。

間取りから、ご夫婦もしくはお一人での入居が想定されているとわかります。

シニア向け分譲マンションの初期費用は、数千万〜数億円と高額です。それに加えサービス利用料やサポート費など、維持費に毎月数十万円かかるマンションが多いようです。

また、賃貸ではなく“分譲”ですから、もちろん資産になります。
となると、入居する高齢者本人だけでなく、その資産を引き継いだり、購入手続きを手伝ったりするであろう息子さん・娘さんにとっても、マンションの購入は大きな決断になるだろうと想像できます。この方々は、インターネットで検索して情報収集することに慣れ親しんでいる世代ですから、彼らが「SEO対策上のターゲット」になります。

このことから、今回のターゲットは、
・60~80代の元気なシニア
・60~80代の親を持つ子世代(30~50代)
であると、いったん設定してみます。

作ったコンテンツがターゲットの目に触れなければ何も始まらない

ここで考えたいのは、「費用を負担するのは誰か」「決断するのは誰か」「リサーチするのは誰か」ということです。

企業がSEO対策する際の最低条件は、「ターゲットがインターネットを利用していて、該当の商品・サービスについてWebで情報を収集する可能性がある」ことです。
年齢的に明らかにWeb検索をしない人や、業務上、Web上の情報を参考にしない・できない業界の人だけがターゲットならば、紙媒体の広告やディスプレイ広告、人づての紹介など、ほかの手段も併せて検討しなければなりません。

では何を参考に判断したらいいのか。今回は官公庁や研究所などの公的機関が公開しているデータが非常に参考になります。

最近では活動的な高齢者が増えており、60歳以上でもハツラツと元気に暮らしているシニアはたくさんいます。スマホやタブレットも使いこなしているようにみえますが実際のところどうでしょうか?

総務省の令和4年通信利用動向調査によると、60〜69歳のスマホ保有率は83.2%、70〜79歳は60.6%、80歳以上でも27.3%でした。
また、60〜69歳のインターネット利用率は86.8%、70〜79歳は65.5%、80歳以上は33.2%でした。

思ったより多いと感じた人もいるかもしれません。とはいえ、彼らが若者のように、日常的にインターネットで検索エンジンを使って情報収集しているかというとまた別の話です。こういった調査も参考にすれば、より具体的にターゲットのペルソナを設定するのに役立ちます。

また、注意点として、専門性が高く、業界が非常にニッチで狭い場合、オンラインでWeb施策を打つこと自体が適していないケースもあります。
その業界・領域に関わるキーワードをいくつか検索窓に入力してみて、関連性の高いコンテンツがほとんど上がってこないのなら、競合もターゲットもいないということ。そもそもSEO対策する意味もありません。業界に属する人に直接ヒアリングする、アンケートを取るなど、オフラインでのアプローチがいるかもしれませんね。

出典
総務省ホームページ 通信利用動向調査
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05a.html

子世代に向けてのアプローチ

話を戻して、今回の2つのターゲットのうち、「60〜80代の親を持つ子世代(30〜50代)」がどのような検索キーワードで情報収集・疑問やお悩みの解決を行うか、推測してみましょう。

初めにざっくり大きめの言葉でカテゴリを考えます。
商品に直結する検索キーワード「シニア向け マンション」をGoogleの検索窓に入力してみます。「シニア向け マンション」検索結果ー【SEOキーワード選定の考え方】コンテンツと向き合い続ける方法

すると、サジェストで関連するキーワードが自動的に表示されました。すべて書き出して、ユーザーの気持ちと行動を読み解いていきます。

サジェストの中で、東京にあるシニア向け分譲マンションに興味を示し、顧客となりうる人が検索しそうなキーワード(クエリ)は、
・シニア向け分譲マンション デメリット
・シニア向け分譲マンション 50代
・シニア向け分譲マンション 中古
・シニア向けマンション 東京
・シニア向け分譲マンション ランキング
・シニア向け分譲マンション 費用
・シニア向け分譲マンション 何歳から

です。この段階では最大限、広めにピックアップしておきましょう。

これらのサジェストキーワードの情報だけでも、
・“デメリット”というマイナスの言葉で検索する人がいる
・「シニア向け分譲マンション」という名前で世に認知されていそうである
・ホームページ上で費用を確認したいニーズがある
・何歳から入居が可能なのか、調べている人がいる
・50代の人が自身の入居を想定し検索している可能性がある

ということに気づかされます。

特に最後の「50代の人が自身の入居を考えている可能性」は非常に興味深い予想です。最初にターゲットの年代を設定した際に、入居するのは「60〜80代の元気なシニア」と想定しました。ですが、実際には、資産価値のあるシニア向けマンションは、50代で入居を検討し始める人も一定数、いるのかもしれません。場合によっては、50代にむけた広告も有効な可能性があります。

もっと詳細にリサーチしなければ本当のところはわかりませんが、このようなちょっとした“想定外”を見逃さず、ターゲットの心理や悩みに徹底してフォーカスしていきます。複数のワードをかけあわせて検索されるロングテールキーワードをヒントに考えるのもおすすめです。

キーワード選定に必要なのはマーケティング知識より「根気」

ここではキーワード選定の触りの部分である、メインキーワードのリストアップと、ターゲット像の理解の部分を、架空の商品を想定してご覧に入れました。
「介護が必要になった時はどうするのか」「契約に必要な書類」「遺産相続の際の対応」など、関連のありそうなトピックから、関連ワードを網羅できるよう、見つけるのが次の作業です。

その後は、関連キーワードを抽出し、競合性を調査して、絞っていく工程が待っています。

関連ワードの取得には、Googleサジェストだけでなく、Google広告のキーワードプランナーやGoogleトレンド、ラッコキーワードなど無料で使用できるツールを活用すると便利です。ツールは有料も含めれば多くの種類がありますから、適したツールをあらかじめ探しておくのもポイントです。

実際のキーワード選定作業では、これを数十回、数百回繰り返して、一つずつ精査していきます。

ここまで読んでくださった皆さんはもうお気づきかと思いますが、キーワード選定で本当に大切なのはマーケティングの知識ではありません。地道な作業を最後までやり遂げる根気です。
そして、該当の商品・サービスへの興味と理解が、キーワード選定においては何よりも重要です。

キーワード選定の詳しい手順は【SEOキーワード選定のやり方】【SEOキーワード選定のコツ】に記載しています。本記事を含め3本をよく読めば、キーワードを選ぶ際の疑問について一通り答えが見つかるはずです!

記事公開後も、情報の深さやレベル感の見直しを検討

記事公開後にGoogleサーチコンソールやアナリティクスなどのツールで分析すると、思ったほど流入がない記事があります。
そのような記事は、情報の「深さ」や「レベル感」に問題があるかもしれません。記事公開後も情報の深さやレベル感の見直しをー【SEOキーワード選定の考え方】コンテンツと向き合い続ける方法

例えば、A社は専門性の高いBtoB企業で、商品も特殊な工業機械であったとします。
オウンドメディアのSEO対策を開始し、「一番詳しい人に執筆を任せたい」と現場のベテランエンジニアを担当者に任命。大学院で専門的に学び、業界知識も豊富な彼に自社商品についてコラムを書いてもらうことになりました。しかし、公開から半年経ってGoogleサーチコンソールでチェックしたところ、どの記事も、表示回数はそこそこあるものの、クリックはされていません。

情報は正しく、視点も斬新。ベテランエンジニアの書いた記事は、同業のエンジニアには大好評でした。

それなのに、なぜ成果が出ないのでしょうか?

その理由は、

・A社の商品の導入を検討する企業の担当者は、詳しい業界知識は持ち合わせていないため、専門用語がわからない
・論文のような調子で書かれていて、専門用語がわかる人にとっても難解
・A社のアピールポイントは書かれているが、「導入コスト」や「導入にかかるプロセス」「アフターサービス」など、顧客となりうる人たちが求める情報が書かれていない
・ユーザーの検索クエリと、記事で対策しているキーワードが合致していない

などが考えられます。

失敗の一番の要因は、読み手であるユーザーのことを全く考えていなかったことでしょう。SEO対策のためのコンテンツは、書く側ではなく、読み手の知識レベルや理解度に合わせて書かかれていなければ読まれません。
クリック数のみならず、表示回数も少ないのなら、選んだキーワード自体がそもそも専門的に学んだ人しか知りえない語句で、検索ボリュームが極端に少なかった可能性もありますよね。いくら強い競合がいなくとも、ユーザーにつながるキーワードではないということです。

内容も「自社商品がいかに優れているか」に終始していて、ユーザーが本当に知りたい情報が書かれていなかったのかもしれません。

アクセスにはつながらなかったとはいえ、コンテンツマーケティングやオウンドメディアの運営では、高い専門性を持つメンバーがコンテンツの作成に関わることには大きなメリットがあります。そのため、記事を書いているベテランエンジニアに、結果だけを突きつけてやる気を削がないように注意したいところです。

A社の問題を解決する糸口を探ります。
ベテランエンジニアの有益な情報はぜひ活かしたいところですが、ベテランエンジニアもSEOは初心者です。
Web担当など、コンテンツマーケティングを知っている人がいれば、記事の作り方を教えてもらうのがベストですが、難しければ、ライターや、広報担当など原稿の出稿に慣れている人の協力を仰ぎましょう。記事の読みやすさをかなり高めることができるはずです。

・使用するキーワードをもう一度、選び直す
・記事の中身をわかりやすく、役立つものにするという観点でリライトする

などの施策を行ったうえで、顧客となりうる人に向けて再発信すれば道が開けるはずです。若者世代の協力のもと、コラムの情報を利用してX(旧Twitter)やInstagramなどSNSアカウントの運用を始めてもいいかもしれません。
そうすれば、自社の持ち味である高い技術力を、ユーザーにわかりやすいコンテンツとして提供できるようになり、のちのコンバージョンや、ブランドイメージのアップへつながります。

キーワードの不自然な使用・多用は逆効果 読み手を意識した質の高い記事を制作しよう

コンテンツ制作のために選んだキーワード。タイトルだけでなく、各見出しや内容にも積極的に使っていきたい言葉です。
でも、どんな形でもいいから使えばいい、というわけではありません。

2000年代初頭にはキーワードを機械的に繰り返し使うことで順位の上昇が見られていた過去がありました。しかし、その後はGoogleのアルゴリズム更新の度に改善がなされています。特に、2011年の「Panda」アップデートや2012年の「Penguin」アップデートでは、質の低いコンテンツや不自然なリンク構築に対するペナルティが強化されました。
それ以降、文脈を考えず、キーワードを不自然に多く使うSEO対策は推奨されなくなり、逆にペナルティ対象になりました。現在は、ユーザーに求められる、価値の高い良質なコンテンツへの評価が高まっています。キーワードを不自然に多くSEO対策はペナルティ対象ー【SEOキーワード選定の考え方】コンテンツと向き合い続ける方法

このようにGoogleのシステムと上位表示のための仕組みは日々改善がなされています。トライ&エラーを繰り返しながらより良いものを目指しているわけです。

「ユーザーにとって有益なウェブサイトを検索結果で上位表示させる」というGoogleの方針は一貫しています。そのため、一回一回の小さなGoogleアップデートに振り回されず、ユーザーのニーズに応え、問題解決の助けとなっているかを基準に、より良いコンテンツ制作を目指すことが大切です。

SEO対策を意識したライティングでは、企業が伝えたいことではなく、ユーザーが知りたい情報を発信していくのが基本。となると、コンテンツの質が重要視されてきます。

情報発信というと、書いているうちに用語説明や解説ばかりの教科書のような内容になってしまいがちです。
皆さんもそうだと思いますが、教科書のような文章は読んでいて退屈です。授業や受験勉強なら「面白さ」よりも「情報の正しさ」が優先されますから、教科書としては“正しい”姿でしょう。

でもWeb上の記事は、「おもしろさ」「読みやすさ」「パッと見の信頼感」が非常に重視されます。Web上には情報があふれていて、情報源は星の数ほどあるからです。

検索ユーザーは、小難しくわかりにくい記事を一生懸命読んで、理解しようとは思いません。「もっといい記事が他にあるはず」と「戻る」ボタンを押し、一瞬でそのページから離脱してしまうんです。

ここでいう「質」は、情報の専門性が高度であればいいというわけではありません。大切なのは「調べた人のレベルや知識量、興味に合致した内容か」です。

すぐに実践が可能なチェックポイントを以下にいくつか挙げてみます。
・ユーザーが検索する意図を知ってニーズに応える
・専門用語の過度な使用は控え、ターゲットとしたユーザーが読みやすい文章を目指す
・他にはない価値のある情報・役立つ内容を発信する
・引用、参照文献の明示
・執筆者のプロフィールや肩書、所属の掲載

業種や業界、扱う商品サービスによって、ターゲットも、ターゲットの知識レベルも大きく異なります。正解は常に、ケースバイケース。自分の頭で考える習慣をつけ、一定期間ごとに見直しをしていきましょう。

キーワード選定を活かすには周囲の理解が大切

企業内や顧客企業がSEO対策のキーワードを選ぶ際、高いハードルとなってくるのが、「SEO対策担当ではない人からの理解」です。担当者は、SEO対策やキーワードの選び方を勉強をし、知識を持って作業していますが、上司やお客様は、必ずしもそうではないところに難しさがあります。

キーワード選定作業は自分の頭をフル稼働して、手順通りに進めていけば必ず完了します。でも、企業として大きな費用と時間をかけての取り組みになりますから、周囲の理解は欠かせません。さもなくば、「コラム記事の一本も書き上がらず、実績もない段階で、時間ばかりかけて何をやっているんだろう」という目で見られかねないのです。

担当者がキーワード選定を正しく理解し、適切な手順で行っていても、周囲にその必要性が伝わらなければ、選定作業以外のコミュニケーション部分で大きな壁が立ちはだかる可能性があります。

キーワード選定作業以外の人間模様に悩んでしまうことのないよう
「なぜ検索キーワードの決定を時間をかけて行う必要があるのか」
「ホームページのSEO的な現状」
「結果が出るまでどれだけの期間が必要なのか」
「期待できる成果は何なのか」

などを知ってもらったうえで、現状をその都度共有できるよう、丁寧なコミュニケーションを行うのがトラブル回避のカギです。

「やり方」「コツ」「考え方」の3本で、キーワード選定のエッセンスをまとめて詳しく説明してきました。この3本の記事を読みこめば、SEO対策の初心者もキーワード選定ができるはずです。
チームで協力しながら、企業のホームページの価値を高める最適なSEO対策を行っていきましょう!

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