中小企業のオウンドメディア運営のメリットとは? 集客や戦略に活かせる制作ポイントも解説
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WebサイトやSNS、ブログを含めた自社メディアであるオウンドメディアを制作、運用する企業も多くなりました。オウンドメディアは大企業が構築するイメージを持つ人も多いかもしれませんが、中小企業でも多くのオウンドメディア活用事例はあります。
また中小企業がオウンドメディアを構築するからこそ、高い集客力をはじめ得られるメリットも多くあります。この記事では、中小企業がオウンドメディアを制作、運営するメリットに加えて、具体的なオウンドメディア制作と運用方法、成功するポイントを解説します。自社のオウンドメディア制作に迷っているWeb担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
また、オウンドメディアについて、詳しく知りたい方は以下の記事もご参照ください。
中小企業がオウンドメディア制作と運用に向いている5つの理由
オウンドメディアの制作と運用は、Webマーケティングの手法として中小企業だからこそ有効となるポイントがたくさんあります。中小企業がオウンドメディア制作や運用に向いている理由を解説します。
発信する情報を選定しやすい
中小企業は、大企業よりも事業規模が小さく、展開している業種や事業の種類も少ない傾向にあります。大企業がオウンドメディアを構築する際には、取り扱っている業種や事業の数・規模が大きいため、ターゲットやコンセプトを絞り切れず、オウンドメディアで何を配信・アップすべきかを決めかねてしまう場合があります。
中小企業は大企業よりも業種や事業規模が限定的なため、オウンドメディアのターゲットもしぼりやすく、発信するコンテンツも決めやすいです。定期的な更新が必要なオウンドメディアでも、スピード感を持って更新ができるでしょう。
意思決定がスピーディ
中小企業は大企業よりも人員や部署も少ない傾向にあります。オウンドメディアに関する意思決定も少人数や少ない過程で行うため、制作や運用に関してもスピーディな意思決定ができるでしょう。一方大企業ではテーマやコンセプトは決まったのに途中でオウンドメディアの計画が頓挫してしまう、ということもあります。
限られた資産でも運用できる
Webメディアには、メディアの持つ特徴や性質により、アーンドメディア、ペイドメディア、オウンドメディアといった分類があります。これら3つのメディアは総称して、トリプルメディアと呼ばれています。
費用をかければかけるほど効果の出る広告をはじめとしたペイドメディアと異なり、オウンドメディアは費用が効果と比例するわけではありません。つまり、Webマーケティングに限られた予算しかかけられない中小企業でも、オウンドメディアでは大手企業と同じ成果を出すことは十分に可能と言えます。
効果検証ができる
オウンドメディアを継続して運営していると、Webサイトへ訪れたユーザーのデータが蓄積されます。解析ツールなどで分析したデータからは、ユーザーの滞在時間や離脱したページ、アクセスの多いページ、流入経路、直帰率、評価されているキーワード、コンバージョン率などが把握できるでしょう。
分析から出たデータは、オウンドメディアの改善や更新、ユーザーとのコミュニケーションに活用できます。効果検証は無料のツールなどでもできるため、中小企業でも効果検証をしながらオウンドメディアの適切な方向性での運用が実現可能です。
予想外のリスクを回避できる
オウンドメディアと同じトリプルメディアのひとつに、アーンドメディアがあります。アーンドメディアはユーザーからの評価や口コミを得て活用するWebマーケティングの手法です。代表的なアーンドメディアの媒体にはTwitterやFacebookなどのSNSがあります。ただし、アーンドメディアは口コミや評判が拡散されやすいメリットがある一方、炎上などの予想外のリスクが発生する可能性に注意が必要です。
オウンドメディアは記事内容のコントロールを自身で行えるメディアであり、ユーザーの口コミや評価を根本としていません。誤った情報や偏りのある主観が原因となる炎上などといった、自社がコントロールできない媒体ゆえのリスクは回避できるでしょう。
世間でしばしば問題となる「炎上」という状況は、企業の規模問わず避けておきたいところですが、特に中小企業にとっては一度の炎上が取り返しのつかないほどの大ダメージとなる可能性があります。
中小企業がオウンドメディアを運営する7つのメリット
中小企業がオウンドメディアを制作、運営することで得られるメリットを解説します。
顧客からの信頼が得られる
オウンドメディアは、ユーザーに対してメディア運営元が有益な情報を発信し、ユーザーの悩みや課題解決、相談への共感などをすることで顧客エンゲージメントを高められます。ユーザーファーストのコンテンツ作りや、PR感の少ない自然な訴求などに留意しながらメディアの運用を行えば、企業にとって大切となる信頼感の形成につなげられるでしょう。
企業や商品のブランディングができる
ブランドの認知、信頼、共感のプロセスを通じ、顧客の持つブランドへの価値観を高める戦略がブランディングです。オウンドメディアによって自社商品のこだわりや世界観、イメージ、コンセプトなどを発信、提供し続けることで、ユーザーに自社や商品への新しい価値を意識してもらうことも可能です。
集客やファンの育成ができる
オウンドメディアは、自社のもともとの顧客のみならず、不特定多数または自社商品に少し興味のある見込み顧客をもターゲットとしています。オウンドメディアによってユーザーに有益な情報を配信し続けると、検索エンジンからの集客により、見込み顧客の獲得ができるでしょう。さらにユーザーにとって価値のある情報を配信し続ける中小企業への信頼感が高まり、一般ユーザーからファンへの育成も可能です。
競合他社との差別化が図れる
同業界の他社がオウンドメディアを構築していない場合は、差別化が図れるのもメリットです。さらに、自社と顧客との信頼感が高まるのと、ブランディングを実現することで顧客が自社を選んでくれるようになります。競合との価格競争に巻き込まれにくいメリットも得られるでしょう。
人や費用のコストを削減できる
オウンドメディアの制作や構築など初期費用がかかる一方、長期的に見れば人や費用のコスト削減ができるメリットがあります。たとえばリスティング広告などは長期的に運用するとその分だけ広告費用が発生しますが、オウンドメディアのコンテンツは一度投稿してしまえば、永続的に作用するコンテンツ資産となります。もちろん、状況の変化によって記事内容の更新などの必要性は発生しますが、オウンドメディアは長期運用による費用削減にもつながるでしょう。
オウンドメディアを通じてコンバージョンやECサイト、企業のホームページへの流入が期待できるため、企業の直接利益も得られます。そのため今まで営業スタッフや広報スタッフのみで行っていた営業、広報活動をオウンドメディアが一部代替することにもなり、長期的には大きな人的コストの削減ができる可能性もあります。
顧客のニーズが把握できる
オウンドメディアを通じてのユーザーとのコミュニケーションや、データを分析することで、顧客の持つニーズを把握できるメリットがあります。顧客ニーズを把握すればオウンドメディアはもちろん新商品の開発や既存商品の改善など、直接的な事業のマーケティングにも活用できるでしょう。
オウンドメディアそのものを資産にできる
オウンドメディアはユーザーにとって有益となる良質なコンテンツを多く配信し運用します。オウンドメディアで投稿、公開されたコンテンツは有益な情報として蓄積するため、企業にとっても大切な資産となるメリットもあります。
▼オウンドメディアのメリットについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
中小企業のオウンドメディア制作と運用方法
ここからは、中小企業がオウンドメディアの制作および運用をする場合の手順や方法を紹介します。
目的と集客チャネルを決める
オウンドメディアを構築する目的は知名度を上げる、ブランディング、コンバージョンなどさまざまです。目的を設定せずにオウンドメディアを構築してしまうと、方向性を見失いオウンドメディアの運用が失敗してしまう可能性が高いでしょう。まずはじめに目的を設定することが重要です。
次に、目的に応じた集客チャネルを決めます。たとえば長期的にじっくりメディアとして成長させるならWebサイト、瞬間的な拡散力を重視したいならSNSが向いています。
ターゲットとコンテンツを決める
設定した目的に合わせてターゲットとコンテンツを決めます。ターゲットはペルソナ設定をすると明確となり、オウンドメディアの方向性が定まるでしょう。ターゲットが決まったら、ターゲットの検索意図(解決したい悩みや課題)を考え、コンテンツを決めていきます。
自社制作か外注するかを選ぶ
オウンドメディアは自社で構築する方法と、ホームページ制作会社やフリーランスに外注する方法があります。自社で構築する場合にはオウンドメディアの運用体制の整備が必要です。必要なのがディレクター、デザイナー、プログラマー、ライター、マーケターとカメラマンなどとなります。外注する場合には外注先を選定し、すべて依頼するか、一部のみ依頼するかを決めましょう。
コンテンツを作成する
ターゲットのニーズや悩みを考えて、検索キーワードを選定します。選定した検索キーワードは一覧として残しておくと、後のコンテンツ設計がスムーズになります。
選定したキーワードを元にコンテンツを設計していきます。オウンドメディアは不特定多数または見込み顧客から検索エンジンで検索され、検索ページで上位にヒットされないと多くの人目に触れることができません。そのために検索結果の上位表示を目的とした、SEO対策をふまえたコンテンツ作成が必要となります。
PDCAサイクルを回す
オウンドメディアのコンテンツはひとつだけでなく、新たな検索キーワードを設定したうえで新しいものを少しずつ増やしていきます。コンテンツがある程度溜まったら、ツールを使用してオウンドメディアの分析を行いましょう。分析結果を踏まえて改善点などを洗い出し、PDCAサイクルを回してオウンドメディアを運用していきます。
▼オウンドメディア立ち上げ時の方針決定、構築手順などについては以下の記事でも詳しく解説しています。
中小企業がオウンドメディアを成功させるためのポイント
中小企業がオウンドメディアを成功させるためのポイントを解説します。
継続して運用できる体制を整える
大企業よりもリソースが不足しがちな中小企業は、オウンドメディアの担当者が多忙となってしまうと、更新が止まってしまうリスクがあります。オウンドメディアは継続して更新しつつ運用するのが前提となるため、継続して運用できる体制を整えておきましょう。自社内でリソースが完結できないときには、外注を検討することもあります。
コンテンツのネタをストックしておく
オウンドメディアはユーザーニーズに沿った検索キーワードを選定してコンテンツを制作していきますが、コンテンツのネタ切れになってしまうことがあります。あらかじめコンテンツのネタをストックしておくと、定期的に更新できます。たとえばコンテンツのネタとなるものには、以下のものがあります。
- ・お客様の声や、サービス内容への反映事例
- ・自社のサービスや商品について
- ・業種の専門的な情報の説明や解説
- ・社内外のイベントの実績やお知らせ
ただし、オウンドメディアのコンテンツの数を増やすことだけを重視してしまい、質が下がるのは厳禁です。オウンドメディアの目的やターゲットをふまえたうえでコンテンツを制作していくことが良質なコンテンツの蓄積につながります。
ゴールの設定と効果測定を行う
オウンドメディアは長期運用が前提となるため明確なゴールの設定と効果測定が重要です。自社のマーケティングにおける課題を考えたうえで目的を設定しましょう。ゴールまでの効果を測定するために、要所でKPIを設定するのも重要です。
ほかのトリプルメディアを併用する
オウンドメディアはコストがかからない一方、長期的な運用をしなければ効果が出ません。オウンドメディアと一緒に、アーンドメディアやペイドメディアを併用するとより効果的なWebマーケティングにつながります。
▼アーンドメディアやペイドメディアについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
中小企業のオウンドメディア運営は利益の最大化にもつながる
中小企業がオウンドメディア運営に向いている理由やメリット、運用の方法や成功させるためのポイントを解説しました。オウンドメディアは多くのメリットが得られる一方、定期的な更新やデータの収集、分析による改善も求められます。
中小企業がオウンドメディアの運営を成功させるには、継続的に運用できる体制を整えておくことも重要です。オウンドメディアの運営を成功させれば、企業の利益も最大化できるでしょう。