コンテンツマーケティングの目標設定(KPI)は4段階に分けよう! 顧客心理や行うべき施策を解説

公開日:

更新日:

コンテンツマーケティングは潜在的な顧客やリピーターなど、幅広いターゲットに訴求できます。ただし、効果的にアプローチするには、ターゲットの状態に合わせた目標設定と施策が大切です。ターゲットと目標設定が噛み合わないと、効果の薄い施策を続けてしまうかもしれません。しかし、目標設定するために何から始めるべきか、わからない方も多いでしょう。

この記事では、コンテンツマーケティングの目標設定を4段階に分けて解説します。各フェーズの概要や顧客心理、行うべき施策を詳しく紹介しますので、マーケティング戦略にぜひお役立てください。

Webマーケティングの中心的施策であるコンテンツマーケティングについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

【関連記事】【2023年版】コンテンツマーケティング完全ガイド

コンテンツマーケティングとは、記事や動画などのコンテンツを通してユーザーに価値ある情報を提供し、認知度や売り上げの向上などを目指す施策です。多くの企業が取り組んでおり、今や定番のマーケティング手法ですが、実践手順やポイントなどがわからない方もいらっしゃるかもしれません。本 記事では、コンテンツマーケティングの基礎知識やポイント、成功事例を解説します。

コンテンツマーケティングは目標設定が重要

繋がっている赤と白のハートのパズルピース

コンテンツマーケティングは、ターゲットの状態ごとに行うべき施策が異なります。施策を決めるには、ターゲットの心理や行動の段階に合わせた目標設定が重要です。目標に沿った施策を立案・実行することで、マーケティングの精度を高められるでしょう。

ターゲットの状態は、自社サービスへの興味関心が低い順に次の4段階に分けられます。

・非認知層
・潜在層
・顕在層
・顧客層

各層のターゲットに見合ったコンテンツを発信し、次の段階へと移行させることで購買などのコンバージョン獲得を図ります。最終段階である顧客層は、リピーター化ひいてはロイヤルカスタマー化を目指すのが定番です。

なお、マーケティングにおけるターゲットの状態は、解釈する人によって各層の言葉自体や意味に幅があります。明確な定義の決まりはないため、この記事では上記の一般的な4段階をもとに各フェーズの目標設定を紹介します。

【非認知層】へのコンテンツマーケティングの目標

クエスチョンマークを囲むカラフルな人形

まずは、自社への興味関心がもっとも薄い「非認知層」の心理・行動や、適した目標設定・施策を解説します。ちなみに、非認知層は「低関心層」とも呼ばれます。

非認知層の心理・行動

非認知層とは、自社の存在や自社の商品・サービスを全く知らず、商材ジャンルへの興味もない人々です。あるいは自社に関する情報を多少知っていても、興味を持っていません。知名度の高いブランドを確立している会社でもない限り、消費者全体のうち非認知層が最多を占めるでしょう。

アプローチが難しい層ですが、非認知層の中にはニーズとなる悩みや課題を抱えていても、本人が気づいていないケースも存在します。こうした無自覚な人に対しては、悩み・課題を自覚させてニーズを育てられるため、多くの企業はアプローチする意義があるでしょう。

非認知層に対する目標設定

非認知層には、認知拡大を目標としましょう。自社および商品・サービスの存在を知ってもらい、興味関心を引き寄せることが重要です。認知を得た後は、本人が自覚していないニーズを掘り起こすきっかけとなるアプローチが求められます。

非認知層向けの施策

非認知層に対しては、コンテンツよりも広告がメインになりやすいです。非認知層は自社や商材に興味がなく、自ら情報収集しないためコンテンツに辿り着きません。したがって、ユーザー数が多い媒体に出稿できるバナー広告、動画広告、純広告、SNS広告が適しています。多くの非認知層と接点を増やし、認知獲得を目指しましょう。時間をかけて「認知」してもらうことが必要です。

一方、広告の中でも、商品名やジャンル名などの検索キーワードによって表示される「リスティング広告」は向いていません。非認知層は、自社の具体的な商品名・ジャンル名で検索しないからです。また、広告がメインになる一方で、プレスリリースや音声配信といったコンテンツによる認知拡大方法もあります。

【潜在層】へのコンテンツマーケティングの目標

虫眼鏡越しに見る複数の人形アイコン

続いて、「潜在層」へのコンテンツマーケティングの目標に関する内容を見てみましょう。注意点として、前述の非認知層を「潜在層」とする解釈もあり、その場合はここを「準顕在層」と言います。

潜在層の心理・行動

潜在層の人々は、自社の商品やサービス、あるいはそのジャンルに漠然と興味があります。なんとなく知ってはいるものの、購入・利用は考えていない状態です。

また、自社の商品・サービスで解決できるニーズがあり、ニーズを持っている自覚もあります。しかし、具体的にニーズを満たす商品・サービスはわかっていません。もしくは、わかっていても購入・利用を検討するほどの熱量はない段階です。

たとえば「乾燥による肌のかゆみ」に悩んではいるものの、どういった解決策を選ぶべきかはわかっていません。「乾燥肌」というビッグキーワードや、「肌がかゆい 原因 30代」といった疑問解決系のキーワードで検索し、情報収集しています。

潜在層に対する目標設定

潜在層は、コンテンツによる集客と認知拡大を目的としましょう。コンテンツマーケティングは有益な情報発信により集客する手法ですので、メインターゲットとも言える層です。

まず、潜在層の悩みや課題に沿ったコンテンツを発信し、検索エンジンからの自然流入やSNS拡散により自ら見つけてもらいます。集客したユーザーに対し有益なコンテンツをさらに発信し続け、「商品を買いたい・使いたい」といったニーズを育てましょう。魅力のあるコンテンツを届けることで、自社に好意的な心理状態で顕在層へと引き上げられます。SNSでシェアしてもらうようなコンテンツも有効でしょう。

潜在層向けの施策

潜在層向けには、質の高いコンテンツを制作・公開しましょう。悩みや課題を解決する記事や動画、課題解決型のホワイトペーパーのダウンロードなどが効果的です。中でも、記事コンテンツはコラムや専門家へのインタビューなど、幅広いテーマで作成できます。潜在層の興味を引き、ニーズ育成に適したコンテンツです。

コンテンツを制作したら、潜在層に見つけてもらうための取り組みも欠かせません。検索結果に上位表示させるSEO対策、企業SNSの運営・発信、リスティング広告といった手段がおすすめです。また、その他にコンテンツマーケティングの中でも、ブランディングを重要視する場合は書籍発行も適しています。

【顕在層】へのコンテンツマーケティングの目標

ショッピングバッグを持つ女性たちと路面電車

次に、「顕在層」の心理状態や最適な目標設定・施策を紹介します。コンバージョンが近い層ですので、購買行動の後押しとなるアプローチが重要です。

顕在層の心理・行動

顕在層は、潜在層よりも自社商品・サービスへの興味関心が強い状態です。自分のニーズを満たす商品・サービスのジャンルを理解しており、購入を考えて同じジャンルのものを比較しています。具体的な商品・サービス名で、指名検索するケースもあるでしょう。

先ほどの潜在層と同じく、「乾燥による肌のかゆみ」で悩んでいる顕在層がいると仮定します。潜在層は「どうしたら肌のかゆみが治るのか」がわかっていませんが、顕在層は「保湿美容液が有効な手段」と知っています。そのため、「保湿美容液 おすすめ」や「保湿美容液 プチプラ」といった、購買を見据えたキーワードで調べるでしょう。

顕在層に対する目標設定

顕在層は商品・サービスの比較段階にあるため、購買の意思決定および購買行動が目標です。自社商材ならではの機能性やブランドイメージを訴求し、競合他社との違いをアピールする必要があります。

顕在層向けの施策

顕在層向けのコンテンツには、LP(ランディングページ)があります。商品購入やサービス申し込みに特化した作りですので、購買直前のユーザーに対して効果的なアプローチが可能です。また、LPへの誘導はリスティング広告やリマーケティング広告、メルマガが適しています。

さらに、自社オウンドメディアの記事でも、商品比較やサービスの紹介記事を作ると良いでしょう。顕在層の中には製品比較のため、自社のブランドサイトやECサイトに何度も訪れる人もいます。自社メディアを強化し、コンバージョンに繋がる導線設計の構築が重要です。

BtoB企業であれば、導入事例ページの制作や、セミナー・イベントによるリードナーチャリングも向いています。

【顧客層】へのコンテンツマーケティングの目標

「customer」と人のイラストが書かれた名刺を掲げる手

ターゲットの最終段階である「顧客層」の目標について、詳しく説明します。なお、顧客層は「明確層」とも言われます。

顧客層の心理・行動

顧客層とは、すでに自社商品・サービスを使ったことがある既存顧客です。もしくは、未利用ではあるものの、自社商品・サービスに強く興味関心があり、積極的に情報収集している段階の人々を指します。顧客層は、自社商材をリピートするか、別の製品に変えるかを検討している状態です。

顧客層に対する目標設定

顧客層に対しては、リピーター化およびロイヤルカスタマー化を目標にしましょう。ロイヤルカスタマーは、単なるリピーターや優良顧客ではありません。自社商材を愛着を持って継続利用・購入し、良い口コミ・評価を広めてくれます。非認知層や潜在層など、新規ターゲットとのタッチポイントを生み出してくれるわけです。

ロイヤルカスタマーが増えれば、広告宣伝費の削減も可能になります。第一段階として、顧客層のリピート促進から始めましょう。

顧客層向けの施策

顧客層向けには、オウンドメディアによる継続的なコンテンツの発信が欠かせません。また、企業SNSの運用によりユーザーと直接交流すると、顧客ロイヤリティの向上を図れるでしょう。セミナー・イベントを定期開催し、製品の活用方法レクチャーや相談受付といったアフターフォローも効果的です。

その他、カタログやDMの送付も有効な手段になります。カタログで商品の注文受付も行ったり、DMで試供品をプレゼントしたりするとよいでしょう。既存顧客の情報を効率化したい場合、CRM(顧客管理システム)やMA(マーケティングオートメーション)などの各種ツールの導入がおすすめです。

営業部門の顧客定義も理解しよう

オフィスでノートPCを持っている人

一般的に、コンテンツマーケティングで獲得した顧客情報は、営業部門に引き継ぎます。営業部門が求める顧客情報を引き継ぐには、営業における顧客定義を理解しておくとスムーズです。マーケティング部門が担う「リードナーチャリング」のコンテンツ作りにも活かせるので、この機会に把握しましょう。

マーケティングにおけるユーザーの段階は、「ユーザーの関心度」が基準です。一方の営業の段階は、「ユーザーの欲求度(ウォンツ)と必要性(ニーズ)」を基準にしており、獲得したリード(見込み客)を下記4つに分けます。

1.まだまだ客
2.そのうち客
3.お悩み客
4.今すぐ客

それぞれの特徴を解説します。

1.まだまだ客

まだまだ客とは、自社の商品・サービスを欲しいと思っていない人々を指します。業務上または日常生活において、自社の商品・サービスを使う必要性も薄い状態です。ウォンツ・ニーズのどちらも低いため、営業部門が直接アプローチする対象ではありません。

とはいえ、潜在層と重なる存在ですので、マーケティング部門のリードナーチャリングが重要です。メルマガやDMなどで価値のあるコンテンツを届け、まだまだ客のニーズとウォンツを育てます。

2.そのうち客

そのうち客とは、商品・サービスを求めているものの、必要性が低い人々です。あるいは「この製品が本当に必要なのか?」と悩み、購買を迷っています。マーケティングにおける潜在層や顕在層と重なる存在です。

具体的には、「化粧品の無料サンプルを使ってみたけど、実際に買うのはまだいいや」と思っている人がそのうち客にあたります。商品に魅力は感じながらも必要性をそこまで感じていないため、自社商材で得られるメリットを訴求するようなニーズ育成が大事です。

3.お悩み客

お悩み客は、自社の商品・サービスの必要性が高いにもかかわらず、何かしらの理由で購買を迷っている状態です。たとえば、価格が高いと感じて躊躇していたり、競合他社と比較していたりします。そのうち客と同じく、顕在層や顧客層と被るターゲットです。

お悩み客は製品の必要性自体は感じているので、競合他社へと流れてしまう可能性があります。自社商材を欲しいと強く感じてもらう(=ウォンツを高める)には、他社商品に比べて優れている点など、差別化できるポイントのアピールが重要です。

4.今すぐ客

今すぐ客とは、自社の商品・サービスを明確に欲しいと思っており、必要性も高い状態の人々です。マーケティングの顧客層と重なります。まだまだ客・そのうち客・お悩み客を今すぐ客に育てるため、リードナーチャリングを実施します。

今すぐ客に対しては、購買意思を決定させるコンテンツの提供が必要です。商品購入や申し込みに特化したLPを用意すると良いでしょう。また、自社商材の機能・料金などの情報を載せたホワイトペーパーやサービスページを用意しましょう。

営業部門と連携する際のポイント

ここまで、営業における4つのリード(見込み客)を紹介しました。注意してほしいのが、獲得したリード情報をやみくもに営業部門に引き渡すことです。たとえば、欲求度も必要性も低い「まだまだ客」の情報を営業部門に引き継いでも意味がありません。アプローチしても成果に繋がらない顧客情報を渡されても、営業効率が落ちてしまうだけだからです。

営業部門と連携する際は、引き渡す顧客情報の条件を決めましょう。MAツールなどを使って顧客をスコアリングし、営業が求める条件に育った顧客情報のみ引き継ぐと連携がスムーズになります。

さらに、コンテンツ制作に営業部門が関わるのも大事です。顧客の各段階ごとに適したコンテンツの要望を聞き取り、営業活動に役立つコンテンツを制作してみてください。営業部門の顧客定義を理解し連携することで、コンテンツマーケティングの効果を最大限発揮できるでしょう。

設定した目標はWeb解析ツールで成果確認

さまざまなグラフとマーカーを引く手

非認知層・潜在層・顕在層・顧客層への目標を設定し、施策を実行したらWeb解析ツールで成果を確認しましょう。Web解析ツールを使うと、アクセス数やコンバージョンなどの数値を計測できます。有料ツールだけでなく、「Googleアナリティクス」のような無料ツールもあるので予算と規模に合わせて適したサービスを選んでみてください。ウェブ解析ツールで計測した数値を分析するには、判断基準となるKPIの設定が必要です。

KPIを設定する

コンテンツマーケティングを行う際は、施策の中間目標になるKPIを設定します。具体例として、以下のようなKPIをご覧ください。

・オウンドメディアの月間セッション数(訪問数)
・月間の制作コンテンツ数
・コンバージョン数(購買・申し込み・資料請求といったユーザーの行動)
・コンバージョン率(コンバージョン÷セッション数)
・SNSのエンゲージメント数

顧客状態に合わせて行った施策ごとにKPIを設定し、得られた数値を分析しましょう。

KPIはそれぞれの施策などによる目標設定ですが、その最終的なゴールは「KGI」という設定が必要です。企業の売上アップが最終的なゴールであれば、KGIは売上、その売上を上げるための施策がKPIという指標になります。

Web解析ツールの情報を分析する

Web解析ツールで得られるデータからは、多くの情報を読み取れます。

例を挙げると、PV数は多いのに直帰率が高い記事は、せっかく流入したユーザーがオウンドメディアを回遊していないとわかります。コンバージョンに誘導できていないため、関連する内部リンクや事例へのリンク、申し込みフォームの設置といった導線設計の改善が必要です。

Webサイトの解析ツールを利用すれば、こうしたユーザーの行動や考えを客観的に推測できます。KPIの達成度や施策の効果を判断する指標になるので、戦略的にWebマーケティングを実施する上では、ツール活用は必須となるでしょう。

まとめ:コンテンツマーケティングは顧客の状態に合わせた目標と施策が必要

コンテンツマーケティングを成功させるには、顧客の状態に合わせた目標設定が大切です。的確な目標があれば、施策の方向性を大きく間違えるリスクを減らすことができ、コンテンツマーケティング施策を行いやすくできるでしょう。

顧客の状態は、自社への興味関心の度合いにより、非認知層・潜在層・顕在層・顧客層の4段階があります。いずれの層にアプローチする際も、コンテンツマーケティングの基本である「価値ある情報の提供」を心がけて施策を計画してみてください。

【パスカル】導入企業、急上昇中!
誰でも簡単に使える『SEOに強い』コンテンツマーケティングツール

パスカルは、簡単な操作で、新しい記事の作り方や既存記事のSEO改善点がわかるコンテンツマーケティングツールです。

※土日含まない4日間使える無料体験版あり!

関連記事