企業別・目的別のカスタマージャーニーマップ・テンプレート

カスタマージャーニーマップをこれから作る方に向けて、企業別・目的別のテンプレートなどを交えながら作り方や作成の時の注意点などをご紹介します。

コンテンツマーケティングやデジタルマーケティングなどには欠かせないカスタマージャーニーマップを利用してマーケティングの成果を最大にしましょう。

【企業別】カスタマージャーニーマップのテンプレート

スターバックスのカスタマージャーニーマップ・テンプレート

スターバックスは、ブランディングやマーケティングで成功している大企業ですが、カスタマージャーニーマップも秀逸です。

スターバックスは、コーヒーが手軽に飲めるというコンセプトではなく、ゆったりとした時間を過ごしてもらうというブランドコンセプトで有名です。

そのブランドコンセプトを創造する目的で、「Starbucks Experience Map(スターバックス体験マップ)」というカスタマージャーニーマップを作成しています。

引用元:https://theoperationsblog.com/2011/09/how-to-map-the-emotional-customer-experience/

スターバックスのカスタマージャーニーマップは、顧客がお店に入り、注文し、支払い、コーヒーを飲み、車に戻るまでの流れをマッピングしています。

顧客が来店してから帰るまで、どのような手順を踏み、どのような感情を抱いているのかを分析し、顧客が感じるマイナス感情とプラス感情を可視化することで、「顧客満足度を向上させるために必要なサービスは何か」「スタッフの行動の最適解は何か」を考えることができます。

例えば、Not large work spaces(狭い作業スペース)は、スターバックスの強みとする「ゆったりとした空間の提供」からは外れているため、顧客満足度の低下に繋がります。

また、Feeling rushed(急いで注文しなければならない雰囲気)は、顧客が新しい商品にチャレンジしたいと思っていても、注文を早くしなければならない雰囲気に押されるため、顧客満足度が低下します。

このように、顧客が感じているであろう感情を抜き出し、縦軸に「良い体験」「良くない体験」をマッピングすることで、サービス強化のヒントにすることができます。

このような、サービス向上や顧客満足度向上につながる分析をしっかりと行っているからこそ、創業から50年も続いていると言えるでしょう。

LEGO(レゴ)のカスタマージャーニーマップ・テンプレート

ブロック遊びという言葉を聞いたとき、LEGOを思い浮かべるかたも多いでしょう。

LEGOは、ブロック遊びだけではなく、今では小学生向けのプログラミング教材としても利用されており、子供の遊びから教育まで幅広くサービスを展開しています。

LEGOも下図のカスタマージャーニーマップを作り、ペルソナの行動を理解しようとしています。

引用元:https://blog.uxeria.com/en/10-most-interesting-examples-of-customer-journey-maps/ 

Designing the experience(体験の設計)というタイトルで作られたこのカスタマージャーニーマップは、リチャードという主人公がニューヨークへ旅行する「旅」をマップ化したもので、まさにカスタマージャーニーマップの代表例と言えるでしょう。

身長が高いリチャードが飛行機を利用する前から搭乗中、利用後を円で表したもので、contact travel dept(旅行部門へ連絡する)、book tickets(チケットを予約する)から始まり、搭乗前はpassport & immigration fast track(パスポートと入国管理)、搭乗中はsafety procedures(安全手順)などという流れを記載しています。

リチャードがニューヨークへ旅をするときに踏む手順を一つ一つマッピングすることで、どのような道筋を辿り、リチャードはどのような感情を抱いているかをイラストで表現しているため、リチャードの行動と感情が良く分かるマップとなっています。

関連記事「カスタマージャーニーマップ作成にはツールが便利! おすすめのツールや活用事例をご紹介

【ターゲット別】カスタマージャーニーマップのテンプレート

次に、カスタマージャーニーマップのテンプレートとして、BtoCBtoBなどのターゲット別を見ていきましょう。

BtoCカスタマージャーニーマップのテンプレート

BtoCのカスタマージャーニーマップは、無関心から認知に変わり、検討を経て体験や資料請求、購入へとつながる流れが一般的です。

顧客の行動や顧客とのタッチポイント、顧客の感情と対策などを入れることで、消費者であるペルソナの行動や感情に対して、企業としてどのようなアプローチを起こせばよいのかが見えてきます。

BtoBカスタマージャーニーマップのテンプレート

BtoBのカスタマージャーニーマップは、決済権を持つ人の存在次第で、購入(決済)までの道筋がBtoCよりも多くなります。

ペルソナが社長の場合は、BtoCと同じように購入までの手順がシンプルになることもありますが、担当者が決済権を持っていない場合は、顧客のフェーズとして稟議や承認というプロセスを入れる必要があります。

【目的別】カスタマージャーニーマップのテンプレート

次に目的別によるカスタマージャーニーマップのテンプレートを見ていきましょう。

求人におけるカスタマージャーニーマップ

求人におけるカスタマージャーニーマップでは、サービス提供や商品提供する「売上」や「利益」を目的とした販売がゴールではないため、カスタマージャーニーマップのフェーズも異なります。

一般的な流れとしては、以下のような流れになるでしょう。

顧客とは、求職者のことであり、新卒の場合には高校生や大学生がペルソナとなります。また、大学3年生なのか、1年生や2年生の頃からアプローチするのかによって、期間やフェーズが異なります。

さらに、企業によってはインターンを中心に獲得するのか、会社説明会に来てくれた学生を中心にするのか、多くの選択の中からどのようなペルソナをターゲットとするのかを考える必要があります。

また、内定後の辞退を避けるために、接点ポイントや接点頻度、フォローの内容を考える必要もあります。

関連記事「カスタマージャーニーとは? フレームワークとしての概念と可視化のためのマップの作り方まで徹底解説!

カスタマージャーニーマップの重要性

カスタマージャーニーマップが重要な理由は、顧客の行動や心理、タッチポイントなどをマップに落とし込むことで、顧客との関係づくりを可視化することができるからです。

顧客のナーチャリング

顧客へ一方的に売りつける営業や販売方法は、現代の「選択できる社会」では通用しません。顧客との良好な関係性を築き、顧客に商品価値やサービスの価値を理解してもらわなければ、顧客からの継続的な利用は見込めません。

顧客が納得し、ファンとなり、自ら購入してもらえるような関係性を築くためには、顧客へのナーチャリングが欠かせないのです。

カスタマージャーニーマップの基本的な考え方については、下記の記事で詳しくご紹介していますので参考にしてください。

カスタマージャーニーマップ作成の3つの目的

カスタマージャーニーマップを作成する目的を3つに絞ってみていきましょう。

目的1:売上アップを目指したい

一つ目の目的として挙げられるのは、売上アップです。

ビジネスを継続させていくためには売上が欠かせないため、この売上アップを目的としてカスタマージャーニーマップが利用されるケースがほとんどです。

では、カスタマージャーニーマップでなぜ売上が上がるのでしょうか。それは、カスタマージャーニーマップを利用することで、顧客となる消費者の購買プロセスが理解でき、消費者の行動パターンや感情に合わせてアプローチする戦略を立てることができるからです。

目的2:タッチポイントを増やしたい

次に、タッチポイントを増やしたいという目的もあるでしょう。

タッチポイントとは、顧客との接点です。タッチポイントを多く持つことは、購入率を上げるだけでなく、継続購入のアップにつながります。

タッチポイントをどこで作れるか、顧客の行動からどのようなタイミングで接点が持てるかを計画することができます。

野村証券が検証したデータによると、CMとの接触回数が多いほど、商品を認知する割合が高まるという結果が出ており、その一方でCMの認知だけでは、商品の購入意欲から実際の購入に繋がるというステップは築けていないという結果が出ています。

つまり、単体のメディアだけの接触では最終的な購買に繋げることは難しく、さまざまな販促媒体を利用して顧客と多く接触することが必要と言えます。

参考:NRI第3回 消費者マーケティングデータ研究会 ~ケーススタディによるメディアミックスの効果検証〜

目的3:ユーザ視点(UX視点)でサービスを改善したい

さらに、カスタマージャーニーマップを利用してサービスの改善向上につなげることもできます。

カスタマージャーニーマップは、ペルソナの行動や思考を考えながらマップを作ります。そのため、否応なしにユーザー目線で考えることができ、ユーザーにとってどのようなサービスが必要なのか、何が求められているのかを理解することができます。

商品設計やサービス設計をするとき、どうしても自社の強みや想いが出てしまい、「私たちの販売するものはコレだ」という自分目線になることがあります。

しかし、商品やサービスは顧客が価値を感じたときに発生するため、ユーザーが何を求めているのか、ユーザーにとって価値のあるものは何なのかを理解する上で、カスタマージャーニーマップは優れたツールなのです。

関連記事「カスタマージャーニーマップを作成する6つの手順と活用事例を解説

まとめ

ここまで、カスタマージャーニーマップのテンプレートについてご紹介してきました。

カスタマージャーニーマップをこれから作るという方は、どのように進めたら良いのかわからないことも多いと思いますが、今回ご紹介したワークショップ形式をとれば、比較的容易にカスタマージャーニーマップを実践することができます。

カスタマージャーニーマップは、作ってからがスタートです。定期的に情報を見直し、改善し、最適化していくことを念頭において運営することを心がけてください。

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