コンテンツマーケティングはもう古い? 歴史と陥りやすい失敗パターンからその価値を検証

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新聞の発行部数減少やコロナ禍など、従来の価値観や生活様式は大きく揺らいでいます。IT分野でもパソコン離れが進み、スマホやタブレットが伸びています。このような難しい局面でコンテンツマーケティングに取り組んでみたけど成果が見えず、手法が古いせいと思ってはいませんか。

本当にもう通用しない手法なのかどうか、コンテンツマーケティングの歴史や失敗の要因を検証し、コンテンツマーケティングの将来性を考えてみましょう。

コンテンツマーケティングについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

【関連記事】【2023年版】コンテンツマーケティング完全ガイド

コンテンツマーケティングとは、記事や動画などのコンテンツを通してユーザーに価値ある情報を提供し、認知度や売り上げの向上などを目指す施策です。多くの企業が取り組んでおり、今や定番のマーケティング手法ですが、実践手順やポイントなどがわからない方もいらっしゃるかもしれません。本 記事では、コンテンツマーケティングの基礎知識やポイント、成功事例を解説します。

コンテンツマーケティングの歴史

壁画

紀元前から存在したコンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングがマーケティング手法として注目され始めたのは西暦2000年頃、インターネットの利用者が徐々に増えてきた時期と重なります。しかし、コンテンツマーケティングの考え方が反映された最古の事例は、紀元前4200年前のある壁画と言われています。

その壁画とは「槍で熊から身を守る6つの方法」と題されたもので、槍職人が槍の必要性を伝えるために考案したものと言われています。実際のところ、壁画の作者の意図がどうであったか確かめることはできませんが、時代性に適したメディアの活用というコンテンツマーケティングの本質をついたものであるといわれています。

100年前のコンテンツマーケティング成功事例

紀元前の話の真相は想像するしかありません。しかし約100年前に刊行された農業情報誌「The Furrow」はコンテンツマーケティングの成功事例としてよく取り上げられています。
情報誌を発行したのは農機具メーカーの「John Deere」です。農作物の育て方や、新しい技術の紹介をするための農家向け情報の雑誌を通じて、多くの農家の信頼をつかみ、その信頼関係が同社の製品の販促に寄与しました。

見込み客が必要な情報を精査し、コンテンツ、商品、広告が一体となった雑誌を企画する「Like a Publisher」という考え(出版社が雑誌を作るようにマーケティングを考える)が1980年代以降にイギリスやアメリカで広まります。これらは紙媒体が主役の時代のコンテンツマーケティングといってよいでしょう。

コンテンツマーケティングが生み出す価値

賑やかな繁華街

自社のファンを育てるコンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングという用語は2000年代に登場し、2013年頃から重要なマーケティング戦略としてブームになってきました。それから10年近くが過ぎた昨今では、「もう古い」と考える人もいます。

コンテンツマーケティングは、見込み客に知りたい情報、役立つノウハウなどを掲載したコンテンツを提供し続け、「収益性の高い顧客を育てる」ことが目標です。一方で今月の売上を急激に伸ばしたいというニーズには向いていません。短期的な売上を狙うなら値引きや限定プレゼントなどを使った施策の方が効果的でしょう。実施する施策によるメリット、デメリットを関係者全員が共有しておくことは運営上大切なことです。

広告が資産として蓄積される

コンテンツマーケティングの価値のもうひとつは、作成したコンテンツが蓄積されていくことです。キャンペーン広告は期間が過ぎればもう活用されることはありません。しかしコンテンツマーケティングで作成した内容は、普遍的にユーザーが興味を持つ、役に立つ内容です。

主なコンテンツが雑誌であった時代でも、熱心な読者はバックナンバーを書棚に並べ、折に触れて読み直していたことでしょう。
Webマーケティングではわざわざページを削除しない限り、いつでもアクセスされる可能性があります。有用なコンテンツは公開後も資産として蓄積され、顧客流入に役立ち続けます。継続によって豊富な資産が蓄積されることも、コンテンツマーケティングが重要視される理由です。

紀元前から利用されていたという説、100年前から活用されてきたコンテンツマーケティングという手法は決して現代に通用しない古い手法ではありません。紀元前なら壁画、100年前なら雑誌というようにその時代の主要メディアを活用して、顧客の信頼を得る方法がコンテンツマーケティングです。もし、成果を出せずに「古い」と感じているならば、実施しているやり方を見直してみるべきです。

陥りやすいコンテンツマーケティングの失敗パターン

事業の破綻

コンテンツマーケティングの成果が期待以下で終わってしまう陥りやすい失敗パターンを紹介します。コンテンツマーケティングの運用に悩んでいる方は、思い当たる点がないか参考にしてみてください。

戦略・設計段階で陥りやすいミス

コンタクトマーケティングの歴史で触れた内容に「Like a Publisher」というスタンスを紹介しました。これからコンテンツマーケティングに取り組むなら、どのような内容を誰に向かって発信していくか、という戦略の軸をしっかりと持つことが重要です。

現状を踏まえて、将来的にどのようなコンテンツを蓄積していくか、その中で潜在顧客にどんな提案、ビジョンを提案していくのかはとても重要なポイントです。
軸が曖昧だとSEOに目がいきがちになり、各々のコンテンツの主張がバラバラということにもなりかねません。

また戦略が曖昧だとコンテンツを量産できても、その効果測定ができません。戦略に合った測定しやすいKPIを定めることで、今やっていることが順調なのかどうかの判断が可能になります。とくにコンテンツマーケティングは売上、利益に反映するのは時間がかかるので、それに変わるKPIを持っておかないとやったことが全てムダということにもなりかねません。
そしてこのようなことが続けば、会社の経営陣もしびれを切らします。コンテンツを充実させる前にプロジェクトが打ち切リになることもありえます。

コンテンツの軸を定め、ターゲットに興味を持ってもらえる内容を発信し続ける、そして読者層が広がりつつあるなどの指標がトレースできる仕組みを持っておくことが大切です。

顧客目線からずれたサイト・ページ設計

制作するコンテンツは内容はもちろんですが、量も大切です。少しでも早く結果(売上)に繋げるには、少しでも早くコンテンツ制作を行って、コンスタントに量を増やしていくことが必要です。
閲覧者にとって、読みやすく導線がしっかりデザインを決めることは有益ですが、そこに時間をかけすぎた結果、コンテンツ作成が進まなければ本末転倒です。

例えばページの全容が掴みやすく、全容が掴みやすくなるように目次づくりと見出しとなる言葉の吟味だけルールを決めておくなど、閲覧者にわかりやすく、作成者も作りやすいやり方を統一してみてはどうでしょうか。
興味を持ってもらえたらサンプル請求やメルマガ購読の応募ページへの誘導や類似コンテンツへのわかりやすいリンクをを用意しておくとベターです。

ページ閲覧者が次に興味をもつものは何かを考え、顧客本位、顧客目線のサイトづくりを目指しましょう。

質の低いコンテンツや内容がアップデートされないコンテンツが多い

コンテンツを大量に制作するには、外部業者の活用も検討するべきです。ただ、キーワードだけ伝えて細かな点はおまかせというスタンスでは、質のともなわないコンテンツばかりが増えてしまうリスクがあります。

外注会社のディレクターと社内担当者が綿密にすり合わせを行い、どのようなコンテンツを作っていくのかをすり合わせ、同じ認識を持つことが大切です。キーワードに基づく情報記事だけがコンテンツではありません。SNSやブログも有力なコンテンツです。新規客の流入量やコンバージョン率を測定し、有益なコンテンツを増やすことが将来の集客アップに繋がるのです。

BtoCとBtoBでは、有効なコンテンツもそれぞれ異なります。例えばホワイトペーパーはBtoBで活用されることの多いコンテンツです。自社サービスを売り込む営業資料ではなく、課題となるテーマを広く取り上げて自社サービスが提案できる対策事例を紹介するホワイトペーパーの方が、資料のダウンロード率も高く、潜在顧客のリード情報の獲得にも役立ちます。

このように対象者やコンテンツの目的(情報提供なのかセミナー申し込みや無料サンプルの請求を目的とするのか)に合わせてコンテンツを検討し、WEBサイト全体の魅力を高めることが求められます。

過去の記事をリライトし、内容の鮮度を保つことも必要です。現在と将来では求められる情報が変化する可能性があります。更新日が新しい記事の方がSEOでも有利です。何ヶ月たっても検索順位があがってこない記事は内容を見直すべきです。
また新しい記事が増えれば、関連する過去記事との内部リンクも追加しましょう。

失敗しないペルソナ設定のポイント

顧客ターゲッティング

先の失敗パターンに加えて、もうひとつ重要なポイントがペルソナ設定です。コンテンツマーケティングで重要度の高いポイントなので前項と分けて詳しく解説します。

ペルソナ設定の目的

コンテンツマーケティングでは、どのような内容を誰に向かって発信していくかが重要なポイントです。このターゲットを具体的に作り上げることをペルソナを設定するといいます。

漠然とした人物像でなく、その人の普段の生活習慣や嗜好性、人間関係やポリシーなどを可能な限り詳細に設定します。行動の動機となる判断基準、考え方まで想定できれば、より対象によりそったコンテンツづくりが可能になります。どのような言い回しが好感を持ってもらえるか、どのような訴え方が心にささるかなどのイメージが浮かびやすくなります。

ペルソナ設定が大雑把だと、目的としていたターゲットに届かないコンテンツを作り続けることになり、コンテンツマーケティングそのものが暗礁に乗り上げてしまう可能性もあります。

ペルソナ設定に必要な項目

ペルソナ設定はターゲットとなる顧客の代表となるひとりの人物像を、細かく具体的に設定します。

まず人物の基本情報です。氏名、性別、年齢、職業、住所などを決めていきます。このレベルの絞り込みで終わっているケースもあるかもしれませんが、ペルソナ設定ではまだスタートに過ぎません。

基本情報で職業をあげましたが、さらに深掘りしていきます。会社員というだけでなく、勤務先の規模や業務内容、社員数、所属部署とその人数、本人の役職、勤続年数、人間関係などドラマの登場人物を描くように細かく設定していきます。

次に生活スタイル、人間関係を設定します。一人暮らしか否か、どのような住居に住んでいるのか、家族構成、余暇の過ごし方を深掘りしていきます。
仕事への姿勢や外交的か内向的か、個人的な悩みや人間関係に不満あるかどうか、あるならどのような問題かを細かく設定します。

金銭面、収入、資産を設定します。職場や自宅の設定と矛盾しないように設定します。合わせて可処分所得や金銭感覚も設定します。

余暇の過ごし方の深掘りにもなりますが、趣味や興味関心についても具体性を持たせておきましょう。性格や人付き合いの得手不得手にも関係します。お金がかかる趣味なら、金銭面との関わりも考慮しつつ詳しく設定します。

コンテンツの届け方を見極めるために、Web閲覧時間や利用デバイス(パソコンとかスマホとか)の種類や使用時間、よく見るサイトや利用しているSNSを設定します。TVや雑誌を情報収集の主体としているのか、ITデバイスを使った情報収集が主なのかなど、トレンドへの関心や行動パターンを設定します。

有効なペルソナの作り方

ペルソナ設定はかなり細かなことまで考えねばなりません。しかしこれらの項目を単なる想像で創作してしまうと、現実との乖離が大きくなり、関連性の低いキーワードでコンテンツを作成してしまうなど、施策の展開に大きな影響をおよぼします。
このようなリスクを避けるために、ペルソナ作りには基本的な方法があります。

ひとつめは自社製品購買者に対するアンケートやインタビューです。ペルソナ設定に必要な項目と購買実績を関連づけられるように対象者を選定し、インタビューや座談会、アンケートなどを行い情報を収集します。

ふたつめは社内データベースの徹底的な分析です。通信販売を行なっている企業であれば、購入履歴や年齢、性別などのデータが蓄積されているはずです。また、自社顧客以外のデータも用意できれば精度が向上します。リサーチ会社にデータ収集を委託することも検討してみてください。

3つめはWebデータの解析です。既存コンテンツへのアクセス解析を行い、利用デバイスや時間帯などを参考に利用します。

データ活用の経験が少ないとかなり大変な作業になります。コンテンツマーケティングの戦略立案とともにコンサルティング企業と協働することもよい案です。

時代とともに変化するコンテンツマーケティング

顧客満足

変わらないコンテンツマーケティングの本質

変わらないコンテンツマーケティングの本質
ネット時代のコンテンツマーケティングの手法について詳しく見直しましたが、根本的な部分はいつの時代も変わりません。農業情報誌「The Furrow」以外にも顧客が楽しめるコンテンツを通じて売上を伸ばした企業はいくつもあります。

家庭用の洗剤や化粧品で有名なP&Gは、ターゲットとなる主婦層のニーズに沿ったラジオドラマやテレビドラマを提供しました。番組自体はP&G製品を訴求するものではありませんが、ドラマのファンにP&Gを知ってもらいロイヤルティを高めることで売上アップに繋がりました。

エナジードリンクを販売していたRed Bullは、情熱ある著名人にスポットライトをあてることで人をひきつけるストーリーを広く提供し、そのような若者を応援する企業としてブランド価値を高めることに成功しました。

時代にあったチャネルを活用する

雑誌からラジオ、テレビと利用するメディアは変化しても消費者の役に立つ、興味をひくコンテンツを作ることがブランド価値の向上と売上アップに貢献しました。コンテンツマーケティングの基本構造に変化はありません。メディアの数が少なかった時代に比べると現代は様々なメディアが溢れかえっています。そのためコンテンツづくりや提供方法が難しくなっています。

しかし、進化した情報化社会はペルソナというかたちで、より具体的なターゲットを分析し設定できる手法も生み出しています。
基本を押さえて、いかにチャネルを活用していくかが、現代のコンテンツマーケティングのカギなのです。

デジタル世代で成果を出す3つの基本

データ分析

顧客ファーストを徹底する

社会のIT化が加速するにつれ、顧客とのチャネルも多様化しています。雑誌、新聞、テレビといったかつて主流であったマスマーケティングでは顧客へ情報が届かなくなり、ネットを主流としたチャネル構築が重要になっています。しかもネットとひとことで言ってもWeb、メール、様々なSNSなど多種多様なツールがあり、それらをどのように使っていくのかは大きな課題ともいえます。
ただ、伝える方法は複雑になっていますが顧客ファーストが基本であることは変わりありません。

コンテンツマーケティングも基本は顧客ファーストです。顧客に役立つ情報を届け、満足度を高めていき、自社ブランドを知ってもらうのがコンテンツマーケティングのプロセスであり、スタート地点はあくまでも顧客ファーストなのです。チャネルの複雑さに惑わされて基本をおろそかにしないことが大切です。

データを活用する

ITの進化はマーケティング戦略の複雑化も招きましたが、情報収集と蓄積が容易になったというメリットもあります。そのおかげで自社データベースに蓄積された顧客データを分析し、戦略立案に活かすことも可能になりました。

未購入顧客に対しても競合分析、SEO作業などを行い、コンテンツマーケティングやオウンドメディア運営を支援する分析ツールの導入も検討してみましょう。例えば株式会社Faber Companyの「MIERUCA」や株式会社オロパスの「Pascal」などです。
ITのせいでマーケティングが難しくなったと嘆くだけでなく、積極的にデータを利用していくことが今後は求められていきます。

計画、アクションについて検証、改革を継続する

デジタル世代以前から重要視されている検証方法がPDCAサイクルです。1950年代に提唱された手法ですが、いまだにビジネス運営の基本になっています。計画し、実践し、検証し、改善を行うことで業務を改善しつづける手法です。

近年は行動スピードを重視したOODAという方法も注目されています。観察(Observe)し、状況を判断(Orient)し、意思決定(Decide)を行い、実行(Act)します。最大の特徴は、観察、判断が現場の意志によって行われ、意思決定も組織の方向性とずれていないか、判断が適切かの2点以外は現場の判断を優先するので、顧客ニーズに素早く対応できることです。一方で現場の責任が重くなるという問題もあります。普段から経営陣と現場責任者の間で方針のすり合わせを行なっておくことがOODAのポイントです。

戦略と結果を詳細に分析し、次の戦略に活かせるPDCAも速度重視で高い顧客満足と現場の士気向上に繋がるOODAも、双方の長所を活かして運営に取り入れることが大切です。

コンテンツマーケティングの将来

オンラインショッピング

コンテンツマーケティングは古い?

コンテンツマーケティングは普遍的なマーケティング手法の基本のひとつであり、今でも十分に通用する考え方です。しかし、ITによる情報量の急増とチャネルの多様化がコンテンツマーケティングの推進を難しくしていることも事実です。

分析業務やコンテンツの作成、更新など、物理的な負担も増しています。量対応が必要なものは外部委託を活用するなどの対応をとり、コンテンツマーケティングの本質を見失うことがないように、歴史が証明する普遍性を信じて取り組んでいきましょう。

新しい技術へも積極的に活用

ネットメディアは動画配信から音声配信、VRなど、どんどん新しいものが増えています。デバイスもスマートウォッチやスマートグラスなどのウェアラブル端末が登場してきています。

企業側の発信者と消費者を結ぶ道筋が複雑になることは、相手の顔が見えにくくなる恐れもあります。新しい技術やデバイスが登場したとしても、顧客ファーストの姿勢を忘れずに顧客の悩み相談や問題解決に役立つ情報を持ったコンテンツを作り続けることが求められます。

コンテンツマーケティングは伝統的なマーケティング手法

Web上のオウンドメディアの活用法として理解されることが多いコンテンツマーケティングですが、重要なのはどのチャネルを利用するかでなく、どのようにターゲット顧客のニーズに寄り添うか、信頼を得るかということです。

チャネルの多様化により運営の難易度はあがっていますが、基本的な部分が普遍なコンテンツマーケティングは今後も有効な戦略として活用できることでしょう。

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