オウンドメディアリクルーティングを活用した人材採用とは? メリット・デメリットを含め徹底解説!
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いま、オウンドメディアリクルーティングが注目されています。自社メディアで採用活動を行うオウンドメディアリクルーティングは、少子高齢化と働き方の多様化、ITの進化が著しい現代の採用活動に欠かせないものです。この記事ではオウンドメディアリクルーティングの概要やメリット・デメリット、導入方法などを解説します。
新時代の採用を変えるオウンドメディアリクルーティング
オウンドメディアとオウンドメディアリクルーティング
オウンドメディアとは、企業などが自身で所有するメディア全般を指す言葉です。ホームページやブログに加え、アカウントを開設しているSNSや動画投稿サイトなど幅広いメディアが含まれます。さらに、印刷物として配布される会社案内やフライヤーなどもオウンドメディアの範疇です。
オウンドメディアリクルーティングは、企業がオウンドメディアを積極的に活用して行う採用活動を指します。一般的にオウンドメディアリクルーティングと呼ぶ場合、採用活動に使用する自社メディアはオンライン上のメディアに限られる傾向にあります。
少子高齢化時代に求められるリクルーティング
オウンドメディアリクルーティングが注目されている要因のひとつが少子高齢化社会です。求職者が多い買い手市場と呼ばれる状況であれば、外部の専門メディアに求人を出すだけで人材確保が可能といえたでしょう。しかし、若い世代の絶対数が減少することにより、優秀な人材の確保が容易ではなくなっています。そこで、より積極的なリクルーティングの手段として、オウンドメディアリクルーティングへの期待が高まっている状況です。
より詳細でダイレクトな情報公開の必要性
現代日本は少子高齢化社会であると同時に情報化社会、情報開示型社会です。そのため、企業はより詳細でダイレクトな情報公開の必要性に迫られています。売り手市場における現代の求職者たちが求めているのは、自分のニーズ、価値観に合う条件を備えているかどうかの判断材料です。したがって、勤務時間や賃金といった通り一遍の情報を提示するだけでは就職先の選択肢として重要視してもらえない可能性が少なくありません。
同時に、他社メディアに依存した従来型の採用活動では思いどおりの情報発信やさまざまな求職者のニーズに応える情報開示の実施が難しい面があることから、オウンドメディアリクルーティングの重要性が高まっています。
ITの進化で本格化するオウンドメディアリクルーティング
オウンドメディアリクルーティングが広がりを見せている背景としては、ITの進化によって情報を発信する手段だけでなく情報を受け取る手段が発達している点が大きいといえます。インターネット利用はモバイルにまで拡大し、パソコンだけでなくスマートフォンで大量の情報をやりとりできる状況です。
求職者はいろいろな場所にいて、さまざまな端末を使って情報にアクセスしています。情報に触れる頻度も高くなることから、企業としては可能な限り最新の内容にアップデートする対応が必要です。そのためには、オウンドメディアの活用が欠かせません。
超高速・大容量・低遅延の5G通信が本格化すれば、オウンドメディアリクルーティングはより一層の広がりを見せるでしょう。
オウンドメディアリクルーティングに期待される3大メリット
求職者に向けた自社のアピールができる
外部の求人サイトに掲載した情報にアクセスするのは登録者など顕在層の求職者です。オウンドメディアリクルーティングは自社の情報にアクセスしやすくするものであり、企業サイトやSNSなどの情報に触れる潜在層の求職者に対しても自社のアピールをできる点が大きなメリットです。
自社の情報を幅広く、繰り返し発信できるオウンドメディアを活用することで、自社のブランド力を向上させることができます。ブランド力の向上が、他社との人材争奪戦において武器となることは間違いないでしょう。
ブランド力を向上させる情報とは、企業の理念やビジョン、設定しているミッション、企業文化や社風がわかる情報などです。
マッチング精度を高めて求める人材を採用できる
掲載できる情報に限りがある外部メディアへの出稿と異なり、細かなところまで自由に発信できるオウンドメディアなら、人材採用におけるマッチング精度が高くなります。企業情報と採用に関する情報を詳細に開示することにより、求職者側からみれば自分が考える働き方とマッチする会社かどうかの判断がしやすくなるためです。
入社して間もない社員が退職してしまうケースには、実際に入社してみると就職活動時のイメージと違ったためといった理由が少なくありません。多様な働き方が浸透している現代の求職者にとって、就職先選びでは自分らしさを前提にしたやりがいやキャリアプラン、ワークライフバランスなどが絡み合い、大きなウエイトを占めているといえるでしょう。
求職者の役に立つ情報発信を続けることで、応募者は自社の情報を精査したうえでアクションを起こしている可能性が高くなります。つまり、入社意欲が高い状態です。さらに、面接時の逆質問も意味のあるやりとりとなります。その結果として期待できるメリットが、ミスマッチの防止と求める人材を採用できる可能性のアップです。
採用活動の質を高めノウハウを蓄積できる
採用のためのオウンドメディアに掲載した記事・内容は蓄積され資産として残り続けます。メディア内の情報が増えることにより、検索で入ってくる人数が増え、潜在層への訴求効果アップを狙える点もメリットです。掲載期間が決められている外部の求人サイトでは望めません。また、採用活動への効果を確認しながら改善でき、継続的に運用することでノウハウが蓄積され、より質の高い採用活動につながります。
外部の求人サイトでも出稿する内容を精査し、効果を確認する点は同じです。しかし、掲載できる情報の種類や分量、デザインなどは他社と同じで限られています。さらに、オウンドメディアほど多様なメディアを使えるわけではない点も大きな違いです。
オウンドメディアリクルーティングで注意したい3つのデメリット
オウンドメディアへの投資が必要
オウンドメディアリクルーティングを始めるにあたり、採用のためのメディアを持つ必要があります。一般的には企業サイト、採用ホームページの作成やTwitter、FacebookなどのSNSを使った採用アカウントの開設です。サイト、ホームページを新規に作成したり、ドメインやメールアドレス、アカウントを取得したりすればそれなりの投資、イニシャルコストがかかります。
既存サイトの利用であっても、コンテンツの作成やSEO対策、デザインの見直しなどが必要です。
採用ホームページを企業サイト内に組み込む形を取るとしても、専用のページが必要であることに変わりありません。また、イニシャルコストだけでなくランニングコストがかかる点もデメリットのひとつです。もっとも、オウンドメディアリクルーティングが効果を発揮すれば、そのためのコストは問題にならなくなるでしょう。
専門知識が必要
SNSでつぶやいたり、書き込みをしたりといった作業であれば専門的な知識は必要ないといえます。しかし、採用ホームページや企業サイトの構築、ブラッシュアップとなると一定の専門知識が必要です。
細かいところではHTMLタグの記述やSEOを意識した文言の選択などがあります。大きくいえば、マーケティングの知識です。知識が乏しい状態で見切り発車してしまっては、期待したほどの運用効果を得られない事態が起こり得ます。
わからないことを無理してやるのではなく、わかっている人に依頼することで知識不足の問題は解決可能です。ただし、サイトの構築や運営を外注した場合にはコストがかかります。しかし、前述のように効果を得られればコストの問題も解決可能です。
見られるメディアでなければ効果がない
オウンドメディアリクルーティングはスタートダッシュを決めるには不向きだといえます。新しく作成されたオウンドメディアの存在が知れ渡るにはある程度の時間が必要で、見られるメディアとなるまでは大きな効果を期待できません。この即効性の低さが、掲載した時点からアクセスを期待できる外部の求人サイトと比較した場合のデメリットです。
また、どんなに多くのコンテンツを掲載したとしても、キチンと見てもらえなければ効果を期待できません。運用を開始して時間が経っているのにアクセスが少ない場合や、アクセスはそれなりにあるのに読まれていない場合などは、原因を突き止めて対策を打つ必要があります。自社で対応が難しい場合は、専門家や専門業者に依頼することも選択肢のひとつです。
オウンドメディアリクルーティングの導入
メディアと体制の準備
オウンドメディアリクルーティングを導入するためには、利用するメディアの用意と運用する体制づくりが必要です。しっかりと事前準備をすることで円滑な運用が可能となります。
まずはオウンドメディアの用意です。既存サイトがある場合はそのままで使えるのか、再構築が必要なのかを検討します。既存サイトがない場合は新規作成が必要です。社内に対応可能な部署や人材がいない場合は外注することになります。
より重要となるのがオウンドメディアリクルーティングを導入して運用する体制づくりです。以下に示す作業を適確に実施する必要があるため、メンバーの選定がポイントになります。社内で対応が難しい場合は、こちらも外注を検討することになるでしょう。
採用したい人材を明確にする
まず、オウンドメディアリクルーティングを使ってどのような人材を採用したいのかを明確にします。誰に向けて情報を発信するのかが曖昧なままでは、効果的な運用ができません。現役で活躍している社員と同じタイプの人材が必要な場合もあれば、異なるタイプの人材を求める場合もあるでしょう。いずれの場合でも、具体的にペルソナ化することがおすすめです。ただし、あまり細かく設定し過ぎないことが重要といえます。細か過ぎると対象が狭くなってしまうためです。
マッチング率の高い人材確保がオウンドメディアリクルーティングを行う主目的ではあるものの、対象が狭いと選ぼうにも選べるだけの人数が集まらない可能性があります。理想は多数の優秀な人材に応募してもらい、その中からよりマッチする人材を選ぶことです。
訴求のためのコンテンツ作り
優秀な人材に自社への応募を考えてもらうためには、十分に訴求できるコンテンツを作る必要があります。求められるのは企業の知名度や金銭的報酬、ポストといった従来から重視されている条件だけでなく、やりがいや居心地の良さを伝えられるコンテンツ作りです。
そこで重要となるのがジョブディスクリプションで、職務記述書と呼ばれています。募集要項で示されるような「営業職」などの漠然とした内容ではなく、職務の目的や目標、責任と権限、必要な知識や経験、資格、さらには社内の連携など事細かに示すものです。
もうひとつ重要となるのがシェアードバリューコンテンツです。職務詳細以外の情報を伝えるコンテンツで、カルチャーコンテンツとパーパスコンテンツに分けられます。
カルチャーコンテンツは社風や企業文化などを伝えるコンテンツです。具体的には、オフィス風景の紹介や各種制度の紹介、社内イベントの紹介や社員からのメッセージなどが該当します。パーパスコンテンツは企業理念を示すコンテンツです。社長インタビューや事業内容、社会貢献などの説明や紹介で構成します。
これらのコンテンツで公開される内容は、現役社員にとってみれば従業員エンゲージメントを高める内容といえるでしょう。従業員エンゲージメントが高い企業なら、求職者にとっても魅力的な企業となります。
効果の判断と改善
オウンドメディアリクルーティングを始めたら、オウンドメディアへのアクセス状況や表示順位、エントリー実績などを正確に把握することと、それによる効果を判定することが必要です。効果が出ている場合は、より高い効果を得るためにブラッシュアップします。効果が出ていない場合は問題点を洗い出したうえで改善が必要です。これからの時代、他社との人材確保競争に勝つためには、オウンドメディアリクルーティングを成功させる必要があるといっても過言ではないでしょう。
求人検索エンジンの存在
オウンドメディアリクルーティングのデメリットとして、オウンドメディアの存在が知られるまでに時間がかかる点を挙げました。しかし、求人検索エンジンの力を借りれば時間短縮の可能性があります。「indeed」といえば聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。indeedは求人検索エンジンで代表的なサービスです。
indeedなどの求人検索エンジンに対応したオウンドメディアを作成することで、無料でクロールしてくれ、存在をアピールできる可能性が高まります。効果が出るまでの時間を短縮できる手段として見逃せません。
オウンドメディアリクルーティングは周到な準備と改善がポイント
オウンドメディアリクルーティングを活用することで、新時代の人材確保を円滑に進められる可能性が高くなります。ただし、オウンドメディアを使うだけで効果が出るというものではありません。
求める人材と自社のアピールポイントを見極め、ミスマッチを防いで多くの求職者に注目されるメディアに育てる必要があります。導入に当たっては周到に準備し、運用を開始してからは改善を続けることが重要です。