ネイティブ広告はコンテンツマーケティングと何が違う?【両者の違いと活用方法、シナジー効果などを解説】
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ネット広告のシェアは拡大傾向にあり、今後一層の伸びが予想されています。しかし過剰な広告はユーザーの忌避感を煽ることもあります。
そこで注目されているのがネイティブ広告やコンテンツマーケティングという手法です。ここではネイティブ広告について解説しつつ、コンテンツマーケティングとの併用についても紹介します。
コンテンツマーケティングについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
ネイティブ広告とはどのような広告?
ネイティブ広告誕生の背景
旧来のマスメディア(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌など)を使った広告は近年減少傾向にあります。とくに紙媒体による新聞や雑誌は発行部数の減少もあり下落幅も大きくなっています。
代わりに台頭してきたのがインターネット広告です。中でもバナー広告は動画を利用したもの、記事途中でポップアップするもの、画面遷移の途中に経由させられるものなど、様々な工夫を凝らしてユーザーの目を引きつけようとしています。
一方で興味のない広告や記事の閲覧に割り込むような広告は、ユーザーの不満を招くことになりました。その結果、ユーザーにストレスを感じさせない広告手法が求められるようになりました。
ネイティブ広告とは?
サイト閲覧時のユーザーへのストレスや忌避感を減らすために考えられたのが、ネイティブ広告です。ネイティブ広告はコンテンツのデザインを損なわないように考慮され、コンテンツの一部として認識されるように作られます。バナーのデザインだけでなく、内容やフォーマットも掲載先サイトに馴染むように設計されています。
一見して広告とわからないように作り込まれるネイティブ広告ですが、閲覧後に広告と知ったユーザーが「ステルスマーケティング」と感じ、気分を害してしまう恐れがあります。そのため、ネイティブ広告ではあらかじめリンクバナーや記事内に「広告」「PR」などの文字をいれ、区別ができるようにしています。
ネイティブ広告の種類と特徴
ネイティブ広告は使用される場面や特徴で、いくつかの種類に分類されます。主な種類を紹介します。
インフィード型
インフィード型とは、ユーザが閲覧している媒体のフォーマット内に溶け込み、コンテンツの一部のように認識される広告です。WEBサイトであれば関連情報のリンクバナーの中に同様のフォーマットで広告バナーを溶け込ませます。SNSや読者投稿型のサイトでは、それぞれの書式に合わせた広告が挿入されます。
広告コンテンツにはサイトの記事でなく、広告であることがわかるように「PR」や「広告」という文字が付けられています。
ペイドサーチ型
広告費用を払って検索エンジンの結果に表示させるネイティブ広告をペイドサーチ型といいます。
以前から利用されているリスティング広告と基本的な仕組みは同じです。検索結果の最上位数カ所がペイドサーチ広告に利用されています。通常の検索結果表示と同じ形式で表示されるので違和感はかなり少なくなっています。
ただこちらでも「広告」や「PR」の文字が付いているので、SEOにより上位に表示されたものか、リスティング広告かを区別することができます。
レコメンド型
おもにニュースサイトやキュレーションサイトなどの情報提供型のサイトで使われるネイティブ広告です。記事のサイドバーや末尾に、読者の閲覧傾向に合わせてその他のおすすめ記事を表示する仕組みがあります。それらのおすすめ記事に紛れて表示されるものをレコメンド型といいます。
バナーリンクや記事内には「広告」である旨の表記はありますが、興味関心に合わせて表示させている点と元の記事を最後まで読むほど関心の高い読者であれば「広告」であってもきちんと読んでもらえることが期待できます。
プロモートリスティング型
アマゾンなどのECサイトの商品検索で用いられるネイティブ広告です。商品検索一覧の間に「スポンサー」と表示がある商品が挿入されます。同じECサイト内の商品ページにリンクされており、購入意欲の高いユーザーの誘導が期待できます。
ネイティブ広告のメリット
潜在顧客へのアプローチ
多くのネット広告はユーザーの興味に合わせて表示されるので、そこに掲載されるネイティブ広告も潜在的な顧客にアプローチすることができます。元々のコンテンツと見た目だけでなく、広告内容も違和感なく溶け込ませるため、潜在ニーズを持ったユーザーが広告コンテンツをクリックする確率も高くなります。
記事広告のシェアによるアプローチ
ツイッターなどのSNSは記事のシェアが簡単にできることが大きな特徴です。ユーザーにいいなと感じてもらえる広告を投稿できれば、シェアによりさらに多くの目に触れ広告が広がっていくこともあります。
その際には当初ターゲットとしていなかった顧客層や初回の投稿時には反応が低かった、あるいは見逃されていた顧客層への再アプローチのように想定以上の広がりとなることもあります。
広告への忌避感が下がる
サイトのデザインや内容に合わない広告はユーザーの大きなストレスを産み出します。度を超えて露出される広告は出稿企業のイメージダウンのリスクにも繋がります。
この対策として考え出されたネイティブ広告は広告に対する忌避感の減少に寄与しています。広告バナーや広告ページのフォーマットが掲載サイトに準じた設計になっているので、サイト閲覧時の違和感は大きく抑えられています。それでも広告は見たくないユーザーは、「広告」「PR」「スポンサー」などの表記に気をつけていればよいので回避も難しくありません。
ネイティブ広告のデメリット
広告コンテンツ作成に手間がかかる
ネイティブ広告は従来より広めの顧客層にも目に触れる機会が増えます。商品やサービスの説明は、よりわかりやすくメリットを感じやすいものになるような工夫が求められます。
また掲載サイトのフォーマットに合わせてデザインや記事作成を行わねばならないので、従来よりも手間がかかります。
広告掲載コストがかかる
ネイティブ広告以外でも変わりませんが、広告の出稿には費用がかかります。出稿費用自体はネイティブ広告だからといって大きくかわるものではありませんが、制作に手間暇がかかることから、総費用が増える懸念があります。掲載先の選別やターゲッティングは慎重に選び、より高い効率が得られるよう改善していくことが必要になります。
広告掲載期間が限定される
押し売り感の少ないネイティブ広告は、結果が出るまでに従来より時間がかかります。押し売り感を減らしつつ、購入や利用のメリットをうまくコンテンツに反映させられるようになるには、作成側のノウハウ蓄積も必要でしょう。
一方で広告出稿には掲載期間があります。想定していた掲載期間では思ったほどの成果が得られないこともあります。当初は成果の出やすいペイドサーチ型のシェアを高くするなど、運用方法にも工夫が必要です。
コンテンツマーケティングとネイティブ広告のシナジー効果を狙おう
コンテンツマーケティングと相性のよいネイティブ広告の種類
コンテンツマーケティングではまず記事を読んでもらうことが大切です。記事を読んでもらい、共感を得て他の記事にも興味を持ってもらうという循環を繰り返して信頼を高めてゆかねばなりません。
このようなスタイルに近いネイティブ広告はレコメンド型です。配信サイトの内容に興味を抱きオウンドメディアに誘導できれば、オウンドメディア内の他コンテンツへの回遊が期待できます。
ただし、オウンドメディア内に説得力のある魅力的なコンテンツを多数用意しておくことがポイントです。
インフィード型やプロモートリスティング型でも、自社サイトへの訪問客が用いた検索キーワードを分析することでネイティブ広告の運用に活用することができます。この場合でもランディングページとなるコンテンツが、ユーザーに有用な内容であると認識してもらうことが重要です。
コンテンツマーケティングの資産を活用
記事広告づくりには、これまで作成したコンテンツが役に立ちます。元のコンテンツ内容をベースに掲載先のフォーマットや顧客層を意識してリライトすることで短期間で広告を作成することができます。
またコンテンツマーケティング立案時に制作したペルソナやどのようなキーワードを経て訪問しているのかなどの実績データも、ネイティブ広告の運用案を検討する際の重要な資料となります。
ネイティブ広告でコンテンツマーケティングの弱みをカバー
コンテンツマーケティングの最大の弱みは、効果が現れるまでに時間がかかることです。だからといってそれまでの期間売上が低迷したままでもよい、と我慢することは企業には厳しいことです。
コンテンツマーケティングの成果が見え始めるまでは、従来の売り込み感の強い広告を使用し、少しずつ割合を減らしていくのが考えられる戦略です。広告全てを減少させるのでなく、広告内におけるネイティブ広告の割合を高めていくことで、売上減少の幅を補填しつつユーザーの広告ストレスを減少させることができます。
ネイティブ広告でどの手法を利用するかによって、売上補填に寄与するか、コンテンツの認知度に寄与するかその後の戦略に影響を及ぼします。それぞれの特徴を知った上で、実践と検証を繰り返し自社に最適な施策を検討しましょう。
シナジー効果を高めるために【コンテンツマーケティングとネイティブ広告、どちらを重視すべき?】
短期的な顧客獲得、売上アップも目指すならネイティブ広告、中長期的な顧客育成、ロイヤリティの醸成を狙うならコンテンツマーケティングが有効です。自社の経営戦略として何が求められているのかによって比重の掛け方を検討しましょう。
ただ、コンテンツマーケティングによって得られた資産(多くのコンテンツ、顧客の特徴)はネイティブ広告の実施に活用できます。可能であれば、コンテンツマーケティングを進めながら、テコ入れ的にネイティブ広告を活用する方が高い効果が期待できます。