【SEOキーワード選定のコツ】失敗しない方法を解説します

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いざキーワード選定に取り組み始めると「あれ?どういう意味だろう」と疑問が湧いてきたり、「うちの会社の場合、どうしたらいいの?」と戸惑ったりした方もいるのではないでしょうか。
SEO対策のキーワード選定とはどういうものか、そして、具体的な方法は、【SEOキーワード選定のやり方】で詳しくご紹介しました。
企業によって、集客の課題はさまざま。キーワード選定にも、臨機応変な対応が重要です。この記事では、さらに一歩踏み込んでいます。実践する際にぶつかる壁・疑問にお答えしつつ、キーワードの選び方のコツ・ポイントを一緒に考えていきましょう。

なお、キーワード選定を「もっと知りたい!」方は、以下もご覧ください。
2023-2024キーワード選定総合ガイド SEO対策の基本を徹底解説
 キーワード選定でぶつかる壁・疑問を整理する人ー【SEOキーワード選定のコツ】失敗しない方法を解説します

キーワード選定のコツ4つ 初めてでもこれだけは意識したい

早速、キーワード選定のコツを丁寧にお伝えします。

(1)メインのキーワードのリストアップは、広い視野と柔軟な発想で

詳しくは【SEOキーワード選定のやり方】でご紹介しましたが、メインとなるキーワードは、ツールを使って一度に一覧で抽出できるのではなく、人力で1つずつリストアップしていきます。そのため、自社の商品やサービスに関するワードをカテゴリごとに拾い出していくという、ブレインストーミング的な作業からスタートします。
ここで重要なのは、「発想を広げる」こと。商品・サービスの特徴やポイントはすでにしっかりと把握できているかもしれませんが、コンテンツマーケティングでの「見せ方」を考えるなら、固定観念に縛られず多角的な視点から取り組むことが大切です。

例えば、住宅メーカーのサイトで、「建売住宅 坪単価」という検索キーワードからの流入を見つけたとします。「建売住宅 坪単価」で検索するユーザーは、住宅購入の費用を概算したいと推測が可能です。ということは、住宅購入に関する資金繰りというテーマにも興味があるでしょうから、「住宅ローン」をメインキーワードに据えたコラムを展開するのも良いかもしれません。

特に、これまでwebでの宣伝活動に力を入れていなかった企業では、コンテンツマーケティングを始めたことで新たな顧客との接点・ビジネスチャンスも期待できます。「今までこんな売り方はしたことがないから」と決めつけず、新しい視点でキーワードをあげていくことをおすすめします。

(2)「自分たちが当たり前に使う言葉」「専門用語」ではなく「ターゲットが検索するキーワード」を選ぶ

自社でコンテンツマーケティングに取り組む際にありがちなのが、業界特有の言葉や、専門用語をキーワードに選んでしまうことです。その業界の内部ではごく当たり前でも、狙っているターゲットが使わない語句なら、対策しても意味がありません。
業界にどっぷり浸かっていることで、お客様の日常的に使う言葉が想像できない、という事態に陥らないようにしなければなりません。

一般的に使われるように思える言葉でも、業界が変われば意味もガラッと変わる場合があります。
例えば「リテール」という言葉は、金融業界では対個人や対中小企業との取引を指しますが、アパレル業界では店舗マネジメントを、そして不動産業界では対個人の物件の売買・賃貸契約の締結を意味します。
「社外の人とあまり話す機会がない」「入社以来、一度も部署異動をしたことがない」という方がキーワード選定に携わるなら、一般用語を意識する視点も持ちましょう。

「正しい言葉」と「検索で使われている言葉」が別であることも

また、多くの人が正式名称では検索しない言葉や、人々の意識になかなか浸透しない語句があることも知る必要があります。

例えば、福岡ソフトバンクホークスの本拠地である福岡PayPayドームは、1993年に「福岡ドーム」としてオープンしましたが、2005年には「福岡Yahoo!JAPANドーム」、2013年からは「福岡 ヤフオク!ドーム」、そして2020年から現在の「福岡PayPayドーム」と、3回の名称変更をしています。

最後の名称変更から3年となった今でも、地元の人は、もとの「福岡ドーム」と呼ぶことも多いのだとか。実際、検索ボリュームは以下のようになります。福岡PayPayドームの呼ばれ方ー【SEOキーワード選定のコツ】失敗しない方法を解説します

上記のワードの中で、検索ボリュームが最多なのは、正式名称ではなく、「福岡」を省略し、カタカナ読みにした「ペイペイドーム」で、次に多いのは「福岡」を省略したアルファベット表記の「PayPayドーム」、そして3位にはなんと20年近く前に改称されたはずの「福岡ドーム」がきています。正式名称は「福岡ドーム」よりも検索ボリュームが少ないのです。

もし、「福岡PayPayドーム」でSEO対策をするのなら、正式名称だけでなく「ペイペイドーム」「福岡ドーム」のキーワードも取りこぼしてはいけないことがわかります。

検索者はどの言葉を選ぶ?ターゲットの目線でシュミレーションを

言葉としては的確にターゲットを表現していても、ターゲットがそのキーワードを検索時に使用するとは限らないこともあります。

いわゆる「高齢者」は、自身のことを「高齢者」と検索で表現することはまずありません。夫婦それぞれが高収入を得ている共働き世帯を指して「パワーカップル」、30代後半から40代前半を示す「アラフォー」などのキーワードも、その傾向があります。
ターゲットの属性を表現するのに便利だからよく使われる言葉も、当事者が自分のことを表現する際に使うことは少ないんです。

具体例で見てみます。
ゴルフの打ちっぱなし練習場が平日昼間の来店を促すため、60代・70代をターゲットに記事を書こうと、キーワード選定するとします。メインワードの候補ですぐに思いついたのは「高齢者 ゴルフ」でしたが、月間検索ボリュームを調べてみると「高齢者 ゴルフ」は260しかありません。一方、「シニア ゴルフ」は4,400もあることに気づきました。

ではここで、「シニア ゴルフ」をキーワードに選べば良いのかというと、そう簡単な話でもありません。いわゆるシニア層は、「シニア」と呼ばれることを好みません。30〜40代の人が「中年」と言われて、あまり良い気がしないのと同様ですね。つまり、ゴルフをプレーする60代・70代は検索時、「シニア ゴルフ」のキーワードすら使わない可能性が高いと推測されます。

では一体どんなキーワードで記事を書けば、60代・70代に訴求できるのでしょうか? 60代・70代の検索しそうなお悩みという軸で考えて「アイアン 飛距離 落ちた」や「ゴルフクラブ 腰への負担」などはどうでしょうか。
また、体力が落ちて長時間のラウンドが難しくなってきたら、短い時間で楽しめるハーフプレーへの需要が高まるかもしれませんね。「9ホール 時間」「9ホール ゴルフ場 ⚪️⚪️県」などのキーワードも、SEO対策で効果が出やすい可能性があります。ゴルフを楽しむシニアー【SEOキーワード選定のコツ】失敗しない方法を解説します

キーワード選定では常に、ターゲットの立場に立ち、ターゲットの目線で考えることが大切です。「制作者側が言いたいことを言う」のではなく「ターゲットの知りたいことを発信する」のがコンテンツマーケティングでありSEO対策のライティングです、ターゲットが検索に用いるリアルな言葉を選んでください。

(3)上位表示に工数がかかりそうなキーワードはロングテールキーワードで狙い、それでもダメなら優先順位を下げてみる

競合が注力しているキーワードを後追いで対策し、超えていくには相当な努力が必要です。実は、同じキーワードを狙って同じくらいのボリュームの記事を、同じ数だけ公開しても、結果は同じではありません。この現象の理由の一つは「ドメインパワー」です。

中小企業や、新規創業の企業の前に立ちはだかる「ドメインパワー」の壁

ドメインパワーとは、ウェブサイト全体が検索エンジンからどのくらい信頼され評価されているかという指標です。ドメインパワーはGoogleの公式な指標ではありませんが、検索結果のランキングに確実に影響していると考えられており、ドメインパワーの高いサイトは、上位表示されやすくなります。

ドメインパワーは、さまざまな要素で決まると考えられています。具体的には、
・質の良い被リンクを多数、獲得していること
・ウェブサイトが構築されて以来、長年にわたって安定的に運営されていること
・高品質なコンテンツを定期的に更新していること
・インターネット上で企業の名前や住所、URLなどが多数、言及されること(いわゆる「サイテーション」)
などが関係しているとされています。

ドメインパワーの影響は、検索結果からも見て取れます。
10年ほど前までは、google検索で調べるキーワードによっては、個人が運営しているブログが検索結果のトップに表示されることもよくありました。しかし、2023年現在、そのようなことは滅多に見かけません。検索結果の上位を占めるのは決まって、企業のサイトばかり。しかも、知名度の低い中小企業よりは、大企業のサイトが上位にくるケースが多いですよね。

大企業が検索結果の上位を占めるのは、彼らのコンテンツの一つ一つが優れているからだけではなく、サイトのドメインパワーが高いことも大いに関係していると考えられます。

Googleはアップデートを繰り返し、検索エンジンの精度をどんどん向上させています。どこの誰が運営しているかわからない小規模なサイトよりは、現実世界でも権威のある、しっかりした企業が責任を持って運営しているサイトを上位に表示させた方が、ユーザーにとって有益だ、とみなすようになったのでしょう。検索結果のイメージー【SEOキーワード選定のコツ】失敗しない方法を解説します

ドメインパワーが低い状態で戦うにはどうすればいい?中小企業・小規模サイトのSEO戦略

ドメインパワーに大きな開きのある状態で、同じキーワードについて似たような記事を作り投稿したら、上位表示されるのは完全に、ドメインパワーの高い方です。

ドメインパワーは数年単位の長い時間をかけて育てていくもので、一朝一夕には向上しませんから、長期戦が基本です。「競合は5本しか記事を公開していないから、10本書いたら超えられるだろう」「それでもダメなら20本。地道に積み重ねればいつかは追い越せる」というのも間違いではないのですが、そこにかかる労力とコストは無視できません。

ですから、ドメインパワーが低いケースでは、サイトのドメインパワーが育つまでの一定期間は、競合とバッティングしないという観点でキーワードを決めることをおすすめします。ドメインパワーに差がありすぎるのに、競合が力を入れているのと同じキーワードを狙いに行けば、「リソースの無駄遣い」になりかねません。

とはいえ、「ビジネスと関わりが強く、上位表示を狙いたいビッグワードが競合企業と同じ」ということもありますよね。その場合は、いくつかのキーワードをかけあわせたロングテールキーワードにして、ピンポイントに狙ってみましょう。
ロングテールキーワードの例は
「SNS 成功 事例 資料 ダウンロード」
「インタビュー 記事 料金」
などです。より具体的になるぶん、ユーザーのニーズも顕在化しますから、コンバージョの割合(CV率)も高くなります。検索ボリュームが小さいスモールワードでも、狙う価値がありますよ。ロングテールキーワードで数本書いてみてもアクセスを増やすことにまったくつながらないようなら、その時点ではいったん、優先順位を下げるのも戦略です。

ドメインパワーを数値化してくれるツールもありますので、コンテンツマーケティングを開始したら定期的に、競合と自社のドメインパワーをチェックしてみると良いでしょう。

(4)キーワードありきで考えるのはNG!ユーザーの検索意図を推測する

検索意図とは、検索を行うユーザーの背後にある目的・ニーズのこと。「ユーザーが、どのような状況で、何を知りたくてその語で探したのか」を推測し、検索意図に沿ったコンテンツを提供することが、コンテンツSEOでは非常に重要です。
Googleはユーザーの役に立つ良質なコンテンツを検索結果の上位に表示します。上位にランキングされるには、そのキーワードで検索するユーザーが求めている情報に的確に応えるページを作ることが一番です。

キーワード選定の時点でコンテンツの中身まできっちり考えて決める必要はありません。しかし、検索意図を考慮しないままキーワード選定をすると、執筆の段階で「こんなキーワードでは記事が書けない」「自社のビジネスとの関連性が薄かった」といった事態に陥ります。キーワード選定の時点でも、ユーザーが検索している動機をある程度、推測する必要があるというわけです。

検索意図はジャンルに分けられる

検索意図は、複数のキーワードをかけ合わせて検索されるロングテールキーワードであれば推測しやすいのですが、単ワードや、単語を2つかけ合わせただけのワードでは、そうはいきません。検索意図によくあるのは以下のパターンです。

・情報・知識を得たい(例:「建売住宅 坪単価」「鯖の味噌煮 レシピ」)
・特定のウェブサイト・ページに行きたい(例:「chatGPT ログイン」「Google広告 キーワードプランナー」)
・購入・利用したい(例:「くっつかないフライパン 通販」「オンライン英会話 体験」)

「情報・知識を得たい」という検索意図のキーワードに対しては、コラムを展開しやすいですよね。購入・利用したいという意図が多そうなら、情報提供のみではなく、購入・契約への導線を確保したページにすべきです。

ざっくりジャンルに分類をしたあとは、実際にそのキーワードを検索窓に入力してみます。上位に表示されるサイトに目を通し、ユーザーの求めている情報の種類を確かめましょう。検索窓の下に並ぶサジェストワードも参考にできますよ。検索結果の画面のイメージー【SEOキーワード選定のコツ】失敗しない方法を解説します

ツールの使い方にもコツあり!使い所と、頼りすぎない方が良いところ

続いては、キーワード選定作業で役立つツールについて、使い方のコツを見ていきます。

ツールは活用できてこそ意味がある

検索ボリュームの調査、関連キーワードの洗い出し、流行の調査、競合性の調査などにおいて、ツールは欠かせませんよね。世に出されている数々のツールはどれも優秀で、非常に心強い味方になってくれます。
ただし、それはツールを使いこなせてこそ。どんなに高機能なものを導入しても、担当者が十分に理解できていなければ結果は出せません。

ツールには無料・有料がありますが、有料の中には、多機能な分、操作画面が複雑に感じられるものもあります。SEO対策の初心者が担当する場合、専門用語の壁もありますから、とてもツールの使い方まで手が回りません。
せっかく費用をかけるのなら最大限活用したいところです。導入にあたっては、使い勝手や、契約後のサポート体制などを確認し、確実にツールを活用できるよう計らいましょう。

強力な味方だけど、あくまでもサポート役と心得て

ツールが導き出すデータは、統計的に処理と整理がされた信頼のおける数値ではありますが、それだけを参考にするのではなく、キーワード選択やSEOの戦略は、最終的には自分たちで判断をすべきです。コンテンツを読み、最後に評価するのは感情を持つ人間であることを忘れてはいけません。今のところ繊細な感情の起伏を感知・推測できるのは人間だけです。

機械的な作業はツールに任せ、そこで浮かせた時間と労力を、人間にしかできない工程に振り向けるという意識で、ツールと上手に作業を分担しましょう。

「一度やったら終わり」ではない キーワード選定のPDCA

時間をかけて洗い出し、検討を重ねて選んだキーワードですが、選定作業はそこで終わりではありません。記事を公開した後は、効果測定を行ってサイトの現状を確認、成果が現れているかを確かめ、場合によってはキーワードの見直しや改善が必要です。

Googleアナリティクス4(GA4)でアクセス数・ユーザー属性・アクセスの多い時間帯をチェック

まずはサイトのアクセス数や、ユーザーがどんな行動をとったかをGoogleアナリティクス4(GA4)で確認します。

GA4では訪問者のユーザー属性を調べられます。サイトを訪れた人の年齢・性別などのデータを見れば、ターゲットにきちんと届いているか確認できます。また、アクセスの集まっている曜日や時間帯をチェックするのも重要なヒントになります。

例えば、BtoB企業のサイトであれば、平日の日中のアクセスが増えて週末にはアクセスが減る、というのが一般的です。ターゲットはビジネスパーソンで、彼らがサイトにアクセスするのは業務時間内だからです。

どのような時間帯にアクセスのピークがあるべきかは、狙うターゲットによりケースバイケースです。

例えば、食品の卸業を手がけるB社で考えてみましょう。
B社のコラムでは、飲食店向けに、季節の野菜の選び方や調理法、魚介類の下ごしらえの豆知識などを紹介し、アクセス数を好調に伸ばしていました。しかし、アクセスが増えるのは平日の昼と夜間、そして休日です。店舗をターゲットに情報発信していたつもりが、飲食店が営業しているピークタイムに流入が集中しているのです。つまり、アクセスしてきているのは明らかに飲食店のスタッフではありません。B社のブログの読者はおもに、主婦層や料理に興味のある一般人で、ターゲット層の集客にはつながっていないことが推測されます。

飲食店の仕入れ・調理担当スタッフの間での認知度をアップさせたいのなら、「ブロック肉の鮮度を保つ保存法」や「大量のエビの殻をむく時短テクニック」といった、ターゲットのニーズに直結した内容の方が適切だった可能性があります。
主婦や料理好きな一般人がたくさんアクセスしても、B社のコンバージョンにはつながりませんから、B社はSEO対策をするキーワードを変更すべきかもしれません。

このように現在、サイトに集客できている層を分析することは、狙っているキーワードが間違っていないかの確認になります。

Googleサーチコンソールで表示・クリックされたクエリを確認 キーワードが獲得できていなければリライトも検討を

続いて、Googleサーチコンソールの「検索結果」から「クエリ」を見てみましょう。

クエリとキーワードの違いは?

「クエリ(検索クエリ)」は「キーワード」と非常によく似ていますが、概念が違います。ユーザーが検索するときに検索エンジンに入力するものを「クエリ」、コンテンツ制作者側がユーザーをターゲティングするために用いるものを「キーワード」といいます。

「キーワード」は基本的に、単語や、単語と単語の組み合わせですが、「クエリ」はユーザーが検索ボックスに入力する語句そのものですから、フレーズや文章のこともあります。もちろん、キーワードとクエリが結果的に一致することもあります。Googleサーチコンソールのクエリ列ー【SEOキーワード選定のコツ】失敗しない方法を解説します

サーチコンソールでは、クエリごとに、表示された回数とクリックされた回数が見られます。作り上げたコンテンツが実際にどんなクエリで検索された時にユーザーの目に届いたのか、そして、クリックされたのか・されなかったのかが分かります。

もし狙ったキーワードで表示されていない・クリックにつながっていないことに気づいたら、対応が必要です。あくまで同じキーワードを狙うなら、コンテンツの中身を見直します。

考えられるのは、
(1)キーワードがタイトルや見出しに十分に入っていない
(2)本文中での使用回数や頻度の問題
(3)コンテンツとしての内容の情報量が少ない
などです。

検索エンジンに評価される記事になるよう、内容がユーザーの求めるものになっているか確かめましょう。同じキーワードで上位表示されている他社のコンテンツを分析すると、参考になりますよ。

一方、選定したキーワード自体を見直すべきケースもあります。

クエリを詳細に見ていくと、意識すらしていなかったクエリで意外に表示回数が伸びている、クリックにつながった、などを発見することがあります。

例えばペットショップが「子猫 抱っこ しつけ」というキーワードで、子猫のしつけ全般を紹介しながら、特に「抱っこの仕方」の解説にボリュームを割いた記事を作成したとしましょう。公開後、表示回数は伸びているのに、クリックがほとんどないことがわかったとします。

サーチコンソールを見ると、表示されていたクエリは、「子猫 抱っこ しつけ」ではなく、「子猫 噛み癖 しつけ」でした。ユーザーは「子猫の噛み癖をやめさせるしつけ方法を知りたくて検索しているのだと推測できますから、狙うキーワードを「子猫 噛み癖 しつけ」に変更し、キーワードに沿った内容となるよう、記事全体を大きくリライトすると良いでしょう。

このように、キーワード選定の時点で弾いていたり、ツールによるリストアップから漏れてしまったりした言葉でも、実際に検索需要があったなら、有望なキーワードになるかもしれません。検索したユーザーの動機を考える、そのキーワードを起点に関連ワードを探すなど、新たな視点でキーワード選定をしてみてください。

検索エンジンはアップデートを重ね日々、その性能が向上していますから、SEO対策に「これが100点」という答えはありません。失敗や試行錯誤を繰り返すことで最適な答えに近づいていくものと捉え、キーワードは定期的に見直し、再選定を行うと良いでしょう。

キーワード選定の疑問・お悩みを解決 一問一答

キーワードを選ぶうえで、ぶつかりがちな質問を下記にまとめました。

(1)季節性のあるキーワード・流行り廃りのあるキーワードはどうしたらいい?

キーワードの中には、一定のシーズンにだけ検索されるものや、特定のイベントにともなって検索されるものがありますよね。流行性・流行り廃りのあるキーワードの例ー【SEOキーワード選定のコツ】失敗しない方法を解説します

これらのキーワードは、その季節や、イベントの直前など、一時的に多くの訪問者が期待できますが、時期が過ぎればアクセスが激減します。ですから、一般的なキーワードとは分けて考える必要があります。

「蚊取り線香 ペット」というキーワードであればまだ、毎年、初夏から秋にかけてアクセスが期待できます。一方、一回きりのイベントを扱った場合は開催後、時間が経ってから検索数が増加する可能性はほとんどなく、コンテンツの賞味期限は短くなります。

では、これらのキーワードは避けるべきかというと、一概にそうとも言えません。安定して流入が期待できる息の長いコンテンツを作るという観点からは、これらのキーワードの優先順位は低くなりますが、イベント企画を宣伝するためのコンテンツマーケティング、というケースもありますよね。
また、それまでコンテンツの量を積み上げてきてもなかなかアクセス数が増えていなかったサイトであれば、イベント記事のおかげで一気に流入が増え、それをきっかけに過去のコンテンツも読まれ始めるなど、起爆剤になる可能性もあります。

季節やトレンドに左右されないキーワードについて、すでに概ねカバーできているのなら、これらのキーワードを狙っていくのも戦略として有効だと思います。
自社サイトの状況や、コンテンツ制作の進み具合、かけられる予算と時間などを考慮して決定しましょう。

オンタイムに結果が出るわけではないから、記事の投入には時間の余裕を持って

季節性・トレンド性のあるキーワードで対策するなら、時間的に余裕を持ってコンテンツ制作を進める必要があります。
今現在、検索結果の上位に表示されているWebページも、公開翌日からすぐその順位だったわけではありません。アップロードした記事が検索結果での立ち位置をある程度、確立するには公開後、数週間〜数ヶ月、見ておく必要があります。
シーズンもの・イベントに関わるキーワードは、瞬間最大風速の大きさが魅力ですから、せっかく記事を用意するなら絶対に時期を逃してはいけません。確実に結果を出したいなら半年〜1年前には準備してもいいほどです。早めの公開が必須ということもセットで考えてください。

(2)「とりあえず流入を増やして」と言われたから、検索ボリュームの多いキーワードを優先的に選ぶべき?

コンテンツマーケティングの目的として挙げられることも多い「集客」ですが、「誰でもいいからウェブサイトを見にきてくれればいい」というわけではありませんよね。企業がコストをかけて取り組むのですから、ただ露出を増やしたい・知名度を上げたいだけではなく、将来的に、どこかの時点でお客さんになって欲しい、というのが大前提です。

つまり流入数だけでなくコンバージョン率も重要ですから、検索ボリュームの多さを最優先にキーワードを選ぶのは早計です。

文字にするとごく当たり前に感じられますが、キーワード選定作業で、検索ボリュームや競合性のリストを眺めているうちに、この前提がよく抜け落ちてしまいます。その結果、「アクセス数が稼げそうなキーワード」や「記事を書きやすそうなキーワード」が選ばれ、気がつけば、多くのアクセスを集めたけれど問い合わせ・購入には一向につながらないという事態に。

そういったケースでアクセスを分析してみると

ウェブサイトを閲覧している人の多くはすでに商品を購入後だった
アクセスのほとんどは、言葉の意味を知りたいだけの初学者や学生だった
そもそも自社の業務との関連度が低いキーワードを選んでおり、良記事だと思われたとしても、購入や問い合わせにつながりようがなかった

以上のような背景に気づきます。アクセス状況を分析するイメージー【SEOキーワード選定のコツ】失敗しない方法を解説します

初期は「とりあえず流入を増やして」「当面のところはアクセス数アップが目的」というざっくりとした指示しか与えられなかったとしても、長期的には必ずコンバージョン率のアップといった「その先」が期待されるでしょう。そうなった時に、「アクセス数が稼げそう」「記事が書きやすそう」といった理由で作った既存記事が大量に存在していれば、むしろマイナスに働きかねません。

中・長期的な視点でのコンバージョンを期待するのがコンテンツマーケティングとはいえ、“お客様”にはほど遠い人ばかりがウェブサイトを訪問している状態は避けたいものです。「アクセス数だけを稼げばいい」という考えは捨て、そのキーワードで検索してきた訪問者が、記事を読んだ結果、商品を購入しそうか、問い合わせしそうかを考えてキーワードを選びましょう。

(3)いろいろな検索意図がありそうなキーワードはどうしたらいい?

検索キーワードの裏には複数の意図があります。ですから、ユーザーがなぜその言葉を調べたのか、実際にそのキーワードで検索してみて、企業が想定している意図と世間的な検索意図が一致するかの確認は必須です。

業務に関連あるキーワードも、調べてみると、想定とは違う意味で検索されていることを見つける場合があります。そのキーワードは選ばない方が良いのでしょうか?

例えば、ビジネスで「BtoB」といえば、対企業の商品サービスを展開することですが、これは、人気の韓流アイドルグループの名前でもあります。実際、「BtoB」の検索結果の1位と2位は、アイドルグループを扱ったウェブサイトでした。「btob」の検索結果ー【SEOキーワード選定のコツ】失敗しない方法を解説します

こういったキーワードを選んでも構わないのですが、検索ボリュームの解釈には注意点があります。
「BtoB」は月間検索ボリュームが10,000〜100,000とかなりの数のあるビッグワードですが、この中にはビジネス目的ではない検索も相当数、混ざっています。ターゲットとする人が検索している数は、見た目ほど多くはないということに注意し、「BtoB」単体で狙おうとせず「BtoB ビジネス」「BtoB マーケティング」など韓流アイドルを除外できる複合ワードを考えましょう。

(4)競合と似たようなキーワードばかりを選んでしまい、差別化ができない

競合のwebサイトの状況・SEO対策の方針を調べ、コンテンツの差別化をはかりたいところですが、セオリー通りにきちんと作業をしたら似通ったキーワードばかりが残ってしまう、というお悩みにぶちあたった人もいるかもしれません。

関連キーワードは、どこの企業もツールを用いて一括で取得していることが多いので、キーワードがある程度、似てきてしまうことは仕方ないんです。割り切って、長い戦いになる覚悟を持って挑みましょう。

それに、直接アクセス数や売り上げにつながる見込みは低くとも、ウェブサイトにとっては必要なコンテンツもあります。Googleは情報を網羅的に掲載していることも評価基準の一つにしていますから、ドメインパワーを上げるためにも、基礎的なキーワードの記事はどこかの時点で必ず書くことになると考えてください。
「似通ったキーワードはダメ」と頭から決めつけず、ビジネスに直結する重要なキーワードは、粛々とコンテンツを制作しましょう。

キーワード選定でオリジナリティを高め、成果を出すコツ

とはいえ、オリジナリティが全くないのも困りものです。そんな時は、思い切って、ツールの出してくれるデータから少し離れたところでキーワードを考えてみるのも方法です。

主観や感覚に頼ってキーワードを選ぶのは危険だけど「先取り」は試す価値あり?

試す価値があるとしたら「まだ世の中に、十分には浸透していない言葉を先取りで選ぶ」です。
業界や分野にもよりますが、海外で流行したトレンドが、数ヶ月・数年後に日本でもブームになることがありますよね。そういった「これから来そうなキーワード」や、「日本でも注目を集める海外の有名人の最新の発言を紹介する」などは実験的に取り入れてみても良いかもしれません。

例えば、今ではすっかりお馴染みになった豪華なスタイルのキャンプ「グランピング」は、元をただせば海外から輸入されたものです。
アメリカでの「Glamping」の検索需要の立ち上がりは2011年。「Gramping」のGoogleトレンド画面ー【SEOキーワード選定のコツ】失敗しない方法を解説します
一方、日本で「グランピング」が検索され始めたのはご覧の通り、2015年です。
もし2011年の時点で、アメリカで始まったグランピングのブームに目をつけ、コンテンツを制作していれば、競合に頭ひとつ抜きん出た結果を出せたかもしれません。「グランピング」の検索結果ー【SEOキーワード選定のコツ】失敗しない方法を解説します

また、「今すぐにはデータが出ないけれど将来的に、確実に検索需要が見込めるキーワード」も注目する価値があります。法律や制度改正の場合、改正の数年前からアナウンスされることも珍しくありません。改正が行われる時期を目掛けて検索需要が徐々に増えていき、施行後も、浸透するまでの数年間はしばらくは検索需要が高い状態が続きます。

例えば、「民法改正」というキーワードを見てみましょう。民法は、制定されて以来120年ぶりとなる改正が2020年4月に行われました。検索需要の推移は以下のように、2020年3月をピークにして、その後も高めで推移しています。「民放改正」の検索需要ー【SEOキーワード選定のコツ】失敗しない方法を解説します

こういった「先取り」キーワードを取り込むことで、競合との差別化もはかれますし、想定外の流入増にもつながる可能性があります。ただしデータに基づいた選び方ではないので、検索ボリュームや流入数が予測しづらいのがデメリットです。
先取りキーワードばかりではなく、検索ボリュームが確実にある他のキーワードもバランスよくコンテンツマップに取り入れることが重要です。

キーワード選定は外注する手段もある

キーワード選定は、コツをふまえた上でも、ラクな作業ではありません。相談し、社内のリソースで対応できそうにないのなら、選定作業や全体設計の部分をSEOコンサルに外注するのも一つの方法です。

依頼するなら取組の目的を確実に伝えよう

依頼する際は、何を目指してのキーワード選定か、目的を明確に伝えましょう。
一口に「SEO対策」と言っても、「search engine optimization(検索エンジン最適化)」というざっくりした表現からわかる通り、その指し示す範囲はwebマーケティングの中でも広大です。
集客のその先には、特定の商品を売りたい、企業の知名度をあげたい、ブランディングをしたいなど、さまざまな狙いがあるはずです。
アクセス数を集めただけで、その「先」につながらなかった、という事態を避けるため、設定した目的は確実に、外注先に共有しましょう。

SEOコンサルのサービス内容に含まれるサポート範囲の確認を

【SEOキーワード選定のやり方】誰でもできる手順を6ステップで解説 でご説明したように、キーワードの選定には、いくつもの工程が必要です。
特に、事前準備の段階では、企業理解を深める・業界分析をするといった、キーワード選定やSEO対策に直接的には関わりのない作業も入ってきます。外注する場合も、これらの工程を省略しては、適切なキーワードを見つける難易度は高くなります。

外注先とは複数回のミーティングを行い、取り組みの目的はもちろんのこと、企業の状況、キーワード選定の方針や目標値の設定、効果測定の方法などについて綿密にコミュニケーションを取りながら順に進めていきましょう。ここに時間を割いてもらうことは基本中の基本、快く応じてくれない会社にお任せするのは正直、心配です。

いくらSEOの専門家とはいえ、あなたの会社の業務内容に関しての知識がない状態で、最適なキーワードを選ぶのは難しいでしょう。ただ「キーワードリスト」だけぺらりと1枚渡されて終わり、ではその後のコンテンツ制作もすぐに行き詰まってしまいますし、結果もついてきません。外注した場合、どの範囲までサポートしてくれるのかしっかり確認しておきましょう。

メリット・デメリットを比較して、依頼するかの判断を

プロの手を借りられれば、きっと成果が出ることでしょう。ただし、サポート内容が手厚くなればその分の費用がかさみますし、何より、外注している限り社内にノウハウが蓄積されません。SEO対策を続けるほど、コストもかかり続けることになります。

そして、繰り返しになりますが、キーワード選定を含むSEO対策は、「丸投げ」できません。自社の状況や希望を細かく伝え、ペルソナを設定し、目標をすり合わせ、フィードバックをして次の戦略を立てる、という主な工程は結局のところ、外注しても必要です。キーワード選定を外注する際の手間について考えるー【SEOキーワード選定のコツ】失敗しない方法を解説します

実際に手を動かす部分をお願いできるとはいえ、依然として時間とコスト、労力がかかり続けるのなら、自社でできるようになった方が、長い目で見ればメリットが大きいかもしれません。外注するかの判断は総合的に行い、外部に委託するにしても、いずれは自身で行えるように自分の頭で考え、ノウハウ習得を目指すことをおすすめします。

コツをつかみ、自分でキーワード選定ができれば大きな武器になる

キーワード選定は時間と手間のかかる作業ですから、慣れないうちはかなりの負担です。今回はかなり細かい部分にもフォーカスしたので、「難しそう」と感じた人もいるかもしれません。でも、「習うより慣れろ」で、キーワードリストを作り上げ、それに沿って記事を構成・執筆し、効果測定・戦略修正するというPDCAを一度でも経験してみれば、「こういうことだったんだ」と一気に理解が進みますよ。勇気を出してぜひ、チャレンジしてみてください。

どんなクエリでサイトへの訪問があったのか、コンテンツに触れたユーザーがそこからどのような行動をしたのか確認できるのはweb広告ならではのおもしろさですし、そこから、新商品やサービスの開発に繋がる可能性だってあるでしょう。ユーザーのニーズをダイレクトに表現しているクエリは、「宝の山」でもあります。
そんなデータを取れるのも、SEO対策をすることの魅力の一つです。解説したノウハウを、キーワード選定場面に活かしていただけるよう全力で応援しています。

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