オウンドメディア収益化の方法とは? メリットやマネタイズのポイントと禁じ手も解説!
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昨今、オウンドメディアの収益化が注目されています。本来の運営目的がブランディングや見込み客をはじめとする顧客育成などとされているオウンドメディアで収益化する方法にはどのようなものがあるのでしょうか。また、そのポイントとは。この記事では、オウンドメディアを収益化する方法やメリット・デメリット、さらには禁じ手などについても解説します。
オウンドメディアについて知りたい方は以下の記事もご参照ください。
オウンドメディアを収益化するということ
収益化はオウンドメディアの第二の効果
収益化、マネタイズがオウンドメディアの主目的かと問われれば、答えはノーです。収益化はオウンドメディアに期待できる第二の効果といえます。
そもそもオウンドメディアとは自社が保有するメディア全体を指す言葉ですが、オンラインマーケティングの分野では少し狭い定義になるケースが少なくありません。すなわち、企業のブランディングや潜在層も含んだ見込み客との接点強化、既存顧客の優良客化といった顧客育成を主目的としたメディアです。人事部門においては採用活動の効率化を目的として運営されるケースもあります。
また、これらの目的で活用されるオウンドメディアを媒体そのもので見た場合、ブログやWebサイトを指すことが多く、SNSなどは含まれません。
このように、オウンドメディアの主目的に収益化は含まれていないものの、キャッシュポイントを組み合わせるなどの手法によって有効活用することで、収益化という第二の効果の実現が可能です。
オウンドメディアと収益化は密接な関係がある
会社などの営利を目的とする企業では、常に拡大発展を目指して売上・利益の増大を追い求めています。ブランディング、見込み客との接点強化や採用活動の効率化のためにオウンドメディアを運営する理由も結局のところはそこにあるといえるでしょう。つまり、オウンドメディアは最終的に利益を得るための手段のひとつとして考えられます。
したがって、収益化の仕組みを導入している場合はもちろんのこと、導入していない場合であってもオウンドメディアは収益化と密接な関係をもっているメディアです。
直接的な収益化と間接的な収益化
オウンドメディアの収益化の方法は大きく分けて2種類あります。直接的な収益化の方法と間接的な収益化の方法です。直接的な収益化の方法とは、オウンドメディア上で商品販売を行うなど文字通り直接的な方法を指します。
一方、間接的な収益化の方法は2つあり、ひとつは見込み客情報の取得など将来的な収益に結びつく仕掛けを設置する方法です。もうひとつの方法は特別に何かするわけではありません。オウンドメディア本来の目的に沿った戦略で、ブランディングや顧客育成をすすめることが結果的に商品やサービスの売上につながる=収益化できるという流れです。
ブランディングや顧客育成などを主目的とするオウンドメディアの性質上、収益化でメインとなる方法は間接的な手法だといえるでしょう。
収益化の代表的な方法
広告収入を得る
オウンドメディアの直接的な収益化方法の中で、広告収入は代表的な手法です。広告収入には、ページの表示領域の内部に広告枠を設置して販売する純広告や、外部の商品やサービスのバナー広告を設置して販売ページにリンクを飛ばすアフィリエイトなどがあります。また、一見すると記事のように見える記事広告(タイアップ)の掲載も有名な手法です。
純広告や記事広告の広告主はより多くの人に見てもらいたいため、集客力が高いオウンドメディアを好みます。したがって、運営を開始したばかりで認知度の低いオウンドメディアには向かない収益化の方法です。
アフィリエイトは一般的にオウンドメディアの運営側が掲載したい広告を選択してバナーリンクを貼るため、必ずしもオウンドメディアのアクセス数が多くなければならないわけではありません。しかし、アクセスが少なければ見る人も少なく効果が出にくい点は他の広告と同様です。
コンテンツを有料化する
コンテンツの有料化はオウンドメディアの内部で完結できる直接的な収益化の方法です。会員向け有料記事や有料メールマガジンの配信など、自社だけで実行可能な手法であることから、アクセス数が増えるのを待たずに仕掛けを作っておくこともできます。コンテンツの中身としては、注目度の高い人物のインタビューや価値の高いノウハウ、トレンドを踏まえた楽しめる話題などが有力です。
有料の催事へ誘引する
自社の商品やサービスを使った体験型のセミナーやノウハウの提供、著名人を招いての講演会など、有料の催事へ誘引するタイプの直接的な収益化は広く行われている手法です。また、外部セミナーの申し込みにつなげる広告に似た収益化もできます。催事の選択に決まりはありませんが、外部の場合は自社の事業内容やオウンドメディアのコンテンツ、カラーとマッチしていればよいでしょう。
新型コロナウイルス感染症拡大を機に、テレワークを代表としてさまざまな分野でのオンライン化が進んでいます。有料セミナーも対面形式だけでなく、オンライン開催(ウェビナー)が有力です。
企業と商品・サービスの紹介
企業としての自社の訴求ポイントや商品・サービスの紹介などは間接的な収益化の方法といえます。前述したように、ブランディングや見込み客を育てるというオウンドメディア本来の目的に沿ったカタチでの情報発信に該当する手法です。
また、複数のオウンドメディアを運用している企業においては、必要に応じて別のオウンドメディアで扱っている分野の商品やサービスを紹介することも考えられます。
販売ページへのリンク
販売ページへのリンクをわかりやすくクリックしやすい状態で設置することも間接的な収益化の方法です。オウンドメディアのコンテンツに触れて購入意欲が増した顧客の利便性を高め、リンク先の販売ページで最終的な確認を行い購入につながる可能性があります。
販売ページを経由せずにオウンドメディアで商品やサービスを販売する場合は直接的な収益化です。もっとも、どちらもそのタイミングでの販売につながることに変わりはないため、直接と間接の厳密な区別に大きな意味はないともいえます。
資料請求への対応
資料請求や問い合わせへの対応は、それ自体が顧客の疑問を解消したり、満足度を高めたりすることによって将来的な収益化の可能性を高めるものです。同時に、対応する窓口や部署に宛てて返信先の住所やメールアドレスを申告する仕組みは、重要な見込み客情報の収集方法として機能します。当該住所やメールアドレスに各種案内を発信することで、間接的な収益化が可能です。
オウンドメディアを収益化するメリット
文字通り収益が増える
ここからはオウンドメディアを収益化するメリットのうち、代表的なものを紹介します。その第一はキャッシュポイントが増え文字通り収益が増える点です。
収益化資産が収益を呼ぶ好循環
オウンドメディアは本来の目的を達成するために優良なコンテンツをアップし続けて運営します。それは収益化においても同様です。収益化に寄与するクオリティの高いコンテンツを発信し蓄積し続けることで、コンテンツの資産化が進みます。資産化したコンテンツ群はそれ自体が集客力の固まりです。また、コンテンツを有料化することによっても収益源となります。そうなればコンテンツをアップすることでさらなる収益を呼ぶという好循環が生まれやすい点に要注目です。
価値の高いコンテンツでブランディングが加速
ハイクオリティなコンテンツが豊富に揃っているオウンドメディアでは、コンテンツの評価がメディア自体の評価も高めてくれます。その結果、企業や商品・サービスのブランディングを加速させるでしょう。
広告宣伝費の節減につながる
自社商品やサービスの販売につなげるカタチでの収益化は、オウンドメディアの運用が商品やサービスの訴求効果を高めることにより実現します。つまり、オウンドメディアが商品やサービスを効果的に宣伝する広告媒体の役割を果たしている状況です。その分、外部に広告を出す必要がなくなり広告宣伝費を節減できます。
販売目的に限らず広告を展開する場合は一般的に安くない費用が必要です。一方、人件費以外でオウンドメディアにかかるコストは外部の広告会社、広告代理店に支払う料金に比べると、多くの場合でかなり少ないといえるでしょう。
Webで一般的なリスティング広告などは低予算で効果を狙うことは難しいとされています。それなりの効果を期待する場合、スタートアップや中小企業はもとより、大企業にとっても結構なコストを負担することになり得ます。しかし、オウンドメディアならコンテンツの内容を含め、自社ですべてを作成できるため、コスパのよい収益化が可能です。
見込み客情報の収集ができる
CTA(Call To Action)、行動喚起と呼ばれる仕組みを用いることにより、間接的な収益化の方法である見込み客情報の蓄積が可能です。この情報は大きな資産となり、積極的な情報提供の対象となるリード(接点のある顕在化した見込み客)となったユーザーを大きく育てることができます。
オウンドメディア収益化のデメリット
オウンドメディアの目的を見失う
オウンドメディアを収益化することで生じるデメリットの第一は、収益化に力を入れ過ぎることによる目的の喪失です。本来の目的に沿ったコンテンツや関連のあるコンテンツを有効活用するのではなく、収益化を急ぐあまり提供すべき内容からかけ離れたコンテンツを発信するようになると危険な状態といえるでしょう。
コンテンツの質と量(単純な数値ではなく価値のあるコンテンツの数量)の低下につながりかねず、収益化どころかオウンドメディアとしての価値まで失ってしまう恐れがあります。
仮に収益化が成功したとしても、オウンドメディアとしての目的を見失ってしまえば意味がありません。本格的な収益化は販売ページや別のサイトでやるべきことであり、オウンドメディアの役割ではない点に注意が必要です。
宣伝サイトや販売サイトと認識されてしまう
本来の目的から逸れてしまい、収益化に走ったオウンドメディアの見た目は宣伝サイトや販売サイトと誤認される可能性があります。それでも宣伝サイトや販売サイトとして十分な効果を期待できればよいですが、元がオウンドメディアだけに中途半端で終わる可能性が少なくないでしょう。
また、そこまで収益化に走っていなくても、サイトデザインや一部コンテンツの問題でオウンドメディアではなく宣伝サイト、販売サイトのイメージが強くなったり、訪問者にそう認識されてしまったりする点に注意が必要です。あくまでもオウンドメディアであることを認識してもらったうえで収益化を狙うなら、売らんかなといった雰囲気を感じさせない工夫が求められます。
コストの問題
オウンドメディアの収益化は効果が出るまでに時間がかかるため、その間はコストだけがかかってしまいます。また、収益化のノウハウを持つ人材の確保や仕組みの実装、コンテンツの制作などもコストアップの要因です。
ただし、収益化するか否かにかかわらず、スタートダッシュの遅さ・即効性がない点はオウンドメディアそのものの課題でもあります。また、コンテンツも本来の目的に沿ってアップし続けなくてはなりません。オウンドメディアの認知度が高くなるまで、一説には短くて数ヶ月から半年以上かかるともいわれており、長期的な取り組みが必要です。
収益化に失敗しないためのポイント
緻密な計画を立てて実行する
オウンドメディアには収益化以外に本来の目的があります。また、効果が出るまでに時間がかかることを踏まえ、収益化するにしても緻密な計画を立てて実行する必要があります。
具体的には、まずは訪問したユーザーが見やすいサイトデザインを考えます。次に、アクセスを増やすために支援ツールを使ってSEO対策を行ったり、SNSで宣伝したりします。集めたアクセスがすぐに離脱してしまわないように回遊性を高めるためのリンク設定などが必要です。
さらに、オウンドメディアのファンを作ることでリピーターを増やし、収益化へのアクションに誘導します。そのためには、掲載するコンテンツの内容と掲載頻度を慎重に検討し、制作~発信・公開を続けることが重要です。
SNSの活用
ブログなどをプラットフォームとするオウンドメディアのスタートダッシュが鈍いのと比較して、SNSの素早い拡散力には目を見張るものがあります。スマートフォンとSNSが全盛の時代とあって、SNSからのアクセスは無視できません。先に「SNSで宣伝したり~」と述べたように、SNSを有効活用することでオウンドメディアの足の遅さをカバーし、比較的早い段階で認知度を高めてアクセスアップし、収益化できる可能性があります。
収益化ページをどこに置くかを考慮する
オウンドメディアが1ページで終わるケースは少ないといえ、一般的には複数のページにそれぞれコンテンツが配置されているでしょう。そこで問題になるのが収益化を仕掛けるページの選択です。収益化の方法によって選択するページやページ内の配置場所が変わります。
広告で収益化する場合を例にとると、広告枠とコンテンツのバランスを考える必要があります。ページの上下や左右、コンテンツの間など複数の選択肢がありますが、広告効果を最大にすることが重要です。しかし、コンテンツが埋もれてしまってはオウンドメディア本来の目的から逸れてしまいます。記事広告の場合はページ全体が収益化ページですが、配置する階層を考える必要があるでしょう。また、記事広告である旨の表示が必要です。
オウンドメディアが単独で存在しているケースだけでなく、コーポレートサイトの下層にオウンドメディアの役割を果たすページ群が置かれているケースもあります。その中に収益化ページを配置するケースも考えると、最適解を得るのは容易ではないかもしれません。
オウンドメディアであるにもかかわらず、収益化ページやCTAなどの収益化の仕掛けがあまりにも多いとイメージ悪化につながるリスクがあります。慎重に検討して配置した後は、効果を測定・分析しつつ改善を図りましょう。
無理をしないで専門家を使う
収益化はもちろんのこと、オウンドメディアの運営自体が素人には難しい面のある作業です。まず、アクセスを集めるためのSEO対策を効果的に行うには専門的な知識が必要になります。サイトデザインやメンテナンスにも専門的なノウハウがあります。自社に詳しい人材がいない状況で収益化まで加えるなら、無理をせずに専門家への相談や委託を考えることも一案です。
収益化の実行と時期の判断が重要
すべてのオウンドメディアが収益化して成功するわけではない
オウンドメディアが収益化できるといっても、すべてのオウンドメディアにあてはまるわけではありません。収益化に馴染むオウンドメディアと馴染まないオウンドメディアがあり、馴染まないところへ収益化を仕掛けると逆効果です。
収益化に馴染まないにもかかわらず収益化した場合、収益化自体は成功したとしても、オウンドメディアとしては成果なく失敗となってしまうリスクが大きいため、見極めが重要です。
リードの獲得など顧客育成を目指しているオウンドメディアの場合、広告やリンクを貼っている外部の他社セミナーの内容が魅力的なものだった場合、せっかく集めたアクセスがそちらへ逃げてしまう恐れがある点に注意しましょう。
ブランディングを目的として運営しているオウンドメディアの場合、企業イメージをアップさせることが第一となります。掲載するコンテンツの内容は企業の理念やビジョン、成り立ちや実績、技術力や社会貢献の様子、さらには訪問者がすぐに使えるお役立ち情報など、よいイメージを抱いてもらえる内容がメインとなるでしょう。
その中に収益化の仕掛けがあってはいけないとまではいえないものの、広告など営業色の強い仕掛けが目につく頻度が増えるほど、イメージ悪化につながりかねません。とくに他社商品やサービスに関する仕掛けであれば、マイナスイメージが強くなるおそれがあります。
オウンドメディアとしての成長が先決
オウンドメディアを立ち上げたときから収益化を意図するよりも、本来の目的で運営し、十分に成長するまで待ってから収益化をプラスしたほうが無難です。オウンドメディアとして成熟していれば、収益化が上手くいかなくても外せば元通りの運営ができます。しかし、早くから収益化を図っていると、どちらも中途半端なものになってしまう可能性がないとはいえません。
オウンドメディアの収益化は、しっかりと存在が確立したオウンドメディアがあるからこそできることです。
オウンドメディア収益化で禁じ手とされるドメイン貸し
手っ取り早く上位表示したい人が持ちかけるドメイン貸し
オウンドメディアが成長して上位表示するようになると、そのドメインのサブドメインやサブディレクトリを借りたいという申し出に遭遇する可能性があります。力のあるドメインにぶら下がることで、労せずして手っ取り早く上位表示を狙える点に着目した人たちがいるためです。このような申し出を受諾することをドメイン貸しなどと呼んでいます。一般的には高額の報酬と引き換えにドメイン貸しが行われているようです。
ドメイン貸しは、納得できる報酬を得られるのであれば、収益化の手段としてよいのではないかと考える人がいるため成立しています。しかし、検索エンジンを相手にしている観点からは手放しで問題なしとはいえないのが現実です。
借り手だけでなく貸し手も圏外に飛ぶ危険性
Googleは2019年の時点でドメイン貸しによって上位表示されるサイトについて、なんらかのアクションを起こす可能性を示唆しました。Googleが運営するツイッターアカウント「Google Search Central」に掲載された英文の発表(※1)をGoogle翻訳にかけてみると、ガイドライン違反ではないが将来的に別ドメインのサイトとして扱うといったニュアンスの内容であることがわかります。
この解釈としては、ドメインパワーをもらうだけのぶら下がりサイトを上位表示させないことだと考えるのが妥当です。しかし、問題はそれだけにとどまりません。貸し手側のドメイン、つまりオウンドメディアまで措置の対象となるかもしれないと考えられています。
実際にどうなるかはわかりませんが、Googleの考えひとつでどうにでもなってしまう状況です。このようなリスクを考慮すれば、高額のオファーがあってもドメイン貸しによる収益化は絶対に避けるべきだといえるでしょう。
※1 出典:【Twitter】Google Search Central
https://twitter.com/googlesearchc/status/1161725709926182912?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1161725709926182912&ref_url=https%3A%2F%2Fwww.seroundtable.com%2Fgoogle-warns-about-leasing-subdomains-or-subfolders-28059.html
オウンドメディアの収益化はプラスアルファとして考える
オウンドメディアの主目的は企業のブランディングや顧客育成などです。そこに収益化はありません。しかし、オウンドメディアで収益が上がれば企業としてメリットになることも事実です。
オウンドメディア本来の目的と収益化をどのようにマッチングさせるかがポイントとなります。重要なことは、収益化はあくまでもプラスアルファだと考えることです。オウンドメディアとして成長させたうえで収益もいただくのが、あるべき姿だといえるでしょう。