【BtoB企業向け】Webマーケティングとは?ポイントと手法7つを徹底解説

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政府が推進しているDX化に加えて、コロナ禍でのオンラインへの需要の高まりが追い風となり、マーケティングもアナログからデジタルへ移行する動きがますます盛んになりました。必要に迫られ、BtoB企業でも、Webマーケティングに取り組む会社が増えています。
ウェビナーを開催する、ユーザーがダウンロードできるホワイトペーパーをwebサイトに用意する、などはWebマーケティングの手法の一つです。

マーケティング担当の方なら、日頃からこれらに触れる機会も多いと思いますが、Webマーケティングの手法は幅広く、それぞれの施策のメリット・デメリットまでスムーズに答えられる人は少ないのではないでしょうか。

今回は、BtoB企業の担当者向けにWebマーケティングについて解説しつつ、具体的な手法や、BtoB企業はどのようにWebマーケティングに取り組むべきかをご紹介します。

なお、BtoBマーケティングについてもっと知りたい方は以下の記事もご覧ください。

BtoBマーケティング総合ガイド記事バナー

【BtoB企業向け】Webマーケティングとは?ポイントと手法7つを徹底解説

Webマーケティングってそもそも何だろう?

Webマーケティングの話に入る前にまず、「マーケティング」という言葉の意味を確認しておきましょう。

「マーケティング」には複数の定義があります。一般的に「売るための仕組みを作る」と表現されることが多いのですが、他にも
・「市場創出のためにあらゆる活動を行うこと」
・「ターゲットとする市場を選択し、製品・サービスの価値を伝え、顧客を獲得すること」

といった具合に、いろいろな人物・団体が複数の定義を述べています。

ですから、マーケティングという言葉が指す範囲は非常に幅広く、企業活動の大部分に関わる活動である、と頭に入れておけばOK。使う人や、文脈・状況によって意味が異なることは知っておいてくださいね。

では本題の「Webマーケティング」について考えてみます。

Webマーケティングは上記の活動をオンラインで行うことを指します。マーケティングという言葉が指す内容が多岐にわたるのと同様、「Webマーケティング」にもいろいろな施策が含まれます。そのため、「Webマーケティングとは何?」と検索した時、サイトによって書かれている内容がさまざまで戸惑った人もいるかもしれませんね。

ちなみに、Webマーケティングに近い概念で、時に混同されることもある「デジタルマーケティング」の意味も知っておくと、より理解がしやすくなります。
デジタルマーケティングは、デジタル技術を活用したマーケティング全般のこと。つまり、Webマーケティングはデジタルマーケティングの一部であり、両者は厳密に言うと、異なります。

マーケティングの分類方法ー【BtoB企業向け】Webマーケティングとは?ポイントと手法7つを徹底解説

ただし実際には、デジタルマーケティングの多くはIT技術を活用してオンラインで行われるので、Webマーケティングとデジタルマーケティングが指すものは、実情として、ほとんど同じ。デジタルマーケティングとWEBマーケティングは、ほぼ同じ意味で使われています。

ちなみに、デジタル技術を用いるけれどオフラインで行うマーケティング施策の例としては、デジタルサイネージがあります。

存在感を増し続けるWebマーケティング:なぜ重要?その特性

Windows 95の登場でインターネットが一般に普及し始めて約30年、ビジネスの領域でも、オンラインでの施策の重要性が高まり続けています。

今や、自社のWebサイト運営は、企業規模にかかわらず必須です。
BtoB企業のリード(見込み客)が商品・サービスの購入を検討する際にも、まずWebサイトをチェックします。強みや機能、価格帯、活用成功事例、会社概要などに目を通し、取引すべき相手かを、ある程度判断するのです。特に大手企業や公的機関が取引企業の選定をする際は、企業サイトが存在しなければ、その時点でもう検討の候補にもあがらなくなったと聞きます。

変わったのはそれだけではありません。「買い方」も「売り方」も、そのプロセスが大きく変化しました。それまでは、見込み顧客(リード)の獲得といえば、ダイレクトメールやチラシの配布、対面での営業がメインでした。しかし、Webでの検索が当たり前になった今、企業の担当者はサービス・商品の利用を検討する際のリサーチでもまず「検索」をします。

BtoBでも「まず検索」はもはや当たり前

「ものを買う前に検索する」のは一般消費者の行動だから、Webマーケティングに注力すべきはBtoC企業、と考える人もいるかもしれません。ですが、BtoBでも状況は同じです。

従来の企業間取引では、営業担当によるテレアポや飛び込み営業・紹介から始まるのが主流でした。次の段階に進めば訪問して自社製品・サービスのプレゼン。クライアント企業の課題のヒアリング、会食などを通じて担当者同士の信頼関係構築の末、ようやく受注にこぎつける、という流れが一般的だったのではないでしょうか。

BtoB企業の購買もまずは検索ー【BtoB企業向け】Webマーケティングとは?ポイントと手法7つを徹底解説

もちろん、業界にもよりますが、そのプロセスに徐々に変化が訪れつつあります。
誰もが検索エンジンを使いこなせる今、顧客となる側の企業の担当者は「受け身」ではありません。提案資料や見積もりをただ待っているのではなく、インターネットで検索をします。そして、上位にくるページを見て、商品・サービスの情報収集をし、自ら比較検討をするのです。もはやBtoBマーケティングもWeb抜きには語れません。

Webマーケティングの特性

Webマーケティングがここまで拡大している理由のもうひとつは、「ユーザーの動きを詳細に追跡できる」という特性にあります。
例えば
・アクセス数
・Webサイトにアクセスした人がどのページに何秒間滞在したのか
・2番目にアクセスしたページはどれか
・どのページを見て離脱したのか
・メールマガジンの開封率・それぞれのリンクのクリック率

これらのデータが一目でわかります。
Web以外のマーケティング手法では、こうはいきません。ポスティングしたチラシが読まれたのか・そのままゴミ箱に直行したのか、お問い合わせをしてきた企業はうやって自社のことを認知したのか、これらを詳細に知ることはまず不可能です。

Webマーケティングなら、データをきちんと計測しさえすれば、集計・分析により課題が比較的、容易に発見でき、有効な施策が打てます。取り組みの成果が明確に数値化できて、無駄が省けるのがWebマーケティングの特徴です。

BtoB企業がWebマーケティングを導入すべき理由とメリット

このように、世の中に広く浸透するWebマーケティングですが、BtoB企業がWebマーケティングを導入すべき理由は他にもあります。

Webマーケティングを導入すべき理由ー【BtoB企業向け】Webマーケティングとは?ポイントと手法7つを徹底解説

(1)効率化・コストの削減につながる

Webマーケティングは、ターゲットを絞ったピンポイントのアプローチが可能です。つまり、同じ「見込み客」に対する施策でも
・購入を検討する前段階の見込み顧客
・購入・利用の意思決定は済んでいて、具体的に商品・サービスの比較をしたいと考える見込み顧客

といった具合に、ターゲットの段階に応じた働きかけができるんです。

従来の営業活動では、
・自社が認知されていない企業に対して飛び込み営業をする
・顧客となりうる・なり得ないに関係なく、多数の企業が参加する合同の展示会に出展する
というように、幅広いターゲットを想定した活動にならざるを得ない局面も多くありました。

その点、Webマーケティングでは、
・購入・利用をしそうなリードに対しては製品・サービスのことを細かく伝える広告を配信
・リサーチ段階の層に対してはまず「良い関係づくり」を目的とした一般的なコラムを展開

など、ターゲットの興味の度合いに応じたアプローチが可能です。

つまり、Webマーケティングの活用により、最小の労力とコストで受注につなげられ、マーケティング活動の効率化が実現できるのです。特に、リソース不足に悩まされがちな中小企業こそ、積極的に導入すべきです。

(2)地理的な制約がないため、オフラインでは接点の持ちづらかった企業もターゲットにできる

コロナが流行する前は、Webで日本全国・世界中とつながれるとはいえど、オンラインのみで商談が成立することは稀でした。

しかしながら、コロナ渦でのテレワークの普及をきっかけに、オンライン面談へのハードルが一気に下がり、Web会議やWebセミナーなど、オンラインでのイベントも急増。電子契約も急速に普及しました。zoomやMicrosoft TeamsといったWeb会議ツールに多くの人が慣れ親しんだ現在、オンラインでの対面だけで、商談が成立するようになりました。

これまでは、特別な事情がない限り、大きな金額の取引は、リアルでの契約が大多数でした。
遠方の企業との取引には経費がかさみますから、多くの企業は地理的な制約がないWebの利用にメリットを感じたはずです。コロナ渦が収束した以降もこの傾向は続くでしょう。

地理的な制約に縛られずビジネスが展開できる素地が整った今、Webマーケティングを活用しない手はありません。BtoBでは、実店舗以外にも多くの販路がある業種も多く、国内のみならず海外へもマーケットが拡大できる大きなチャンスです。

(3)ニッチなターゲットにも届きやすい

BtoB企業では、特定の層しか対象にならない商品・サービスを扱うため、販路が限定されます。「どこに広告を出せばターゲットに届くのかわからない」という課題を抱える企業も多いと聞きますが、こういった場面でもWebマーケティングは有効に働きます。

インターネットを日常的に利用しない人はいない、と言っても過言ではない現代。ごく自然に企業担当者は業務に関わる内容について検索エンジンで調べ、上位に表示されるページに目を通しています。
・ターゲットが閲覧しそうなサイト上に広告を出稿する
・ターゲットが検索しそうなキーワードを狙った記事を自社サイトに投稿する

などの方法を取れば、ニッチな層にもアプローチできます。

「どんなキーワードで検索しそうか」「どんなサイトを閲覧しそうか」丁寧に推測する必要はありますが、BtoB企業の担当者とも、Web上で接点を持てるチャンスは十分にあるのだと知っておいてください。

では実際のWebマーケティングの内容について、具体的な手法を紹介し、全貌を見渡してみましょう。

BtoB向けで使える!Webマーケティングの手法7つ

Webマーケティングの施策は、「Webマーケティングに対応するためのツール・自社サイト上での準備など」と「見込み顧客に対するアプローチ」の2種類に大きく分けられます。

どの手法を選ぶべきかー【BtoB企業向け】Webマーケティングとは?ポイントと手法7つを徹底解説

前者には、
・顧客管理システムである「CRMツール」や「マーケティングオートメーション(MA)ツール」を導入する
・Webサイトをスマホ対応にする
・Webサイトでチャットサポートを提供する

などが該当します。

今回は「営業活動」という側面に焦点をあて、後者の、見込み顧客に対するアプローチで使用するWebマーケティングの手法について詳しく見ていきます。

(1)オウンドメディアの運営

▶️目的:見込み顧客の獲得と育成

オウンドメディアとは、自社で保有し運営するメディア全般のこと。オウンドメディアでは、「顧客の知りたい・役立つ情報を発信する」という視点から、他社製品・サービスも公平に紹介し、企業ブログより公共性の高い内容の投稿が多い傾向があります。Webマーケティングの手段の中でも、とてもポピュラーです。

具体例を挙げます。
・無印良品の「くらしの良品研究(外部リンク)」
・資生堂の「Watashi+(外部リンク)」
など、BtoC企業のオウンドメディアは目にしたことのある人もいるかもしれませんが、BtoBでも成功しているオウンドメディアはたくさんあります。

・ハードロック工業株式会社が運営する「ねじ締結技術ナビ(外部リンク)」
・Gaiaxが運営する「Social Media Marketing(外部リンク)」
などは、BtoB向けのオウンドメディアの成功事例として名のあがる代表的なものです。

オウンドメディアで顧客のニーズにこたえる記事を投稿していく活動をコンテンツマーケティングといいます。直接的に自社の商品・サービスの良さをアピールをして購入に結びつけるより、自社のファンを作り、見込み顧客(リード)の創出を狙うのが目的です。
顧客の検索するキーワードで検索結果の上位表示を目指すSEO対策を行い、集客・コンバージョンにつなげていきます。

コンテンツマーケティングとSEO対策はじっくりと腰を据えて取り組む施策

ウェブサイトに蓄積されるコラム記事・動画といったコンテンツは、長期的な資産になります。後ほどご説明する有料型広告は、費用を投下し続けなければ検索結果に表示させられません。しかし、コンテンツマーケティングで検索エンジンからの高評価を獲得すれば、費用をかけずに検索結果の上位に表示させ続けられます。
検索ボリュームの多いキーワードで上位表示されるとかなりの流入が期待できるので、集客の柱にもなりえます。

デメリットは、即効性に欠けること。SEO対策で目に見えて効果が出てくるまでに、半年〜1年といった時間がかかるのが通常です。また、業界によっては上位表示の難易度が非常に高いケースもあります。

関連記事:業界別SEO対策を解説:コンテンツマーケティング・キーワード選定の方法

(2)ホワイトペーパーの作成・配布

▶️目的:見込み顧客の情報を取得し、営業活動のきっかけにする。自社製品・サービスへの興味を持ってもらう。

時間がかかる意思決定ー【BtoB企業向け】Webマーケティングとは?ポイントと手法7つを徹底解説

顧客となりそうな人が求める情報・有益な情報をテキストや漫画などの形式でコンテンツにしたものがホワイトペーパーです。オンラインで無料で配布するかわりに、ダウンロード時に企業名・担当者名・メールアドレスを入力してもらうことが一般的です。企業サイトへのホワイトペーパーの設置は、リードの育成といったその後のマーケティング活動の足がかりになります。

ホワイトペーパーのテーマには、
・自社で行ったマーケット調査・分析結果
・オリジナルのハウツーを指南するガイドブック
・お客様事例の紹介
・自社製品と他社製品との比較

など、あまり世の中に出回っていない独自の内容が選ばれる傾向にあります。

自社の製品・サービスの紹介を盛り込んでも構わないのですが、あくまで「顧客の課題解決」の目線で作られていることが前提です。

ホワイトペーパーをダウンロードする顧客は、悩み・困りごとを解決するための情報を探しています。ニーズに合致した内容の資料を提供すれば、イメージアップにつながり、顧客満足度の向上と、信頼獲得に直結します。
役立つ情報を無料で提供しているのですから、信頼性やサービスの魅力をPRしても違和感がないこともメリットです。ただし、オウンドメディアにおけるコンテンツマーケティングと同様、すぐに契約・購入に結びつく施策ではないと理解して開始したほうがいいでしょう。

(3)SNSアカウントの活用

▶️目的:見込み顧客とのコミュニケーションを行う。ユーザーの率直な反応を拾い上げる。

SNSはBtoCのマーケティングで活用されるイメージが以前は根強くありましたが、最近は著名なビジネスアカウントが多くのフォロワーを集めているように、BtoBの分野でも認知され存在感が増してきています。BtoB企業といえども担当者は「個人」、ブランディングやファンの創出に強いというSNSの特性は十分、活かせます。

購入検討の初期段階で、担当者に「いつもFacebookで情報を参考にしている〇〇さんの会社は候補に入れておこう」と想起してもらえたら競合他社より一歩リード。SNSを通じて、日ごろから自社の考え方や取り組みを発信していれば、共感してくれる見込み顧客の獲得につながります。

SNSアカウントの運用は、ユーザーとの距離を縮め、親しみを感じてもらうのに役立ちます。企業公式アカウントの開設だけでなく、社長やスタッフのアカウント開設も効果的です。

一方的に情報発信するのみでなく、見込み顧客との双方向のコミュニケーションや他のアカウントとの交流も大きな魅力です。
実際に「ウェブサイトのお問い合わせフォームに営業メッセージを送っても返信がなかったが、相互フォロー関係になったのち、交わしたダイレクトメッセージをきっかけに商談に発展した」というケースもあります。コミュニケーションへの心理的ハードルが下がるのがSNSの大きなメリットです。

X(旧Twitter)、Facebook、Instagram、Youtube、LinkedInなどのプラットフォームごとにそれぞれユーザーと特徴が異なります。ターゲットとなる企業の担当者が利用していそうなSNSを選びましょう。

SNSマーケティングは「時間をかけて行う」前提で

新規に開設したアカウントは最低でも3ヶ月程度の時間を見込まなければなりません。500〜1000程度のフォロワー数を獲得するまでが勝負。1日1回以上の投稿をしながら他のアカウントと交流を欠かさないなど、積極的なコミュニケーションを取らなければ、なかなか「アカウントの育成」が進みません。

SNSマーケティングのコツー【BtoB企業向け】Webマーケティングとは?ポイントと手法7つを徹底解説

専任の担当者を置き、かなりの時間を費やす覚悟で始めないと結果は出づらくなってしまいます。それに加え、拡散されやすいSNSでは「炎上」のリスクもありますから担当者の選任は慎重に行ってください。担当者一人に丸投げするのではなく、「投稿の方向性は部署内で決める」「投稿・更新の前にダブルチェックをする」などの一工夫も大切です。

手間はかかれど、フォロワー数が数千人を超えるようなアカウントになれば、それは立派な自社メディア。自社に興味のある数千人に向けた情報発信ができるわけですから、マーケティング効果は絶大です。

(4)Web広告

▶️目的:見込み顧客との接点を持つ、ブランディングなど(広告の種類によって異なる)

Web上に有料で出稿する広告をまとめて「Web広告」と呼びます。具体的には
・Web上の有料の媒体(ペイドメディア)への出稿
・GoogleやYahoo! JAPANなどの検索結果に表示させる「リスティング広告」
・広告内容に関連のあるWebサイト上にバナーやテキストを掲載する「ディスプレイ広告」
・動画視聴・アプリのインストールなど特定のアクションを行ったユーザーは成果報酬を得られる「リワード広告」
・SNS上で配信する「SNS広告」

など様々な種類のものがあります。

Web広告が「安い」とは限らない

広告を見てもらいたい相手にむけて配信できること、そして、効果測定がしやすいことがWeb広告の大きな特徴です。
例えば、「リターゲティング広告」では、過去にWebサイトを訪問したことのあるユーザーに対して、再度、自社の広告を表示させられます。コンバージョン率が高まることで知られていますが、これはまさにユーザーの行動を詳しく追跡できるWeb広告ならではのやり方ですよね。

Web広告は、従来の主流であった新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどで出稿する広告に比べて、ターゲットを絞って効率的に配信できます。そのため、オフラインでの広告に比べると費用を抑えられると認識されています。
ただし一概に「低コスト」で済むとは限りません。料金のかかり方には
・クリックに対して課金される「CPC方式」
・広告の表示に対して課金される「CPM方式」

など複数ありますが、想定以上にクリック・表示されたり、リスティング広告で人気のキーワードに出稿してクリック単価が高くなったりと、実際に広告を打ってみないと読めない部分もあります。予算が低いとすぐに広告が掲載されなくなり、追加の費用がかさむケースも出てきます。

ここで取り上げなかったものも含めると、まだまだ多くの手法があるのがWeb広告。有効に使いこなしていくには専門知識が必要なのも、見ようによってはデメリットの一つです。

(5)ウェビナーの企画・開催

▶️目的:見込み顧客の獲得と、良好な関係の構築。テキストだけでは伝えきれない複雑な情報を理解しやすくする。

Webで行うセミナー「ウェビナー」は、すっかり一般に普及し、小規模なものも含めれば一度は開催したことのある企業も多いのではないでしょうか。
・広く集客をする目的で実施するウェビナー
・ホワイトペーパーのダウンロードやメルマガ登録などですでに獲得したリードを育成するためのウェビナー

の2種類があります。

「オンライン」とはいえ、開催へのハードルが高いことも

いずれも、映像や音声を交えたわかりやすい情報発信につながりますし、登壇者や司会者が淀みなく自信をもって話をすれば、自然に好印象を与えられます。複数の参加者に対して同時に情報が発信できるのもメリットの一つ。Web会議ツールのチャット機能を使った質疑応答は、リアルのセミナーでマイクを持って質問を聞いて回るのと比べ、効率的です。

ウェビナー【BtoB企業向け】Webマーケティングとは?ポイントと手法7つを徹底解説

問題は、「ウェビナーを開催できるスキルを備えたスタッフが社内にいるか」です。知識レベルだけでなく、トーク力も備わっているのがベストですが、なかなか適任者が見つからないケースもあるでしょう。社内人材では難しいなら外部講師を招くことになりますが、費用や進行など、検討事項は多そうです。
また、リードの獲得が目的のウェビナーの場合は、そもそも参加者を集めるための告知をどこで行うのかも課題になるでしょう。

(6)動画マーケティングの活用

▶️目的:見込み顧客との良好な関係の構築。テキストよりも多くの情報を伝える。

BtoC向けで親和性が高い動画マーケティングですが、BtoBの領域でも存在感を増してきています。特に、新卒〜30代前半までの若い世代は、動画を利用した情報のインプットに慣れていますから、動画コンテンツを用いたマーケティングは今後ますます重要になってきます。

視覚・聴覚の両方に訴える動画には、他のコンテンツにはない独自の価値があります。「言葉を尽くして解説したり、写真を何枚も見せて手順を説明したりするよりも、動いている映像を見せる方が早い」というのは、実体験からもイメージしやすいですよね。
BtoB企業では事業の専門性が高く、その業界にいる人ですら難解に感じることもありますから、製品やサービスの説明で動画を活用する余地が大いにあります。

具体的な動画の活用方法としては、
・製品の操作方法のデモを見せる
・自社で開催したセミナーを録画してコンテンツとして配信する
・お客様のインタビュー
・スタッフインタビュー
・経営者からのメッセージ

上記の他にも、多様なアイデアが実行可能です。YoutubeやTiktokにアカウントを開設し、動画コンテンツの配信をスタートしているBtoB企業も増えてきました。
特に、テキストや画像だけでは伝達が難しい「社内の雰囲気」「スタッフの人柄」をありのまま感じてもらえるという意味では、採用コンテンツとの相性が抜群です。

内製が難しい動画コンテンツは外注が前提に

魅力とメリットも大きく、さまざまな可能性を秘めた動画マーケティングですが、コンテンツの内製が難しいケースが多いのがデメリットです。携帯で撮影した動画をただ繋げたり、簡単なテロップを入れたりしただけでは、クオリティの面で、企業の配信する動画コンテンツとしては少々お粗末な印象になってしまいます。
ビジネスシーンでの鑑賞に堪える動画コンテンツを制作するには、専用の機器を使って撮影し、プロのナレーションと感じの良いBGMをつけ、アニメーションの効果を加える、などの編集技術が必要になってきます。そうなると、プロに外注しなければならないケースが大半で、コストも時間もかさみます。

動画マーケティングはコストがアップしがちー【BtoB企業向け】Webマーケティングとは?ポイントと手法7つを徹底解説

(7)メールマーケティングの実行

▶️目的:見込み顧客と良好な関係の構築・維持。

メールを通じて行う営業活動全般をメールマーケティングと呼びます。具体的には
・登録した顧客に対して配信するメールマガジン
・見込み顧客のリストから、特定の層に対してのみ配信する「セグメントメール(ターゲティングメール)」
・ユーザーの検討度合いに応じて、あらかじめ準備しておいたメールをスケジュール通りに配信する「ステップメール」
・検討途中の顧客に送る「リターゲティングメール」

などがあります。

BtoBのマーケティングは、ファーストコンタクトから成約までに時間がかかる傾向にありますが、その間、顧客の側からの働きかけをただ待っているのではなかなか成果につながりません。接点が減ると、自社のことを忘れられてしまうリスクもありますから、定期的なアプローチが必要です。そこで、メールマーケティングの出番です。

メールマガジンで新製品の情報や期間限定プロモーション情報のお知らせなどを配信すれば存在をアピールできます。
製品ページを見たユーザーに資料ダウンロードページへのリンクを貼ったリターゲティングメールを送れば、サイトへの再訪を促せます。

「メルマガの配信頻度が多いと鬱陶しいと感じられて、逆効果では?」と思うかもしれませんが、必要のないメールは無感情にゴミ箱に移す人が多く、意外にマイナスには働きません。むしろメルマガでたびたび企業名を目にし、気付けば「名前を知っている企業」に格上げされている可能性も高いのです。
メールの中身を熟読してもらわなくとも、必要性を感じたときに、自社サイトを見にきてもらえれば大成功です。

メールマーケティングツールの導入は必須

メールマーケティングを行うにはメール配信ツールや、メール配信機能を搭載したMAツールの活用が必須です。メールを送るだけならツールは不要ですが、開封率・クリック率などを数値で確認しなければ、効果の測定ができませんから、改善点も出せません。
ユーザーの行動を詳細に追跡できるのがWebマーケティングの利点ですから、最大限活用するためにも、ツールの利用は必須になってくるでしょう。

また、「セグメントメール」のようにターゲットのフェーズに応じたメールを配信するには、まず見込み顧客の選別が不可欠です。既に配信したメールの開封率・クリック率などで購入意欲を顧客ごとにスコアリングしターゲットを絞り込む手掛かりにしますから、ここでも専用のツールが役立ちます。

BtoBのWebマーケティング手法、選び方のポイント

ここまで解説してきたそれぞれの手法のメリット・デメリットの他にも、意識したいポイントがあります。

マーケティング成果を伸ばすー【BtoB企業向け】Webマーケティングとは?ポイントと手法7つを徹底解説

顧客の状況を詳細に推測し、段階ごとに適切な手法を選ぶ

BtoBの購買プロセスでは、契約・購入に至るまでに複数のフェーズがあり、意思決定に長い時間がかかる」のが特徴でした。Webマーケティングでも、それぞれの段階に応じたアプローチが成功へのカギとなります。

直接的な営業活動を行うまでには大きく分けて、
(1)見込み顧客の獲得(=集客し、接点を持つ)
(2)見込み顧客の育成(=自社に良い印象を持ってもらい、関心を高めるなど関係作りをする)
という2つの段階があります。

それぞれの段階にいる顧客がどのようなニーズ・悩み・疑問を持っているかリサーチし、最適なアプローチができる手段を選びましょう。

例えば、検索エンジンで「Webマーケティング」と調べた顧客をターゲットに、「Webマーケティングの手法11選」というタイトルのコラム記事を掲載したとします。
コンバージョンにつなげようと、コラム内にダウンロード資料を設置。その内容が記事の内容とはほぼ関係のない「自社のサービス紹介」だとしたら、ユーザーはちぐはぐな印象を受けるはずです。「急に商品を売りつけようとしてきた」と感じる人もいるかもしれませんね。

購入の検討すらしていない段階で広告を見せられると、「商品を売りたいだけだったのか」とうんざりし、コンテンツの内容まで、なんとなく信頼できなくなってしまうもの。
ブラウザの「戻る」ボタンを押せば一瞬でそのページから離脱できてしまうのもWeb広告の特徴ですから、方法を誤れば、「誰にも見られない」事態になりかねません。ケースバイケースで的確に広告を配信する方法を選びましょう。

取り組みの期間・かけられる費用を考慮して選ぶ

手法によって、効果が出るまでの期間は変わります。効果の「出方」も異なるので、肝心なのは施策を実行した場合の未来予想図をできるだけ具体的に描いてから手法を選ぶこと。

例えば、「コンテンツマーケティング」か「有料広告」かの2つの選択肢を検討してみます。
有料広告の場合は、入札単価を上げれば検索結果に表示させられるので即効性があります。一方で、広告を続ける限り、費用がかさみ続けます。
対するコンテンツマーケティングは、良質なコンテンツが積み上がり、検索エンジンから一定の評価を受けるようになるまでに年単位の時間がかかる反面、それ以降はコストをほとんどかけずに、コンテンツが集客の手段として機能し続けます。

コストはどのくらいかけられるのか、どの程度の期間で成果を求めるのかを整理したうえで手法を選びましょう。ちなみにこの2択なら、「コンテンツマーケティングを開始して最初の1年は有料広告も並行して運用し集客する」「コンテンツが出揃ってきたら徐々に有料広告の比率を落とし、最終的にはコンテンツマーケティングのみでいく」など、複数の施策を組み合わせるのもおすすめです。

BtoB企業のWebマーケティングの注意点

最後に、Webマーケティングに踏み出すうえでの注意点も確認しておきましょう。

Webマーケティングの注意点ー【BtoB企業向け】Webマーケティングとは?ポイントと手法7つを徹底解説

効果測定は段階的に行う

多くの担当者が関わるBtoBのビジネスは、契約・成約の意思決定までに時間がかかるとお伝えしました。この原則はWebマーケティングにおいても同様です。したがって、販売件数・契約数だけで効果を測ろうとすると「成果が全然出ていない」という勘違いを招き、どこに改善点があるのか、どの活動を強化すべきかの分析が的確にできません。

ここでのコツは、小さなコンバージョンのポイントをたくさん設定することです。
Webマーケティングでは、サイトを訪れたユーザーが、制作者側の期待した行動をとることを「コンバージョン」と言います。狭い意味では、ECサイトにおける商品購入を指しますが、BtoB企業のWebサイトにおいては、
・お問い合わせフォームからメッセージを送信する
・会員登録をする
・ホワイトペーパーをダウンロードする

など、多様なアクションをコンバージョンとして設定できます。

まずはホワイトペーパーをダウンロードしてもらい連絡先を入手し、そこからメルマガを配信、メルマガでウェビナーの案内を送るなど、小さなコンバージョンの地点を複数設けておけば、長期戦になるBtoBマーケティングでも、成果が見えやすくなりますから、見込み顧客との関係づくりを着実に進められます。

十分な知識とノウハウを持つ専任の担当者を置くのが理想

Webマーケティングには数多くの手法がありますから、メリット・デメリットを理解したうえで自社に最適な手段を選ぶ必要があります。
今回の記事ではそれぞれの手法について簡単に説明しましたが、中には高い専門性が求められるものもあります。
特に、多くの企業が取り組んでいる分野のコンテンツマーケティングで求められるSEO対策は、完全な初心者の場合、0から一人で取り組むのはかなりの負担です。プロではなくても構いませんが、知識のインプットは重点的に行ってから取り組むことが肝心です。

また、施策によっては目に見える効果が出るまでにかなり時間がかかるものだと社内のスタッフが理解し、協力する体制の構築も重要です。
Webマーケティングで効果が出るまでの間も、担当者には多くの業務があります。オウンドメディアで記事を公開する・SNSアカウントで投稿を続ける・メールマガジンを配信するなどの「先行投資」なくしては結果も得られませんから、そこに充てる十分な時間を用意してあげなくてはいけません。

特に、顧客からの信頼を獲得し、ファン化につなげるためのメールマガジンやコラムなどは、コンテンツの「質」が非常に大切です。「質」を上げるにはどうしても、ある程度の時間をかける必要があります。この点もよく理解して、「結果が出るまでは他の業務と兼務でいいだろう」と考えるのではなく、Webマーケティング担当者が必要な業務に時間をさける環境を用意することが大切です。

また、Webの世界は技術革新や新しいトレンドの登場などが頻繁にありますから、最新の情報にキャッチアップするために、常に勉強が必要です。業務時間にそういった知識のアップデートや勉強もできるくらい、余裕をもった業務配分にできるのが理想です。

Webの力でBtoBマーケティングの成果を導こう

BtoBビジネスにおいてもWebマーケティングは基本かつ必須となってきています。ただ、業界によってかなり差があるのも事実ですから、「うちの業界はまだまだアナログなやり方が主流で、Webマーケティングはほとんど使われていない」というケースもあるかもしれませんね。
ですが、そんな業界こそ大チャンス。「みんなが注目も実践もしていない」段階でWebマーケティングを行えば、大きな成果を挙げられる可能性がありますし、競合にも差をつけられます。

政府は2023年6月に「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定し、今後もますますデジタル化を推進する方針を打ち出しています。各企業においてもデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進できるよう、補助金・助成金が用意されていることを踏まえても、Webマーケティングに注力できる土壌は今後ますます育っていくと予想されます。
ご紹介した手法を参考に、自社で実践できそうなものがないか、検討してみてください。