ECサイトでもコンテンツマーケティングは有効? 成功するためのポイントをわかりやすく解説
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これまでのECサイトは人気商品の在庫を切らすことなく、他社よりも安い金額で販売していれば、安定して稼げていましたが、最近はどのECサイトもそれだけで収益を安定させるのが難しくなってきました。しかも、売り上げアップを狙って広告を出しても、効果が費用に見合わないケースが増えつつあります。
そこで注目されているのが、コンテンツマーケティングの導入です。ECサイトにもメディアの機能を付けて、コンテンツSEOなどを含めたコンテンツマーケティングが注目されています。ただし、コンテンツマーケティングで成果を得るにはノウハウが必要ですので、ここではどのようにすれば期待する効果を得られるのか、その施策やポイントを解説していきます。
コンテンツマーケティングについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
ECサイトでもコンテンツマーケティングが必要な3つの理由
ECサイトの運営で重要なのは魅力的な商品を販売することですが、最近はどのようなアイテムにも競合が増えており、商品の魅力だけでは集客ができない時代になっています。そこで注目されているのが、コンテンツマーケティングを活用した集客です。
ここではまず、コンテンツマーケティングを始めることで、ECサイトにどのような効果が得られるのかについて、詳しく解説していきます。
コンテンツマーケティングにより商品やECサイトの知名度が上がる
コンテンツマーケティングを導入することで、自社で販売している商品やECサイトの知名度を上げることができます。
正しくコンテンツマーケティングを行えば、検索サイトで上位表示されるコンテンツや、SNSでシェアされるコンテンツが増えていきます。その結果、多くの人にコンテンツ経由でECサイトに流入してくれるようになり、結果的に商品やECサイトの知名度が上がっていくというわけです。
これまでは顧客に存在を認知してもらうためには、「広告を出す」という手法が一般的でしたが、時代の流れとともに広告での集客は費用対効果が低下しており、低コストで導入できる集客ツールとしてコンテンツマーケティングが注目されています。
商品の魅力が伝わるコンテンツを充実させると顧客の購買意欲が高まる
自社で取り扱っている商品に関するコンテンツを作成することで、ECサイトの販売ページだけでは伝えきれない商品の魅力や、購入することで起きるライフスタイルの変化などを伝えられるようになります。そのコンテンツを見た人は、購入するメリットを具体的に把握できるようになるため、購買意欲が高まります。
購買意欲が高まった状態でECサイトの商品販売ページにアクセスすると、欲しい気持ちが強くなっているため、迷うことなく購入してもらえます。ただ商品を並べているだけでは購入に至らなかったケースも、コンテンツによって購入につなげることができ、収益アップを期待できます。
購入者がリピーターになりやすい
商品のコンテンツが役に立つものだったり、読んでいて面白いものだったりした場合には、顧客は商品を購入するだけでなく、そのECサイトのファンになります。ファンになってくれた人は、「またここで購入したい」と思うようになるので、繰り返し購入するリピーターになります。
リピーターがいれば売り上げが安定しますし、インフルエンサーのように影響力が高い人であれば、自分のSNSなどで商品やECサイトを紹介してくれるケースも多く、何もしなくても優秀な営業のような役割を果たしてくれます。
ECサイトにコンテンツマーケティングを導入するメリット
ECサイトの売上アップにつながるのはコンテンツマーケティングだけでなく、Web広告を出稿するなど、いくつも選択肢があります。それでもコンテンツマーケティングをおすすめするのは、もちろんコンテンツマーケティングだけのメリットがあるためです。
ここではECサイトにコンテンツマーケティングを導入することで、どのようなメリットがあるのかについて、詳しくご紹介していきます。
コンテンツが資産になり集客し続けてくれる
Web広告は広告を出している期間は集客できますが、広告をやめた瞬間から効果が落ちてしまいます。ところが、コンテンツマーケティングで制作したコンテンツは資産となって、自分たちが削除しない限り、ECサイトに集客し続けてくれます。
しかもコンテンツを増やしていくことで、相乗効果により検索上位に表示されやすくなり、さらに新規顧客を獲得することも可能です。もちろん、品質の高いコンテンツを制作することが前提になりますが、制作したコンテンツは、24時間365日休むことなく利益を生み出してくれます。
広告を出すよりも低予算で導入できる
テレビCMは1放送あたり40万〜80万円程度かかると言われており、10回放送するだけでも数百万円の費用がかかります。Web広告なら数十万円の予算でも広告を出せますが、それでも毎月広告を出すとなると年間で数百万円の出費になります。さらには広告制作費用もかかります。
ところがコンテンツマーケティングの場合には、企画からコンテンツ制作までをすべて自社で行えば、低予算で商品やECサイトを紹介可能です。コンテンツを掲載する費用もかかりませんので、コンテンツを外注したとしてもトータル費用を抑えられます。
SNSで拡散されやすくECサイトへのアクセスが増える
コンテンツマーケティングはSNSとの相性がよく、魅力的なコンテンツをSNSで配信することができれば、それを見た人がすぐにECサイトにアクセスしてくれます。しかもコンテンツによってはSNSで拡散されることもあり、その場合には短期間で売り上げがアップします。
さらにユーザーとの距離を縮めやすく、丁寧に対応していくことで、ファンを増やせるといった効果もあるため、将来的な売り上げにつなげることもでき、商品やサイトに関する相談にも応じやすくなります。
ECサイトにコンテンツマーケティングを導入するデメリット
ECサイトにコンテンツマーケティングを導入することは、とてもメリットがあることなのですが、残念ながらデメリットもあります。導入してから後悔することのないように、デメリットについてもしっかりと把握しておきましょう。
即効性がなく成果が出るまで時間がかかる
コンテンツマーケティングは成果が出るまで、とにかく時間がかかります。制作したコンテンツで集客できるようになるまで、半年かかることもありますし、競合が多い分野ですと1年以上かかることも珍しくありません。
現代ビジネスは2023年においてもスピード感が重要視されていますが、コンテンツマーケティングを同じ時間軸で考えていると、会社の経営陣が早い段階で適切な対策を講じずに「成果が出ないから撤退する」と判断してしまう可能性があります。
そうならないためにも、コンテンツマーケティングのスケジュールを可視化した資料を作成し、関係者で共有しておきましょう。株式会社のように株主がいる場合には、プロジェクトの途中で圧力をかけられないように、きちんと株主にも徹底して説明しておいてください。
新しいコンテンツを継続して出し続けなくてはいけない
コンテンツマーケティングで重要なのが、新規顧客獲得と獲得した顧客をファンにすることです。新規顧客は過去に制作した資産となっているコンテンツで獲得できますが、獲得した顧客をファンにするには、新しいコンテンツを定期的に公開し続ける必要があります。
新しいコンテンツを作るだけでなく、これまで作ったコンテンツを見直すことも重要です。古くなった情報をいつまでも掲載していると信頼性が落ちるため、定期的な内容見直しが必要になり、コンテンツが増えるほどその負担が大きくなります。
専門知識のある人材がいないならコンサルティングが必要
コンテンツマーケティングを成功させるには、専門知識を持った人材(担当者)が必要になります。その人材を中心としたチームで方針や戦略を決め、それに従ってSEOを意識したコンテンツを制作していくことで成果がでますが、そうでない場合には無意味なコンテンツが増えていくだけです。
予算が限られている場合、社内で企画からコンテンツ制作まで行いたくなりますが、専門知識を持った人材がいないのであれば、コンサルティングにサポート依頼する必要があります。その場合にはコンサルティング費用が発生し、収益が減ってしまうといったデメリットがあります。
ECサイトで有効なコンテンツマーケティング方法
コンサルティングマーケティングには用途やターゲットに応じて、さまざまな種類があるのですが、すべての方法がECサイトに有効というわけではありません。そこで、ここではECサイトで成果が出やすい、4つの方法について解説していきます。自社に合ったコンテンツマーケティングの手法を比較して選ぶと良いでしょう。
SNS
すでにお伝えしましたように、SNSはコンテンツマーケティングと相性のいい手法のひとつで、SNSでシェアされやすいコンテンツを制作したり、自社でSNSアカウントを運用してコンテンツ発信したりすることで、新規顧客を獲得できます。
他のコンテンツとは違い、拡散されることで短期間でも成果が出ることもありますが、SNSの場合は制作した過去のコンテンツが資産になりにくく、常に新しいコンテンツを発信し続ける必要があります。
自社で運用する場合におすすめのSNSは「Twitter・Instagram・Facebook・LINE」の4種類ですが、若者をターゲットにする場合には「TikTok」を利用することも検討しましょう。
動画コンテンツ(YouTube)
コンテンツマーケティングの中でも注目されているのが、YouTubeなどで配信する動画コンテンツで、商品やサービスの魅力や使い方などを動画で配信します。文字や静止画とは違い、多くの情報をまとめて伝えることができるといったメリットがあります。
動画コンテンツは実際に使っているところをイメージしやすく、多くの人の購買意欲を刺激できるといった特徴もあります。ただし、動画のクオリティが低い場合にはマイナスイメージになり、コンテンツの修正も難しいので、企画は慎重に進めなくてはいけません。
オウンドメディア
ECサイト内にブログ記事コンテンツなどを掲載し、商品やサービスに対する興味を持ってもらう、スタンダードなコンテンツマーケティングの手法です。SEOを意識したコンテンツを制作することで、検索エンジン経由でのアクセス数を増やせるといったメリットがあります。
コンテンツの修正がしやすく、手軽にアクセスアップのためのトライアンドエラーができるのもオウンドメディアの魅力です。ただし、検索エンジンに依存するため、検索エンジンのアルゴリズム変更に振り回されやすいなどのデメリットもあります。
メールマガジン
メールマガジンはユーザーやユーザー候補に対して、新製品の入荷情報やセールの情報などを発信していくことで、ユーザー離れを防げるといった効果があります。またメールマガジンだけのお得な情報を掲載すれば、多くの人がメールマガジンを登録し、より効果的な情報発信が可能になります。
ただし、すでにメールマガジンというコンテンツそのものが下火になっており、メールマガジンが読まれにくい状況にあります。このためユーザーを引き止めるためのツールとしては、SNSが主流となりつつあります。
こんなコンテンツマーケティングは失敗する! 集客できない失敗事例
コンテンツマーケティングを始めていけば、確実にECサイトへの訪問者数が増えていくと考えている人もいるかもしれませんが、やり方が間違っていると集客に失敗します。ここではそんなコンテンツマーケティングの失敗事例をご紹介していきます。
事例1:コンテンツが成果に繋がらない
コンテンツマーケティングでは、コンテンツの内容がとても重要になりますが、コンテンツそのものは良質で、多くのアクセスを集めても収益アップにつながらないことがあります。これは集客したコンテンツと、ゴールとなるページの内容との関連性が薄いときに起きる傾向にあります。
いくらお金をかけてコンテンツを増やしても、優良なコンテンツから最終目的となる商品販売ページの動線が考えられていないと、収益につなげることができません。コンテンツを制作するときには、かならずゴールへと向かう動線を意識することと、ブランドの方向性やイメージに合致するように心がけてください。
事例2:KGIやKPIが現実的ではない
コンテンツマーケティングでは成果を確認するために、KGIやKPIといった目標を設定しますが、設定した数値目標などが現実的ではない場合、「成果が出ていない」と判断されてしまいます。これは、はじめてコンテンツマーケティングを導入したときに起きやすい失敗です。
KGIやKPIなどの目標設定は根拠のある数字を設定し、もし未達だったとしても、すぐに失敗と判断するのではなく、その目標設定に間違いがなかったか分析を行ってください。
事例3:ペルソナを明確にしていない
どの企業も、商品をできる多くの人に売りたいというのが本音かと思いますが、不特定多数をターゲットにすると、誰にも響かない価値のないコンテンツが量産されるだけで終わってしまいます。どのような商品を売るにしても、まずはターゲットになるペルソナをしっかりと設定してください。
設定したペルソナが好むようなコンテンツを意識的に増やしていき、ペルソナに向けて発信していくことで、ECサイトへのアクセス数は自然に増えていきます。誰に訴えたいコンテンツなのかを明確にして、ブレることのない一貫性のあるコンテンツマーケティングを行いましょう。
事例4:効果計測やコンテンツの改善をしていない
コンテンツマーケティングで重要なことは、「改善」を繰り返すことです。ところが、どのように改善していいかわからず、効果測定や改善をしないままコンテンツを投稿し記事を増やすケースも多く、この場合ももちろんコンテンツマーケティングに失敗します。
コンテンツを制作したら定期的に効果測定を行い、効果が出ていないコンテンツの改善を行ってください。もちろん改善は1回で終わりではありません。コンテンツマーケティングをやめるまで、改善を継続し続ける必要があります。課題を解決し最適化を進め、効果を高めましょう。
事例5:社員が片手間で対応している
予算が限られている場合には、社員だけでコンテンツマーケティングを進めていくケースがよくあります。それ自体は問題ないのですが、社員が片手間でコンテンツマーケティングを進めているというケースがあり、これでは結果を出すことはできません。
そのためにはまず、専門知識を持ったリーダーを中心に、コンテンツマーケティングをメインの仕事としたチームを作り、会社全体でサポートしながら推進していきましょう。
ECでコンテンツマーケティングを成功させるためのポイント
ここまでの説明でECサイトにコンテンツマーケティングを導入するときの注意点などを、しっかりと把握できたのではないでしょうか。それらを踏まえて、最後にECでコンテンツマーケティングを成功させるためのポイントを3つご紹介していきます。
きちんと分析を行ってコンテンツを設計・制作する
コンテンツマーケティングはどの企業も導入しはじめているため、コンテンツを増やすだけでは検索上位に入るのが難しく、さらに質の高いコンテンツであっても、そのコンテンツ単体では収益を上げることはできません。
コンテンツを制作する前に、きちんとキーワードの検索ボリュームを分析したり、ユーザーの動線を想定したりしながら、きちんと収益につながるサイトを構築しましょう。また、サイト構築が終わってからも分析を続けて、必要に応じてコンテンツを改善していきましょう。
そこにしかない情報を提供する
最終的な売上アップを実現するには、集客するだけでは不十分で、ECサイトのファンになってもらう必要があります。このためコンテンツを制作するときには自社だけが提供できる、本当に有益な情報を含めるように意識する必要があります。
とくに競合が多い分野で、他のサイトでも手に入る情報ばかりのコンテンツを配信しても、ユーザーの満足度は上がりません。反対に自社サイトにしかない個性的なコラム記事などを増やせば、顧客候補が自然に集まってきます。
コンテンツは量も重要ですが、本当に大切なのは中身です。競合サイトのコピーのようなサイトにならないように、ここでしか見れない具体的な例などを入れてオリジナルコンテンツになるように注意しましょう。例えば、オリジナルの写真などを付けて説明するなども効果的でしょう。
予算を意識したコンテンツ制作を実施する
コンテンツマーケティングは長期間で行うプロジェクトになるため、きちんと予算を意識してコンテンツを制作してください。予算が限られているのに、いきなり高額な動画コンテンツを制作してしまうと、資金不足でコンテンツを増やせなくなります。
まずはコンテンツマーケティングで制作したいコンテンツを一覧にし、それぞれの制作費用と制作の優先度などを書き出して、予算の範囲内でできることを明確にしましょう。また、自社でできることは自社で行うのも重要です。何でも外注するのではなく、費用をかけずに自力でコンテンツを増やしていきましょう。
コンテンツマーケティング導入でECサイトに顧客を呼び込もう
ECサイトも魅力的な商品をリーズナブルな価格で並べているだけでは、売り上げを確保できないどころか、集客すら難しい状態になっています。そのような状況を改善するにはコンテンツマーケティングの導入がおすすめですが、ただ導入するだけでは成果を上げることはできません。ユーザーのニーズに合わせて、暮らしの役立ち情報などを提供し、ファンを獲得することが必要です。
思いつきでコンテンツを増やすのではなく、きちんと分析を行った上で、自社にしか発信できない情報を含んだコンテンツを増やしていきましょう。そうすることでファンが増え、ECサイトの売り上げも自然に増えていきます。
ただし、結果が出るには短くても数ヶ月、業種によっては1年以上目に見えた成果が上がらないこともあり、悩みを抱えるときもあるでしょう。すぐに結果を求めるのではなく、最初の1年は成果ゼロになるくらいのつもりで、じっくり時間をかけて進めていきましょう。
長期的にコンテンツマーケティングを行い、ECサイトへのアクセスを増加させましょう。